No.107789

真・恋姫無双  江東戦記 第4記・反董卓連合-3

赤銅さん

董卓の真実と共に虎牢関での戦いです。
11/19・一部書き直し。だめぱんだ♪様ありがとうございます。

2009-11-19 06:02:34 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:9852   閲覧ユーザー数:6932

「董卓は暴政を行なっていない?」

 

汜水関攻略後、桃香達の陣営で正式な同盟締結の後に明命が喋った内容に俺だけでなく周りの皆が驚いた。

それもそのはずこの事が真実なら、この連合結成の大儀そのものがウソであったという事なのだから。

 

「そ、それって本当なの明命ちゃん!?」

 

「はい! 洛陽の街に圧政と思われる跡もなく、民もお猫様も皆笑顔でした!」

 

「ならこの連合は一体何のための組まれたというのだ!!」

 

「うにゃ? 結局董卓は悪くないのか~?」

 

明命の報告を聞き怒りを見せる愛紗、訳がわからないといった鈴々。

俺と劉備軍の軍師二人は黙って考えをまとめていた。

 

そんな時、金ピカの鎧を纏った袁紹の兵士がやって来た。

 

 

「劉備殿及び孫権殿、虎牢関攻めの軍議を行いますので至急本陣までお越しください!」

 

それだけを言って伝令は一礼して去って行った。

 

 

「………少し俺に考えがある。」

 

皆は行軍の準備をしておいてくれと告げ。

俺と蓮華、桃香と朱里の四人は本陣へと向かった。

 

 

 

「あら、遅いですわよ皆さん。」

 

天幕に入ると俺達以外の諸侯達は椅子に座っており、俺達もお待たせしましたと言って席に着く。

 

「さ~て皆さん、汜水関はこの私の作戦通りに動いていただき、大した損害も無く済みました。

 ですが元々劉備さんの所は数も少なく、孫権さんの所は美羽さんも心配しておりましたので次の虎牢関では下がっていてもらう事にしました。」

 

………つまりこれ以上の手柄を取られたくないから下がってろと。

 

「よって次の虎牢関はこの袁本初と曹操さんで攻撃しますわ。」

 

あっ、やっぱり。

 

「それと実は先の戦いで捕虜となった華雄さんの処遇が決まりましたわ。

 彼女は袁術さんの軍に降るそうです。」

 

!! 驚いた俺が袁術の方を向くと袁術の後ろに居る張勲が俺の視線に気付いてニッコリと嫌らしい笑みを浮かべた。

そして軍議という名の袁紹独演会も終わり、諸侯が天幕から出て行った後に俺一人残っていた。

 

「? あら、あなたは戻らないのですの?」

 

「少しお聞きしたい事があるのですが。」

 

「なんでしょう?」

 

「実際の所、董卓はどんな悪行をしたのでしょうか?」

 

「それはもちろん大・悪・行!! ですわ。」

 

「え~、ですから具体的には?」

 

頭の脳みそがどくどくヘドロなのか?

と本気で考えさせられる答えに変わって張勲が前に出て来て答えた。

 

「そんなのどうでもいいじゃないですか~♪

 ……それとも貴方は自分の栄養になる豚さんや鶏さんに同情するのですか?」

 

お気楽な声から変わってとても重い声での答えに俺は怒りを静かに覚え。

 

「そうですか…、どうもありがとうございました。」

 

…とだけ言って天幕から出た。

 

 

天幕を出た俺は劉備軍の陣地で呉の陣でも無い所を目指していた。

先に桃香達に話を聞いておいて欲しいと頼んだ諸侯の一つ〝西涼軍〟の陣地を目指して。

 

 

「へぇ~~、アンタが天の御遣いか~。」

 

「ふ~ん、結構かっこいい人だねお姉様。」

 

陣地内に入ると馬超と馬岱を名乗る女の子にジロジロと見られる。

 

「……一応聞くけど話は済んでるよね?」

 

俺の事は桃香が喋ったようだが肝心の董卓の話はどうしたんだろう?

