ウォッチ、シュルクと立て続けにファイターを救出し、スマブラメンバーの数はどんどん増えていった。
「さて、次はどこに行きましょうか」
「アローラ島にある“贈り物”を探しましょう」
「……キーラが出した、アレ?」
「そうよ。反対は、無いわね?」
「もっちろん! 行こう、サム姉!」
サムスの提案で、一行はアローラ島がある砂浜に行く事になった。
砂浜は遠かったが、パックマンエリアを通り、1時間後に何とか辿り着く事ができた。
「ふぅ~、疲れた」
「これくらいで音を上げないで」
「サムスは魔物顔負けの体……何でもないわ」
涼しい声のサムスにベルが言いかけるが、サムスの怒りを買いそうな気がしたので慌てて口を押さえた。
「わぁ~、綺麗だねぇ」
砂浜は自然が豊かで、たくさんの生き物が住んでいた。
しかし、キーラ軍の襲撃により、スピリッツがたくさん浮遊している。
「……やるしかないみたいだな」
「ええ、行くわよ!」
カービィ、シャドウ、ベルは、率先して戦い、キーラに操られたスピリッツを解放する。
チアガールズ、リト族の少女・メドリ、ドラゴンポケモン・ボーマンダ。
彼らは最初の生き残りだけあって、他のスマブラメンバーより覇気があった。
「わぁ~! かっこいいでちゅ~!」
「凄いなぁ、三人とも」
「僕達から冒険が始まったんだからね」
「これが、究極の力だ……」
「ふふふ、私は死神なのよ」
リュカ、りょう、ピチュー、ピットなどの子供達は三人の戦いぶりを見て感心している。
彼らの姿は、スマブラメンバーを勇気付けていた。
しばらく進むと、赤い帽子と赤い服の少年が、光の鎖で縛られていた。
「あっ、ロート!」
少年はポケモントレーナーのロートである。
そこからは、ゼニガメ、フシギソウ、リザードンのボディが生成されていた。
「待ってて、今僕が助けてあげるよ!」
りょうがボウリングの玉をロートに向けて投げ、彼を光の鎖から解放する。
そして、ロートがポケモンを出そうとすると、ベルは闇を纏った手で彼をビンタした。
「はーい、これにて救出成功!」
「えっ、成功?」
「ふふっ、これは彼自身に戦う力が無いからこそできるのよ」
ベルが涼しい顔で言うと、ロートはぱちぱちと瞬きする。
「……なんで俺は、アローラ島にいるんだ?」
「よかった、上手くいったみたい。あんたのポケモンのボディは、もうこれで生成されないわ」
「ボディ……?」
「あ、混乱してるみたいね。便利な言葉、かくしか」
ベルはこれまでの事情をロートに話した。
キーラ軍の襲撃により世界が危機に瀕している事、肉体を失ったスピリッツが徘徊している事、キーラに捕まった仲間を助けている事。
これらを全て話すと、彼は納得して頷いた。
「分かったぜ。要はキーラを倒せばいいんだろ」
「そうよ」
「よし! 俺は戦えないが、トルトゥ、フィオーレ、ブレイズが力を貸してやる。だから、一緒に俺もついていくぜ!」
「ええ、もちろんよ」
そう言って、ベルとロートはがしっと握手した。
今ここに、チャンピオンを目指すポケモントレーナー・ロートがスマブラメンバーの仲間になるのだった。
「さて、と。ロートを仲間にしたのはいいけど、贈り物を見つける方法が見つからないわね」
サムスがふむ、と顎に手を当てて言う。
ロートはそのための方法を探すべく、あちこちを見渡した。
すると、ロートは何かを発見し、目を光らせる。
「おっ、あれは……ポケモンだ!」
「ポケモン?」
ロートはすぐに南西側に走り出す。
「待ってよ、ロート~!」
カービィ達が彼を追いかけると、アイスクライマーのボディに宿ったのりものポケモン、ラプラスのスピリッツがいた。
「ほら、見つけたぜ」
「お、ラプラスだ」
「こいつに乗せてもらえばいいんじゃないか? なんていったって、のりものポケモンだからな」
ラプラスは背中に人やポケモンを乗せて運ぶのが好きなポケモンだ。
しかし、今はキーラに操られていて、とてもラプラスの背中に乗れるような雰囲気ではない。
「ま、いつも通り、戦ってゲットするしか」
「ないよな!」
ラプラスには、ピカチュウ、プリン、ピチュー、ルカリオ、ジュカイン、ロートの一人と五匹、いや、一人と八匹が挑戦した。
「ラプラス、ゲットだぜ!」
ロート達は無事にラプラスの解放に成功した。
これで海の向こうに渡る事ができるようになった。
一行は砂浜に行きラプラスを呼び出す準備に入る。
「ゆけっ、ラプラス!」
「ラ~~プラ~~♪」
ロートはベルのスピリッツボールを借りて、中からラプラスを取り出す。
ラプラスは嬉しそうに歌いながら、スマブラメンバーを乗せようとする。
「……こんなにたくさんは、乗れないよなぁ」
だが、人数が多すぎるため、何回かに分けて移動する事になった。
