No.111347

真恋姫無双~大佐がたに感謝をこめて送ります~

karasuさん

投稿です
五十作品目記念ということで十六拠点お送りさせていただきます
一人でも多くの大佐がたに楽しんでいただければ何よりです

2009-12-09 20:32:07 投稿 / 全26ページ    総閲覧数:22540   閲覧ユーザー数:14379

どうもkarasuです

今回は五十作品記念ということで拠点を書かせていただきました

一人でも多くの大佐に楽しんでいただければ幸いです

それではどうぞ

桃香・愛紗拠点

 

『コンコン』

桃香「一刀さ~ん。入るよ~」

桃香は扉をノックして、中にいるであろう一刀に声を掛けて部屋の中に入る

桃香「一刀さん。いつまで寝て――」

一刀「く~~……」

桃香は部屋に入ると寝台に寝ている一刀を揺さぶろうとしたが

桃香「ほ~~~///」

ついつい一刀の寝顔に見とれてしまった

桃香「……!!いけないいけない。早く起こさなきゃね」

そう言って桃香は一刀の身体を揺さぶりながら

桃香「一刀さん! 起きてってば!」

そう声を掛けるが、いっこうに一刀が目を覚ます様子は無く、それどころか

桃香「きゃっ!」

一刀は桃香の手を掴むと自分のほうへと引き寄せた

桃香は急に引っ張られたのでバランスを崩して、一刀に添い寝するような体勢になってしまう

桃香「…………」

一刀「……く~……」

桃香「し、仕方ないよね。一刀さんのほうから引っ張ってきたんだから……////」

『モゾモゾ』

桃香は誰か聞いているわけでもないというのに言い訳がのようなことを言いながら一刀のかぶっている掛け布団へと自分ももぐりこむ

桃香「はふ~。暖かい……く~~」

桃香が寝台に潜り込んでから眠りにつくまで僅か一分の出来事だった

 

桃香は眠ってしまってから少したった後

愛紗「まったく。桃香様は一刀殿を起こすのにいつまで時間を掛けてるのか……」

そんなことを呟きながら愛紗は一刀の部屋の前まできていた、そこで自分の身だしなみを一度確認して扉を叩き中に入る

愛紗「一刀殿、桃香様を―――」

部屋に入った愛紗が見たものは、一刀に添い寝をしている桃香の姿であった

愛紗「…………」

その光景を見た瞬間に愛紗は俯き、肩を震わせる

愛紗「フフ……フフフフフ……マッタク、トウカサマモオチャメデスネ」

そういう愛紗の目には嫉妬の炎が燃え盛っていた

愛紗「………フン!」

桃香「むぎゃ!」

愛紗は一刀に寄り添っている桃香を地面に落とす

桃香「いたた……」

桃香は落ちた際にしりもちをついたためお尻をさすりながら、自分を落としたであろう人物を見上げる

そこで桃香が見たものは般若のような威圧感を放つ愛紗だった

桃香「あ…あはは。おはよう愛紗ちゃん」

愛紗「オハヨウゴザイマストウカサマ……」

桃香「……ご飯食べてこよ~」

桃香はここにいるのが危険とみて、いそいそと逃げ出した

そして、部屋に残されたのは寝ている一刀と愛紗のみ

愛紗「………」

一刀「………ふがっ」

愛紗「……(キューン)」

『ゴソゴソ』

しばらく一刀をみつめていた愛紗だったが、桃香と同じように寝台に潜り込むと

愛紗「誰にも譲りません……」

そう言って一刀をキュッと抱きしめ

愛紗「………く~」

眠りについた

一刀(俺はどうすればいいんだ……)

桃香が寝台に潜り込んできた時に一度目が覚め。二度寝して、愛紗の威圧感で目を覚ました一刀は動けずにいた

 

鈴々・朱里・雛里拠点

鈴々「おに~ちゃ~ん!」

一刀「ぶるはぁぁぁぁ!!」

一刀は急に飛びついてきた鈴々に反応できずに、叫び声をあげながら倒れそうになるのを必死に堪えた

鈴々「おお~! よく倒れなかったのだ!」

一刀「そう思うなら今度からはやめてくれると嬉しいな……」

一刀の顔は笑顔だが、その額には変な汗が浮いていた

鈴々「にゃはは♪ 考えとくのだ♪ それよりもお兄ちゃん。一緒にご飯食べに行くのだ」

一刀「そういえば奢るって約束したからね。よし、行こうか」

そういうと一刀と鈴々は街へと繰り出していった

そんな様子を影から見ていた二人がいた

雛里「はぅ~。私も一刀さんに飛びつきたいな~」

朱里「でも、どういうときに飛びつけばいいんだろう?」

雛里「う~ん……」

朱里「いっそのこと鈴々ちゃんに訊いてみる?」

雛里「それが一番手っ取り早いかも……」

朱里「それじゃあ今夜さっそく」

雛里「行ってみよう」

 

 

その日の夜、鈴々の部屋は夜遅くまで明かりが消える事は無かった

 

次の日

その日一刀は中庭を軽くランニングしていた

そこへ――

朱里「いまです!」

雛里「えい!」

一刀「デカルチャーーー!!」

左右の木陰から朱里と雛里が急に現れ、一刀の左右から飛び込みながら抱きついてきた

二人の頭は見事に一刀のレバーを突いていた

一刀(ここが男の見せ所だな! じいちゃん!)

