No.111343

真・恋姫†無双 十√

kazさん

初投稿です、小説とか今まで書いた事ないですが、よろしくです

華琳様のいない魏√のようなものです

2009-12-09 20:24:23 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:95336   閲覧ユーザー数:60411

 

プロローグ

 

 二頭の馬が闇夜の中を駆ける

 

 

「急げ、秋蘭!」

 

「ははっ、わかったよ、姉者」

 

「凄いぞ、お星さんが落ちたんだ、お星さんだぞ!きっとキラキラ光ったきれいなお星さんだーーーー!」

 

「(ふふっ、よくわかんないよ姉者、でもお星さまを欲しがるそんな姉者もかわいいなぁ)」

 

 

 彼女達は賊を討伐する為に草原に陣を張っていた、その時兵士が空に輝く星を見たのだ、そしてその星が流れ、落ちた、彼女達が向かっているのは流星の落ちた場所。

 

「このあたりのはずだが・・ん、何か穴のようなものが、そこかっ!そこにお星さまがいるのかっ!」

 

 物凄い勢いでかけていく春蘭。

 

「姉者、待ってくれ!何か危険なものかもしれない、気をつけて・・」

 

 それでも春蘭は走りそこにたどり着く、そして、立ち止まる。

 

「?姉者?どうした?」

 

「・・人が・・いる」

 

「人?」

 

 覗き込むとそこには確かに人がいた、年は16くらい、見慣れぬ服に身を包んだその青年は星が落ちた後のような穴の中心に横たわっていた。

 

 今の世の中、人が行き倒れてたりするのは珍しくない、しかし秋蘭はその青年の服に何かを感じ取る、今まで見た事のないような白く輝く服、こんなものは今まで見た事はない、

 

 この青年は一体・・・

 

「ぬああーーーーーー、お星さまはどこだ!どこだ!キラキラのお星さまはーーーーー!

 はっ!まさかこいつがお星さまを!、おい貴様!お星さまはどこだ!お星さまーーーーー!

 隠すとタダではすまさんぞーーー!」

 

 そう言って春蘭はその横たわっている少年の服の襟首を掴み振り回す

 青年は「うう・・」といううめき声を発するだけ、どうやらまだ意識を失っているようだ

 

「ははは、姉者あんまり振り回すと中身が出てしまうぞ、かからないようにな」

 

 何気に恐ろしい事をさらっと言う秋蘭

 

「そういえば・・」

 

「ん?どうした秋蘭?」

 

 振り回すのをやめた春蘭はその青年を地面に無造作に落とし秋蘭に向きなおす。

 

「うむ、先日町で管輅という占い師がこの戦乱を治める為に天より遣わされる方が現れると占ったという噂を聞いてな、

もしやこの者がそれではないかと」

 

「何!じゃ、じゃあ・・お星さまは!キラキラ光るお星さまは!」

 

 涙ぐみ必死で目で訴える春蘭。

 

「見た所それらしきものがないのを見ると・・ないんじゃないのかな?」

 

「そ!・・そんな・・・」

 

 がっくり膝を落とし落ち込む春蘭、そんな姿をみて秋蘭は

 (ああ、落ち込む姉者も可愛いよ)と見とれていたり。

 

「さて、そいつだが、とりあえず町につれて帰るか」

 

「ぬ?秋蘭、こんなどこのどいつだかわからん者を町に連れかえるというのか?」

 

「ああ、もしそいつが本当に天より遣わされた者ならば、きっと我らの力となるだろう、それに・・」

 

「それに?」

 

「他のお星さまの事を知っているかもしれんぞ」

 

「おお!よし、こいつを町に連行するぞ!秋蘭!」

 

 そう言うとその青年を馬に乗せる春蘭

 青年はすでにボロ雑巾のようになっているが

 

「ふふっ待ってくれ姉者」

 

 

 

 

「・・・・ここは・・どこだ?」

 

 目を開けるとそこは知らない場所、何だかテントのような所。

 確か、家に帰る途中で、何か光って・・ああ、思い出せない、体を起こそうとした時。

 

「いだだだだだーーーー」

 

 何故か体中が痛い、何だ、俺は事故にでもあったのか!?

 思い出せない、考えろ俺!マイ脳内コンピュータが激しく動く!色々な状況を思い浮かべ思い浮 かんだ結論は!