ちなみに、内訳はこのようになっている。
1回目:
カービィ、アイシャ、ランス、しずえ、ジュカイン、ダークリンク、プリン、
リンク、ピカチュウ、スネーク、オリマー、ロックマン、パックマン、リュカ
2回目:
ベル、ソレイユ、リュンヌ、りょう、アイスクライマー、ヨッシー、瑠璃、ピット、
ダックハント、シーク、マール、サムス、ジョーカー、ドクター
3回目:
シャドウ、マック、ファルコン、フォックス、マリオ、マルス、クッパ、ストーム、
ルカリオ、ピーチ、ピチュー、シモン、ドンキーコング、バンジョー&カズーイ
「船がなくても、泳げなくても、君を呼んだら旅が始まるのさ~♪」
アイシャはラプラスの上で「ラプラスにのって」を歌った。
ピンク玉二人は歌うと危険なので、アイシャは歌わないように言った。
「わぁ~、歌が上手いですねぇ~!」
「ああ、なかなかいい声だな」
しずえとピカチュウがアイシャの歌声を評価する。
ラプラスもそれに合わせて、綺麗な声で歌った。
海は広く、光が反射して美しい青が映える。
途中で魚男を解放しながら、のんびりと海を渡る。
「海は広いな大きいな~♪」
爽やかな風が、一行を包み込む。
ラプラスは、皆を笑顔で目的地まで運んでいった。
「着いたぜ、ラプラス。残った奴らも運んでくれよ」
「ラップラー!」
最初の14人がアローラ島に到着した後、ラプラスはロートの指示で砂浜に戻っていく。
次にベル組、シャドウ組がラプラスに乗り、全員がアローラ島に到着した。
「ご苦労様、ラプラス。戻ってね」
「ラプラ!」
ベルは全員を運び終えたラプラスをスピリッツボールの中に戻した。
「アローラ島かぁ……。ちょっと日差しが強いけど、自然が豊かだね」
一行が着いたアローラ島は草や花がたくさんあり、砂浜もきらきらと光っている。
ここに、サムスが言った「贈り物」がいるという。
ベル達が歩いていくと、オレンジ色の服を着た幼い兎と、蝶ネクタイをつけたチャオと出会った。
「あ、シャドウさん! お久しぶりデス!」
「チャオー」
この兎とチャオはシャドウの事を知っているようで、彼に笑顔で声を掛ける。
「何かあったの?」
「シャドウさんは、お城の中で迷子になったワタシとチーズを助けてくれた事があるんデス」
「エミーに言われたがな」
相変わらずシャドウは素直ではなかった。
「で、あんた誰?」
「ワタシはクリーム・ザ・ラビット、こっちは友達のチーズデス」
「チャオチャオー」
兎とチャオは一行に自己紹介をした。
シャドウ以外の一行もクリームとチーズに名前をを名乗った。
「よろしくね、クリーム」
「よろしくお願いしマス! ……あっ」
「チャオ?」
互いに自己紹介を終えた時、クリームとチーズがカービィのところに向かって歩き出す。
「ど、どうしたの、クリームチーズ?」
「か、身体が勝手に動くんデス! 戦いたくないのに! た、助けてくだサイ!」
「あ、いつものバトルだね。よーし、いくぞ!」
キーラに操られたクリームとチーズは、カービィが解放する事にした。
「ありがとうございマス、カービィさん」
「チャオ!」
「どういたしまして、クリームチーズ」
「……それとカービィさん、ワタシの名前はクリームチーズじゃなくて、クリーム・ザ・ラビットデス」
カービィに名前を間違われたクリームは、少し悲しそうに彼に説明した。
「あ、ごめんね、クリーム……と、チーズ」
カービィがクリームとチーズに謝った後、二人はスピリッツボールの中に入った。
「うーん、綺麗な島だなぁ! 初めてなのに、やっぱり懐かしいぜ」
ロートはアローラ島の感想を素直に言った。
赤い花に白い斑点模様が描かれ、土管の中に入った奇妙な植物が踊っていた。
マリオ、ピーチ、ヨッシー、クッパはそれに見覚えがあった……パックンフラワーだ。
「「「「パックンフラワー!」」」」
「ガブ、ガブガブ、ガーブガブ!」
「……何言ってるんだ?」
「分からないわ」
「私にはさっぱり分かりませんね~」
マリオ、ピーチ、ヨッシーには、パックンフラワーの言葉が分からなかった。
すると、クッパがパックンフラワーの前に出る。
「クッパ、お前分かるのか?」
「こいつは我輩が作ったようなものだからな、我輩には全てお見通しなのだ」
実はパックンフラワーはクッパの魔力で凶暴化した植物のため、クッパにはパックンフラワーの言葉が分かるのだ。
「ガブ、ガブガブ、ガーブガブ!」
「何々……『俺の踊りについてこい』? ほほう、ダンスには自信があるみたいだな」
「ダンス……?」
クッパがパックンフラワーの言葉を翻訳する。
どうやら、パックンフラワーはダンスを得意としているようだ。
「ふむふむ、なるほど……分かったぞ。マリオ、ピーチ、ヨッシーよ! こいつはお前達とダンスで対決したいらしいぞ!」
