龍天の強固な守りにより、苦戦を余儀なくされた一刀
やがて、体力の限界となり力尽きてしまう
最早、これまでと思われた時に現れたのは
未来の真桜であった…………!!?
四節 ~絡繰人間製造主任責任者・真桜~
沙和「真桜ちゃん?本当に真桜ちゃんなの?」
璃々(未来)「で、ですが真桜さんは…………」
秋蘭(未来)「どうなっている………?」
突如現れた未来の真桜にその場は騒然となる
真桜(未来)「当たりしきたりや、ウチやで?」
華琳(未来)「生きていてよかったわ………」
春蘭「しかし、どうやって生き長らえたのだ?」
と、そこへ
ゴオォォォォッ!!!
ドオォォンッ!!!
龍天が『龍走』をして舞い戻ってきた
地面に勢いよく着地した為、窪みができる
龍天「これは………珍客だな」
龍天は顰めっ面して未来の真桜を睨み付ける
真桜(未来)「どや?驚いたやろ?」
未来の真桜は目を細めてニヤリと笑う
龍天「一体、何をしに………どうやって此処まで来れたのだ?李典………」
龍天は一度、言葉を飲みこみ、再び口を開く
龍天「いや、絡繰人間33号………」
凪「か、絡繰人間?」
蓮華「確かに………よく見て、未来の真桜の片目に『万能眼鏡』が……」
蓮華は声を震わせながら、未来の真桜を指差す
沙和「じゃ、じゃあ…真桜ちゃんも……絡繰人間にされちゃったの?」
稟「しかし、妙です………絡繰人間に改造されたのなら、我々を敵として認識している筈……」
桔梗「にも関わらず、龍天を襲撃し儂等を助けた………」
冥琳「龍天の言葉も引っ掛かる点がある………
奴は『どうやって此処まで来れた』と言った………
つまり、そう簡単には来れない事情があったという事だ」
謎が謎を呼ぶ未来の真桜の登場
未来の真桜は腕を組んで口を開く
真桜(未来)「まぁ、説明した方が早いやろなぁ
アンタも知りたいやろ?龍天
ウチがどうやって此処までこれたか………」
未来の真桜は得意気に龍天を見る
龍天「………確かにな
その話を聞いてから破壊しても、遅くはないしな」
真桜(未来)「随分と上から目線の発言やなぁ、腹立つわ
ま、ええやろ………話たるわ」
未来の真桜は口を開いて語り始めた
自らの生存した経緯を…………
時は現在から、未来の真桜が拉致された7年前に遡る
場所は龍天城の玉座
そこにいるのは龍天と宝鈴こと斬魔、そして捕縛された未来の真桜
未来の真桜は戦いの最中拉致された為、ボロボロの状態である
斬魔「初めましてですね、李典さん」
真桜(未来)「誰やアンタ………ウチは、死んだ筈やろ?」
未来の真桜は声を枯らした状態で話し出す
斬魔「私は絡繰人間1号・斬魔と申します
此方が我々の王、龍天様です」
龍天「ご機嫌よう、私が絡繰人間0号・龍天だ」
真桜(未来)「絡繰…人間……?
襲撃して…きた、賊の……大将が、ウチに、何の…用や?
そ……もそも、絡繰人間って何や?」
キッと目付きを鋭くして睨み付ける未来の真桜
斬魔「至極単純ですよ?
人間に絡繰兵器を装備させて改造させた機械兵器………いや、生物兵器です」
真桜(未来)「なん……や…と?
それが…ホンマなら、人道から……外れまくっとるやないか」
斬魔「人道など最早、どうでもよいこと……」
斬魔は口元を隠して笑う
龍天「単刀直入に言おう………李典
お前のその絡繰の技術力を我等に貸してもらおう」
真桜(未来)「なんやと?」
未来の真桜は龍天を見ながら聞き返す
斬魔「絡繰人間を製造するには人手が足りないのもありますが、何よりも能力向上が今一つ伸び悩んでいます
それらを並行で実施していくのは流石に困難ですからね」
龍天「そこで、大陸で最も絡繰に詳しいお前の力があれば、我々の軍の力は著しく向上する
お前の探究心の役にも立つと思うのだがな……」
斬魔「悪い話ではないのではないですか?」
斬魔は腰を落とし、未来の真桜の顔に近づく
真桜(未来)「アホかアンタら……
なんで…敵勢力に力貸さなきゃ……ならないのや?」
未来の真桜は不敵に笑う
真桜(未来)「そもそも絡繰っちゅーのは………自らが研究して、調べて、試して、失敗して、成功して行き着いた先にある技術力の集合体や………
苦労して手に入れた貴重な情報を………アンタらのような外道に渡す程、ウチはできておらんのや……」
数秒時間を置いたのちに未来の真桜は高々と言い放つ
真桜(未来)「一昨日来やがれや、賊風情が」
龍天「………傲慢だな」
斬魔「…………まぁ、その返事を期待していましたから………
問題ありませんよ…………!!!」
斬魔は言い終わった直後、目を大きく見開く
すると
真桜(未来)「がっ!!?かっ!!!」
未来の真桜は突然、苦しみだす
真桜(未来)「お、お前……!!!何を……!!?」
斬魔「私は相手を洗脳させることができます……!!!
