No.1061631

スマブラ Stern des Lichts 66 ~左手の従者は魔法を操る~

Nobuさん

闇の世界・ベル編スタートです。
オリジナルキャラを中心に動いていくので、結構書きやすかったです。

2021-05-12 11:59:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:322   閲覧ユーザー数:322

 その頃……。

 

「あ~あ、なんでこんな場所に飛ばされたのかしら」

「仕方がないだろう、想定外だったからな」

 死神の女性、ベルが愚痴を吐きながら歩いていく。

 ベル達もまた、謎の敵が襲撃した事によりカービィやシャドウなど、他のスマブラメンバーとはぐれてしまった。

 今、周りにいるのはリーダーのベルの他に、サムス、フォックス、ファルコン、プリン、クッパ、ピーチ、ルカリオ、ディディーコング、

 トゥーンリンク、オリマー、りょう、シュルク、マール、パックンフラワー、ジョーカー、瑠璃の17人だ。

「とにかく、先に行くしかないみたいね」

 四方八方は闇で覆われており、行ける場所は吊り橋のみ。

 もし、足を踏み外せば……そう思うと足がガクガクと震え出す。

 だが、立ち止まってはいつまで経っても前には進めない。

 

「こ、こわいでしゅ……」

 一行は吊り橋を慎重に渡っていく。

 ミシッ、ミシッ、という音が、一行の不安を煽る。

「プリン、僕がいるから大丈夫だよ」

 怖がるプリンを、シュルクは元気づける。

 といっても、プリンの体重は軽いのだが、問題はこの中で最も重いクッパだ。

「我輩が渡れば、吊り橋は落ちてしまうのだ。一体、どうすればよいのだ?」

「あまり気が進まぬが……(わたし)に任せろ。風よ、彼の者の肉体を地から解放したまえ!」

 瑠璃は精神を集中し、クッパにレビテーションの呪文を唱える。

 すると、クッパの身体がゆっくりと宙に浮いた。

「か、身体が軽いのだ!」

「これは『浮遊』という、様々なものを宙に浮かせる術じゃ。これなら、其方を安全に向こうに運べるじゃろう」

 クッパは吊り橋の上を浮きながら通り過ぎる。

 これで、クッパの重さで吊り橋が落ちる事はなくなった。

「ありがとう、瑠璃」

(わたし)も礼を言わせてもらおう」

 ベルは瑠璃に笑顔でお礼を言った。

 こうして一行が何とか吊り橋を渡り切ると、魔獣ゴモラのスピリッツに遭遇した。

 向こうは分厚い黒い雲に覆われていて、スピリッツを解放しなければ先に進めないようだ。

「これでおしまいっ!」

 ピーチが魔獣ゴモラのスピリッツを解放すると、分厚い雲が晴れ、先に進めるようになった。

「何が待っているのかしら」

 ベル達は大きな裂け目が中央にある、円形のエリアをぐるっと回っていく。

 そのまま先に進もうとすると、クレイジーハンドと虚ろな目のメイドが立ち塞がった。

「おねえさん、だれでしゅか?」

「……ワタクシハクレイジーハンドサマニツカエル、ドリィ・ナハツェーラーデゴザイマス。イエ、イマハダーズサマニオツカエスルミデス」

「グオオオオオオオオ」

 メイドは機械的な声で、ドリィと名乗った。

 クレイジーハンドは相変わらず暴れ回っている。

 彼女が言う「ダーズ」こそ、ベル達が相手になる新たな敵だろう。

「クレイジーハンドまで操られるなんて……でも」

 ベルは落ち着いてクレイジーハンドの様子を見る。

 すると、クレイジーハンドが偽物だと分かった。

「こいつは、本物のクレイジーハンドじゃないわ」

「どういう事……?」

「以前にやったマスターハンドと同じ、コピーよ」

 このクレイジーハンドはダーズの手駒に過ぎない。

 だがコピーとはいえ力は本物にも引けを取らない。

 ベルは油断せず、大鎌を構える。

「用意はいいかしら?」

「無論! 準備は万端じゃ!」

「私もよ」

「やらなきゃ!」

 瑠璃は護符、ピーチはフライパン、マールはブキをクレイジーハンドとドリィに向ける。

「しずえが悲しむ顔を見たくないから、僕も頑張る」

「私にも帰るべき場所があるからな」

 りょうとオリマーも戦闘態勢を取った。

「……さあ、戦闘開始よ!!」

 ベル、瑠璃、ピーチ、オリマー、りょう、マールは、操られたクレイジーハンドとドリィに戦いを挑んだ。

 

