<夢のはじまり>
「儂が漢女塾塾長、卑弥呼である!」
にゃっ!!
――この人がね~。
――あれ?
――季衣?
――お~い……。
<夢のおわり>
scene-一刀の部屋
「兄ちゃ~ん、起きてる~?」
「どうしたんだ季衣、こんな時間に?」
「あのね、怖い夢見たの」
「一人でトイレ……厠へ行くのが怖くなったのか?」
「ううん、違うよ~」
「そうか。じゃ、つまみ食いしに厨房行きたいけどまっ暗で怖いとか?」
「そうじゃなくて、いっしょに寝てほしいんだよ」
「そうかそうか。いっしょに……ってええっ!?」
「兄ちゃんといっしょならたぶん怖い夢見ないから」
「春蘭か秋蘭じゃ駄目か?」
「春蘭さまと秋蘭さま、華琳さまに呼ばれてるもん」
「あ~、そういやそうだったか」
「ダメ?」
「……そんなに怖い夢だったのか?」
「うん! 怖くてキモイ」
ガタガタと震える季衣に一刀は折れた。
「じゃいっしょに寝るか」
「わ~い。兄ちゃんだ~い好き!」
<夢のはじまり>
「儂が漢女塾塾長、卑弥呼である!」
にゃっ!!
――逃げるな季衣!
きょっちー? じゃこれ。
――うん。ボクの記憶。
ええっ! これ実在するの?
――実在もなにもボクの師匠だよ。
えええっ!? そんな……。
――なに泣いてるのさ。怖くてキモイけど無茶苦茶強いんだよ~。
強いの?
――うん。師匠に弟子入りしてボクと流琉はすっごく強くなったんだよ~。それに変態だけどいい人なんだよ!
変態なんだ……。
<夢のおわり>
scene-街
「どうした季衣、まだ眠そうだな?」
「うん。ちょっと……。兄ちゃんも眠そうな顔してる~」
「そうか? ……ふぁああ」
「ボク、寝相悪かった?」
「い、いや寝相は良かったぞ」
「にゃ? ……もしかして欲情してた?」
「そ、そんなことはないぞ!」
「ボクって魅力ないの?」
「ぶっ! あのな」
「正直に答えてよ~!」
「……悶々として眠れませんでした」
「えへへ。それでも我慢してくれたんだ。兄ちゃんありがと。お礼に今日はお昼奢ってあげるね」
「って、もう昼飯行くのか? 随分と早くない?」
「秋蘭さまが美味しいって教えてくれたお店だから早く行きたいんだ」
「そりゃ楽しみだな~」
scene-店内
「兄様!」
店に着いたとたん一刀に抱き付く店員の少女。
「あれ? なんかこれデジャヴ?」
「流琉! やっぱりこのお店だったんだ」
「季衣! なんでもっと早く呼んでくれないの!」
「え? 季衣の知り合い?」
「うん。ボクの友達の典韋」
「流琉です。兄様」
「それって真名だよね。いいの?」
「はい。季衣が真名を許してる方なら。それじゃ季衣、曹操さまのとこへ案内してくれる?」
「ダメだよ」
「季衣?」
「だってボクまだここでご飯食べてないもん!」
その後食事を済ませ、流琉は覇王曹操と天の御使い一刀との邂逅を果たしたのだった。
<あとがき>
流琉登場。
文醜、顔良他が登場しないせいかかなり短いです。
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タイトルの『対』は『たい』じゃなくて『つい』です。
2話目、典韋合流編です。
<夢のはじまり>~<夢のおわり>の間は季衣の夢です。