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鬼畜王文台 蘇りし虎は曹魏を食らう 19 第十二章四節

Degradationさん

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2009-11-16 16:26:46 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:6328   閲覧ユーザー数:4870

黄祖・許貢、魯粛・韓当、管路のモデル:

 

 

黄祖 = 雑兵(操っている人物は左慈)

 

 

許貢 = 雑兵(操っている人物は干吉)

 

 

魯粛 = アニキ(頭巾赤色 = 孫呉)

 

 

韓当 = チビ(頭巾赤色 = 孫呉)

 

 

管輅 = Fateより、魔術師キャスター   姓:管  名:輅  字:公明  真名:???

 

 

 

第十二章

 

 

 

-4-

 

 

 

[本節テーマ:奸雄の宴]

 

 

 

曹操と孫策の二王、貂蝉と卑弥呼の筋肉達磨による、傀儡狩りが始まった。

なんと曹操は孫策とともに、開幕早々、夏侯惇よろしく敵陣の真っ只中に先陣を切って

一騎駆けで特攻し始めたのである。

事前に二人で申し合わせたかのようなこの光景に、

かつて覇道を歩んでいたころの彼女の姿を知る荀彧たちは、度肝を抜かれて仰天した。

なぜなら、孫呉に倒れる前までの彼女は、よほどのことでない限り前線には立たず、

後衛で指揮を取っていた。 配下の将たちが御身に何かあってはと釘をさしていたためである。

 

しかし、鬼畜孫堅の地獄ゆずりの特訓により、彼女もまた、今までの考え方を改めざるを得なくなった。

 

 

煌蓮『一番槍はくれぐれも手下どもに渡すな!! 真っ先に特攻(ブッコ)んで、将たる者の強さを

   配下の連中に示せぇ!! 怖気付いてる鶏野郎には後でオシオキじゃぁ!!』

 

 

本来ならまさに夏侯惇の脳筋思考なのであったが、

そもそもからして、伏龍や美周郎の策すら己の武のみで踏み潰す孫呉の帝には、

何を反論しても詮無き事であった。

そして、皆が驚く中でただ一人、夏侯淵のみが、主の突撃の意味を理解していた。

龍は虎を乗せて大地を駆ける。 その姿は、まさに孫堅の戦い方そのものであった。

 

 

 

 

桂花「か…かか華琳様が、吶喊なされたですってえぇぇ!!?」

 

稟「なんと……!?」

 

春蘭「むうぅ…華琳様はいつも私には突出するなと申されていたのに…

   なぜ今日は前線に出られておるのだ!?」

 

秋蘭「ふっ…ならば我らも、華琳様や孫策殿に負けぬくらい、あの者どもを狩り尽せば良い事だ。

   最近文台様や関羽殿から負けが込んでいたからな…ここらで清算させて貰おうか。

   …姉者、我らも華琳様を助太刀するぞ!」

 

春蘭「応ッ!! 夏侯元譲、参るッッ!!」

 

桂花「ちょ、ちょっと待ちなさいよぉーーー!!!」

 

春蘭「お断りだ桂花ぁ!! ここで我ら魏武の志を見せずしてどうするのだ!!

   はーはっはっはっはっは!!!」

 

秋蘭「楽しそうだな、姉者」

 

春蘭「うむ!!」

 

穏「おおおぉ~、明命ちゃん足はやいですね~、もう宮殿の高楼まで登ってしまいましたよ~」

 

風「ぐー…」

 

稟「起きなさい風! 寝ている場合ですか!!」

 

パーン!

 

風「おおっ!」

 

 

 

雪蓮「どう? 楽しいでしょ華琳ちゃん」

 

華琳「ふふっ…ええ、楽しいわ…最高ね。 こんなに血が騒ぐのっていつ以来かしら」

 

雪蓮「あたしも最高の気分よ。 ひっさびさに暴れ回れるんだもの。

   一年…ここまで来るのに、一年かかったわ。 全部、アイツ等のせいよ」

 

華琳「さぁ…待っていろ、許貢・黄祖。 我ら二人、今こそ復讐の鬼となりてお前たちの元にはせ参じよう。

   そして貴様らを征伐し、我らは孫呉の忠臣となる!」

 

 

