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真・恋姫無双~魏・外史伝55

 こんばんわ、アンドレカンドレです。
今週、見事に新型インフルエンザにかかってしまい、三日間高熱が出てしまいました。リレンザ(ザナミビル)を飲んですっかり元気になりましたので、投稿を再開します。皆さんも家に帰った時はうがい手洗いをちゃんとやりましょう。
 さて、お話は第23章・後編。一刀君と左慈君の一騎打ちが今始まります。軍配はどちらに上がるのか?
 と言う訳で、真・恋姫無双 魏・外史伝 第二十三章~今ここに存在する理由・後編~をどうぞ!!

2009-11-14 17:49:59 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4178   閲覧ユーザー数:3527

第二十三章~今ここに存在する理由・後編~

 

 

 

  

  「はぁッ!!」

  ブゥオンッ!!!

  「ふん。」

  先に仕掛けた一刀の振り下ろしの斬撃を左慈は軽く横に避ける。それを追尾するかのように、一刀は空を切った

 刃の軌道を横薙ぎに変え、横に避けた左慈に斬撃を放つ。

  ブゥオンッ!!!

  左慈はその横薙ぎを後ろに下がる事で紙一重で避ける。そして一歩二歩と多めに下がると、今度はこちらの番だ

 と言わんばかりの飛び蹴りを一刀に放って来る。

  ブォオオオッ!!!

  「うおッ!?」

  一刀は咄嗟に刃で防御を固める。鉄拵の靴を履いた足が臆する事無く刃とぶつかる。

  ガギィイッ!!!

  一刀は吹き飛ばされない様、腰を落としてその一撃を受け止める。だがその渾身の飛び蹴りを一刀は受け

 止めきる事が出来ず、両足の踵で地面を削りながら、一刀の体は後ろへと下がっていく。

  「ぐ・・・、うぅおおおッ!!」

  一刀は更に腰を落とし、右足を左足より後ろに回して支えにする事で、左慈の蹴りの衝撃を体で受け止める。

 そして両腕に力を込め、刃の腹の部分で左慈を弾き返した。

  ガゴォオオオッ!!!

  「ちぃッ!?」

  左慈は体をぐるっと返しながら、地面に着地する体勢を取る。

  「うぉおおおおおおッ!!!」

  着地するや否や、再び一刀に突撃を仕掛ける左慈。

  ブオオオッ!!!

  ガギィイイッ!!!

  左慈の放った右蹴りを刃で受け止める一刀。

  「はぁッ!」

  ブゥオンッ!!!

  ガギィイイッ!!!

  一刀が返しに放った振り下ろしを器用に左足で受け流す左慈。

  「せゃあっ!!」

  ブオオオッ!!!

  一刀の振り下ろしを受け流した左慈は再び攻撃に転じる。だが、その蹴りは一刀を捉えず、空を切る。

 左慈の目の前にいたはずの一刀はそこにいなかった。

  「はッ!!」

  咄嗟に加速を使った一刀は左慈の背後を取る。刃を両手で握って右袈裟切りを左慈の背中に落とす。

  「甘いっ!!」

  ドガァッ!!!

  「ぐふぅ・・・ッ!?」

  だが、一刀が刃を振り下ろす前に左慈が背後に向かって放った肘鉄が一刀の鼻に入り、それは不発に終わる。 

 自分の鼻を押さえながら、後ろへと下がる一刀。それを追って、左慈も後ろを振り返ると一刀を追いかける。

  「はぁあああッ!!」

  「・・・くそッ!」

  流れる鼻血を手で拭うと、刃に手を掛ける一刀。

  ブォウンッ!!!

  近づいてきた左慈に迎え撃つ形で一刀は体の回転を加えた横薙ぎの斬撃を左慈に向かって放つ。

  ガッギィイッ!!!

  だが、その渾身の一撃は着地と同時に左慈が挙げていた左足の裏で受け止められてしまう。左慈はすかさず

 刃を踏み台にして、一刀の左頬に右足による横蹴りを放つ。

  ドガァッ!!!

