No.1100166

【サイバ】アクアプラネット物語 ジャンピーマリン~謎の貨物船沈没事件(後編)【交流】

古淵工機さん

2022-08-15 09:39:12 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:488   閲覧ユーザー数:484

前回のあらすじ。

不思議なことに同じ海域でだけ起きる謎の沈没事故。

その連絡を受けた「アクアプラネットてんくう」のパトロール隊は、

早速原因を調査することとなったのだが……。

 

「こちらホッピー。優美、聴こえる?」

『感度良好。そっちの状況はどう?』

「どーもこーも……ひどい状況よ。あたりは沈没した船の残骸が突き刺さってる。乗組員も無事じゃないでしょうね」

 

するとリフティが何かを見つけた。

「待ってください、船体の横っ腹に穴が開いています」

『穴ですって?』

「はい!それも人為的に開けられたかのような……」

 

 

アクアプラネット指令室……。

「博士、船体に不自然な穴が開いていると報告が」

「ああ、きれいにくり抜かれているところを見れば、おそらく沈没後に開けられたものだろう……」

 

そうしているうちにまた新たな報告が入る。

『こちらファスティ!別の輸送船でも同様の穴を確認。それも数か所だ!』

『こちらジャンピー!付近に沈んでいた船も同じです!船の近くには切り取られた鉄板が……』

「やはりそうか。船内に入って調査してみてくれ」

『了解!!』

 

船体に開いた不自然な穴。その真相を確かめるべく単身船内に進入したジャンピー。

「……満載しているはずの鉱石が全部抜き取られてる……」

するとジャンピーに通信が入る。

『どう?ジャンピー、何かわかった?』

「優美さん、やっぱりアタリです。エネルギー目当ての犯行ですよ」

『わかったわ、すぐ近くの海域に犯人がいるかもしれない……手掛かりになりそうなものを探すのよ』

「了解!」

 

船内から出て、ほかの仲間と合流したジャンピー。

四人はさらに周辺海域の調査を進めていく。

 

「ジャンピーさん!あれ!!」

リフティが何かを見つけた!

「リフティさん、何でしょうあれ?」

「よくわかりませんけど、鉱石みたいですね」

 

するとホッピーが身構えた!

「これでハッキリしたわね。きっと犯人の手掛かりに違いないわ!」

「え、ホッピーさん?」

「ジャンピー、リフティ、あんたたちはそこで見てなさい!あたしがパーっと行ってとっ捕まえてやるわ!!」

言うが早いか、ホッピーはハイドロモーターを全開にし、鉱石の落ちている跡をたどるかのように全速力!

「待てホッピー!迂闊な行動はするな!!」

 

ファスティの制止も聞かず、突き進むホッピーの目の前に突然巨大なジンベエザメ型メカが現れた!!

「きゃあ!?」

ジンベエザメ型メカの口から猛烈な水流が放たれ、ホッピーを吹き飛ばす!!

「ホッピーさん!?」

「ホッピー!!……そうか!連続沈没事件の原因はあのジンベエザメ型メカが出す人工の波だったのか!!」

 

 

アクアプラネット指令室……。

『こちらファスティ!謎のジンベエザメ型メカを発見した!』

「……ジンベエザメ型メカ?どう思います博士」

「やはりな。おそらくそのメカがこの事件のカギだろう。すぐに無力化するんだ!!」

 

 

ジンベエメカの攻撃で岩に打ち付けられたホッピー。

「いたたた……もうなんなのよ~……」

「手柄を焦るからですよホッピーさん……」

「うるっさい!だったらジャンピー、あんたがなんとかしてみなさいよ!!」

怒鳴り散らすホッピーの様子を見てジャンピーが一言。

「……(もう、へんなとこでプライド高いんだから……)」

 

「聞 こ え て る わ よ ?」

「ひっ!?」

「つべこべいわずさっさと行くっ!!」

「は、はいいいいい!!!」

哀れジャンピー。余計な一言がためにジンベエメカと戦わざるを得なくなった。

 

 

「とはいえ、船を沈没させるほどの大波を出すメカだもんなあ……真正面からいけばホッピーさんの二の舞だし……」

ジンベエメカを見ながら考え込む。

「……ええい!横っ腹からならどうだ!!」

ジャンピーはジンベエメカの側面目掛け突進!しかし……!