 

「帰り道で暴漢に襲われてる少女を助けると実はその少女は金持ち(ツンデレ気味)

 お、お礼にわ、私の執事にしてあげるわ、勘違いしないでよね!べ、別にあんたの事気に入った 訳じゃないんだから! と言う少女がさらに魔法を使って俺を眠らせて屋敷につれてきた!  だ!」

 ・・・

 

「頭を・・強く打ったんだな・・・」

 

 涙を流し、打ちひしがれてると、入り口の方から足音が聞こえ、二人の女性が入ってきた。

 一人は黒髪ロングのオデコの凛とした感じ、もう一人は蒼い髪の短髪で知的な感じだ、

 二人とも美しい、それだけでも見とれるのに彼女たちの着てるチャイナ服がまたいい!ああ、俺 チャイナ属性あったのかと思っていると黒髪ロングの女性が近づいてくる

 

 そして黒髪ロングの女性が俺をカッと睨み、この部屋が吹き飛ぶかのような大声で発し。

 

「きさまーーー!お星さまはどこだーーーーーー!」

 

 と、俺の胸倉をつかんでブンブン振り回す。

 

「ちょおおおおおおおおおお!!!」

 

 いきなりな事に訳がわからない俺、何これ、何この状況?

 

 

「姉者、急ぐ気もわかるがあまり振り回すと死んでしまうぞ」

「む、す、すまん、ついな」

 

 蒼い短髪の女性が黒髪のの方を諌める、ああ、こっちの人はなんか常識人みたいだ。

 黒髪のの事を姉者と呼んでいたことから妹なのかな?と考えてると、その人が近寄ってきて。

 

「さて、お前の事を聞かしてもらおうか、もし怪しいとわかったら即刻頸を刎ねるから正直に答えるんだぞ」

 

 

 ・・・どうやら俺はチャイナマフィアに拉致られたようだ。

 

 死にたくないので俺は正直に自分の素性を話した、だってこの人目がマジなんだもん。

 

「名前は北郷一刀、聖フランチェスカ学院に通う高校生、部活は剣道部、恋人なし、好きなものは松屋の豚丼etc」

 

 

 ・・・・

 

 

 聞いていた二人の女性は頭に「?」が見えるほど不可解な顔をしていた。

 そして黒髪ロングな方が再び俺に近寄ってきて。

 

「わけわからんわーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 と俺の寝てるベッド?をひっくり返した。

 

「お前の方がわけわからんわーーーーーーーー!!!!」

 

 頭と体をしこたま地面にぶつけた俺は心からの叫びを放った。

 

「何だとお!じゃあお星さまをだせ!今すぐにだ!」

 

「お星さまって何だーーーーーー!!!」

 

 そんなやりとりをやっていると蒼い髪の女性がゆらりと動き。

 

「姉者落ち着け、こいつが何を言ってるのかわからないがどうやら嘘は言ってないようだ」

 

「な、何ぃ! じゃ、じゃあお星さまは?」

 

「多分持ってないんじゃないかな?」

 

 その一言を聞いた黒髪ロングの方は激しく落ち込んだ、そして涙を流して号泣、よっぽど欲しかったんだな、お星さま、そして蒼い髪の女性が俺の前に来て、質問をなげかける。

 

「お前は・・天より遣わされた御遣いなのか?」

 

「は?、御遣い?ソレって何?」

 

 疑問系の俺にその蒼い髪の女性は管輅という占い師が戦乱を収める為に天から御遣いを送る

 という話を始めた。

 黒髪ロングの方は泣きすぎて気分が悪くなっている。

 まぁそっちはほっといて俺はソレを聞いて違和感を感じた、戦乱?

 

「あ、あの、つかぬ事をお伺いしますが・・」

 

「ん?何だ?」

 

「ここは、どこでしょうか?」

 

 もしかして気絶してる間にどっかの外人部隊の入隊届けにサインでもしたんじゃないだろうかと 不安になった俺は蒼い髪の女性に聞いてみる、すると

 

「ここは陳留だが?」

 

 全然知らない地名が出てきた、やはり俺は外人部隊に入隊してしまったのか!

 ど、どうしたらいいんだ!!

 かずとはこんらんした!なんかおなかがきりきりてきた!