一刀はそんなことを考えながら

一刀「ハハハ……フタリトモドウシタノカナ?」

汗をだらだら流しながら、二人に訊く

朱里「えっと……その……」

雛里「いつも鈴々ちゃんが一刀さんに抱きついてるのがうらやましくて」

朱里「それで鈴々ちゃんにどうすればいいか聞いたら、不意打ちすればいいって」

一刀「ハハハ、ソッカソッカ。ジャアシカタナイネ」(後で鈴々とは話し合うべきだな……)

そしてようやく回復してきた一刀は二人の頭を撫でながら

一刀「今度からはちゃんと正面から、不意打ちじゃなくて堂々とやってくれていいよ。俺としても二人に抱きつかれるのは嫌じゃないからさ」

一刀がそういうと二人は顔を輝かせながら

朱里&雛里「「はい!」」

元気よく返事をした

???「ふっふっふ。これはいいことを聞きましたな……」

 

次の日

星「一刀殿ーーー♪」

一刀「ぶふぅっ!」

桃香「一刀さ~ん♪」

一刀「ぐはっ!」

愛紗「一刀殿!」

一刀「ごはっ!」

恋「……一刀」

一刀「あかーん!」

鈴々「にゃーー!」

『ガシッ!』

一刀「ちょっとこっちに来ようか~」

鈴々「にゃーーーーーー!!」

何故か色々な人に正面から抱擁(タックル)を喰らう一刀だった

 

翠・蒲公英拠点

蒲公英「ほらほら。一刀さん、はやくはやく♪」

一刀「ちょっと。蒲公英、そんなに引っ張らないでって」

この日、一刀は蒲公英に誘われ、街にでてきていた

一刀「ところで、どこに向かってるの?」

そう訊く一刀に蒲公英は悪戯気な笑顔を向けて

蒲公英「な~いしょ♪」

そう言った

しばらくすると、蒲公英はとある店の前で立ち止まった

そこは飲食店のようだが、テーブルなどが外に並べられており、カップルがよく目に付いた

一刀「ここにようがあるの?」

一刀は何故蒲公英がこんなところに連れてきたのかが気になっていた

蒲公英「うん! そうなんだけど……」

そう言いながら蒲公英はキョロキョロと視線を動かし

蒲公英「あっ!」

何かを見つけたように声を上げた

一刀「どうかしたの?」

蒲公英「えへへ~。一刀さんはその辺の席に座って待っててよ」

そう言うと蒲公英は人ごみの中へと消えていった

一人残された一刀は仕方なく近くのテーブルに着くと

一刀「本でも読むか……」

そう言って店員にお茶を頼むと本を取り出して、読書を開始した

 

一刀から少し離れた所

そこでは翠と蒲公英が騒いでいた

翠「なんで一刀があそこにいるんだよ!」

蒲公英「いいじゃん別に~。お姉様だって嫌いじゃないんでしょ!」

翠「そ、そりゃあ……」

蒲公英にそう言われ翠は言葉に詰まる

蒲公英「だったらいいじゃん。ほらほら~」

翠「うわ! 蒲公英! 押すなって!」

翠は蒲公英に押されながら一刀に近づいていく

そして

一刀「ん? ああ、翠に蒲公英。蒲公英は翠を迎えにいってたの?」

蒲公英「うん♪」

そう言いながら蒲公英は席につくが

翠「……あっ……うあ……」

一刀「……?? 翠?」

蒲公英「お姉様?」

翠は何故か突っ立ったまま動かなくなり、段々と顔が赤くなり

翠「ゴメン! やっぱり無理だ~!!」

そう叫びながら駆け出した

そのまま翠は大通りへと飛び出していた、そこに馬車が向かってくる

一刀「翠!!」

蒲公英「お姉様!!」

一刀は翠が大通りに飛び出した瞬間に駆け出していた

翠「へっ? うわわわ!」

商人「うわーーー!!」

馬車は急に飛び出してきた翠に反応できずにそのまま直進してきて、翠はなぜか身体が動かずにいた

そんな翠を一刀は突き飛ばす。馬車はそのまま直進し、転がっている一刀と翠の横を通り過ぎる

商人「急に飛び出すなよな!!」

一刀「ごめんなさい!!」

一刀は商人にあやまると自分の真下にいる翠に

一刀「大丈夫?」

そう訊ねた

翠「あ、ああ。大丈夫……」

一刀「よかった」

翠が特に怪我もないことを確認した一刀は翠の上からどこうとしたが

セキト「ワン!」

一刀「うむっ!」

翠「んんっ!」

どこから現れたのか、セキトが一刀の頭の上に乗っかる

そして二人はまたキスをしてしまう

しかし、今度のキスは前回とは違い

翠「……ん」

翠は一刀の頭の後ろに手を廻すとひきよせ積極的にキスをする

一刀「……んん!」

一刀は驚きと恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた

翠「……ぷはぁ」

キスを終えた翠は一刀の耳元で

翠「……本気なんだからな……」

そう呟いた

一刀「翠……」

そんな二人の間には大通りだというのに桃色の空間が広がろうとしていたが

蒲公英「蒲公英がここにいるぞー!」

いつもと若干違う蒲公英の『ここにいるぞー!』が炸裂して雰囲気は壊された

蒲公英「お姉様ばっかりずるい! こうなったら、このこと皆に言っちゃうもんね!」

そんなことを言いながら城へと駆け出す蒲公英を

一刀「ちょっ! 待って蒲公英! それだけはダメーー!!」

一刀は全力で追いかけた、そんな二人を見送る翠は

翠「……う~////」

顔を手で隠しながら頭を左右にブンブン振っていた

 

