前回のあらすじ。

撮影を終えたマリン・カリン・レイナの三人は謎の男が運転する車に乗せられて走り続けていた。

だが、車は撮影場所とは違う方向へ進んでいく。

 

「おじさん?本当にここで……」

レイナが運転している男に尋ねる。

だがそのマントヒヒ型ファンガーの男は答えない。

 

「見ろ!……ここは使われていない港の廃倉庫だ!!」

「なんですって!?」

マリンとカリンが異変に気付き叫びだす。

それを聞いたヒヒ男はなにやらほくそ笑んでいた。

 

「へっへっへ、今頃気づいたのかいお嬢ちゃんたち。でももう手遅れだw」

「!?……いつの間にか縛られているわ!!」

「くそーっ!なにをするつもりだー!!」

開いている倉庫のドアから車は中へと入っていく……。

 

 

「連れてまいりやしたぁ!」

ヒヒ男が叫ぶと、その奥にはやたら顎のしゃくれたスイギュウ型ファンガーの男が一人。

 

「おーぅご苦労さん」

その周囲には何やら女子高生から小学生まで、少女ばかり……。

それもすべてロボットの女子たちばかりである!

 

「私たちをどうする気!?」

目に涙をためながら叫ぶレイナ。その言葉を聞いたスイギュウ男はニヤニヤしながら答えた。

「んー?どうするって決まってっぺ。おめぇさんたちがロボットだってこたぁ知っとるべよ」

「なんだって!?」

「若ぇ女のロボットってのはそのテのマニアにゃよーく売れるんだべさ。おめーらもバラバラにして部品単位で売っぱらってくれっかんな?」

「そういうことだお嬢さんたち。さ、あきらめてオトナの玩具として売られるこった」

「「わーっはっはっは!!」」

スイギュウ男とヒヒ男が大笑いする。

「どうしよう……私たちこのまま売られちゃうのかな……タッちゃんにももう会えないのかな……!」

そんな中、マリンはなにやらうつむいたまま動こうとしない!!

「……マリン?」

「……そうだよ。オイラたちはロボットだ……」

「……?」

「だけど犯人は知らないんだよな。特にオイラたち姉妹は母ちゃんの娘でもあるってこと」

「どういうことなの?」

「すぐにわかるさ!」

マリンはいったい何を考えているのか!?

 

「さぁ、まずは一番元気そうなお前からだ」

ヒヒ男がマリンの腕をつかみ作業台へと運んでいく。

「まずは服を脱がせる。解体作業に邪魔になるからな。そして手足と頭を切り離して胴体と一緒にアタッシュケースに……」

そう言ってヒヒ男がマリンの服に手をかけようとしたその時だ。

 

「フフフ……残念だけど、おっさんたちの商売……終わったぜ?」

「なっ!?」

「ほーぅ、生意気な口きくでねえかこのメスガキ……。おい、早いとこバラしちまうべ!!」

男たちが裸になったマリンの身体に手をかけ、解体作業を始めようとしたその時だった!!

「警察だ!!二人ともそこを動くな!!」

入ってきたのはクオンとタツヤだ!

「げっ!?なぜここがわかったんだべ!?」

「どうもおかしいと思って、オイラの体内にある発信機を作動させておいて正解だったみたいだな」

「さっすがマリン!やっるぅ!!」

「こ、このガキ……!」

 

タツヤはすぐにレイナたちのもとへ向かい、拘束を解いたのち廃倉庫の中を見回す。

「うわぁ、ほかにも女の子が……それも全部ロボットばかり……うっ!?」

次の瞬間タツヤは衝撃の光景を目の当たりにし戦慄した!!

「どうした!?」

「……そんな、すでに全部解体された子に……こっちは電子頭脳を破壊されて死んでいる!!」

「そうか……よし、報告はその辺でいい」

そういうとクオンはゆっくりと立ち上がりスタンロッドを構える。

「……お前たちは……年端もいかない少女型ロボットを解体して売りさばいていたってわけか……!」

「ぐっ……」

「あ、兄貴どうしやしょう!!」

「……まして他人の娘や恋人に手をかけるとは……覚悟はできているね?」

じりじりと詰め寄るクオン。するとスイギュウ男は近くにあったレーザートーチを手に取った。

 

「……へ、へへ……よく見たらおめえもいい身体してんでねえか」

「この期に及んでまだ抵抗する気か!?」

「計画変更だ!この女性型ロボはそいつらの母親だ!親子まとめて売れば高値が付くど!!」

レーザートーチの火花がクオンの左肩をかすめる!!

 

「……ぐあっ!?」

「ママ!」

「母ちゃん!!」

 

クオンの右腕が切り落とされる。切断面からは火花が散り、内部メカが見えている。

「まずは腕一本いただきだ……電子頭脳もきれいさっぱり真っ白にしちまえば証拠も……」

男たちがクオンに次の一撃を浴びせようとしたその時だ!!

「!?」

突如レーザートーチが弾き飛ばされた!タツヤが廃材を投げつけたのだ!!

「往生際が悪いぞ!いい加減観念したらどうだ!」

「笑わせんでねえ!おめえら二人だけで何ができるんだ!?」

なおも食って掛かるスイギュウ男。しかし隣にいるマントヒヒ男は何やら青ざめていた。

 

「あ、ああ兄貴、あれ、あれを……」

「あれ……?うわぁ!?!?!?!?」

廃倉庫の周りにはすでにパトカーが複数台。

しかもその最前線にはラミナ警察署署長のエルザ・アインリヒトが立っていた!!

 

「動くな!貴様らは完全に包囲されている。ただちに投降しろ!!」

「……あ、兄貴……」

「……仕方ねえ、大人しく捕まるしかねえべ……」

かくして変態男二人はあえなく御用となったのであった。

翌日、ラミナ警察署1Fロビー。生活警備課のミウ・カワグチ、テムナ・ツルハシと談笑するクオン。

「ということがあったんだよ。全く人の娘に手を出すとはけしからん輩だ」

「せやけど、目ぇ離した隙に連れ去りが起きたわけやろ?クオンさんも責任あるやないか」

「うっ、ぐうの音も出ない……」

「ほら、子供は動きが読めないところあるから……」

「まぁ、あの子たちにはしっかり言っておいたよ。それにしてもマリンが発信機を作動させてくれたおかげで位置が分かった」

「あー、ロボットならこういう時強いわなー」

「何よりあんな状況下にあってもうちの子たちは肝が据わっていたよ。全く誰に似たんだか」

「それあんたよ!」

「せやせや!」

 

いつの時代も子供たちは怪事件の標的になりやすい。

だが少なくともロボちゃんズの三人はそう簡単にへこたれることはないだろう。

……あれ、ところでレイナとタツヤは……?

ラミナ市内、某ケーキ店。

「はい、レイナちゃんあーん」

「あーん。もぐもぐ……じゃあ次タッちゃんあーんして」

「あーん。もぐもぐ」

「「キャッキャウフフ」」

 

おしまいおしまいああおしまい。


 
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