 

 その様子をみた蒼い髪の女性はふうっとため息を吐いたその時、外から駆ける様な足音、そして

 なんかゲームとかでみるような兵士のような人が現れ

 

「夏候惇様、夏候淵様、物見より賊を発見したとの報告!数はおよそ200!」

 

 その言葉を聴いた二人はキッと顔を変え

 

「わかった、出撃の準備をしろ」

 

 と命令する、それを聞いた兵士は「はっ!」と敬礼すると駆け足で去っていく

 そして二人は続くように外に向かう

 

「北郷、と言ったか、話はまた帰って来たら聞かせてもらうぞ!」

 

 そう言って外に出ていく、えっと、とりあえず勝手に出るなって事ですかね、出たら殺っちゃう よ、って事ですかね。

 しかし、さっきのやり取りは映画とかドラマみたいだったなぁ、ちょっとかっこいいかも

 ・・・ん?そういやさっき二人の名前に聞き覚えが・・夏候惇、夏候淵・・・

 

 

「夏候惇に夏候淵だってぇーーーー!!??」

 

 俺はその名前を知っている、後漢の末期の物語の三国志で、魏の曹操っていう人物の部下にいた 勇猛な武将!読んでて良かった横山三国志!

 そして俺は自分でも気付かぬうちに駆け出して外に向かっていた、そして、外に出た時、そこに 映った光景に絶句した

 

 映画とかで見たような甲冑に身を包み、整然と並んだ兵士達、

 そして、その周りの風景は・・ビルも家もなく、見えるのはただ草原と山のみ

 

「ここは・・?」

 

 どう見ても俺がいた日本じゃない、じゃあここはどこだ?

 ボーゼンと立ち尽くす俺、そして再びマイ脳内コンピュータを再起動させ考え付いた答え

 

「俺、もしかしてどこか異次元の世界に来ちゃった、とか?」

 

 

 

 

 あれから一週間ほど、俺は夏候姉妹に連れてこられた街で曹嵩さんという人の所でお世話になってたりする。

 

 あの後、俺は二人に連れられて街にやってきた。

 そこはどう見ても現代って感じのする街ではなかった、車や自転車もなければ電柱もない

 外灯もなければ電光掲示板のようなものもない。

 夏候淵さんに聞くと、ここは国でもそれなりの町だという。

 

 その後、俺はこの国の事を詳しく聞いた、やはりここは俺が元々住んでいた世界とは違うようだ

 そして、驚く事に、ここはやはり横山三国志で読んだような三国志の時代のようなのだ。

 でも夏候惇、夏候淵が女性という時点で何か色々と違うような気もする性別とかそーゆーので

 

 さらに「真名」というのがある事も知る、何でもとても大切なもので、相手の同意を得ず不用意にそれを言うと殺されても文句は言えないそうだ、実は夏候惇が夏候淵の事を「秋蘭」と呼んでいたので俺もついそれを言ってしまったがために・・・ぼっこぼこにされた

 

 知らなかったんです!、ほんとです!、マジです!と心からの謝罪で一命は取り留めたが目は

 「次に言ったらち○こ引きちぎる」

 という無言の圧力のようなものを感じたので俺は気をつけている。

 

「はぁーーー、今更だけど、何でこんな事になっちまったんだろうなぁー」

 

 そんな風に愚痴ってると

 

「どうした?何か困った事でもあったのかの?」

 

 と、優しく声をかけてくれる初老の老人、この人が曹嵩さん、この街で一番偉い人だ。

 夏候惇、夏候淵の叔父さんでもあってとてもいい人、ほんとに。

 二人に連れられてきた胡散臭い俺を怪しまずすんなり受け入れてくれてくれた。

 それどころか何もわからない俺に親切に色々教えてくれるのだ。

 なんていうか、元の世界のじーちゃんみたいな感じの人だった。

 

「い、いえ、何でもありません、ちょっと疲れたので気分転換でもしようかなって思ってた所で す」

 

「そうか、なら茶でもどうじゃ?」

 

 ああ、ほんと優しいなこの人

 誘いを受け、二人でお茶にする

 

「文字の勉学はどんなもんかな?