曹操は、背中から二本目の絶を取り出すと、鎌と鎌を正面でくっつけあわせ、

弧と弧をあわせて一つの大きな半月にした。 罪人を狩る、死を呼ぶ漆黒の半月だ。

そして、曹操は敵陣の真正面に突っ込むと、半月となった二本の鎌を押し出すように突進し、

嵐の如く傀儡たちを毟り取っていった。

王としての重責から解放されて自由の身となった曹操。

このように敵陣の真っ只中に自ら突撃していくことなど、以前なら絶対にありえなかったことだ。

その姿は、彼女がまだ龍だったころより、数倍生き生きしているように兵たちには見えた。

そして曹操と孫策は二人揃って宮殿の扉を蹴り飛ばすと、

配下の兵たちとともに我先へと館の中に特攻していった。

 

 

 

華琳「ねぇ、雪蓮。 一刀を今度私の閨に呼んでいいかしら。 ずっと気になってるのよね」

 

雪蓮「あら、じゃぁあたしも今度同席させてもらおーっと」

 

華琳「駄目よ。 だってあなた、いつも一刀にベッタリじゃない。

   仕事がはかどらないから何とかならないかって、一刀が私に相談に来たのよ?」

 

雪蓮「えー、いいじゃなーい、だってあたしたち、同じ盃を交し合った仲でしょ?」

 

華琳「それとこれとは話が別よ…って、何よあれ!? 雪蓮、見なさいあれを!!」

 

雪蓮「え…うわっ!? すごっ!!! 一気に百人くらい蹴り飛ばしてるわ!!

   なんなのよあいつら!!? もしかして、母様より強いんじゃない!?」

 

 

貂蝉「ぶうううぅぅるるるあああああああぁぁぁああああ!!!!!!」

 

卑弥呼「ふんぬううううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」

 

 

*** 諸葛亮曰く  はわわ、表現上問題のある場面なので音声のみでお楽しみくらひゃい! ***

 

ドカバキグシャベキゴスウホウホウホウホズコズコズコズコアッー

バッコンバッコングモッチュイーンメメタァズギュウウウウゥゥゥンンン!!!!

 

 

雪蓮「……すさまじいなんてものじゃないわね」

 

華琳「……見なかったことにしましょう」

 

あたりには、死屍累々たる傀儡どもの死骸が転がるばかりであった。

 

 

 

星「太平要術はどこだ!?」

 

元蜀軍兵士「まだ発見の報告はございません!!」

 

桔梗「孫呉と連携して早く見つけだせい! くれぐれも伏兵には気をつけるのだぞ!!」

 

元蜀軍兵士「はっ!!」

 

伝令兵「呉軍周泰将軍より伝令!!

     玉座の間に、将軍格と見られる二人の敵兵がいるとのことです!!」

 

星「そうか、ご苦労だった! すまぬが、至急呉の将らの元へも一走り頼めるか!?」

 

伝令兵「了解です!!」

 

桔梗「わしらも急ぐぞ!!」

 

元蜀軍兵士「応ッ!!」

 

 

 

 

白装束「これより先は通さぬ!!」

 

白装束「太平要術の書は渡さぬ!!」

 

白装束「死ぬがよい!!」

 

華琳「何度も同じことばかり…いい加減飽きが来たわ!!」

 

雪蓮「ホンットウザいわね…斬っても斬っても次々に生え出てくるし…

   血も出ないし、斬ったら透明になって消えるしで、気持ち悪いったらありゃしないわ」

 

秋蘭「全くですな」

 

春蘭「というか、厠(かわや = 便所)ではないかここは!!

   こんな所にまでこやつらは湧き出てくるのか!?」

 

雪蓮「そんなことより、何で入った先がいきなり厠なのよ!?」

 

華琳「仕方ないじゃない、裏口から入ろうって言ったのはあなたでしょう雪蓮!

   どうでもいいけど、こんなはばかりなんてさっさと出るわよ!!

   臭いし、汚いったらありゃしないわ、まったくもう!!」

 

春蘭「ん…? なんか茶いr」

 

華琳「見ては駄目よ春蘭!!!」

 

春蘭「はっはい、華琳様!!」

 

 

 

雪蓮「ようやく王宮か…」

 

華琳「そうね…この先に、かの許貢と黄祖がいると報告は聞いてるんだけど」

 

秋蘭「いよいよですな…」

 

華琳「春蘭、秋蘭! 私たちの援護を頼むわね。 開けた先にいきなり矢でも飛んでくるかもしれないから

   そのつもりでいなさい」

 

二人「御意!!」

 

貂蝉「それでは開けるわよぉん。 果てさて、何が出るやら…ほあたぁっ!!!」

 

 

バーーーーーン!!!

