ハッと目を覚ましたときには朝になっていた。それにしてもなんだか体が痛くて重い・・・と思っていると、俺の上に萃香が抱きつきながら寝そべっていたのだ。
寝相悪すぎだろ萃香・・・。とにかく払い除けようと萃香の腕を掴もうとするが、なかなか離れない。他のみんながまだ寝ている間に何とかしなければならないようだ。
ジュウゴロウ。(と言ってもどうするかだ・・・早くしない誰かが起きて大変なことに・・・)
ロウダイ「いや~私のドッキリはいかがですかな?ジュウゴロウ君」
すでにバレてた!!ってか、お前の仕業かこれ!!
ロウダイ「それで・・・これからジュウゴロウ君はどこへいくつもりですか?」
ジュウゴロウ「ひとまず紅魔館に帰る。それだけだな(それと、あの屈辱は二度と忘れんぞ・・・)」
アイコンタクトで会話する。幸い誰も俺と萃香がくっついていたことを知るよしはなかったので、大変な目に合うことには至らずに済む。
山を離れたその後、廃洋館へ戻って姉妹に最後の挨拶をする。
ルサナ「わざわざ手伝ってくれてありがとう」
メルラン「これからも楽器を大切にしていきますね」
リリカ「たまには私達のところにも遊びに来てね!」
ジュウゴロウ「そうだな・・・いつかまただ。あばよ!」
ボーマンダは勢いよく地面を蹴って飛び立つ。地上では姉妹達は姿が見えなくなるまで手を振っていた・・・。
ようやく戻ってきた紅魔館。しかし門の前では・・・
美鈴「zzz・・・」
やっぱり寝てるやがる。どんだけ睡魔なんだよ・・・ということで俺は息を吸い込み。
ジュウゴロウ「渇ァァァァァツ!!!!」
顔面を掴んで地面に叩きつけた。酷すぎるやり方だと言ってると、そこへ咲夜が駆けつける。
咲夜「ジュウゴロウ様、何か凄い音がしたのですが・・・」
ジュウゴロウ「妖怪が現れたからふっ飛ばしたところだ。レミリアやフランは?」
咲夜「食事をなさっております」
食堂へすぐに向かうと、ちょうど食べ終えてい二人がいた。
レミリア「おはよう、ジュウゴロウ(随分と長い散歩だったわね)」
ジュウゴロウ「(目的は分かってるクセに・・・)まだ飯を食ってないんだ。早速いただくぜ」
5分後・・・
レミリア「食べ終わった後でなんだけど、私はこれから出かなければならないの。それまでは貴方が主の代わりとしてもらうから、お願いね」
ジュウゴロウ「分かった。ほら、フランも見送りな」
フラン「いってらっしゃ~い!」
レミリアは笑いながらその場を去る。その時に妖精メイドがレミリアとすれ違い、こちらへやってくる。
妖精メイド「お客様が門前でおいでになられております。ジュウゴロウ様に用があるとおっしゃっているのですが・・・」
ジュウゴロウ「俺にか?」
とりあえず門まで来ると美鈴と話し合っている人がいた。おい美鈴、立ち直り早いな・・・と思って相手のほうをよく見てみると・・・。
ジュウゴロウ「サイじゃないか!なんでここに?」
サイ「あ、会長さん。ちょっとここにも興味があってやってきたんですよ!」
美鈴「ジュウゴロウさん、知り合いなんですか?」
ジュウゴロウ「まぁな。通してやってくれ美鈴」
美鈴「分かりました」
ジュウゴロウ「しかしここに来る前に、相当酷い目にあったようだな。妖精に襲われたか?」
サイ「え?何で分かるんですか!?湖の前で急に襲われたから逃げてきて・・・」
ジュウゴロウ「やはりな・・・あいつは俺の一番弟子だ。とりあえずあがれ」
館へ入っていく俺の前に咲夜が待っていた。
咲夜「そちらにおられる方は?」
ジュウゴロウ「俺の親友のサイだ。サイ、メイド長の咲夜だ」
サイ「よろしくおねがいします・・・」
咲夜「こちらこそ、フフッ・・・」