 

「うん♪ ちゃ~んと聞いたよ♪」

 

ご機嫌な桃香を余所に俺も馬超達に尋ねた。

董卓とはどんな人柄だったのかを……。

彼女達は董卓の治めていた街が近い事もあり親交があるだろうと思って軍議の前に桃香に話を聞いておいてくれと頼んだのだがうまくいったようだ。

 

かいつまんで言うとこんな感じだ…。

西涼の太守・馬騰は始めから袁紹よりの檄文を疑っており、娘達に真実を探るように言い。

もし本当なら西涼の民として董卓を討て。

もし違ってたら何とかして助けろ。

もっともあの優しい子ならウソだと信じてる、だそうだ。

 

董卓の人物像にも裏が取れた俺は呉の陣地に戻る事にした。

先に戻っている蓮華達が他の皆に軍議で決まった事を伝えてくれているはずだ…。

 

 

 

「北郷一刀、戻りました。」

 

「ようやく戻ったか北郷、大まかな話は蓮華様から聞いている。」

 

陣地では蓮華や明命の他に冥琳、穏、思春、亞莎と全員が揃っていた。

俺は軍議後の話と西涼軍の話を皆に伝えた。

話が終わると皆一様にどこか嫌そうな顔をしていた。

 

「……もしかして、とは思っていたが。」

 

静かになっていた中、冥琳がぽつりと呟いた。

 

「………冥琳は何か知ってたのか?」

 

「ん? いいや、お前も始めの方で言ってたがこの戦いでは情報が少なすぎた。

 だから〝もしかして〟程度の考えがあっただけさ。

 

 …それでお前はどうしたいのだ?

 今更孫呉の軍は連合からの脱退は出来んぞ。」

 

おそらくは風評による問題からだ。

汜水関をせっかく一番乗りしてもここで帰っては逃げ出したと思われる。

もっとも連合から離れる気はない。

 

「……俺の個人的な意見を言えば董卓は助けたい。」

 

「北郷…、自分が何を言っているのかわかっているのか?

 それとも今更偽善に目覚めたか?」

 

「違うよ………。

 俺は、いや俺達は皆悪党なんだ。

 戦争なんて始めた瞬間からどっちも悪だよ。

 ただ…、俺は悪党にはなっても袁紹(アイツ)等と同じ外道に墜ちるつもりはない。

 それだけだよ………。」

 

俺が喋り終えるとさらに周りは静かになった。

冥琳は俺をジッと見て、小さくため息を吐いた。

 

「はぁ…、今回私は基本的には居ない事になってもいるし、そもそも大将は蓮華様だ。」

 

そう言って冥琳は今度は蓮華をジッと見だした。

 

「…孫呉の総大将、孫仲謀として皆に命ず。

 これより我らは連合に内密に軍師・北郷一刀の作戦に従い董卓達を助ける。」

 

それを聞いて周りから上がる「御意!」と迷い無く出る声。

俺はいい仲間に出会えたと心から思えた。

 

 

「さてと…、感動の決意もいいが北郷よ、ちゃんと作戦は考えてあるのだろうな?」

 

少し涙ぐんでいた俺に冥琳が話しかけてきた。

 

「ん、…ああ、大筋は考えてあるよ。」

 

「そうか、なら私も少し条件を付けよう。」

 

「条件?」

 

「そうだ。 しかし安心しろ、董卓自身の話ではない。

 条件とは袁術の事だ、華雄が降ってしまったために袁術の軍が強くなった。

 加えて奴等はまだ一度も戦っていないため、我等の今後に大きく問題がある。

 そこで何とか袁術の兵に打撃を与える事。

 これが条件だ。」

 

「袁術は虎牢関の戦いでは私達よりさらに後ろに位置している。

 どうする気だ一刀?」

 

冥琳の出した条件に心配そうに見て来る蓮華。

しかしその条件に問題はなかった。

 

「大丈夫だよ蓮華。

 それでは我等の取るべき作戦を指示する。

 まず俺が騎兵5百を率いて全曲の袁紹、曹操軍に乱入し、それによって戦場を混乱させる。」

 

「騎兵5百で突撃だと!?」

 

「戦場の混乱をチャンス…、好機と捉えて敵が出撃したら亞莎が退却の合図を出してくれ。」

 

「わ、私にそんな大役が………。」

 

「合図の後、撤退する俺達を追ってくる敵を袁紹と曹操を盾に袁術の所まで引っ張る。

 そうしたら思春、穏は袁術を盾に横撃を掛けてくれ。」

 

「…いいだろう。」「は~い。」

 

「その間に蓮華は明命と亞莎、それと今から作戦を伝える劉備軍、西涼軍と共に虎牢関を落とし。

 すぐに兵を纏めておいてくれ。」

 