星拠点

星「ですからね一刀殿……聞いていますか?」

一刀「うん。大丈夫、ちゃんと聞いてるから」

一刀は城壁の上で、壁にもたれかかるように座っていた。そんな一刀の足の間には星が座っており、一刀を背もたれのようにしてよりかかっていた

一刀(どうして俺はこんな状況に……たしか星にこの間の約束通り一緒にお酒を飲もうとして―――)

 

同じ日の昼

星「一刀殿」

一刀「ん? どうしたの星?」

その日、一刀は廊下で星に呼び止められた

星「この間の約束は覚えていますかな?」

一刀「ああ。しっかり覚えてるよ」

星「その約束。今日実行してもよろしいかな?」

一刀「うん。大丈夫だよ」

星「では今夜……場所は城壁の上で」

そう言って星は去っていった

星と一刀の約束とは夜通し酒を共にするというものであった 

一刀も星との約束を破る気はさらさら無かったので行く気はあったのだが……

 

桃香「一刀さん」

愛紗「一刀殿」

朱里「あの、一刀さん」

雛里「ちわっ」

鈴々「お兄ちゃんなのだ!」

恋「……////」←黙って服を離さない

ねね「ちんきゅーきっく!」

一刀「あんぎゃー!」

月「あの、一刀さん」

詠「ちょっとあんた!」

白蓮「あ、一刀」

蒲公英「あ~、一刀さん♪」

翠「 ☆□※@▽○∀っ!?」

と無駄に色々な人に声を掛けられ、用事を頼まれた結果

 

一刀(やばい! いくらなんでも遅れすぎた!)

月は天高く昇り、街にも明かりは殆ど見えないような時間になっていた

集合場所についた一刀を待っていたのは

星「………ヒック……一刀殿~」

辺り一面に酒の入っていたであろう入れ物を散らかして、完全に出来上がっている星であった

一刀「ごめん星。中々仕事が終わらなくて」

そう言いながら一刀が頭を下げると

星「……」

『ポンポン』

星は黙って自分の横の地面を叩いた

一刀は素直にそれにしたがって座ると、星は一刀に足を開かせ、その間に座ると

星「はふ~。落ち着きますなぁ」

そう一言漏らした

そんな星の頭を撫でながら一刀は

一刀「俺も一杯もらっていいかな?」

そう星に訊ねると

星「もちろん。そういう約束ですからな」

そう言って星は少し大きめの盃に酒を注いで一刀に渡す

一刀はクイッとそれを一気に飲み干すと

一刀「さて、どんな話題を肴にしようか…」

そうもちだした、そんな一刀に星は

星「では一刀殿の女癖の悪さについて語りましょう……」

一刀「へっ?」

星「そもそも一刀殿は女に弱すぎです。戦っているときはそんな事はありませんが、私生活においてあれほどまでに女に弱い殿方を私は見たことが―――」

そこから星のお説教というか、愚痴ともいえるような話は始まり、一時間、二時間経った今でも続いていた

一刀「それで、結局の所…俺はどうすればよろしいのでしょうか?」

一刀は星の話が途中から崩壊し始めたのを感じ取り、一思いに星にそう訊ねた

星「簡単ですよ。もっとこの趙子龍を見てくださればよい……武将としてではなく、女として」

そう言いながら星は一刀に顔を近づけ

『チュッ』

軽く口付けをする、そして――

星「……く~……」

眠りの世界へと旅立った

一刀「そこで眠るんか~い!」

星のナイスなボケについつい突っ込みを入れてしまった一刀だったが

一刀「今日はなかなか眠れそうにないんだけどな……」

そう呟きながら月を見上げる、その頬の赤さは酒のせいか、それとも――

 

次の日

星「ん……朝か…」

星は朝日の眩しさを感じて目を開ける。そして目の前に一刀の寝顔があることに気がつく

星「ふむ、昨日は確か……」

星は昨日一刀と軽いキスを交わしてからの記憶が無い事と、自分の服の乱れが無い事から

星(失敗したか……)

などと考えていたが

星「しかし、ある意味成功か」

そう言いながら星は眠っている一刀に顔を近づけると

星「……んっ…ちゅ……じゅる」

一刀「んむむむ!!」

いきなり一刀の口内に舌を侵入させる

さすがの一刀も目を覚ますが

星はがっちりと一刀の頭をしっかり捕まえているため逃げられない

星「……ふぅ。昨日は満足に出来ませんでしたからな……この先の行為は一刀殿のほうから誘ってくだされ」

星はとても満足そうな微笑を一刀に向けて去っていった

一人残された一刀は

一刀「いや、こうみえて俺も男なわけで……男ってのは朝はこう…色々大変なんだが」

一人生理現象と戦っていた

 

紫苑・桔梗拠点

紫苑「あら?」

桔梗「おや?」

ある日、紫苑と桔梗は夜遅く一刀の部屋の前で出合った、その目的はもちろん……

紫苑「確か今日は私が夜討ちをする日ではなかったかしら?」

桔梗「いやいや、今日はわしが夜討ちを掛ける日じゃろうが」

そう言ったきり黙りこむ二人、そして

紫苑&桔梗「「二人でやりましょうか(やるか)」」

そう言って一刀の部屋へと入っていく

その日、一刀の部屋からは夜遅くまで悩ましい声が響き渡っていたとかなんとか

 