  「ぐはぁッ!!!」

  両手で刃を握っていた一刀は左慈の横蹴りを右頬にまともに貰い、ぐるっとその勢いで後ろを振り返る。

  「どうした、北郷?貴様はその程度か?」

  「・・・ぐッ。」

  くくく・・・と、喉で笑う左慈に対して、とりあえず一回転した一刀は左慈を睨みつけながら、蹴られた左

 頬を左手の甲で拭う。左頬は左慈の蹴りですこし赤く腫れ上がっていた。

  「・・・まだだ!」

  そう言って、一刀は刃を握り直す。

  「・・・そうこなくてはな!」

  そう言って、左慈は構え直す。

  

  ガギィッ!!ガゴォッ!!ガギィッ!!ガギィッ!!ガゴォオッ!!

  「でやぁあああッ!!!」

  「うぉおおおおッ!!!」

  ブゥオンッ!!!ブオオオッ!!!

  ガギィイイイッ!!!

  一刀の放つ刃の斬撃と左慈が放つ蹴撃が何度もぶつかり合う。

  「はぁッ!!」

  ブゥオンッ!!!

  「くッ!?」

  咄嗟の判断で、左慈が放った横蹴りを一刀はしゃがんで避けると、その体勢から刃で左慈の足を払う。

 蹴りを放った直後だった左慈は片足で立っていた状態であったため、足払いを受けた左慈の体は体勢を崩して

 しまう。

  「ッ!!」

  「せぃッ!!」

  ブゥオンッ!!!

  体勢を崩した左慈に今度はこちらの番と言わんばかりに、一刀が攻撃を続けて仕掛ける。左慈は一刀の連続

 の攻撃を体勢を整えながら、紙一重でかわしていく。

  ザシュッ!!!

  一刀の放った突きが左慈が上に来ていた白装束の裾を切り裂く。

  「くっ!?」

  そのせいか左慈は足を止め、両足の踵を地面につける。

  「はぁあああッ!!!」

  ブゥオンッ!!!

  動きを止めた左慈に横薙ぎの斬撃を放つ一刀。

  ザシュッ!!!

  左慈の白装束が横にバッサリと切り裂かれる。だが、そこに左慈の姿は無く、いつの間にか一刀の足元に滑り

 込んでいた。左慈は白装束を身代りにして一刀の注意を逸らし、その隙に一刀の足元へと滑り込んだのだった。

 白装束を脱いだ左慈は半袖の前掛けのついた深緑色の一枚着を身に付けており、腹の部分にはひし形の穴があり、

 そこからへその部分が見え、そして一刀と同様、その体が同化を始めている事も見て分かる・・・。

  仰向けの体勢から左慈は一刀に向かって上に蹴りを放つ。一刀はその思わぬ場所から攻撃に対応できず、防御

 を取れぬまま攻撃を受けてしまう。

  ダコォオッ!!!

  左慈が放った蹴り上げが刃の柄尻を捉え、刃は一刀の手から空に向かって弾かれる。

  「はぁあああッ!!」

  「っ!」

  攻撃と防御の要であった刃を失い、丸裸になった一刀に左慈は下から容赦なく蹴撃を叩きこんでいく。

  ドガァッ!!ドガァッ!!ドガァッ!!

  「ぐぅ・・・ッ!!」

  刃を失った一刀は一旦左慈から距離を取るべく、後ろへと下がる。仰向けになっていた左慈は首跳ね起きで

 起き上がると、後ろに下がった一刀に追撃をかける。

  ブオオオッ!!!ブオオオッ!!!ブオオオッ!!!

  左右から放たれる左慈の横蹴りを両腕を盾に受け止める一刀。だが、その鉛の様な重さの一撃に両腕は

 赤くはれ上がるも、それでも左慈は止める様子もなく攻撃を続けていく。

  ドガァッ!!ドガァッ!!ドガァッ!!

  「おらぁあああっ!!」

  そして左慈は右回し蹴りを一刀に叩きこむため、ぐるりと後ろを振り返った瞬間。

  ブオオオッ!!