「グオオォォォォォォォ!!」

「なんだ……この震えは……!」

 クレイジーハンドは闇の波動を放ち、ベル以外の全員を恐怖で怯ませる。

 五人は思わず、攻撃の手を止めてしまう。

「ナイトメア!」

 ベルは大鎌を勢いよくクレイジーハンドに投げる。

 すると、ドリィは杖を構えて障壁を作り出した。

 大鎌が障壁に命中すると障壁は砕け散るが、ドリィとクレイジーハンドにダメージはない。

「クレイジーハンドサマハ、ワタクシガオマモリイタシマス」

 操られたドリィは、機械的な声色で話す。

 ベルは額に汗を掻きつつ、戻ってきた大鎌をしっかりと握り締める。

「ネムリナサイ……ラ・ポク・デ・イス!」

「Zzzzzzz……」

 ドリィは杖を回し、呪文を唱えて無味無臭の誘眠性ガスを発生させる。

 ベル以外の全員はドリィの魔力に耐えられず眠る。

 その隙にクレイジーハンドはオリマーに爆弾を落として攻撃する。

「ぐっ!」

 オリマーは衝撃で目を覚ます。

 ドリィは杖から魔法の矢を放って追撃した。

「なかなかやるな……」

「スベテハクレイジーハンドサマノタメニ」

「ならば、まずは君を眠らせるしかないようだ」

 オリマーは攻撃力が高い紫ピクミンを三匹ともドリィに投げつける。

 強力な攻撃を食らったドリィは戦闘不能になった。

 

「後はクレイジーハンドだけね。でやああっ!」

 ベルは炎を纏った大鎌を振り回して攻撃する。

 クレイジーハンドは空を飛び、中指を突き出してりょうに体当たりする。

「うわっ!」

 その衝撃でりょうは目を覚まし、軽く吹っ飛ぶ。

 次に、クレイジーハンドは大量の爆弾を落とすが、ベルはそれを全てかわし、背後に回り込んで大鎌で斬りつける。

「グギャァァァァッ!」

「それっ!」

 その一撃でクレイジーハンドは墜落した。

 りょうはボウリングの玉を落として攻撃する。

「とどめよ! ダウンリーパー!!」

「グアアアアアアアアアアア!!」

 そして、ベルがクレイジーハンドを鎌で刈り取り、クレイジーハンドは爆発四散する。

 戦闘はベル達の勝利に終わるのだった。

「……ここは、どこでしょうか。(わたくし)は、一体……」

 戦闘が終わり、気絶していたドリィは目を覚ます。

 ダーズに操られていた記憶は、彼女にはなかった。

「あ、ドリィ、目が覚めたのね。おっはよー」

 ベルはドリィに手を振って声をかける。

「……ベル?」

「あれ? ドリィって、ベルと知り合いなの?」

「話を聞きたいところだけどちょっと休んでからね」

 

 ベル達は安全地帯にドリィを運び、そこで彼女を休ませた後、事情を話す。

「……というわけで、私達はここから脱出する方法を考えているのよ」

「なるほど……そして、申し訳ありませんでした」

 ドリィは操られた事を皆に謝罪する。

「気にしないで、自分の意思じゃなかったでしょ?」

「ガブガブガーブ!」

「『許してやるよ』と言っているのだ」

「あ、ディディーさんに、パックンフラワーさん……(わたくし)を許してくださり、ありがとうございました」

 ディディーとパックンフラワーが落ち込むドリィを元気づけた。

 パックンフラワーの言葉はドリィには分からなかったが、クッパに翻訳してもらった事で理解できた。

「ところで、あんたが操られた時に言っていた、ダーズってのは一体どんな奴なの?」

「混沌と闇の化身ダーズ……彼は、目玉に触手がついた不気味な姿をしておりました」

「!」

 ダーズの特徴を聞いて、ベルは思い出した。

 キーラを倒した時に現れた彼こそが、ダーズだと。

「分かったわ! そいつがダーズっていうのね! ……で、ドリィはこれからどうするの?」

「クレイジーハンド様がいない以上、貴方達についていくという道しか、今の(わたくし)にはありません」

 つまり、ドリィが仲間になる、という事なのだ。

 もちろん、仲間は多い方が楽に冒険できる。

 ベルは頷くと、ドリィに左腕を伸ばし、彼女の右腕と共に握手した。

「じゃあドリィ、私達と一緒に行きましょう!」

「ええ! (わたくし)の魔法を是非見てくださいね!」

 

 こうして、クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィ・ナハツェーラーがベル達の仲間になった。

 彼女の魔法は、この闇の世界でも役立つ事だろう。

 ~ベルのスピリッツ名鑑~

 

 魔獣ゴモラ

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:不明

 魔界の森に生息する、竜の姿をした魔物。

 非常に獰猛で縄張り意識が強く、動くものを全て獲物と見なして食べる。


 
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