次の日

一刀「…おっ……おお……」

足取りが怪しい一刀は朝から二人にたっぷり搾り出されていた

一刀(このままじゃあ俺はいつか腹上死という名誉なのか不名誉なのか分からない死を迎えるぞ……)

そんな事を考えながら歩いていた、そこに――

璃々「あ! お父さん!」

一刀「璃々ちゃん!」

璃々は一刀の姿を見るやいなや一刀に抱きつくが

璃々「…くんくん。お父さん、お母さんとおば…桔梗お姉さんと生臭い臭いがする…」

一刀「……!! ゴメン璃々ちゃん、お父さん一旦お風呂入ってくるから」

そう言って一刀は風呂に向かおうとするが

璃々「あっ! じゃあ璃々もお父さんと一緒に入る~!」

そんなことを璃々ちゃんが言った

一刀(断って璃々ちゃんを悲しませたくないし……)「うん。じゃあ一緒に入ろうか?」

そう言いながら一刀は璃々の手を取った所に

紫苑「ふふふ。ねえ桔梗、私たちもご一緒したいわね」

桔梗「そうじゃな。是非ともご一緒させていただきたいものだ」

背後から紫苑と桔梗が現れ

璃々「じゃあ皆で入ろう♪」

一刀「はは……ははは…」

一刀には二人の目が獲物を狙う虎のようにしか見えなかったという

 

 

この後の展開は……言わなくてもなんとなく推測できるかと……ねぇ

 

華琳拠点

華琳「ちょっと、桃香! どうしてあなたは胸を揉もうとするの!」

そう叫びながら必死に胸をガードする華琳

桃香「へへへ~♪ 揉めばおっきくなるんだってば~♪」

そんな華琳をしつこく攻め立てる桃香

雪蓮「ははは♪ ほんと、桃香は酔うと強いわね~」

その光景を肴に酒をグビグビ飲む雪蓮

月「あの、止めないでいいんですか?」

心配そうな顔で雪蓮に尋ねる月

この日、三国は五胡に勝利したことを祝うために大宴会を開催していた

そこでは、国など関係なく色々な将達が喜び、笑っていた

雪蓮「それにしてもどうして急に五胡の連中は混乱したのかしらね?」

月「そうですよね。いきなり動きが悪くなりましたからね」

そう言いながら二人はあごに手をあてて悩む

桃香「きっと私たちの思いの強さに負けたんです! そうに決まってます!」

そんな二人の疑問に桃香は立ち上がりながら拳を強く握り、大きな声で叫ぶ

華琳「そんなわけないでしょ。なんでも敵の総大将が討ち取られたらしいわよ」

雪蓮「え? 誰が討ち取ったの?」

華琳「それがわかったらこんなにモヤモヤした気持ちにはなってないわよ」

月「でも本当に誰なんでしょうか?」

桃香「正義の味方、月光k――」

愛紗「桃香様、少しこちらへ……」

桃香「へっ? あれ? どこ行くの愛紗ちゃん?」

そのまま桃香は闇の中へと連れ去られた

華琳(やっぱりあいつなのかしら? それなら姿くらい見せてくれたっていいじゃない……)

そう考えながら華琳は盃の中の酒を見つめ

華琳「少し風にあたってくるわ」

そう言って席をたった

華琳の背後で雪蓮が

雪蓮「ふふふ、ゆ~え~。やっと二人っきりね。フッフッフ」

月「あっ……そんな、ダメです雪蓮さん! あふん///」

となにやら楽しげなことをやっていたが華琳はそんな気分にはなれなかった

 

宴会場を抜けた華琳は一人城壁の上に座り月を見上げていた

華琳「綺麗な満月ね……そういえばあいつがどっかいった日も、満月だったわね」

そう呟きながら華琳は一口酒を飲み

華琳「早く帰ってきなさいよ……」

そう漏らした

一刀「それが今回の戦のMVPに言う言葉か」

その声を聞いた瞬間に華琳の肩が震える

華琳「えむぶいぴーってどういう意味よ」

一刀「まぁ、一番頑張って結果を残した人。かな」

華琳「ずいぶん曖昧な答えね」

一刀「別にいいだろ。そんな言葉の意味」

華琳「じゃあ五胡の総大将を討ち取ったのは……」

一刀「俺以外に誰がそんなこと出来るんだよ。てかちゃんとすぐに追いつくって言ったろうが……まさか聞こえてなかったのか?」

華琳「いいえ。ちゃんと聞こえていたわよ」

一刀「で、何か褒美は貰えるのか?」

華琳「そうね……それじゃあ」

華琳は振り返り真っ直ぐ一刀の目を見つめ

華琳「これからずっと私の側にいることを許してあげる。それと今回の宴会に参加する権利もあげるわ」

そういう華琳の頬には一筋の涙がつたっていた

一刀「断る権利は?」

そう訊ねる一刀に華琳は近づき

華琳「あるわけ無いでしょ……馬鹿」

抱きついた

一刀「はいはい。ただいま戻りましたよ……大陸の覇王殿」

華琳「今は華琳よ」

一刀「ただいま……華琳」

華琳「おかえりなさい……一刀」

一刀も華琳の背に手を廻し、二人はしばらく抱き合っていた

 

 

