その頃……。
「あ~あ、なんでこんな場所に飛ばされたのかしら」
「仕方がないだろう、想定外だったからな」
死神の女性、ベルが愚痴を吐きながら歩いていく。
ベル達もまた、謎の敵が襲撃した事によりカービィやシャドウなど、他のスマブラメンバーとはぐれてしまった。
今、周りにいるのはリーダーのベルの他に、サムス、フォックス、ファルコン、プリン、クッパ、ピーチ、ルカリオ、ディディーコング、
トゥーンリンク、オリマー、りょう、シュルク、マール、パックンフラワー、ジョーカー、瑠璃の17人だ。
「とにかく、先に行くしかないみたいね」
四方八方は闇で覆われており、行ける場所は吊り橋のみ。
もし、足を踏み外せば……そう思うと足がガクガクと震え出す。
だが、立ち止まってはいつまで経っても前には進めない。
「こ、こわいでしゅ……」
一行は吊り橋を慎重に渡っていく。
ミシッ、ミシッ、という音が、一行の不安を煽る。
「プリン、僕がいるから大丈夫だよ」
怖がるプリンを、シュルクは元気づける。
といっても、プリンの体重は軽いのだが、問題はこの中で最も重いクッパだ。
「我輩が渡れば、吊り橋は落ちてしまうのだ。一体、どうすればよいのだ?」
「あまり気が進まぬが……
瑠璃は精神を集中し、クッパにレビテーションの呪文を唱える。
すると、クッパの身体がゆっくりと宙に浮いた。
「か、身体が軽いのだ!」
「これは『浮遊』という、様々なものを宙に浮かせる術じゃ。これなら、其方を安全に向こうに運べるじゃろう」
クッパは吊り橋の上を浮きながら通り過ぎる。
これで、クッパの重さで吊り橋が落ちる事はなくなった。
「ありがとう、瑠璃」
「
ベルは瑠璃に笑顔でお礼を言った。
こうして一行が何とか吊り橋を渡り切ると、魔獣ゴモラのスピリッツに遭遇した。
向こうは分厚い黒い雲に覆われていて、スピリッツを解放しなければ先に進めないようだ。
「これでおしまいっ!」
ピーチが魔獣ゴモラのスピリッツを解放すると、分厚い雲が晴れ、先に進めるようになった。
「何が待っているのかしら」
ベル達は大きな裂け目が中央にある、円形のエリアをぐるっと回っていく。
そのまま先に進もうとすると、クレイジーハンドと虚ろな目のメイドが立ち塞がった。
「おねえさん、だれでしゅか?」
「……ワタクシハクレイジーハンドサマニツカエル、ドリィ・ナハツェーラーデゴザイマス。イエ、イマハダーズサマニオツカエスルミデス」
「グオオオオオオオオ」
メイドは機械的な声で、ドリィと名乗った。
クレイジーハンドは相変わらず暴れ回っている。
彼女が言う「ダーズ」こそ、ベル達が相手になる新たな敵だろう。
「クレイジーハンドまで操られるなんて……でも」
ベルは落ち着いてクレイジーハンドの様子を見る。
すると、クレイジーハンドが偽物だと分かった。
「こいつは、本物のクレイジーハンドじゃないわ」
「どういう事……?」
「以前にやったマスターハンドと同じ、コピーよ」
このクレイジーハンドはダーズの手駒に過ぎない。
だがコピーとはいえ力は本物にも引けを取らない。
ベルは油断せず、大鎌を構える。
「用意はいいかしら?」
「無論! 準備は万端じゃ!」
「私もよ」
「やらなきゃ!」
瑠璃は護符、ピーチはフライパン、マールはブキをクレイジーハンドとドリィに向ける。
「しずえが悲しむ顔を見たくないから、僕も頑張る」
「私にも帰るべき場所があるからな」
りょうとオリマーも戦闘態勢を取った。
「……さあ、戦闘開始よ!!」
ベル、瑠璃、ピーチ、オリマー、りょう、マールは、操られたクレイジーハンドとドリィに戦いを挑んだ。
「グオオォォォォォォォ!!」
「なんだ……この震えは……!」
クレイジーハンドは闇の波動を放ち、ベル以外の全員を恐怖で怯ませる。
五人は思わず、攻撃の手を止めてしまう。
「ナイトメア!」
ベルは大鎌を勢いよくクレイジーハンドに投げる。
すると、ドリィは杖を構えて障壁を作り出した。
大鎌が障壁に命中すると障壁は砕け散るが、ドリィとクレイジーハンドにダメージはない。