ならば、お前を洗脳し我等の手中に収めれば済む話!!!」
真桜(未来)「お前……!!!最初っから………!!!そのつもりで……………!!!」
斬魔「さぁ、堕ちろっ!!!」
斬魔の大声で未来の真桜は突如、静かになる
斬魔「ふぅ、ふぅ…………!!!」
斬魔は乱れた呼吸を整える
斬魔「ふぅ…………さて、李典さん
貴方のこれからすべき事は何でしょうか?」
斬魔が質問すると、未来の真桜は感情を無くした瞳の状態で口を開く
真桜(未来)「………『血光軍』の為の絡繰人間を製造し、能力強化を図ることです、斬魔様」
斬魔「良くできました♪洗脳は成功ですね」
龍天「相変わらずの手早さだな」
龍天も思わず感心する
斬魔「お褒めに与り光栄です♪
さて、能力強化と大量生産の準備を致しましょうか………」
龍天「あぁ、我等の根城も造らなければな」
それから未来の真桜は斬魔もとい宝鈴の洗脳能力により操られ、絡繰人間の製造主任責任者として専任された
洗脳が解け、謀反を起こしてもその場で取り押さえられ、再び洗脳がかけられる
それもまた強化された洗脳をかけられる
それが繰り返された
そして、ある日
斬魔「さて、ある程度の侵略も進みましたから、そろそろ特殊な絡繰人間の製造を始めましょうか」
玉座にいる3人が会議をしていた時、斬魔がこう切り出した
龍天「特殊な絡繰人間?」
真桜(未来)「……どのような型でしょうか…?」
斬魔「絡繰人間の量もかなり多くなりました
私達だけでは管理しきれない程にね
なので、簡単に言えば武将のような存在が欲しいところです」
斬魔「それに加えて龍天様をお守りする人柱も担える絡繰人間がいいですね」
龍天「成る程な………確かにそうだな
李典殿よ、何か案はないか?」
龍天は未来の真桜に話をふる
真桜(未来)「……纏める者が多すぎても斬魔様や龍天様に負担がかかってしまいます
なので、5人程がよろしいかと……
そして、それぞれに個性……能力を持たせては如何でしょうか?」
斬魔「良い案です、流石は製造主任者ですね」
斬魔は笑顔で頬笑む
龍天「して、能力はどうするか……」
真桜(未来)「4人は分かりやすく火・雷・水・風にし、その4人を纏めるのは凶悪な能力を掛け合わせたものはどうでしょう?」
斬魔「凶悪の言いますと?」
斬魔はわくわくとした表情で聞き返す
真桜(未来)「まずは毒……特に強化した猛毒にします
そして後は光………何物にも変えられない別の強さを持ちます」
龍天「毒と光か………面白い組み合わせだ」
斬魔「即採用です♪素晴らしい
龍天様をお守りする5人柱……『龍天五獄隊』と名付けましょう」
龍天「………よし、ならばその『龍天五獄隊』に別動隊を持たせよう
『血光軍』の特殊部隊をな」
斬魔「それぞれの属性を特化させた絡繰人間の部隊………ゾクゾクします」
真桜(未来)「………早速、製造に移ります」
3人はそれぞれに動き出した
これが、後に武将達や一刀を苦しめた『龍天五獄隊』の誕生の切欠であった
試行錯誤を積み重ねた結果、炎掌・雷昇・氷柱・風刻
そして、闇霊ではない『毒鳳(どくほう)』という絡繰人間が作成され『龍天五獄隊』が発足された
ところが、『ある事件』が発端となり闇霊が誕生することとなる
時は一気に飛び、『血光軍・特殊部隊』全軍出撃前
未来の真桜が斬魔の洗脳を解き、襲いかかった際の取り押さえ後
斬魔「少し早目ですが………李典、貴方を『計画』に移します」
真桜(未来)「なん………やと?『計画』………?」
斬魔「えぇ、その通りです
『計画』の内容を知っているのは『龍天五獄隊』と龍天様、私だけです
貴方にこれ以上の洗脳は無意味なようなので
しかも今、戦った事で分かりましたが…………李典、貴方の強さは高が知れています
このまま此処に居られても足枷にしかなりませんからね」
真桜(未来)「ふっ………
そんな扱いなら………ウチは此処を……喜んで出ていくで……」
斬魔「いえいえ、一応貴方も我々の戦力ですからね
北郷一刀の元に戻られると困るのですよ
何せ、内部の機密情報を知っているのですからね
ですから…………」
斬魔は未来の真桜の顔をジッと見る
真桜(未来)「『計画』とやらに……移すっちゅーんかい……」
斬魔「まぁ、その『計画』の内容を特別に教えて差し上げましょう」
斬魔は未来の真桜に耳打ちをする
斬魔「貴方を絡繰人間に改造させて差し上げます、光栄に思って下さいな」
真桜(未来)「な、な、なんやと………!!?