それからちょっとして、ふと華琳が

華琳「ところで一刀は何をしていたの?」

そう一刀に訊くと

一刀「食道楽」

そうきっぱりと言い切った一刀の頸に『絶』がつきつけられる

華琳「殺してもいいかしら?」

一刀「命だけは……命だけはご勘弁を……」

 

春蘭・秋蘭拠点

ある日、春蘭は秋蘭の手を引きながら廊下を駆けていた

春蘭「秋蘭! 早く行くぞ!」

秋蘭「姉者…そんなに急がなくても一刀は消えないぞ」

春蘭「いいから行くぞ! ふっふっふ、久しぶりに奴と戦えるのだ……今日こそ一刀に勝つのだ。そして奴は私の前にひれ伏し……。はーっはっはっは」

秋蘭(ひれ伏した一刀……)「ありだな」

姉妹はそれぞれ脳内で勝手な想像を膨らませながら中庭に向かった

 

 

数刻後

一刀「勢いのわりには情けないな……」

そう言う一刀の目の前には何も言わず地にひれ伏す春蘭の姿があった

一刀「秋蘭はやらないのか?」

秋蘭「いや、私は遠慮しとこう。一刀と一騎打ちで勝てるほどの武はないと理解しているからな」

一刀「そうか」

そう言うと一刀は『風牙』と『雷牙』を鞘におさめ

一刀「腹減ったな……」

秋蘭「ならば私が何か作ろう」

一刀「いいのか?」

秋蘭「作ってやりたいのだが?」

一刀「ご馳走になろう」

秋蘭と一緒に食堂へと向かった

 

 

その日の夜

春蘭「何故勝てんのだ!!」

春蘭は机を叩きながら叫ぶ

秋蘭「一刀の武が姉者の数段上にあるからだろうな」

秋蘭はお茶をすすりながら答える

春蘭「うむむ~。しかし、魏の中ではもうほとんどの者が私には……」

そこで春蘭は何か気がついたように手を合わせる

春蘭「そうだ! 魏にいないのなら他の国の者と手合わせをすればいい!」

そういうと春蘭は寝台に入り

春蘭「秋蘭! 早く寝るぞ!」

秋蘭「ふふふ。ああ、そうしよう」

秋蘭は楽しそうな春蘭を見て微笑みながら明かりを消した

 

それから数週間後

春蘭「一刀! 勝負しろ!」

『バカンッ! ガッシャーン!』

ドア「またこいつかーーーー!!」

春蘭は勢いよく一刀の扉の部屋を壊した

一刀「とりあえず後でお前が俺の部屋の扉を破壊したと華琳に伝えておこう。でだ、また手合わせをしに来たのか?」

春蘭「そうだ」

一刀「わかった。先に中庭に行っとけ」

春蘭「うむ」

春蘭は一人嬉しそうに中庭へと向かう

秋蘭「いつもすまんな一刀」

一刀「気にするな。それに春蘭もすこしは強くなっているようだしな」

秋蘭「正直今の姉者はどれくらい強いんだ?」

一刀「少なくとも、俺、関羽、呂布以外は勝つことが難しいだろうな。ちなみに関羽と呂布と春蘭の実力は五分だ」

秋蘭「そうか。一刀はそのさらに上なのだな」

一刀「そういうことだ。さてと、あまり待たせると春蘭が怒るからな」

そう言うと一刀は『風牙』と『雷牙』を腰に下げ、中庭へとむかう

秋蘭「やはり一刀は遠いのだな……」

そんな秋蘭の呟きが一刀に届く事は無かった

 

 

秋蘭がゆっくりと中庭に向かう。秋蘭が到着する頃には中庭の中央に一刀が立っており、その周りで春蘭、季衣、凪の三人がひれ伏していた

一刀「遅かったな秋蘭」

秋蘭「この三人が相手でも一刀には勝てないのか」

そう言いながら秋蘭は三人を見渡す

一刀「今はな……」

秋蘭「ところで一刀」

一刀「……どうした?」

秋蘭「腹は減らないか?」

そういわれた一刀は腹をさすり

一刀「また作って貰っても良いか?」

そう秋蘭に言った

秋蘭「もちろんだ」

そう秋蘭が答えると二人は食堂へと向かった

秋蘭(まぁ、姉者と一刀が手合わせをする度にこうして一刀と一緒に過ごせるのだから……ある意味では近づいているのか?)

そんなことを秋蘭は考えていた

 

桂花拠点

ある日、中庭の隅のほうで桂花はとてつもない達成感に包まれていた

桂花「ふふふ。ついに……ついに完成したわ!」

そういう桂花の目の前には何も無いように見えるが

桂花「自分の才能が恐ろしいわ。こんなに完璧な落とし穴を作るなんて…あとはあの馬鹿をここに呼び寄せて……ふっふっふ」

不気味な笑いを浮かべながら桂花は一刀を呼びに言った

一刀「珍しいな。桂花が俺に頼みごととわ」

桂花「仕方ないでしょ。あんたしかやれそうなやつがいないんだから」

そう言いながら桂花は落とし穴がある方へと一刀を誘導して

桂花「あそこの木の実が見える?」

そう言って桂花はとある一本の木を指差す

一刀「あれを取ればいいのか?」

桂花「分かってるじゃない。それじゃあ宜しく」

一刀「ああ」

そう言って一刀は木に向かって歩いていく。もちろんその進路には落とし穴があり

桂花(もらった!)

