その頃、カービィ達はというと。
「どうでもいいけど、ボク達ここまで空気になってない?」
「確かに……こんな場所に来てからね」
シャドウやベルと同じく、見慣れない場所に飛ばされてしまった。
ちなみに、今喋っているのは、ここまで出番がなかったバンジョーとカズーイである。
「ごめんごめん、すっかり忘れてた。でも、みんないなくなっちゃったね……」
今、カービィと一緒にいるスマブラメンバーは、ピカチュウ、シーク、アイスクライマー、ウォッチ、ドクター、ロート、ピット、スネーク、
ロックマン、パックマン、ソレイユ、リュンヌ、シモン、バンジョーとカズーイ、ジュカイン、アイシャ、ダークリンクの17+1人だ。
「これからどうしよう……」
みんなとはぐれてしまい、帰るような道もない。
カービィが途方に暮れていると、アイシャが彼をひょいっと持ち上げた。
「どうしました、カービィさん? いつもの元気がありませんね」
「わわっ、何するのアイシャちゃん!」
「カービィさんはどんな時も明るく元気なはずです。なのに、こんなに落ち込むなんて、カービィさんらしくありませんよ」
確かに、今のカービィは落ち込んでいる。
そんなのは彼らしくないだろうと、アイシャが気遣ってくれたのだ。
カービィは少し迷うが、アイシャの好意に答えないわけにはいかないと、素直ににこっと微笑んだ。
「……そうだよね。元気じゃないとね。ありがとう、アイシャちゃん。よーし! 頑張るぞー!」
ぶんぶんと小さな腕を振るカービィ。
いつもの彼に戻ったアイシャは、安心して微笑むのだった。
「じゃ、脱出方法を考えよう」
「そうだな。……っと、ちょっと待て」
先に進もうとするとダークリンクのボディに宿ったタートナックのスピリッツがいた。
「傀儡となったスピリッツだな。私が解放しよう」
タートナックをシモンが解放すると、分厚く覆っていた暗黒の雲が晴れた。
岩の床が宙に浮いており、奥には町や森があり、罅割れて先に進めないところもある。
簡単に言えば……「カオス」だ。
「……何、これ」
「どんな場所なんだよ……」
カービィはあまりのカオスさにぽかんとする。
アイスクライマー、パックマン、ジュカインも頭に?マークを浮かべていた。
さらに、罅割れた場所にはクレイジーハンドと鎖で縛られた赤い帽子の男もいた。
最近スマブラメンバーになったばかりの、テリー・ボガードだ。
「テ、テリくん!」
「彼も被害者になるとはな……」
同じ異世界の住人であるシモンが冷静に言う。
「た、助けてよ!」
「もちろんそのつもりだ。だが、落ち着け。慌てたら相手の思う壺だ」
「そ、そ、そうだね、シモ兄……」
シモンに言われたカービィは逸る気持ちを抑えた。
「とはいえ、こんな不思議な空間は、さっさと脱出しなくちゃな」
カービィ一行が北東に向かって走ると、ロックマンのボディに宿るアクセルのスピリッツを発見した。
ジュカインが楽々解放した後、一行は色とりどりのキューブを見ながら足場を歩いていく。
「綺麗だね」
「そうね」
アイスクライマーがキューブを見てそう言う。
しかし、不気味な空間にぽつんとあるキューブが、逆により一層不気味な空間にしていた。
そして、橋を渡ろうとした一行は、クレイジーハンドと闇の呪縛を受けたテリーと対峙する。
「頼むぞ、ブレイズ」
ロートは、リザードンのブレイズが入ったモンスターボールを持っている。
クレイジーハンドとテリーには、ロート、スネーク、ジュカイン、アイシャ、ダークリンク、バンジョー&カズーイの四人と一匹と一頭と一羽が挑む。
「強そう……でも、諦めないよ、カズーイ」
「あったりまえよ! あたいとバンジョーの絆はとっても強いのよ!」
「今、助けますわ、テリーさん!」
「気は進まんが、仕方ねぇな」
アイシャは懐から包丁を抜き、ダークリンクは魔剣を構える。
「さあ、いくぞっ!!」
スネークの掛け声と共に、戦闘が始まった。
「それっ!」
「やあっ!」
バンジョーとカズーイはクレイジーハンドとテリーを同時に攻撃する。
ジュカインはいあいぎりを放つが、クレイジーハンドとテリーには当たらなかった。
「うわっとと!」
ダークリンクは躓いてしまい、魔剣が上手く振り下ろせなかった。
「ブレイズ、かえんほうしゃ!」
「リザァァァァァ!」
「こっちですわ!」
ブレイズはロートの指示で、口から火炎を放つ。
アイシャは様子を見つつ、味方を援護する。
「そこだ!」
スネークはアイシャの援護を受け、クレイジーハンドにギリギリで狙撃銃を当てた。
アイシャはクレイジーハンドとテリーの攻撃をギリギリでかわし、包丁で反撃する。
「……バーンナックル」
「危ないですわ!」
「わわっとと!」
テリーは炎を纏った拳を振り、バンジョーとカズーイに突っ込んでいく。
アイシャのおかげで、バンジョーとカズーイは何とか攻撃をかわす事に成功した。
「はっ!」