「わかった!」「御意です!」「が、頑張ります!」

 

「俺達も敵軍を倒した後はすぐに虎牢関に向かう。

 そしたらその足で劉備軍と共に洛陽へ向かう。

 その時、西涼軍には虎牢関を抜けた所で他の諸侯の行軍を円滑に進めなくしてもらって時間を稼いでもらい。

 俺達が洛陽に入って雪蓮に言われて俺が手縫いしたこの〝メイド服〟を着せて劉備軍に匿ってもらう。」

 

バーン! と未来の猫型ロボットよろしくメイド服を二着出すといきなり皆の視線が冷たくなった。

 

「……雪蓮になにを言われたんだ北郷?」

 

「え、…いや、大喬と小喬に着せる新しい侍女服の意匠を作れと言われてたから見本を作ってみたんだけど……。」

 

「そうか……。」

 

一気に嫌な空気になりそれを吹っ飛ばす様に俺は劉備軍を明命を、西涼を穏に頼んで作戦計画書を持って行ってもらった。

 

 

騎兵隊の準備も終わり、後は同盟国である劉備軍に使いとして出した明命を待つだけだ。

ちなみに穏はもう帰ってき、西涼は俺の作戦通りに動いてくれるそうだ。

 

「一刀様! 周幼平、ただいま戻りました!!」

 

「お疲れ様明命、桃香はどうだって?」

 

「はい! まずは幽州の太守・公孫賛と言う方も手伝っていただけるそうです。

 それと劉備軍は一刀様の案に概ね動いてくださるとの事。

 ただ一刀様が後方まで撤退するのを愛紗様と雛里が手伝っていただけるようです。」

 

「それは助かる!!」

 

実際呂布だけでなく神速と称される張遼もいるからなどちらか片方でも相手してもらえればかなり楽になる。

……………公孫賛ってこの連合に居たっけ?

 

 

 

「よし!! 勇敢な孫呉の兵達よ!!

 今より我等は汜水関に続き虎牢関、そして一気に洛陽の一番乗りを取る!!

 これにより我等孫呉の名は大陸中に鳴り響き、我等の悲願達成の暁を見るための大きな力となる!

 勇者達よ、この戦いを生き残り、悲願達成の朝日を共に見ようではないか!!」

 

 

「「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!!」」」」」

 

 

「北郷隊抜刀!!<シャキーン!> 突撃ーーー!!!」

 

「「「おおおおおぉぉぉーーーーー!!!」」」

 

蓮華の鼓舞に続き、俺も十字の旗を掲げ、突撃命令を出す。

目指すは虎牢関だ!!

 

 

 

 

 

「まだ虎牢関は落ちないの?」

 

「もうしわけありません華琳様。」

 

「袁紹の軍勢が邪魔で攻めるのに秋蘭も苦労してるようです。」

 

「ホント、あの馬鹿は攻める事しか考えてないから。」

 

「失礼します!」

 

「どうした!?」

 

「はっ! 後方より十文字の旗を立てた隊が突撃してきます!」

 

「なに~!? 今この場に突っ込まれたらよけい混乱するぞ。

 一体どんな馬鹿だ?

 

 ………か、華琳様! 突っ込んで来るのは北郷一刀です!!」

 

「北郷ってあの華琳様に無礼を働いた男!?」

 

「そう…、どうやら私は少しあの男を過大評価しすぎてたみたいね。

 いいわ、そんなのに当たって私の可愛い部下にキズを付けたくないから道を空けてあげなさい。」

 

 

 

 

「姫~、なんか後ろから突撃してきますよ。」

 

「ちょっと、文ちゃん!

 今来られたらますます混乱しちゃうよ!」

 

「え~、それは困るな。

 仕方ないから姫は下がっててください。

 扉開けたら呼びますんで。」

 

「わ、わかりましたわ。

 でも二人共ケガせず帰ってきなさい。

 そうじゃないと許しませんわよ。」

 

 

 

 

 

「呂布殿~!」

 

「………陳宮、出る。」

 

「呂布将軍ご出陣! 深紅の呂旗を立てるのです!」

 

「ちょ~待て!! 汜水関の二の舞する気かい!!」

 

「それは違いますぞ! 今、連合は功を焦った一軍が現れて前線は大混乱なのです。

 いわば今が好機! 呂布殿の出撃は正しいのです!!」

 

「………はぁ~~~、しゃあないウチも出たる。

 一気に袁紹と袁術の頸を取って終わらせるで!!」

 

 

「城壁に動きあり! 一刀様に合図してください!」

 

<ジャーーーン! ジャーーーン!>

 

亞莎の号令と共に鳴り響く銅鑼の音は突撃する一刀に届いた。

 

 

「全軍反転! 殿は袁紹と曹操に押し付けろ!!」

 

 

 

 

 

「華琳様!!」

 

「あら、お帰り秋蘭。」

 

「どうした秋蘭?」

 

「どうしたのそんなに慌てて?」

 

「皆何を落ち着いている!!