  「ッ!」

  左慈が回し蹴りを放つ前に、一刀は思い切って前に飛び出す。それによって間合いを詰められ、左慈の

 回し蹴りは不発に終わる。さらに詰めた一刀の右拳から放たれた拳打が左慈の右頬を捉える。思わぬ反撃に

 左慈は体勢を崩し、後ろに倒れそうになるのを堪える。

  「ふぅっ!!」

  「なっ!?」

  ドガッ!!

  ドゴォッ!!

  バッコォッ!!

  「がはぁ・・・ッ!?」

  追い打ちを掛ける様に、一刀が左慈に拳打、足蹴りと格闘を仕掛けていく。

 左慈は防御をする事も出来ず、顔、腹に一刀の格闘をまとも受け続けてしまう・・・。

  「はぁっ!」

  一刀は右拳に力を集中させていく・・・。そして右拳から青白い光が放たれ、右拳を包み込んでいく。

 そして、一刀はよろよろになった左慈の顔に右ストレートを放つ。だがよろめいていたはずの左慈は、

 一刀の右拳より遅くに右拳打を放つ。

  ドガァッ!!

  「ぐぅ・・・!」

  二人の右腕は交差し、先に放ったはずの一刀の右頬に左慈の右拳がまともに入る。格闘の技術では、

 やはり左慈の方が上であった・・・。一刀の右拳を包んでいた青白い光は一瞬にして拡散し、消える。

  「はぁあああッ!!!」

  今度は左慈が攻勢に回る。目の焦点が合っていない一刀に、先程決め損ねた回し蹴りを連続で放つ。

  ドガッ!!ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドゴォッ!!

  「がはぁ・・・!」

  何度も蹴りが身体に叩きこまれる一刀。服が所々切れ、破け、その合間から同化した体が垣間見える。

 口内を切ったのか、蹴られる度に口から血が吹き出る。

  バッコォッ!!

  「な、がぁ・・・!!」

  左慈が最後に放った直蹴りが一刀の胸を捉え、一刀は後ろに吹き飛ばされ、地面に大の字に倒れる。

 左慈は仰向けに倒れた一刀の上にまたがり、マウントを取る。

  「でぇぃッ!」

  ドゴォッ!!

  「うぐッ!」

  マウント状態の左慈は一刀に容赦なく拳を振り落とす。手を出そうにも、両腕共に左慈の膝の下敷きなって

 いて動かすに動かせない。

  ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

  一刀の顔に何度も何度も強く握りしめられた左慈の拳が振り落とされる。左慈の拳には一刀の顔を殴りつける

 度に赤い糸を引く。

  「ふぉおおおっ!!」

  左慈は一刀の顔面を何度も殴りつけていた右拳をやや高く上げ、ぐったりとした一刀の顔面に渾身の一撃を

 振り落とす。

  ガシィッ!!

  「っ!?」

  「・・・・・・。」

  だが、一刀は両腕を下敷きにしていた左慈の膝を強引に振り払い、右拳が顔面すれすれの所で左慈の右腕を

 捕まえるとその体勢からぐるっと左慈ごと転がり、マウントになっていた左慈と入れ替わる。そして、マウント

 状態になった一刀は左腕で左慈の首元を抑え込むと、右拳で左慈の顔面を殴りつける。

  ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

  「ごぼぉ・・・!!」

  そこから抜け出そうと、左慈は自分の首を抑え込む一刀の左腕に下から掴むと、一刀と自分の間に曲げた

 左足を入れると、一刀の腹を上に押し上げ、浮立った一刀の体を横に投げ飛ばす。

  「ぐ・・・、うぅ・・・はぁ・・・!」

  「・・・がぁはぁ・・・、がぁ・・・、はぁ・・・!」

  マウント状態でなくなった二人は地面に倒れ、乱れた呼吸をしながら、立ち上がろうとする・・・。

  

  「左慈ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっ!!!」

 

  「北郷ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!」

 

  互いの名前を叫びながら、立ち上がる二人。体はぶるぶると震えながらも、それでも立ち上がり、二人は拳を

 上げて走り出す。

  ドガァッ!!!

