スマブラ四天王、瑠璃、ダークリンクは、ついに闇の化身ダーズを倒した。
しかし、世界はまだ元に戻っていなかった。
光の世界でキーラ、闇の世界でダーズは倒したがあくまで撤退しただけで、完全に敗れたわけではないからだ。
「……う~む」
「どうしたんだ、リンク?」
リンクは、一人で腕を組んで考え事をしていた。
気になったマリオは、彼に声をかけた。
「キーラとダーズって、この世界を侵略しに来たんだよな。その割に、なんで仲が悪いんだ?」
「そこからかよ」
リンクは、キーラとダーズの行動に疑問を浮かべていた。
強大な力を持っているにも関わらず、協力しないのはおかしいと思ったのだ。
それは、現実世界でも同じかもしれないが。
「確かに、どっちも悪い奴なら、一緒に襲ってくるはずだよね」
カービィもこの事については疑問に思っていた。
歴代の大ボスが一斉に迫ってくる事はあったが、今回は何故か一体一体を相手にしている。
どうしてだろうとカービィが考えようとした時。
「鋭いな」
「うわっ!?」
「マスターハンド様!?」
「クレイジーハンド様まで!?」
突然、マスターハンドとクレイジーハンドがマリオ達の目の前に現れた。
ピカチュウ、アイシャ、ドリィは、二柱の神がいきなり出てきた事に驚く。
マスターハンドとクレイジーハンドは「すまない」と謝った後、事情を話した。
「キーラとダーズが撤退した事で、私達を支配する彼らの力が弱まった」
「だから、君達の目の前に現れる事ができた」
どうやら、光と闇の力が弱くなったため、一時的にこの世界に姿を現す事ができるようになったようだ。
マスターハンドは早速だが、と口(?)を開く。
「キーラとダーズがこの世界を侵略した理由を調べてみたら、彼らの過去が分かったんだ」
「彼らにはすまないと思うが……ここで話そう」
「いや、君が謝る必要はない。僕にとって、こいつらは“侵略者”だからな」
シャドウはあくまで、キーラもダーズも、この世界の侵略したものである事に変わりはないと言った。
マスターハンドとクレイジーハンドは頷くように身体を動かす。
「いいか、最後までちゃんと聞くんだぞ」
「これは君達の道を決める、重要な話だからな」
そして、マスターハンドとクレイジーハンドは、この話がキーラとダーズに聞こえないように認識阻害結界を張った後、
光の化身キーラと闇の化身ダーズの過去を話した。
宇宙空間の中で、翼を持つ白い光と触手を持つ黒い生物がいがみ合っていた。
『世界を照らすのは光だと、あれほど言っても分からないのか? ダーズ』
『いや、闇こそが至高だ。キーラ、貴様の光は世界に必要ない』
『ほう……人々が求める光を必要ない、だと?』
『闇がなければ光が生まれないとは言うが、それでも世界に必要なのは、闇なのだ』
「キーラとダーズは、私達と同時期に生まれた神だった。キーラは光と秩序を、ダーズは闇と混沌を司った」
「だが、キーラとダーズは折り合いが悪く、事あるごとに衝突を繰り返していた」
全員、マスターハンドとクレイジーハンドの話を真剣に聞いていた。
キーラとダーズは元から仲が悪かったため、衝突するのも無理はないと感じた。
白い光――キーラと黒い生物――ダーズは、互いに光と闇の優位さを説いた。
『光は確かに束縛という悪しきものがある。過去と答えも、時に絶望を生む。だが、秩序と安定という、良き部分はある』
『闇は確かに混沌と謎を象徴するものだ。変化も、時に悪い方に傾く。だが、自由と未来という、良き部分はある』
「キーラとダーズはどちらが優れているのか、話し合いやそれぞれの行動で決めようとした」
「しかしそれでも、決着がつく事はなかった」
『埒が明かん。どうすればよいのだ』
『ならばキーラよ、ここで一つ、勝負をしようではないか』
『……勝負?』
『この世界でどちらがより優れているのかを決める、単純だが明快な勝負だ』
『そうか……それならば、手っ取り早いな。今までのやり方が、実に愚かしい。賛成だ』
『では、戦場を決めよう。……ここだ!』
キーラとダーズはそう言って、空の彼方へと飛んでいった。
「最終手段として、キーラとダーズは、どちらがより優れているかという事を証明するために、一つの勝負をする事にした」
「争いの地として選ばれたのは、『この世界』――争いの世界だった。その世界で争い、優劣を決める事で、雌雄を決しようという事なのだ」
「しかしその世界には元々、様々な動物、植物、種族が住んでいた。だから彼らは、そいつらの肉体を奪い、器に入れ、手駒として使役した」
「それがスピリッツだったのね」
今まで解析・解放してきたスピリッツの生まれ方を知ったベルは、神妙な面持ちになった。
スピリッツも、元はこの世界の住民だったのだ。
「後はご存じの通り、カービィ、シャドウ、ベル以外の全てのスマブラメンバーはキーラとダーズに敗れ、母体をスピリッツを入れる器として使われた」
「これが、今回の異変の真相だ」
マスターハンドとクレイジーハンドにより、争いの世界で起きた異変の真相が分かった。
争いの世界の住人は、神々の戦いに否応なく巻き込まれたという事になるのだ。
「キーラとダーズは勝負のためなら俺達の都合などお構いなしか」
全ての真実を知ったマリオが呟く。
「いつもは言い争ってる奴らも、こいつらが来れば手を繋ぐ……のはこの世界だけなのよね」
ミロも皮肉たっぷりに現在の状況を言った。
もっとも、彼女の上司は、そんな事が起きたらすぐにやり直せるのだが。
「ぐっ……!」
すると突然、マスターハンドとクレイジーハンドが苦しみ出した。
「ど、どうしたんだ、マスター! クレイジー!」
「キーラとダーズが、目覚めようとしている」
マスターハンドとクレイジーハンドは途切れ途切れにマリオ達に話した。
どうやら、撤退したキーラとダーズが力を取り戻しているようで、再び彼らに支配されようとしていた。
「私達はここまでのようだ」
「待ってください、マスターハンド様!」
「行かないでください……!」
アイシャとドリィが止めようとするが、マスターハンドとクレイジーハンドは苦しそうに「やめてくれ」と言う。
二人のメイドは悲しげな表情になった。
「私とクレイジーハンドは信じている」
「だから、もう……」
「「君達が道を決めてくれ」」
マスターハンドとクレイジーハンドはそう言い残すと、ファイター達の目の前から消滅した。
「……分かっているよな、みんな」
「うん」
「ああ」
「ええ」
リーダー格であるマリオの言葉で、その場にいるファイター全員が頷いた。
キーラとダーズの過去と野望は全て知った。
だから、ファイター達が取る道は、もう1つしかなかった。
「よく考えてみると、キーラとダーズ、どちらか片方を倒したら、もう片方の野望が達成しちゃうのよね」
「ええ。白夜に付いても暗夜に付いても、真の平和は訪れませんでした。つまり、光を選んでも闇を選んでも、未来はない、という証明です」
「キーラもダーズも侵略者である以上、僕達はそいつと戦う使命がある」
「だから、二人ともやっつける!」
そう――キーラとダーズを両方とも打倒し、争いの世界に真の平和を取り戻すのだ。
「いくぞ。光と闇が混ざる道に……!」
そう言って、ファイター達は、最終決戦の場に飛び込むのだった。
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最終決戦前の準備。
キーラとダーズにストーリー性を持たせたくて、この話を書きました。