 

「は、はぁ、なんとかかんとか、でもまだまだです、似て非なるもの、って感じで」

 

 俺は、お世話になる代わりに何かお手伝いさせてもらえないかと頼んだんだが、いかんせん現代高校生、たいした力もあるわけでなく、農耕や建築なんかの知識もない、さらに文字も違う、会話はできるのに文字が書けない、それを聞いた夏候惇に思いっきり馬鹿にされる。

 あいつにだけは馬鹿にされたくねぇぇーー!

 

 そんな風に打ちひしがれてる所を曹嵩さんは優しく

 

 『なら、わしが教えてやろう』

 

 そう言ってくれたのだ、ほんと優しい、どこかの姉妹とは大違いだ!

 それからというもの、仕事の合間に俺に文字を教えてくれる曹嵩さん、おかげで俺は多少文字の読み書きが出来るようになった、でもまだまだなのは確かだけど。

 

「まぁ、ゆるりとやればよい」

 

 そんな事を知ってか知らずか優しく言ってくれる曹嵩さん、俺はこの人の力になりたい、そう思う様になっていた。

 

 ある日俺はどうしてそこまでしくれるんですか?と聞いてみた事がある、その時曹嵩さんは少し悲しそうな顔をして。

 

  『お主は、死んだワシの息子に似てる気がしてな』

 

 曹嵩さんの息子さんは小さい時に亡くなられていた、そして俺はその息子さんの名前を聞いて愕然とした。

 

 

  曹操孟徳

 

 

 曹嵩さんの息子さんはあの三国志の英雄の一人の曹操だったのだ。

 そう、ここは曹操のいない三国志の世界、どうりで色々違うわけだ、しかし、これ、この後どうなるんだろう・・

 

 そういえば、俺は曹嵩さんに俺の知っている「三国志」を話してみた、最初は楽しく笑いながら聞いていたが話が終わる頃には険しい顔になって、俺に言った。

 

 『一刀よ、その話はもう誰にもするのではないぞ』と

 

 俺が何故か聞くと

 

『一刀のその物語は、これから起こる事を暗示しているのかもしれぬ、それはお主の道標になるかもしれぬが 逆にそれがお主の身を危険にさらすかもしれぬ、 それを聞いたある者はその通りに行動するかも知れね、だがある者はそれに逆らった行動をするかもしれぬ、それによって本来あるべき道が消え、別の道が現れるかもしれん、そして、それによって死なずに良かった者が死ぬ事になるかもしれぬ、あくまでワシの憶測じゃが、心の隅にでも覚えておいてくれ』

 

 その真剣な言葉に俺は息を呑んだ、確かに、もし三国志の物語のように動く未来を知ってる俺の事を誰かが知ればそれを利用しようとする者がいるかもしれない、そしてそれによって恐ろしい事が起こるかもしれないと、俺は曹嵩さんの言葉にうなずき、二度と誰かに話す事はしないと決めた。

 

 

「おお、天の御遣い様、こんにちは」

 

「御遣い様、いいものがあるんで買ってくださいな」

 

「あ、御使い様だー」

 

 この街に来て二週間ほどにもなると、俺は街の人とも親しくなるようになっていた。

 最初は天の御遣いなどと胡散臭いものを信じる者は少なかったが、夏候姉妹や曹嵩さんと親しく

して街を歩いてる姿などを見て、少なくとも敵ではないと判断してくれたんじゃないかと思う。

 

 それからは俺から積極的に話をするようになったりして、いつの間にやら仲良くなっていた。

 ただ、たまに夏候惇にしばかれたりしてる姿を見られて俺の事を憐れみのような目で見られる事 もあったが。

 

「おっちゃん、これちょーだい、後、御遣いってのはやめてっていったじゃん、なんか恥ずかしいんだそれ」

 

「なぁに言ってんだ、こっちはもうそれで覚えてんだから今更面倒臭ぇよ」

 

 天の御遣い、そんな言葉を聴くたびに俺は欝になる、だって・・なんか色々期待させられるんだから、どうも俺は凄い力を持ってるとか思われてるかもしれない

 

 「御遣い様、なんとか雨を降らせてはもらえませんか?」

 「御遣い様、今年は豊作にしてくだせぇ」

 「御遣い様ー、私の胸をもう少し大きくしてー」

 「御遣い様、私の足を舐めなさい」

 

 なんかそんな事を言われたり、その度に無理だと言うと「ちっ!」と舌打ちされるのだ

 もうね、ほんと簡便してほしいんです、精神的にももうね・・

 