  「がっはぁ・・・!」

  「ごっほぉ・・・!」

  振り上げた二人の拳が互いの顔面にめり込み、よろける二人。それでも二人は拳を振り上げる。

  ドガァッ!!!

  「ぐぅッ!!」

  ドガァッ!!!

  「ごぁッ!!」

  ドガァッ!!!

  「が・・・っ!!」

  ドガァッ!!!

  「だ・・・っ!!」

  殴っては、殴られ、殴っては、殴られ・・・。渾身の一撃を相手に叩き込み、相手からも渾身の一撃を

 叩き込まれる・・・。殴られる度に血が流れ、骨が軋む音が鳴る・・・。二人の顔はすでに血で濡れ、大きく

 腫れ上がっている・・・。無意識の中ではあるが、二人の拳には力が集中し、青白い光に包まれていた・・・。

  「がぁあああああああああっ!!!」

  「ヴぅおおおおおおおおおっ!!!」

  ダゴォオオッ!!!

  同時に放った二人の拳が二人の頬を同時に捉える・・・。二人の腕はねじれるくらいに交差し、二人の拳は

 二人の頬にめり込む・・・。

  「ぁ・・・!!」

  「ぅ・・・!!」

  意識が一瞬飛ぶ二人・・・。白目を向け、二人は仰向けに倒れる・・・。

  「・・・・・・ぁあ・・・。」

  「・・・・・・ぅう・・・。」

  すでに肉体は限界を超えているはずなのに、それでも立ち上がる二人・・・。二人の体に埋め込まれた無双玉

 のもたらす力・・・、いや、それだけではないだろう・・・。二人の『負けられない』という思いが二人を突き

 動かしていた・・・。今、二人は気力で戦っているのである。

  

  「まだだ・・・、まだだぁあああッッ!!!」

  「うぅぉおおあああああああああッッ!!!」

  立ちあがった二人はのそのそとふらつきながら、やや前のめりに近づいて行く。二人の視線は目の前だけに

 向き、二人の視線がぶつかり合う・・・。つたない足取りで、体が上下に激しく揺れる二人の身体・・・。

 

  「この・・・、へたれ野朗がっ!!」

  バゴォオオッ!!!

  「がはぁ・・・っ!!」

  先に左慈の放った右拳が一刀を捉える。一刀は後ろに後ずさるが、倒れる寸前で足を踏ん張る。

 

  「この・・・、中二野郎がっ!!」

  バゴォオオッ!!!

  「ぐぉ・・・っ!!」

  次に一刀が放った左拳が左慈を捉える。左慈は後ろに後ずさるが、倒れる寸前で足を踏ん張る。

 

  「・・・ち○こ野朗がッ!!」

  バゴォオオッ!!!

  「がふ・・・っ!!」

  左慈の放った左拳が一刀を捉える。一刀は後ろに後ずさり、片足が折れそうになるのを寸前で足を

 踏ん張って押し留まる。

 

  「・・・根暗野朗がッ!!」

  バゴォオオッ!!!

  「だはぁ・・・っ!!」

  一刀の放った右拳が左慈を捉える。左慈は後ろに後ずさり、片足が折れそうになるのを寸前で足を

 踏ん張って押し留まる。

 

  「・・・優柔不断野郎っ!!!」

  バゴォオオッ!!!

  「ごはぁ・・・っ!!」

  左慈の放った右拳が一刀を捉える。一刀は後ろに後ずさり、仰向けに倒れる。一刀は口元を拭いながら

 体を起こし、左慈に対峙し直す。

 

  「・・・もやし野郎っ!!!」

  バゴォオオッ!!!

  「ごはぁ・・・っ!!」

  一刀の放った左拳が左慈を捉える。左慈は後ろに後ずさり、仰向けに倒れる。左慈は口元を拭いながら

 体を起こし、一刀に対峙し直す。

 

  「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。」

  「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。」

  すでに息が上がり、肩で息をする二人・・・。次の攻撃が最後になろうとしていた。

 二人は拳を振り上げ、それを相手に叩き込もうと近づいて行く・・・。

  「「うぉおおおおおお・・・ッ!!!」」

  掠れた声の奥から雄叫びにも似た叫びを上げながら、拳を振り下ろした。

  バゴォオオオッ!!!