サイは顔を赤くして彼女が去るのを見ていた。
ジュウゴロウ「相変わらずだなお前も」
サイ「ぼ、僕の勝手です!///」
ジュウゴロウ「フンッ・・・それはいいとして、横に飛んでいるソイツはなんだ?」
俺は見たこともない人形を見て問い詰めた。それも独りでに浮いている。
サイ「この子は友達のアドだよ。いくよアド」
アド「シャンハーイ」
サイはすぐに奥へ進んでいく。ため息をつきながらも俺はその後を追いかける。
ジュウゴロウ「ところで、お前の目的は何だ?どうも興味あるだけじゃ怪しいぜ」
サイ「バレてましたか・・・実はこの世界の歴史を慧音さんから聞いたんです。その詳しいことがこの館の図書館にと」
ジュウゴロウ「歴史?」
サイ「どうやら昔、この幻想卿に龍がいたんです。最後に見たのは博麗大結界が張られた後らしくて」
そんなことがあるのか・・・ということで俺はサイを大図書館へ案内することにする。
ジュウゴロウ「しかし運がいいぜ、今は俺が留守番を頼まれてさ・・・本当の主はお前だと確実に殺されるぞ」
サイ「え?どういうことですか?」
まだ分からないようなので俺は怖そうな顔でサイを見る。
ジュウゴロウ「実はこの館の紅い色は、血の意味らしいぜ」
サイ「ち・・・血!?何かの冗談でしょ!?」
ジュウゴロウ「それが本当だ、ここは吸血鬼の住む館だからな」
慧音『紅魔館には吸血鬼が住むと言われている。くれぐれも気をつけていくようにしたほうがいいぞ』←慧音から教えられた言葉
サイ「あ、ハハハ・・・ハハハハ・・・;」
ジュウゴロウ「今は留守でいないから安心しろ。それに大人しくしてれば何も危害は与えないし・・・と、言っているうちについたぜ、大図書館だ」
大図書館へのドアまで来た。扉を開ける。
ジュウゴロウ「パチュリー!ちょっといいかー?」
俺が入ったその時、ある事が目の前で起きていた。パチュリーがどっさりと袋に詰めて逃げようかとしている魔理沙を睨んでいるのだ。
パチュリー「魔理沙、今度という今度は返してもらうわよ」
魔理沙「とんでもない、死ぬまで借りるつもりだけだぜ!」
サイ「会長さんどうかしました?・・・って、女の子が飛んでる!?」
その時にサイは魔理沙を見て驚く。その声にパチュリーが振り向き、魔理沙は目を光らせて窓から逃げ去ろうとする。
パチュリー「(しまった!)待ちなさい!」
魔理沙「大事なことで2回いうけど、私は死ぬまで借りるつもりだけだぜ!」
ジュウゴロウ「ベタな盗み方だな」
俺はナイフを投げて箒と繋がっている紐を切り落とす。袋を開けてみると何冊もの本が入ってる。
ジュウゴロウ「盗む物もダサいな・・・魔理沙、盗みってのはこうやるんだよ」
俺は魔理沙に見せるようにあるものを取り出す。
魔理沙「あ!私のミニ八卦炉!いつの間に!?」
ジュウゴロウ「交渉だ。本を全部返してくれるならコレを返す。逆らえば本とコレを盗んで吹っ飛ばす」
嫌味な交渉を魔理沙にたたきつけた。「そりゃないぜ」な顔になる。
魔理沙「分かった。今日は私の負けだけど、またいつか来るぜ!」
ジュウゴロウ「次ぎに会うときは俺と勝負で決めてやる」
魔理沙にミニ八卦炉を返すと、すぐに窓からトンズラしていった。
パチュリー「悪いわね、貴方に助けられるなんて・・・」
ジュウゴロウ「それが正義というものにすぎないさ。サイ、こいつはパチュリー・ノーレッジだ」
サイ「あの・・・僕は幻想卿の歴史が書かれた本を探してるんですけど、ありませんか?」
パチュリー「・・・小悪魔、歴史が書かれた本は確かそっちにあったわよね?」
小悪魔「はい、これですね」
ジュウゴロウ(うわっ、都合よすぎる速さで見つけやがった・・・)
