「女王！反乱です！！
…ジヴァ族の、ガイゼルゴーンが、戦象部隊を率いて蜂起しました！」

シェロゲン蛮王国の女王″ファルナ″の元に届いた、突然の報。

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「反乱？」

「…はい！
ジヴァ族の族長たるガイゼルゴーンは、多数の戦象部隊を率いて、ここ王の都に向かっているとのこと…！
ジヴァ族の他、″戦槍″族も、反乱に加わっているようです！」

シェロゲン蛮王国は、多数の部族が「王」の下に統治されてるとは言え。多部族国家の弊害として、えてして諸部族による″反乱″が起きる。
特に「国王」の代が代わる頃に、蜂起が起きやすい。

「…ファルナ様は最近″王″になったばかり。
その権力基盤が固まっていない時節を見計らい…ガイゼルゴーンは反乱を起こしたのでしょう…」

「…ならば早急に、鎮圧せねばなりません。
宰相シズナに命じて、″百人隊″を動員させなさい。
…私も、反乱鎮圧に赴きます」

ファルナは、配下にそう命じると。
自らも、反乱鎮圧のために、戦地に赴くのだった。
″戦闘″を至上とするシェロゲンの民族は、たとえ反乱という方法であっても、王をも凌ぐ「強さ」を示すなら、その王位の簒奪も暗黙的に許されてきた歴史がある。
…つまり同国において「最強」の位に当たる「王」の座を狙うなど…
まさに王への″挑戦″以外の何者でもない。
これを鎮めるのも、「王」の試練というやつである。

〜〜〜〜〜〜


「都を目指せ！″王″を討ち、我がジヴァ族がこの国の覇権を握るのだ！！」

ガイゼルゴーン 率いる、ジヴァ族の戦象部隊が、平野を走破する。その戦象の数は、数百を優に超えていた。

「駄目だ！逃げろぉ！！」

反乱軍は、王都を目指し西進。
道中立ち塞がってきた王国軍の兵士達を、縦横無尽に圧倒するのだった。
巨大な戦象による勢いは凄まじく。王国軍兵士はなす術もない状態。

「…弓兵隊！構えろ！！」

王都に迫る反乱軍を止めようと、戦象部隊の進行方向の先には…
4000名ものシェロゲンの弓兵部隊が、待ち伏せていた。
反乱軍の戦象部隊は、その部隊の特性上。
山岳部の悪路を通ることはないだろうと、読んでいたのだ…

…さすがの象部隊も、弓兵による一斉射撃を受けたら、ひとたまりもない。

「…突っ込めぇ！！奴らを蹴散らせぇ！！」

しかしガイゼルゴーンは、自らも象を駆り…戦象部隊を指揮、突撃する。

「馬鹿め…！無策に突っ込んで来るぞ！
愚かな反乱者″ジヴァ族″に、矢の雨をくれてやれ！！」

弓兵隊が弓を構えた、その時だった。

彼らの左翼側に位置する山の方向から…
伏兵が現れたのだ。

「馬鹿な！伏兵だと！？」

その数、実に1万を超える「戦槍」族の戦士達…

弓兵部隊は、前方向から向かってくるジヴァ族の「戦象」軍団に気を取られ…
まさか側面の山の方から、反乱に加担した別部族が潜んでいるなど、想定していなかったのだ。

「王の軍勢を潰せ！！

戦槍族は、槍の扱いに長けた部族。
山の中から現れた戦槍族の戦士は、実に1万を超えていた。

「槍を放て！！」

戦槍族の先手攻撃。
彼らの放った「投げ槍」が、国王軍の弓兵部隊を襲う。
…雨の如く降り注ぐ、無数の「槍」が、弓兵達を貫く。

「くそ…！立て直せ！！
このままでは隊が壊滅する…！」

側面からの奇襲によって、混乱に陥る弓部隊。
…しかし、そうしている間にも。
前方からは、ジヴァ族の戦象軍団が突撃して来る。

「うわあああ！！！」

逃げることすらままならず…戦象軍団の、突撃攻撃に巻き込まれる国王軍。象の巨体に体当たりされ、踏み潰され…
弓兵部隊は無惨にも潰走した。

戦槍族の奇襲攻撃と併せた、ジヴァ族戦象軍団の突攻撃は、王国軍に大打撃を与えた。



「″ヴァルナ族″の弓部隊が敗走！反乱軍に、カラヤ平野を突破されたようです！」

反乱軍鎮圧に赴く、女王ファルナと、王国の精鋭部隊″百人隊″…

「…ガイゼルゴーンの目的は、″王″の首でしょう。私が直接戦って、″力″を示します。
さすれば反乱軍も、収まるでしょう」

「…女王。決して甘い顔を見せてはいけません。反乱の芽は、徹底的に摘むべきです…」

ファルナ女王に同行する、″宰相″シズナ。
彼女は百人隊の隊長も兼任する。

反乱軍を止めるため、女王たちは戦場へと赴く…


〈続く〉