貴様、ウチまでやる(改造する)っちゅーんかっ!!?」
未来の真桜は眼を見開き、怒りと驚きの表情となる
斬魔「最高ではありませんか
戦闘能力が著しく強化されますよ?
貴方は絡繰人間として新たな人生を歩むことになります
番号も決まっていますよ?絡繰人間33号・元名『真桜』です」
真桜(未来)「ふざけんな……!!!
『それ(改造)』をやった瞬間………ウチは………」
『人間ではなくなる』
未来の真桜がそう言いかけた時、斬魔は
斬魔「はい、お喋りは此処までです
連行なさい、製造主任者を『絡繰人間改造室』へ…………」
絡繰人間達「「はっ!!!」」
有無を言わさず、未来の真桜は取り押さえていた絡繰人間達に強制連行が実行された
真桜(未来)「くっ、やめろ………!!!
放さんかいっ!!!冗談は顔だけにしいや、斬魔っ!!!」
斬魔「失礼な事を言わないで下さい
そして、私は冗談が嫌いです」
未来の真桜は部屋から連れ出された
真桜(未来)「(アカン………隊長……逃げてや………………)」
未来の真桜はうっすらと涙を流し、強く歯ぎしりをする
真桜(未来)「ぐぅぅぅぅっ!!!斬っっっっ魔ーーーーーーーーーーーーっ!!!」
悔しさの声も虚しく、未来の真桜は廊下の奥へと消えていった
……………
…………………………
未来の真桜が連行された『絡繰人間改造室』
未来の真桜は改造されるまいと暴れる
真桜(未来)「くっそぉっ!!!斬魔っ!!!絶っ対殺したるっ!!!斬魔あぁぁぁっ!!!」
絡繰人間A号「くっ!!!取り押さえろっ!!!
手術台にさえ乗せれば拘束できるっ!!!
総員だっ!!!早くしろっ!!!」
絡繰人間達「「了解っ!!!」」
10体の絡繰人間が、未来の真桜を取り押さえにかかる
真桜(未来)「くそっ!!!ふざけんなっ!!!ウチに触んなやっ!!!ガラクタ共がっ!!!」
未来の真桜は滅茶苦茶に暴れ回り、絡繰人間達に攻撃を仕掛ける
絡繰人間B「くっ!!!なんて力だっ!!!」
絡繰人間C「主任っ!!!大人しくしてくださいっ!!!
貴方には極力危害を加えぬよう、斬魔様より言い伝えられていますっ!!!」
真桜(未来)「知るかボケっ!!!何の感情もない絡繰人間なんかにされてたまるかっ!!!」
絡繰人間A「埒が明かないな………仕方あるまい……」
その場を仕切る1体の絡繰人間が右手を挙げる
すると、他の絡繰人間達全員が
絡繰人間達「「制限解除、始動」」
『制限解除』を発動させた
真桜(未来)「(っ!!?どうやってもウチを絡繰人間にさせたいようやな………)」
絡繰人間A「さぁ、主任を早急に改造させるのだ
これが失敗すれば、全員斬魔様に廃棄処分にされても文句は言えんぞ?」
絡繰人間達「「了解っ!!!」」
本気状態の絡繰人間達は再度、未来の真桜を拘束しようと襲いかかる
流石に未来の真桜も、『制限解除』をした10体の絡繰人間達には手も足も出ず、拘束されてしまう
真桜(未来)「くっそぉっ!!!ふざけんなっ!!!離せやっ!!!」
絡繰人間A「よし、急げ」
絡繰人間C「主任、失礼します」
1体の絡繰人間が液体が入った注射器を持ち出し、未来の真桜に打ち込む
麻酔と睡眠導入剤を混ぜたものだ
真桜(未来)「あ………あぁ………………」
未来の真桜はそのまま口を閉じ、意識を失ってしまった
…………………
……………………………………
数刻後………
斬魔「そうですか、改造は無事終了しましたか」
斬魔と龍天の元に、改造終了の連絡が伝えられた
絡繰人間A「はい
ですが、まだ記憶が完全に上書きされていません」
龍天「だろうな
絡繰人間に改造した後は数日間、前世の記憶を削除する為に、一切の刺激を与えてはならないからな」
斬魔「ま、後は『休眠塔』で大人しく寝て頂くだけなので、実質の終了ですがね……
お疲れ様でした、下がっていいですよ」
絡繰人間A「はっ!!!」
絡繰人間は規律正しく敬礼をして去っていった
斬魔「残りは大陸の者共だけですね」
龍天「それで、我々の宿願が達成される」
斬魔「えぇ、これで最期ですよ………北郷一刀」
斬魔と龍天は怪しくほくそ笑むのであった
そして、現在に戻る
龍天「そうして貴様は、絡繰人間に改造された筈だが…………」
真桜(未来)「まっ、今に繋がる訳やな………」
未来の真桜は苦笑いをして龍天を見据える
龍天「確かに絡繰人間されたのを確認した……何故だ?」
真桜(未来)「なんや龍天、ボケたんかいな?」
龍天「なに?」
龍天は眉を顰め、聞き返す
真桜(未来)「ウチは絡繰人間製造主任者やで……?