「おっ、ダンスか。久しぶりだな。ピーチ、ヨッシー、一緒にダンス乱闘するか!」
「ええ。ドレスは少し動きづらいけど、パックンフラワーのダンスがどれほど上手いか、見せてもらうわよ!」
「私も張り切って、踊りますよ~!」
マリオ、ピーチ、ヨッシーは構えを取り、クッパとパックンフラワーも遅れて準備する。
今ここに、異色のダンス乱闘が始まるのだった。
「そら、よっ!」
マリオは基本の動き、アイソレーションでパックンフラワーを翻弄しようとする。
しかしパックンフラワーは動じず、くねくねと身体を動かしてヨッシーに見せる。
「ガブガブ?」
「見惚れてないでね?」
ピーチはタップダンスを踊り、ヨッシーも彼女に合わせて踊る。
会心のダンスがパックンフラワーに響いたのか、パックンフラワーは動けなくなった。
その隙に、クッパはクッパドロップでパックンフラワーを攻撃した。
「パックンフラワーよ、お前のダンスを我輩に見せるがよい!」
クッパがパックンフラワーを挑発すると、パックンフラワーは渾身のダンスを披露する。
首を上げたり、捻ったり、葉っぱを動かしたりと大胆なダンスだった。
「むぐぅ! なかなかのダンスであった」
「では、私も踊ります!」
続いてヨッシーがクリケットとバタフライでパックンフラワーの気力を削る。
「それっ!」
「ガブッ!」
その隙にピーチはパックンフラワーを投げて転ばせ、フライパンの一撃を与えた。
パックンフラワーは首を捻り、鞭のようにしならせてマリオを攻撃する。
マリオはボックスステップを踏んでパックンフラワーに反撃する。
「とどめだ! エンドレスナインティー!!」
そして、マリオが片手で逆立ちして体を固めて、床を漕いで回転しながら蹴り飛ばす。
その一撃でパックンフラワーは吹っ飛ばされ、今ここにパックンフラワーとの戦いが終わった。
「ガブガブガブ……」
「『オレの負けだ、好きにしろ』と言っているのだ」
パックンフラワーはそう言って、マリオ達に負けを認めた。
「……うーん、好きにしろって言っても……」
このまま放っておくわけにはいかないよな、とマリオが呟き、他のメンバーも頷く。
一方で、ランスは複雑な感情をしていた。
「パックンフラワーって、ダンスしてたけど、ボクみたいに戦えるのかな?」
「ガブガブ!」
「『失礼な! ちゃんと戦えるんだぞ!』」
「あ、それならよかった。それじゃあ、よろしくね、パックンフラワー」
そう言って、ランスはパックンフラワーと握手した……ランスには指が、パックンフラワーには手が無いが。
「ガブ! ガーブガブガブ、ガブガブ!」
「『それじゃあ、他のファイターも解放するぞ!』」
「おーーーーーっ!!」
こうして、一輪の大口、パックンフラワーが仲間になるのだった。
~ベルのスピリッツ名鑑~
死神さん
出身世界:ヨッシーアイランド
性別:不明
骸骨の顔と布の身体を持つお化け。
ヨッシーにとりついて方向感覚をおかしくさせる。
チアガールズ
出身世界:地球
性別:女性
三位一体の応援で団員を盛り上げる、とある応援団のマスコット的存在。
メドリ
出身世界:ハイラル
性別:女性
空の精霊ヴァルーのお付きであるリト族の少女。
ゾーラ族の賢者の血を引いており、心優しく献身的な性格をしている。
ボーマンダ
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
コモルーが進化した、ドラゴンポケモン。
ドラゴン・ひこうタイプで、特性はいかく、隠れ特性はじしんかじょう。
ついに生えた翼で大空を駆け巡り、嬉しくて火炎を吐いて一面を焼け野原にする。
ラプラス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
主にカントー地方にいる、のりものポケモン。
みず・こおりタイプで、特性はちょすい、シェルアーマー、隠れ特性はうるおいボディ。
高い知能を持ち、トレーナー以外の人間の言葉を理解できる。
絶滅の危機に追い込まれたり、逆に増えすぎたりと人間のエゴに振り回されている。
魚男
出身世界:ハイラル
性別:男性
島の周りの海でジャンプをしている魚。
万能エサをやると、冒険に必要な情報を教えてくれる。
クリーム・ザ・ラビット&チーズ
出身世界:こことは異なる世界
性別:クリームは女性、チーズは♂
友達のチャオ、チーズを連れた6歳の兎の女の子。
何事にも一生懸命でしっかりした性格。
丁寧な口調で話し、語尾は「デス」「マス」。
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一行がアローラ島に向かいます。
ラプラスに乗ったら実際酔いそうですが。