桂花は勝利を確信するが

一刀「……………」

何故か一刀は落とし穴の直前で止まると

『ニヤリッ』

一刀「桂花、ちょっといいか?」

一瞬不気味な笑みを浮かべて桂花を呼ぶ

桂花「……? なによ」

一刀「悪いがそこに立ってみてくれないか?」

そう言いながら一刀が指差したのは落とし穴の中央だったが

桂花「いいわよ」

桂花は躊躇い無く進んで、一刀の指定した所に立った

桂花「これでいいかしら?」

一刀「ああ、ありがとう」

そういう二人の顔には笑顔が浮いており

桂花(ふっふっふ。この落とし穴は一定以上の体重でしか作動しないのよ)

桂花がそんな事を考えていると

一刀「気付かないと思ったのか」

一刀は『計都』を取り出して桂花の足元を撃つ、すると落とし穴が作動して、綺麗に桂花は下へと落ちて

『ドッシーン!』

桂花「いったたたた」

見事にはまった

桂花「どうしてばれたのよ!」

一刀「そんなもんご自慢の頭脳で考えとけ」

そう言って一刀はその場を去っていった

その場に残された桂花は

桂花「むっきーー! いつか絶対落としてやるんだからーー!!」

そう叫んでいた

 

季衣・流琉拠点

季衣「………(ドキドキ)」

流琉「………(モグモグ)」

季衣「………(ドキドキ)」

流琉「………(モグモグ)」

その日、季衣と流琉は食堂に来ていた

季衣「どうかな?」

そう訊く季衣は不安そうな顔をしていた

流琉「うん。これなら兄様に出しても平気じゃないかな?」

そんな不安そうな季衣を見ながら流琉は笑顔で告げる

季衣「ほんと! やったー!」

流琉にそう言われた季衣は飛び跳ねながら喜んだ

季衣「それじゃあさっそく作って持っていかなきゃ!」

そういうと、季衣は残った料理を一気に食べきると、新しいのを作り始めた

流琉はそんな季衣に少しだけ手を貸してあげた

 

 

『コンコン』

季衣「にいちゃ~ん。入るよ~」

一刀「う~い」

季衣は一刀から返事が返ってきたことを確認すると部屋へと入る

一刀「どうしたんだ季衣?」

季衣「へへへ~♪ じゃじゃ~ん」

季衣は自分で効果音をつけながら一刀の前に料理をだした

季衣が作ったのは回鍋肉

一刀「これは季衣が作ったのか?」

季衣「うん! 流琉に教わったんだ!」

一刀「それで、上手くできたから俺に食べさせてくれるのか?」

季衣「うん!」

一刀「そっか。ありがとな」

そう言いながら一刀は季衣の頭を撫でる

季衣「えへへ~」

撫でられている季衣はとても幸せそうな笑顔を浮かべていた

一刀「それじゃあさっそくいただくかな」

そう言って一刀は季衣の作った回鍋肉を口に入れる

季衣「どうかな? おいしい?」

一刀「うん。おいしいな」

一刀にそういわれた季衣はより一層喜んだ

一刀「季衣も一緒に食べようぜ」

季衣「うん♪」

こうして、季衣と一刀は仲良く回鍋肉を食べた

それから数日

一刀「流琉はいるか?」

流琉「はい。どうかしましたか兄様?」

この日、一刀は流琉を訊ねていた

一刀「季衣に料理を教えたんだってな」

流琉「はい。どうでしたか?」

一刀「ああ。おいしかったよ。それでだ、季衣に料理を教えてくれた流琉にも何かお礼をしなきゃなと思ってな」

流琉「えっ!? そんなの別に気にしないでいいですよ!」

そう言う流琉だったが

一刀「いいからいいから。ほら」

一刀に手を引っ張られ厨房に食堂に連れて行かれた

一刀「そこで少し待ってろよ」

そういうと一刀は厨房へと消える

 

それから少しして

一刀「はい。どうぞ」

そう言いながら一刀は流琉の前に一皿の料理をだす

流琉「炒飯ですか?」

一刀「うむ。俺の一番とくいな料理だ」

そう言いながら一刀は流琉の正面に座ると

一刀「とりあえず食べてみ」

そう言った

流琉は炒飯を一口食べる……そして……

流琉「おいしい!」

そういいながらパクパクと炒飯をものすごい勢いで食べ、あっという間に皿は空になった

流琉「ごちそうさまでした」

一刀「お粗末さまでした」

そう言いながら一刀は皿を下げる

流琉は一刀の後に続いて厨房に入り、洗物の手伝いをしながら

流琉「よければ今の炒飯の作り方を教えてくれませんか?」

そう一刀に頼む

一刀「それはダメかな」

しかし、一刀は流琉の頼みを笑顔で断った

流琉「そんな……どうしてですか?」

一刀「これは俺が大切な仲間に食べさせるために独学で勉強したものだからさ。流琉もどうせなら自分特有の一品を作ったほうが、相手がおいしいって言ってくれた時の嬉しさが増すさ」

それきり一刀は何も言わなくなった

流琉もそれ以上特になにも言わずにいた

 

片付けも終わり、二人はそれぞれの部屋に戻ろうとしていた

流琉「兄様」

一刀「ん?」

流琉は急に立ち止まり一刀に声を掛ける。一刀もそれに反応して立ち止まる

流琉「いつか兄様に私特有の一品を食べてもらいますね♪」

そういう流琉の笑顔はとても輝いていた

一刀「楽しみにしてるよ」

そう言いながら一刀は自分の部屋へと戻っていく

 