「ギャアアアアアアアアアアア!!」
ダークリンクは何とか、魔剣をクレイジーハンドに当てる。
その一撃が効いたのか、クレイジーハンドは叫び声を上げる。
「いくわよ!」
カズーイは口から卵爆弾を放ちクレイジーハンドに追撃する。
「エナジーボール!」
「ブレイズ、いわくだき!」
「リザァァァァァッ!」
ジュカインはエネルギー弾を放射状に放ち、クレイジーハンドの体力をそこそこ、テリーの体力を少し減らす。
ブレイズもテリーをいわくだきで殴りつける。
「身支度を! ……きゃぁぁっ!」
アイシャは手早く身支度を手伝い、味方全員の攻撃へ対する回避率を一時的に向上させる。
だが、アイシャ本人の回避力が下がったため、クレイジーハンドの攻撃を受けてしまった。
「なんて強さだ……」
「俺の攻撃も、なかなか当たらなかったぞ」
ロートとスネークは、クレイジーハンドとテリーの強さに唖然とした。
闇の呪縛を受けたとはいえ、この強さなのだから。
「カズーイ……これ、負ける気がしない?」
「馬鹿! 何言ってるのよ! あたいとバンジョーが負けるわけないでしょ!」
弱気になるバンジョーを叱咤激励するカズーイ。
「そうだよね、カズーイ……うん、負けないぞ!」
元気を取り戻したバンジョーは、クレイジーハンドに突っ込んでいく。
ジュカインとテリーは互いの攻撃をかわす。
「これで、どうですの?」
アイシャはボム兵をクレイジーハンドに投げる。
ボム兵は大爆発し、テリーにも僅かなダメージを与えた。
「おらぁっ!」
ダークリンクは魔剣を薙ぎ払い、クレイジーハンドを切り裂いた。
その一撃により、クレイジーハンドは倒れ、無防備になった。
「このまま決めるぞ!」
ダークリンクは魔剣を連続で振ってクレイジーハンドを攻撃する。
「シザークロス!」
ジュカインはテリーを十字に切り裂いて怯ませる。
バンジョーとカズーイはクレイジーハンドに突っ込んで連続攻撃した。
「ブレイズ、フレアドライブ!」
「リザァァッ!」
ブレイズは炎を纏った突進で、クレイジーハンドに大ダメージを与える。
アイシャは身を守り、相手の出方を伺った。
「はっ!」
スネークは麻酔銃を取り出し、テリーを撃ち、彼を無力化する事に成功した。
「後はクレイジーハンドだけだが……」
テリーを無力化したため、残る敵はクレイジーハンドのみ。
だがクレイジーハンドは攻撃の手を緩めない。
「グギャァァァァァァァァァァァ!!」
「ぐわぁぁぁっ!」
「きゃぁぁぁっ!」
クレイジーハンドは大暴れして、全員に大ダメージを与える。
六人はダメージが蓄積し、ふらふらしていた。
だが、これがクレイジーハンドの最後の足掻きなのか、これ以上強力な攻撃はしなくなった。
「このまま一気に決めるぞ!」
「ああ!」
ダークリンクは魔剣から衝撃波を飛ばし、ブレイズはかえんほうしゃ、バンジョーとカズーイはワンダーウィングで攻撃する。
「殺菌消毒ですわ!」
アイシャは調理器具を大量に取り出し、クレイジーハンドに連続で投げつける。
「ブレイズ、フレアドライブ!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」
何度も攻撃を食らったクレイジーハンドに、ブレイズがフレアドライブで突っ込んでいった。
そして、今の一撃でとどめを刺されたクレイジーハンドは爆発四散するのだった。
「う、う~ん……ここは、どこだ?」
ダーズの呪縛から解放されたテリーは、瞬きしながら起き上がる。
彼の眼は、元の青色に戻っていた。
「ジツハ、カクカクシカジカデス」
ウォッチは、これまでの事情をテリーに話した。
「ああ、大体分かったぜ。要するに、みんながバラバラになったから、合流したいんだろ?」
「ソウデスネ。コノニンズウデハ、チョットココロボソイノデ、アナタモイッショニイキマショウ」
「ああ、そのつもりだ。おっと、自己紹介を忘れてたな。俺はテリー・ボガード、よろしくな!」
「ヨロシクオネガイシマス」
ウォッチとテリーは、お互いに握手した。
こうして、伝説の狼、テリー・ボガードが仲間に加わるのであった。
~ベルのスピリッツ名鑑~
タートナック
出身世界:ハイラル
性別:不明
鎧を着て剣と盾で武装したモンスター。
盾によるガードは堅く、剣術や足蹴りなどで攻撃をしてくる。
その剣術はかなりの腕前で、その辺の雑魚とは一線を画する。
アクセル
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性型
いつ、誰が、何のために作り出したのか不明。
自警団に拾われたが仲間がイレギュラーになり、イレギュラーハンターになる事を決意した。
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闇の世界・カービィ編のスタートです。
この空間も、なかなかカオスでしたね。