  それでも・・

 

「にいちゃん、遊んでくれよー」

 

  わーーい

 

 一人きりじゃないって事、誰かと話ができるという事が俺には嬉しかった。

 いきなりこんな変な世界に一人きり、何をどうしていけばいいのかわかんない。

 

 ならせめて、この世界で出来る事をやろう、探そうと。

 

「よっしゃ、今日は鬼ごっこやるぞ、ガキ共ーーー!!」

 

  わーーい

 

 

 

 

 月が見え始めたぐらいの頃、草原にて

 

 

 俺は、夏候姉妹と共に賊の討伐に出ていた。

 

「いってぇよぉ、いってぇよぉ・・」

 

「情けない奴め!少し馬で走っただけだろうが!

 

「そういってもな、俺は今まで馬なんか乗ったことないんだよ!しかも何度も落馬するわで、

 もういや!私貴方みたいにケツが石みたいに硬くないんだから!」

 

「ほんごおおおおおおお!!!!」

 

 そんな感じのやりとりをしていると夏候淵が偵察から帰って来る。

 

「ははは、北郷と姉者、二人ともすっかり仲良くなったもんだな」

 

「「仲良くない!!」」

 

 何か声がハモる俺たち、そんな俺たちを見て笑う周りの兵士達

 

「そ、そんな事より賊はどうした?報告ではこの辺を根城にしてるという事だったろ!」

 

 なんか少し照れてる夏候惇、それを見てうっとりしてる夏候淵、この二人ガチなんだろうかな、とか思ったり。

 

「うむ、それがな、誰もいなかったんだ」

 

「誰もいない?」

 

 その返事に夏候惇と俺は首をかしげる

 

「確かにここにいた形跡はあるんだが、どうやら入れ違いになった感じなんだ、どこに行ったの か・・」

 

「うぬう、せっかく賊を一網打尽にできるとおもっていたのに!」

 

 悔しがる夏候惇、この人はほんと武闘派だよなぁ

 

「じゃあ、もうここには用はないんだよな、とっとと帰ろうぜ」

 

 俺の言葉に夏候淵が答える

 

「そうだな、あまり街を留守にするわけにもいかな・・ん?」

 

 みると雨が降ってくる、それも結構強い雨だ、兵士達はすぐにテントのようなものの設営を始め

る、結局俺たちは雨がやむまでここで待つ事になった。

 

「・・雨、やまねぇなぁ」

 

 

 外をみながらつぶやく俺、正直来るんじゃなかったと思っている。

 本当なら今日曹嵩さまに俺の時代のゲームをやる予定だった、しかし突然夏候惇が入ってきて

 

『ほんごおおおおお!賊の成敗に貴様もついてこいいいい!!!』

 

 といって連れて来られたのだ、ほんとうにはた迷惑この上ない。

 はやく、曹嵩さまに将棋を教えてあげたい、という想い、ああ、なんかほんとじーちゃんみたいだなぁ

 

 そんな事をほのぼの考えていると、外からものものしい音が聞こえてきて夏候淵が入ってくる

 

「北郷!直ぐ支度をしろ!街に急ぐぞ!」

 

 その声は今まで聞いた事のないような必死な声

 

「な、何があったんだ?」

 

「賊が、街を襲うらしい!」

 

「!?」

 

 話によると偵察してた兵士が賊の一人を捕まえたらしく、そいつを詰問した所、ここにいた賊が曹嵩さんの街を襲撃する為、昨日ここを出発したというのだ

 

「すぐ出発するぞ、荷物は置いていってもいい!早く支度しろ!」

 

 せかす夏候淵、俺は、何か嫌な予感がした、とても、とても嫌な予感が・・

 

 

 雨はやみ、濡れた大地を駆ける騎馬群

 

 馬に不慣れな俺は別の兵士に乗せてもらう、転げ落ちて遅れるよりはマシだ。

 そして、強行軍の如く突っ走り、街が見える所まで来た時、そこで見た光景は・・

 

 あちこちから火とがガ立ち上り、悲鳴と怒号が聞こえる曹嵩さんの街。

 

「な、なんだよ、これ・・曹嵩さんは・・」

 

「くっ!急ぐぞ!」

 