 

 

貂蝉は足で扉を力いっぱい蹴破った。

それと同時に、奥の部屋から何十本という大量の矢が飛来してきた。

 

「!!!!!!」

 

 

 

 

???「させぬわ! 堕(ツイ)!!」

 

 

しかし、飛来してきた矢は、奥にいたフードをかぶったなぞの女性の声により、

勢いを失い、全て地面に落下してしまった。

 

???「ちっ…」

 

???「外しましたか…」

 

雪蓮「あ…あっぶな!! あぶなっ!!」

 

秋蘭「間一髪でしたな」

 

春蘭「まったく、どこまでも卑劣な手を使うものだ!!」

 

卑弥呼「やはりうぬらであったか、左慈・干吉よ。 なるほど、他人の死体に乗り移っていたか。

     小癪なまねをしよる。 道理で判別できなかったものよ」

 

???「遅い! いつまで待たせるつもりだ、貂蝉、卑弥呼!!

     お前たちのとりえはその筋肉だけか!?」

 

貂蝉「か、管輅さま!? 申し訳ないのねぇん…」

 

管輅「謝っている暇があったらさっさと援護せんか、この男女(おとこおんな)!!」

 

華琳「管輅…? もしや、あの占い師の管輅か? 二年前に黒天を切り裂き現る天の御使いの

   噂を流したのは貴公のことで間違いないな?」

 

管輅「いかにも。 占術をやっている管公明だ。 拙いながらも、仙術や神術といった類の代物も扱える。

   少なからず、あなた方の戦力にはなろう」

 

華琳「ならばそのことについては後で聞きましょう。 あやつらが許貢と黄祖の二人で間違いないな?」

 

管輅「我の占いではそう出たな」

 

華琳「そうか…ついに見つけたぞ。 許貢、ならびに黄祖よ。

   我が友伯符を死の淵に追い込み、曹魏が滅びた原因を作った張本人どもよ。

   さあ、宴の始まりだ。 我ら曹魏と孫呉の、復讐の戦といこうではないか」

 

雪蓮「あたしたちね…本当はどっちでも良いのよ。

   あんたたちを生け捕りにしようと、首だけを持って帰ろうと。

   ホント、もうどうしょうもないくらい怒りでいっぱいなんだから」

 

黄祖「フンッ…ならばせいぜい、その怒りのままに憤死するといい。

   貴様ら傀儡の寄せ集めなんぞに用はない」

 

許貢「我らが用ある者は、北郷一刀、ただ一人です。

   彼をこの外史から抹殺すれば、われわれの仕事は、一応終わりです。

   まったく…苦労しましたよ。 正体を隠して三国の兵に成りすますのは、ね」

 

管輅「ハッ! よくも偉そうに抜かすものだ、左元放、干吉!!」 

 

黄祖「その名で俺を呼ぶな!!」

 

管輅「黙れい、小童どもが!! そういう自分たちでさえ

   借屍還魂(しゃくしかんこん = 他人の死体を借りて霊魂を復活させる。 ゾンビ。 孫堅の劣化版。)

   の術でしか現界できぬ癖しておってからに!」

 

黄祖「チッ…クソババァが…」

 

管輅「ほぉ…?? 聞こえたぞ? ならば覚悟は出来ておろうな、青二才め。

   我ら三人が援護する。 曹孟徳・孫伯符のおふた方よ、まず伝えておかねばならぬことがある。

   こやつらに斬首は効かぬ。 自分から頭と体をくっつけて生き返ってしまう

   魔道に身をやつした者どもよ。 

   手は二つある。 斬首の後で頭と首が離れている間に、頭に杭か槌を打ち込んで叩き潰すか、

   もしくは火矢を浴びせて、体ごと焼き払ってしまうが良い」

 

華琳「なるほど…委細承知した。 ならば雪蓮、これより裁きの時といきましょう。

   秋蘭! 火矢の用意を!!」

 

秋蘭「はっ!! 兵たちよ、丸太と火矢だ! 油を塗った矢を用意しろ!!」

 

親衛隊兵士「了解です!! おい、丸太と油を持って来い!!」

 

雪蓮「この孫伯符、容赦はせん。 せいぜい覚悟しろ」

 

黄祖「チッ…ガタガタやかましいんだよっ!!」

 

別のものが乗り移っていると見られる黄祖の蹴りが、孫策に向かって放たれた。

対して孫策は、二本の南海覇王を突き出すようにして蹴り出された足ごと叩き斬ろうとした。

しかし、まるで金属と金属がぶつかったかのような硬い音を立てて南海覇王ははじかれた。

 

 

ガギイイィィンッッ!!