  「ごはぁ・・・ッ!?!?」

  「・・・・・・っ!!」

  先に拳が届いたのは、一刀だった。一刀の振り下ろした右拳が左慈の右拳よりも先に、左慈の左頬を

 捉え、ねじり込むように叩き込む。口から血が噴き出し、目の焦点をぶれさせながら後ろへと後ずさる

 左慈・・・。

  「・・・・・・・・・ぐっ!!」

  両足の膝を折り、後ろに倒れそうになるのを堪える左慈。

  「まだ・・・、まだだぁっ!!」

  俯いていた左慈の顔が上がると同時に、折れた右足を上げ一刀の顎を蹴り上げる。

  バゴォオオオッ!!!

  「・・・・・・ッ!!!」

  一刀は顎に左慈の一撃をまとも喰らい、宙に吹き飛ばされる。

  ドサァアアアッ!!!

  宙に吹き飛ばされた一刀の体は地面に落ち、一刀は大の字になって倒れ、そのまま気を失う。

  「・・・が、ぁあ・・・、あぁ・・・っ。」

  ドサァッ!!!

  そして、左慈もまた渾身の蹴りを放った後、糸が切れた様にその場に崩れ去り、大の字に倒れてしまった・・・。

  

―――倒れた二人の間に一筋の風が吹く・・・。

 

―――二人の間に生じた深い溝をすり抜けていくかの様に・・・。

 

―――二人は言うなれば、光と闇・・・。

 

―――北郷一刀という光の裏に左慈元放という闇が存在する・・・。

 

―――この関係は決して変わる事は無く、決して終わる事は無い・・・。

 

―――だからこそ、この二人の間に生じた溝が埋まる事は決してない・・・。

 

―――一刀が外史を肯定し、左慈が外史を否定し続ける限り・・・。

 

―――全てはあの時から始まった・・・。

 

―――たった一つのあの外史から・・・。

 

  「北郷ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

  

  「・・・・・・・・・。」

  おぼろげな意識の中で、一刀は自分を呼ぶ声に気付く・・・。

 仰向けに倒れたまま、目を横にやると、地平線の向こうから馬に乗ってこちらに近づいて来る春蘭達の姿。

 彼女達の姿が見え、安心したのか、一刀はそこで意識が完全に失う。その顔はとても安らいで

 いた・・・。

  そして、左慈は・・・、すでにその場にはおらず・・・。

 残るは彼が身に纏っていた白装束がその場に残されていた。その装束の裾から、一本の巻物が転がり

 外に現れる。それは秋蘭が五胡の戦いの中で見つけ、そして命を狙われる事にもなった。祝融が躍起

 になって探させていた巻き物だった。だが、肝心の中身は秋蘭でも、桂花でも解読できず・・・。

 だが、それもそのはず。その巻物に描かれた内容など、大した意味など無いのだから・・・。

 

  それから数刻後、春蘭達に発見された一刀・・・それと一緒に、巻物も回収される。

 意識を失ったまま、ぼろぼろになった一刀は華琳達が待つ本陣へと運び込まれる。一刀の元に我先にと駆け

 付けた華琳の手には彼が身に着けていたポリエステルの制服だった・・・。最後に思わぬ事態が起きたものの

 祝融を倒した事によって、魏領内で起きていた五胡との戦いは一旦終焉を迎える。そして一刀を軸に、

 再び巻き起こった動乱はこれにて終息するのであった。だが、一刀の戦いはまだ終息を迎えたわけでは

 無い。そして、左慈との戦いで必要以上に力を使ってしまった一刀の体は同化が進行してしまい、結果、一刀

 が無双玉と完全同化するまで・・・、後1ヶ月を切ってしまった。華琳達に残された時間はもう、ほとんど

 残されていなかった。

 

  そして、物語は終盤へと一気に収束していく・・・。


 
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