喰屍鬼(グール)族の悪行を視て、アト・インは気に障った様だ。まあ、母クルミヤが犯されたというのも大きかったろう。
第二世界からの干渉
第二世界よりヒトラーの言う“あいつ”がやって来た。それはヒトラー以外にとって不可視。霊体とも肉体とも呼べない形で“あいつ”はやって来た。
アト・インすなわちミオ語でささやく者はヒトラーをアンチ・ユダヤに染めて、喰屍鬼族の殲滅(せんめつ)を謀った。
喰屍鬼族は醜く、先導しやすかった。
つまり、アト・インはヒトラーを第二世界の使徒として、世界に放ったのだ。
すなわち、公正明大なる神イエス・キリストの本来の世界である、第三世界の使徒が私である。
私は公正明大を好み、こうして、一人孤独にむしろヒトラーと対照的な立場にて、アト・イン以下神の教唆きょうさも受けず、ひたすらに唯一神教を貫いている。
関わらないというのも、いわば、唯一神教のテーマのひとつなのだ。
アトはささやきを意味し、インは者を意味する。いわば、ミオ語とは、日本語に通ずるものなのである。
神はこう言われるかもしれない。もしも、私が神の子であったのなら、その翼をもって高みへ飛翔し、積極的に地に契約をもたらす事であろう。しかし、私は神であり、神の子は私に仕える。この様に立場によりけり、色々な事情があり、それを捨て去れるかで、神であるかが決まって来るのである。助けを求める声があれば、すぐさま私は行き、その人の補佐をするだろう。真にその人が善を求めているなら、それを手放しに与える者が私である。
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ヒトラーのアンチ・ユダヤはこの天使の教育次第にあった。