 

それから流琉は自分の部屋に戻った。するとそこには季衣がいて

季衣「あっ! 流琉、出来れば明日も料理の練習付き合ってよ」

そういう季衣に流琉は

流琉「うん、いいよ。でも明日からは私も作るからね」

季衣「え? どうして流琉も作るの?」

流琉「私特有の一品を作るためかな?」

季衣「そうなんだ~。じゃあ明日は二人で作ろうね♪」

流琉「うん♪」

そういう二人はいつの日か一刀にたくさん褒めてもらえる日の事を想像していた

 

稟・風拠点

稟「うむむむ……」

一刀「稟、いいかげん諦めなよ。誰がどう見てもチェックメイトだから」

風「これでお兄さんの八連勝ですねー」

中庭の隅のほうにある休憩どころで、稟、風、一刀は一刀が真桜に作らせたチェスをやっていた

風「それにしてもお兄さんは強いですねー。稟ちゃんも風も桂花ちゃんすらこのチェスなるものではお兄さんに勝てませんからねー」

一刀「そりゃやり方を覚えたばっかの人に負けるようじゃあ情けなさすぎるだろ」

稟「もう一度! もう一度勝負です一刀殿!」

風「おやおや、稟ちゃんが珍しくむきになってますねー」

一刀「別に良いけど……」

 

数刻後

 

一刀「チェックメイト」

稟「うぅ……ぐずっ」

風「またもやお兄さんの勝ちですねー」

そう言われた稟の目尻には若干涙が浮いていた

稟「一刀殿。このチェスとやらには何かコツがあるのですか」

そう涙目で訊ねる稟に

一刀「いや。俺は特に何も考えずにやってるけど……」

そう答える一刀

風「ということは稟ちゃんは何も考えてない一刀さんにボッコボコに負けているわけですねー」

稟「はうあっ!」

そして容赦なく稟の傷心を抉る風

稟「もういいです………」

そう言って稟は背中から哀愁を漂わせながら去っていく

一刀「う~ん。どうしよう?」

そんな稟の後姿を見ながら一刀が呟くと

風「簡単ですよ」

一刀「ん?」

いつの間にか、風の声は一刀の背後から聞こえ

風「こうしてあげればいいのですよー」

そう言いながら風は一刀を後ろから抱きしめる

一刀「いや、稟にこんなことしたら鼻血だすだろ」

そう冷静に言い放つ一刀に

宝慧「おいおい兄ちゃん。その前に言う事があるんじゃねえのか?」

宝慧がそう言った

一刀「いい匂い?」

風「どうして疑問系なんですかー?」

一刀「ごめんなさい。とてもいい匂いです」

風「そうですかー。お兄さんもいい匂いですよ」

一刀「…………」

風「……………」

それから一刀は何も言わずに風に抱かれていたが

一刀「いつまで抱いてる気だ?」

風「おお! お兄さんがあまりにもいい匂いだったのでつい」

そんなことを言いながら風は一刀からはなれ

風「ささ、行ってくるのですよー」

一刀「はぁ……本当にやるのか?」

風「もちろんですよー。ちゃんと後で稟ちゃんに訊きますからねー」

そう言いながら風は一刀を見送った

 

この後、渡り廊下にて血の海に沈む幸せそうな稟が見つかった

後の稟曰く

稟「一刀殿が急に私に抱きつき……あの逞しい腕と手で私の……私の身体を弄り……そ、そして……んく……最後には華琳様ですらまだ触れていらっしゃらないあそこに手を伸ばし……ぷはーーー!!」

とのことであった

この証言に一刀は

一刀「抱きついたのは認めるがそれ以外はまったく知らない。きっと稟の脳内の俺はそこまでいってしまったのだろう」

と証言していた

 

真桜・沙和・凪拠点

凪「~~♪」

凪は機嫌よく中庭へと向かっていた

凪(今日は一刀様と一緒に警邏の日だ。つまり一刀様と二人っきりで街を回れるわけで……)

そんなことを考えながら凪はスキップでも始めそうなほど軽い足取りであった

しかし、世の中幸せそうな奴ほど不幸な目にあいやすいわけで

凪「真桜と沙和が風邪……ですか……」

一刀「ああ。だから今日は俺と凪とで班をわけて巡回な」

凪の幸せは崩れ去った

凪「うう……いいんだ……本来は仕事なんだから…うかれていた私が……」

一刀「おーい。凪さ~ん。なんでそんなに沈んじゃってるんですかー?」

凪はorzの体勢をとり一人ブルーな気持ちになり、それを見た一刀は何をすれば良いのかわからなかった

 

 

凪「はぁ~……」

凪は一人とぼとぼと街を巡回していた

凪「どうしてよりによってこの日にあの二人は風邪をひくんだ……」

そんなことを呟く凪の耳に

沙和「あー! これかわいいのー!」

真桜「あれは! 幻の等身大一刀人形! 伝説ではムッチムチの筋肉達磨が作り上げたと言われる気持ちの悪い作品がどうしてここに!」

沙和「あ~! あっちもかわいいの~!」

真桜「その精巧さは神をもおどろかすとまで言われている……ふっふっふ、これはウチの一回分の給金全てを投げ出してでも――」

『ポン』

沙和「んー?」

真桜「なんやー?」

いままで自分の好きなものに熱中していた二人は肩を叩かれたためにそっちの方を向く……そこには――

凪「………一回死ぬか?」

鬼神がいた

沙和「ななななな、凪ちゃん!」

真桜「お、落ち着きぃ、凪! きっと話せば…!」

凪「貴様らと話す舌など持たん! 死ねーーーー!」

沙和&真桜「「いーーやーーー!!」」

この日、街で原因不明の大爆発が起こった

しかし、街人たちは口々に

『楽進将軍だけは怒らせてはならない』

そう証言していたという

 