 

「うぎゃーっ!」

なんと胸びれの部分で叩き飛ばされてしまう。すぐにサブスラスターを稼働し体勢を立て直すジャンピー。

「なんだこいつ!思った以上に手ごわいぞ!」

ジャンピーのそばにリフティが近づく。

「あの防御性能、見習いたいところですよね~」

 

「二人とものんきに話しなんかしてる場合!?ヤツが近づいてくるわよ!!」

ホッピーの怒号に振り向くと、ジンベエメカがジャンピーとリフティめがけ突っ込んでくる!

 

「ダメだ!この距離では避けられ……」

もう駄目か、そうジャンピーが思ったその時だった。

 

 

突如強烈な閃光が走り、ジンベエメカは一瞬動きを止めた!

ファスティが目くらましのフラッシュ弾を放ったのだ!!

 

「ジャンピー!リフティ!そいつの弱点は腹……つまり機体底部だ!そこを狙え!!」

「な、なるほど……リフティさん!そいつを思いっきり放り上げてください!!」

「……放り上げる?何かいい作戦があるんですか?」

「ひとつ思いついたんです。一か八か……この賭けに乗ってくれませんか?」

「なんだかよくわかりませんけど……パワーには自信ありますから!じゃあいきますよ……!」

リフティは素早くジンベエメカの下部に取りつくと、脚部のハイドロモーターを全開にして浮上を開始する。

そして……!

 

「そぉーーーーーれぇーーーーーーーーっ!!!」

持ち前のパワーを生かしジンベエメカを放り上げる!

リフティお得意のパワートスだ!!

ジンベエメカはすさまじい速度で海面を突き抜け上空へ……!

 

「いまだ!ハイドロモーター最大出力!!」

続けざまにジャンピーが海面めがけ全速力!そのまま垂直ジャンプの態勢に入る。

 

 

解説しよう!

ジャンピーの垂直ジャンプは海面から最大15.8mの高さにも及ぶのだ!

そしてジャンピーは空中に放り上げられたジンベエメカの尾びれの部分……方向舵をつかんだ!

 

「お前たちの野望は……ここまでだぁーーーーっ!!」

ジャンピーはジンベエメカを思いっきり海面にたたきつける!!

その衝撃はすさまじく、ジンベエメカはたちどころに沈黙したのであった……。

 

その後、ジンベエメカに乗っていたウミイグアナ型レプティアンスロゥピィとトド型セリアンスロゥピィの男性、

それにその二人を指揮していたカツオドリ型アビアンスロゥピィの女性が海上保安庁に引き渡され御用となったのだった。

 

 

かくて事件収束後の夕刻。

アクアプラネット・スカイデッキに佇むジャンピーと優美。

「なんだか夢のように事件が終わってしまったわね……」

「ええ、本当に……彼らはエネルギーを使って何を企んでたんでしょうね」

「さぁ……犯人は海賊らしいし、そいつらの考えることだから金儲けでも企んでたんじゃない?」

 

すると二人の後ろに城ヶ崎博士が現れた。

「まぁ、何はともあれこうして海上交通に平和が訪れたんだ。今はそれでいいじゃないか」

「「博士!」」

さらにその後ろには瑠美、ファスティ、ホッピー、リフティの姿も。

「みんな……」

 

いつしか夕陽はすっかり水平線に近づき、空を金赤色に染めていた。

行き交う船の汽笛が、ジャンピーたちの労をねぎらうかのように響いていた……。


 
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