「クレイジーハンドサマハ、ワタクシガオマモリイタシマス」
操られたドリィは、機械的な声色で話す。
ベルは額に汗を掻きつつ、戻ってきた大鎌をしっかりと握り締める。
「ネムリナサイ……ラ・ポク・デ・イス!」
「Zzzzzzz……」
ドリィは杖を回し、呪文を唱えて無味無臭の誘眠性ガスを発生させる。
ベル以外の全員はドリィの魔力に耐えられず眠る。
その隙にクレイジーハンドはオリマーに爆弾を落として攻撃する。
「ぐっ!」
オリマーは衝撃で目を覚ます。
ドリィは杖から魔法の矢を放って追撃した。
「なかなかやるな……」
「スベテハクレイジーハンドサマノタメニ」
「ならば、まずは君を眠らせるしかないようだ」
オリマーは攻撃力が高い紫ピクミンを三匹ともドリィに投げつける。
強力な攻撃を食らったドリィは戦闘不能になった。
「後はクレイジーハンドだけね。でやああっ!」
ベルは炎を纏った大鎌を振り回して攻撃する。
クレイジーハンドは空を飛び、中指を突き出してりょうに体当たりする。
「うわっ!」
その衝撃でりょうは目を覚まし、軽く吹っ飛ぶ。
次に、クレイジーハンドは大量の爆弾を落とすが、ベルはそれを全てかわし、背後に回り込んで大鎌で斬りつける。
「グギャァァァァッ!」
「それっ!」
その一撃でクレイジーハンドは墜落した。
りょうはボウリングの玉を落として攻撃する。
「とどめよ! ダウンリーパー!!」
「グアアアアアアアアアアア!!」
そして、ベルがクレイジーハンドを鎌で刈り取り、クレイジーハンドは爆発四散する。
戦闘はベル達の勝利に終わるのだった。
「……ここは、どこでしょうか。
戦闘が終わり、気絶していたドリィは目を覚ます。
ダーズに操られていた記憶は、彼女にはなかった。
「あ、ドリィ、目が覚めたのね。おっはよー」
ベルはドリィに手を振って声をかける。
「……ベル?」
「あれ? ドリィって、ベルと知り合いなの?」
「話を聞きたいところだけどちょっと休んでからね」
ベル達は安全地帯にドリィを運び、そこで彼女を休ませた後、事情を話す。
「……というわけで、私達はここから脱出する方法を考えているのよ」
「なるほど……そして、申し訳ありませんでした」
ドリィは操られた事を皆に謝罪する。
「気にしないで、自分の意思じゃなかったでしょ?」
「ガブガブガーブ!」
「『許してやるよ』と言っているのだ」
「あ、ディディーさんに、パックンフラワーさん……
ディディーとパックンフラワーが落ち込むドリィを元気づけた。
パックンフラワーの言葉はドリィには分からなかったが、クッパに翻訳してもらった事で理解できた。
「ところで、あんたが操られた時に言っていた、ダーズってのは一体どんな奴なの?」
「混沌と闇の化身ダーズ……彼は、目玉に触手がついた不気味な姿をしておりました」
「!」
ダーズの特徴を聞いて、ベルは思い出した。
キーラを倒した時に現れた彼こそが、ダーズだと。
「分かったわ! そいつがダーズっていうのね! ……で、ドリィはこれからどうするの?」
「クレイジーハンド様がいない以上、貴方達についていくという道しか、今の
つまり、ドリィが仲間になる、という事なのだ。
もちろん、仲間は多い方が楽に冒険できる。
ベルは頷くと、ドリィに左腕を伸ばし、彼女の右腕と共に握手した。
「じゃあドリィ、私達と一緒に行きましょう!」
「ええ!
こうして、クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィ・ナハツェーラーがベル達の仲間になった。
彼女の魔法は、この闇の世界でも役立つ事だろう。
~ベルのスピリッツ名鑑~
魔獣ゴモラ
出身世界:こことは異なる世界
性別:不明
魔界の森に生息する、竜の姿をした魔物。
非常に獰猛で縄張り意識が強く、動くものを全て獲物と見なして食べる。
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闇の世界・ベル編スタートです。
オリジナルキャラを中心に動いていくので、結構書きやすかったです。