 夏候惇の声で兵士達が続く、街に入ると残った警備兵と賊が戦っている、

 燃えさかる民家,血を出して倒れている街の人達、昨日まで、平和だった街の姿はそこにはなかった。

 

「おのれええええええ!!!!」

 

 夏候惇が賊に切りかかる、他の兵士達も賊と戦いを始める、でも俺は動けなかった、この光景をみて足がすくんで動けなかった、怖い、逃げ出したい・・そんな思いを。

 

「北郷!何をしている、お前は私と共に曹嵩さまを助けにいくぞ!」

 

 夏候淵の声にはっ!とする俺、そ、そうだ曹嵩さん、曹嵩さんの所に行かないと!

 俺はようやく走り出す、周りは殺し合いの最中、俺は夏候淵の切り開いた道をついていく、

 気持ちが悪い・・吐きそうだ・・・

 

 あちこちで殺戮と略奪が起こっている、俺は今まで忘れていた、ここは俺のいた平和な世界じゃない、人が殺しあう世界なのだと・・

 

 俺は初めてこの時代に来た事を後悔した。

 そうこうしてると何人かの兵士と賊が入り乱れて戦ってる場所に出くわした、そしてそこに。

 

「曹嵩さま!」

 

 夏候淵の声にはっ!とする俺、見た所には剣を持って戦い兵士を指揮をしている曹嵩さんの姿

 よかった、無事だった!

 

「おお、秋蘭、一刀、無事であったか!」

 

 そうにこやかに微笑んでくれた曹嵩さん、だが、その刹那

 

 

 ドッ!

 

 

 

 その瞬間、俺は息が止まるような感覚に陥った。

 

 曹嵩さまの後ろには槍を持った賊、そして、その槍は曹嵩さまの胸を後ろから貫いていた。

 

  「ごはっ!」

 

 血を吐いて倒れる曹嵩さん

 

「曹嵩さまああああああ!!!」

 

 駆け寄る俺と秋蘭

 

「ぬああああ!」ドシュッ!

 

 夏候淵の弓にに貫かれ、倒れていく賊達

 

「曹嵩さん!、曹嵩さん!」

 

 必死で声をかける俺に曹嵩さんは苦しそうに俺の頬に触れる、

 夏候淵も曹嵩さんにかけよる、そして先ほどまで戦っていた夏候惇も気付いて走って曹嵩さんの所にやってくる

 

「い、医者!医者を!早く、誰か!治療を!!」

 

 必死で叫ぶ俺をひっぱる弱弱しい手。

 

「よい、もう、ワシは助からぬ」

 

「何言ってんですか!大丈夫です、手当てすれば大丈夫です!」

 

 必死で叫ぶ俺を制し、夏候惇、夏候淵に目をむける曹嵩。

 

「・・秋蘭・・春蘭・・」

 

「「・・はい」」

 

「お前たちには苦労をかけた・・たいした事をしてやれんで・・・すまなかったな・・」

 

「「曹嵩様!」」

 

 涙を浮かべ曹嵩の手を握る二人

 

「な、何やってんだよ!早く医者を、手当てを!」

 

「北郷!」

 

 夏候淵の一喝に言葉が出なくなる俺、そして、曹嵩さんはそんな俺の手を握り夏候姉妹の手に乗せる。

 

「春蘭、秋蘭・・一刀の事を頼めるか・・・」

 

 二人は静かにうなずく、それは二人に託した遺言のようにも思えた。

 

「曹嵩さん!」

 

「一刀よ・・、ほんに・・・息子に・・」

 

 その次の瞬間、手から力が抜ける。

 

 

 時間が止まったような錯覚。

 

「何で、こんな・・こんな事に・・」

 

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

  どかああ!