これも時間稼ぎ(作者の)ためなのか、小悪魔は持ってきた本をサイに渡す。本を開けた直後にサイは驚く、
ジュウゴロウ「どうした?」
サイ「会長さん、この龍の姿見てくださいよ!」
俺はサイが見た本を覗くと、緑色の長い龍が描かれていた。俺はこいつに見覚えがあった。
ジュウゴロウ「これって・・・レックウザじゃねぇか!!」
小悪魔「れっくうざ・・・?」
サイ「僕達の世界に住む伝説のポケモンです」
ジュウゴロウ「ホウエン地方には、陸、海、空の神が住み着いており、その一匹空の神と呼ばれるのが天空ポケモン、レックウザだ。しかし何故こいつが幻想卿に?」
サイ「えっと・・・この龍はどうやら幻想卿の中で一番の神、調和神って書かれてますね」
ジュウゴロウ「破壊と創造の神か・・・」
パチュリー「そちらの伝説ではどうなっているの?そのレックウザは」
ジュウゴロウ「ん?ああ・・・何百年も前、陸の神グーラドンと海の神カイオーガが争っていた。草や木は枯れ、大地は沈み、その激突でホウエンのバランスが崩れようとしていた。だがその時、天により緑の光が雲を裂きながら照らされた直後、レックウザが姿を見せた。その咆哮は2匹のを海の底へ沈ませ、今に至ってホウエン地方は平和に保たれている」
サイ「だけど僕はあの時・・・」
小悪魔「あの時、どうかしたんですか?」
ジュウゴロウ「こいつは昔、グラードンを無理やり蘇らせようとした悪い組織、マグマ団の一人だ。そのせいか現代で再び蘇り、海が消えてしまった・・・が、それだけで終わりはしなかった。今度はカイオーガも復活し、何百年いらいの崩壊が始まった。俺とサイは止めるためにレックウザの力を借りてまた沈ませ、レックウザは去り際、俺にコレを託した」
俺はひとつの玉を取り出す。
ジュウゴロウ「レックウザを呼ぶ道具、もえぎ色の玉だ。でもまぁ、使う時はないだろうけど・・・」
俺はすぐにしまって気を入れ替える。するとパチュリーは、
パチュリー「ねぇ、そのレックウザは願い事とかって叶えさせてはくれるのかしら?」
サイ「ね、願い・・・?」
いきなりわけの分からない言葉を言いつけてきた。いやまさか・・・
ジュウゴロウ「お前、7つの玉を集めたら現れる龍だと思ってるだろ。風の力を操るだけだから叶える力なんてないぜ」
それを聞いたパチュリーはがっくしとヘコんだ。何故落ち込む。
ジュウゴロウ「けどな、願いを叶えさせてくれるポケモンならいるぜ。俺の部屋にそいつがいる」
パチュリー「! どんなポケモンか見せてくれませんか?」
うおっ!顔をこっち向けやがった!
ジュウゴロウ「分かった、連れてってやるよ・・・」
パチュリー「できるなら持ってきてほしいわ」
ジュウゴロウ「動けよ」
パチュリー「イヤよ」
どんだけなんだこいつ・・・しかたなくも俺は繭を取りに部屋へ戻る。
第20話でした。
サイが館にやってきました。やっぱり女には弱いんですねぇ・・・間違いなく騙されるのは確実でしょう。
ウィキペディアでは龍の詳しい情報がかかれてますので、「登場キャラクター」でググって見てもらえば幸いです。しかしこんなキャラがいたなんて自分でも知らなかったですよ、レックウザが速攻で思い浮かびましたし、繋がりそうなので参考できました。
あと、もえぎ色の玉とは「HG・SS」でグラードンとカイオーガを図鑑に登録しているともらえる道具です。
◆訂正
『ものみの玉』と書かれている文章ですが、正式は『もえぎ色の玉』でした。
それでは次回もお楽しみに!
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。