 早く軍を反転させないと危険だぞ!!」

 

「はぁ? 何を言ってるんだ秋蘭?」

 

「さっき北郷が少数の騎兵のみで突撃してきただろう!!」

 

「ふん! あの失礼きわま「桂花! 今すぐ軍を反転させなさい!!」」

 

「ど、どうなされたのです華琳様!?」

 

「どうもこうもあのブ男にやられたわ!!

 孫呉が今最も邪魔だと思ってる相手は誰!?」

 

「それは勿論袁術………。はっ!!」

 

「ど、どういう事だ?」

 

「いいから姉者、説め「申し上げます!! 我が軍の前曲の一部が虎牢関よりの敵軍と戦闘を開始しました!!」」

 

 

 

 

 

「やばいよ文ちゃん!! 曹操さんとさっきの十文字の人が退きだしたよ!!」

 

「なに~!? それじゃアタイ等が殿にされるのか!!

 全軍後ろ向きに向かって突撃ーーー!!」

 

「無理です!! 前曲はすでに戦闘を開始してます!!」

 

 

 

 

 

「さすがは一刀様! 正に神算鬼謀とはこの事!!」

 

「愛紗ちゃん、と~~~っても嬉しそうだね♪」

 

「何しろ初恋の殿方の策が成功してますからな。」

 

「と、桃香さま!? せ、星ーー!!」

 

「あはは~~、可愛いですね愛紗さん。」

 

「う、う、うるさい! うるさ~い!!

 行くぞ雛里!!」

 

「あわわ~~。待ってください~~。」

 

「それじゃあお姉ちゃん。鈴々達も行くのだ~!」

 

 

「って私を置いてくな~~~!!!」

 

 

 

 

 

「お姉様~~~!!」

 

「わかってるよ!!

 行くぜ西涼の皆!! 私達の仲間を助けるんだ!!」

 

 

 

 

「七乃~! 妾は蜂蜜水が飲みたいのじゃ~~!」

 

「はいは~い♪ もうすぐ出来ますよ。」

 

「蜂蜜水も皇帝ももっと早く出来ないのか~~!!」

 

「だ~いじょうぶですよ美羽様。

 今皆さんが美羽様が皇帝になるとも知らないで戦ってますから♪」

 

「うむうむ。 皆、妾のために戦っとるんじゃな。」

 

「そうです「報告します!!」」

 

「なんじゃ! 皇帝の幸せなひと時の邪魔をしおって!!」

 

「いやん美羽様♪ なってもいない皇帝を名乗るなんて怖いもの知らずなんだから~~♪」

 

「それどころではありません!

 〝十〟の旗を筆頭に〝曹〟、〝袁〟のお味方の軍が。

 さらにその後ろから〝呂〟、〝張〟の敵軍の旗がこっちに向かって来ております!!」

 

「な、なんじゃと~!! は、はよう迎撃せんか~~!!」

 

「もう無理です!!」

 

 

 

 

 

結局呂布は曹操と袁紹と袁術を相手に大打撃を与え。

途中、虎牢関が落ちた事を知らせに来た馬に乗った小さい子と一部の兵を連れて戦場から脱出した。

これによって邪魔だった大きな軍は少なくとも被害が三割以上あり、すぐには動けず。

 

又、もう一人の敵将である張遼だが……。

なんと劉備軍に降ったそうだ。

話によると追撃の途中に俺を援護しようと探していた愛紗と出会い。

勝負して五分の戦いを繰り広げている間に友情が芽生え。

董卓の救出作戦を伝えると手伝わせて欲しいと降ったそうだ。

 

そして張遼から張譲の出兵依頼から始まる一連の顛末を聞いた俺達は決意を新たに洛陽へと向かうのであった。

 

 

 


 
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