 

 

 

雪蓮「何ッ!?」

 

華琳「何だ、奴の体は!?」

 

貂蝉「用心しなさい二人とも。 あいつは気を使えるわん。

   体内の気を自在に操って、身体強化が出来るのよ。

   もう一人のほうは、傀儡を無尽蔵に増殖することで肉の壁を作れるわ」

 

華琳「……凪と同じかっ!」

 

雪蓮「壁を作って己の身を守るか…厄介な相手ね」

 

管輅「我が連中の術を封じよう。 その間にお前たちが、奴らをまとめて始末するのだ」

 

許貢「させませんよ」

 

許貢の放った矢が、曹操らに向けて五本同時に放たれた。

しかもその弾道は、追撃弾の如く軌道を自在に変化させながら襲い掛かった。

 

貂蝉「ほぉあたたたたたた、とぉっ!!」

 

卑弥呼「ふんぬううううううう!!」

 

それを貂蝉と卑弥呼は、まるでその先の弾道が予測できているかのように、

それら五本の矢を足で蹴り落とし、手で払いのけていった。

 

黄祖「クソが…ウゼェ連中だ」

 

許貢「厄介ですね…まとめて消えてもらいましょうか」

 

許貢が、また何らかの術を発動しようと両手を掲げた。

しかし今度は、上空から飛来してきた手裏剣によって背中を刺し貫かれた。

 

許貢「ぐっ!?!?」

 

さらに次の瞬間、天井から飛び降りてきた二体の影によって、背中を切りつけられてしまった。

 

許貢「ぐおおおおおぉぉ!!!!」

 

黄祖「干吉うぅ!!?」

 

星「ご無事か!? 曹操殿、孫策殿!!」

 

明命「助太刀に参りました、孫策様!!」

 

華琳「ありかとう、助かったわ二人とも!!」

 

春蘭「しかしまだ致命傷を与えたわけではないぞ! 油断するな!!」

 

雪蓮「そのくらいわかってるわよ」

 

紫苑「お待たせしました! 杭と油です!!」

 

桔梗「火も持ってきたぞ!!」

 

黄祖「させるかぁ!!」

 

黄祖は黄忠と厳顔に向かって飛び蹴りを放ってきたが、貂蝉によって防がれた。

 

黄祖「チィッ! 余計な真似を!!」

 

貂蝉「今よんみんな。 あたしと卑弥呼が左慈ちゃんと干吉ちゃんを抑えてるから、頭に一発、

   ドカーーンと矢を撃ってしまいなさいな」

 

卑弥呼「はようせい! 長くは持たぬ!!」

 

華琳「でも、それではあなたたちが…!!」

 

管輅「心配無用ぞ。 こやつらが火矢を一本受けた程度で死に至るとお思いか?」

 

雪蓮「…思えないわ」

 

秋蘭「思えませんな」

 

春蘭「思えん!」

 

華琳「思えないわね」

 

明命「思えません!」

 

星「思えんな」

 

 

 

貂蝉「ひ、ひっどおおおおぉぉぉい!! よよよよよよ………」

 

管輅「さあ、止めを刺す役は誰だ? 弓に長ける者が宜しかろう」

 

秋蘭「ならば私が仕(つかまつ)ろう」

 

紫苑「矢に火を!」

 

親衛隊兵士「はっ!!」

 

華琳「さあ、時は来た、夏侯妙才よ、あの穢れた者どもに、曹魏と孫呉の裁きを下せ!!」

 

秋蘭「はっ!! この夏侯妙才、貴様らの死への案内人となろう! 覚悟するがいい!!」

 

夏侯淵は、自らの神弓を全力で引いた。

そして………

 

 

秋蘭「一矢一殺!! 我が弓の前に、屍を晒せえええええぇぇぇ!!!!」

 

 

二筋の閃光が、地獄から蘇った悪鬼どもを貫いていった。

 

 

 

第十二章四節終了

 

 


 
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