 悲鳴と怒号が聞こえる

 

 静かに、そして震えるように・・

 

「貴様らあああ!」

 

 夏候惇が叫ぶ、そして夏候淵も今までみせた事のない怒りをみせる。

 

「「殺す!!!!!」」

 

 戦いを始める夏候惇と夏候淵、それは一方的な殺戮、誰をも寄せ付けない怒り。

 

 そして、俺はまだ曹嵩さんの手を握って動けなかった、何で、こんな事に・・・

 その時、曹嵩さんの声が聞こえたような気がした、俺は曹嵩さんを見る、しかしそれはもう二度と動く事のない。

 ・・・・・しかし、俺は確かにそれを聞いた気がした。

 

「そうですね・・わかりました、二人に、伝えます・・」

 

「うわああああああああ!!!!」

 

 賊を片っ端から殺す夏候惇と夏候淵、その姿に恐れをなした賊達は逃げはじめる

 そして賊を追おうとしたその二人に。

 

「夏候惇、夏候淵!止まるんだ!」

 

 一瞬止まり、その声の方を見る二人。

 

「二人とも、今は街の人達の避難と救助、火を消す事を先にやるんだ!」

 

 その言葉に夏候惇が怒りを込めて。

 

「北郷!貴様、奴らが曹嵩様を殺したのだぞ!このままでは逃げられ・・・」

 

「曹嵩さんならきっとそうする!街を、街の人達を・・守る事を!」

 

 その言葉に二人は動けなくなる、二人にはその言葉が曹嵩から発せられたように聞こえたから だ。

 

「街の人達を・・助けるんだ!」

 

 一刀の振り絞るような声に

 

「「わかった・・」」

 

 二人は駆け出す、兵士達にまず街の住人を助け、民家の火を消すように指示を出す。

 その命令に動く兵士達、そして俺は、曹嵩の亡骸を静かに地面に置き

 

「後で、戻ってきます」

 

 

 

 

 住民の救出を優先した後、残った賊の討伐を行った、賊はそのほとんどを討ち取られ

 こうして悪夢の一夜は終わった。

 

カーン、カーン

 

 修復の進む街、傷だらけの街の人達。

 その光景をみながら秋蘭は想う。

 

(もし、あの時怒りにとらわれ、賊を追撃していたら、被害はもっと酷かったろう)・・と。

 

 一刀のあの一言『街の人達を助けるんだ!』 その言葉が忘れられない。

 

「秋蘭」

 

 気付くとそこには春蘭がいた

 

「話があるんだが」

 

 

 一刀はずっとある一点をみつめている

 そこは曹嵩の墓

 

   ・・・・・

 もうどのくらいの時間がたったのかわからない。

 しかし一刀は動かなかった、動けなかった。

 

「北郷、やはりここにいたか」

 

 夏候惇と夏候淵がこちらに向かってくる。

 

 そして沈黙、しばらくしてその沈黙を破ったのは一刀だった。

 

「・・・俺、これからどうすればいいんだろう」

 

「お前は、どうしたいんだ?」

 

 尋ねる夏候淵に一刀は。

 

「わからない、俺は力もなければ頭も悪い、誰かの為に何かをできるなんて思ってない、で   も・・」

 

「でも?」

 

 一刀は曹嵩の墓を再び見て。

 

「二度と、こんな想いはしたくない、二度とこんな想いをさせたくない、誰にも!

 でも、何をしたらいいかわからないんだ、どうしたらいいのかわからないんだよ!」

 

 肩を震わせ精一杯今思っている言葉を伝える

 

「春蘭だ」

 

「!?」

 

「貴様に我が真名を預ける」

 

 一刀は驚く、真名を預けるというのがどういう意味か知っているからだ、言葉を発しようとした その時。

 

「秋蘭だ、私もお前に真名を預ける」

 

「ま、待ってくれ、お、俺はそんなたいした奴じゃないし・・そんなの・・」

 

「「北郷!」」

 

 二人はまっすぐ俺を見つめてくる、その目は何か覚悟を決めたような目だ。

 

「私たちは、お前を支える事を約束しよう、お前が望む、お前が目指す目的の為に力を貸そう

 それが曹嵩さまの意思であり、我らの意思でもある」

 

「・・・・・」

 

 俺は答えられなかった、俺に何が出来る?何をやれる?

 

 皆が何を望む・・

 

 ・・・そうだった、皆が望むのは一つしかない・・

 

 きっと・・

 

「春蘭、秋蘭」

 

「「何だ」」

 

「俺は・・・・」

 

 続けた言葉に、春蘭と秋蘭はうなずく

 

 

 そして、新たな外史が始まる

 

小説とかを読んでるうちについ書きたくなってしまって書いちゃったんですが

色々変な部分があってお見苦しいです。

 

もっと色々勉強しなきゃなぁと思う次第です。

 

 

 
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