雪蓮・冥琳拠点

雪蓮「はぁ!」

一刀「せい!」

『ガキンッ!』

雪蓮の『南海覇王』が宙を舞い、地面に突き刺さる

雪蓮「あ~あ。また負けた」

そう言いながら雪蓮は『南海覇王』を地面から抜き、鞘に納める

一刀「どうする? もう一戦する?」

一刀はそう言いながら『双頭魔狼戟』を肩に担ぐ

雪蓮「今日はもう終わりにしとくわ。ありがとう」

雪蓮がそういうと一刀は「それじゃ」と言ってその場を去っていってしまう

雪蓮「やっぱり一刀は強いな~」

一刀の姿が見えなくなったのを確認した雪蓮は地べたに座りこむ。そこに……

冥琳「そう落ち込むな。陽蓮様ですら一刀には勝てないのだからな」

冥琳がやってきた

冥琳は手に持っている水を雪蓮に渡すと隣に座る

雪蓮「どうしたら一刀に近づけるのかな~?」

雪蓮は空を見上げながら冥琳に訊く

冥琳「さぁな。ただ、一瞬で強くなれる薬などは存在しないのだから、日々鍛錬を重ねるしかないだろうな」

そう言いながら冥琳も空を見上げる

雪蓮「どうしたら一刀を私だけのものにできるのかな~」

冥琳「出来るのならすでに私が実行しているさ」

雪蓮「だよね~」

雪蓮はクスクスと笑うと

雪蓮「なんか遠いな……」

空に手を伸ばす、しかしその手は何も掴めずにいる

冥琳「そうだな……遠いな……」

冥琳も同じように空に向けて手を伸ばす

二人はしばらく黙ったままでいると、急に雪蓮は立ち上がり

雪蓮「決めた! せめて一刀から手合わせで一本取れるようになるまでは一刀とは結婚しない!」

そう宣言した

冥琳「では私は先に結婚させてもらうとしようか」

冥琳はゆっくりと立ち上がると雪蓮の肩を叩きながらそう言う

雪蓮「え~! そこは合わせるべきじゃないの~!?」

雪蓮は頬を膨らませながら文句を言う

冥琳「冗談だ。私が一刀と結婚するときは雪蓮も一緒さ」

冥琳がそういうと雪蓮は笑顔で冥琳に抱きつく

雪蓮「だから冥琳のこと好きよ♪」

冥琳「私もさ、雪蓮」

そう言ったお互いの顔を見合った二人は青空の下、笑いあっていた

 

陽蓮・昴拠点

一刀「昴……ものすっごく歩きにくいんだが……」

そういう一刀の横にはぴったりと一刀にくっついて離れようとしない昴がいた

昴「何言っているのですか一刀様! 私と一刀様は一心同体! 本当に同体にはなれずとも、私はいつでも一刀様と繋がっていたいんですよ!」

昴はそこで一旦言葉を切ると

昴「本来なら今この場でも一刀様の×××を私の●●●に入れてほしいくらい――」

一刀「わー! わー!」

一刀は昴が放送禁止用語を連呼するので慌ててかき消そうとしたが

陽蓮「ほほう。一刀とそこの女はそんなに仲良しなのか……」

一番聞かれたくない人に聞かれてしまった

昴「やっと理解できたの? なら空気読んで消えて下さいますか?」

陽蓮「小娘が調子に乗るなよ……お前を今ここでこの世から消え去ってやろうか?」

昴「この間偶然勝てたからっておばさんが調子に乗らないで欲しいものですね」

陽蓮「さっきお前と一刀の中が良いとかいったけど俺はネコ耳つけて侍女姿の一刀と―――したことがあるんだぞ」

昴(ネコ耳……一刀様……)「……ブフゥッ! な、なかなかやるわね」

陽蓮「ちなみにまだその服は私の部屋に保存してある」

昴「貸して」

陽蓮「断る」

陽蓮と昴は互いに睨み合いながら殺気をガンガン撒き散らしていた

一刀「触らぬ神に祟りなし……」

一刀はそう呟きながらその場を後にしようとしたが

『ガシッ』

二人に襟を掴まれ

陽蓮「こうなったら」

昴「一刀様に訊くしかありませんね」

一刀「いやっ、やめて! お願いだから二人とも落ち着いて――」

『ズルズル』

一刀「きゃーーーーー!!」

次の日

昴「あんた、なかなかやるわね」

『ツヤツヤ』

陽蓮「お前もな」

『ツヤツヤ』

一刀「…あ……あ……」

『ゲッソリ』

昴「それで一刀様! どちらが気持ちよかったですか?」

陽蓮「もちろんおれだよな?」

二人はゲッソリと痩せ細った一刀に詰め寄るが

一刀「…あう……あ……」

精魂尽き果てた一刀はまともに答える事ができず

昴「う~ん? 両方満足できなかったということですか?」

陽蓮「仕方ない」

『ズルズル ギィー バタン!』

一刀「アーーーーー!!」

 

この日、一刀は質問に答える大切さを学んだ

 

 


 
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