絡繰人間に改造される際の注意点位、頭に入っとるわ」
未来の真桜の一言で、龍天は厳しい表情をする
龍天「………っ!!!貴様、自ら『刺激』を与えたのか………!!?」
真桜(未来)「ご名答や」
蓮華(未来)「刺激?」
皆が首を傾げる
龍天「絡繰人間は通常、改造が完了して数日間は『休眠塔』で思考回路の上書きが施行される、意識が失われた状態で
その間は如何なる刺激を与えてはならない」
真桜(未来)「まぁ、そもそも『休眠塔』に入った時点で感覚の殆どが鈍くなり、睡眠状態になるから刺激は与えられないんやけどな」
凪「む?じゃあ、どうやって未来の真桜は刺激を?」
龍天「あぁ………楽進の言う通り、あり得んのだ
『休眠塔』に入った時点で最早、洗脳は回避できん…………ん?」
龍天はそこで1つの仮定に辿り着く
龍天「李典、もしや貴様………『休眠塔』に入る前にか?」
真桜(未来)「お?よー分かったな
但し、刺激っていっても感覚とか嗅覚、聴覚ではないで?
龍天も分かっての通り、改造される際には拘束されるんでな」
龍天「ならば、いつ?」
未来の真桜は懐から『ある物』を取り出す
それは、御守りだった
龍天「その薄汚い御守りがなんだ?」
未来の真桜は御守りをひっくり返し、中身を掌の上に乗せる
それは
一刀「………唐辛子か?」
紅蓮色の唐辛子だった
通常のものよりかなり小ぶりだか、赤色がかなり濃い
凪「っ、あれは?自分が品種改良した唐辛子?」
華琳「貴女が品種改良した唐辛子?」
凪「はい…………辛味に特化するよう、独自に…」
華琳は顰めっ面をする
真桜(未来)「ウチはこれを肌見放さず持ち歩いていた
そして、こいつを口に含んだ
もう分かるやろ?」
龍天「…………まさか、味覚で意識を取り戻したのか?」
真桜(未来)「正解や
想定外やろ?味覚で………それも激辛を超越した凪特性の唐辛子や
起きん方がおかしいで」
一刀「それで………記憶が人間のまま、絡繰人間に…改造が完了したのか………」
真桜(未来)「そーいうことや
さて、お喋りも終いや」
龍天「……………」
未来の真桜と龍天は正面から向かい合う
真桜(未来)「龍天、アンタのような化け物を造り出したのはウチの責任でもある
ウチがキッチリ、ケジメをつけさせてもらうわ
手出し無用やで?」
華琳(未来)「真桜………なにを?」
未来の戦士達は騒然となる
真桜(未来)「龍天、お前を抹殺する…………覚悟しぃや」
龍天「貴様のような出来損ないが、絡繰人間の王であるこの龍天に敵うと思うのか?」
真桜(未来)「絡繰人間製造主任者、舐めるなよ?」
未来の真桜は『万能眼鏡』を徐に触り、口を開いた
真桜(未来)「絡繰人間33号・元名『真桜』
最大抹殺対象者・龍天の抹殺、及び破壊を開始する」
……終……
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一刀の猛攻虚しく、『損傷率』を低下させられず龍天にダウンされてしまう
更には追撃により、窮地に立たされる大陸の者達
死の瀬戸際に出現したのは、思いもよらない存在だった…