いつも私の頭の中では少女の声がこだましていた。
それは誰かを呼ぶように,誰かにすがるように,誰かと愛し合いたいがために。
いつだって人は誰かを求めたくてどうしようもない生き物だ。
例えそれが架空の人間だったとしても自分自身が壊れないようにするためには仕方のないこと,要するに寂しくてすぐ死んでしまうのが人間故なのだ。
じゃあ彼女はどうだろう?
私に何を求めたいが為にそこまで泣きじゃくるように呼び続けるのだろうか?
そう思うと,いてもたってもいられない気持ちになってくる。
だから少女の想いを少しでも形付けて答えに近づく為に絵を描き,文字を綴る。
毎日のように,それはいつしか私にとっての日課となっていった。
それにしてもおかしい話だ。
彼女の想いを形にすればするほど,少女の存在は遠のいていく。
まるで私の周りから現実そのものが隔離されていくような感覚だ。
だからたくさん描いた。
手が疲れても,頭痛が治まらなくてもそれがやめられない。
手をあと少し伸ばせば届くはずの彼女の頬すらもうどこにあるかわからない。
少女の笑い声がする,私をからかうように。
だがもう戻れない。
元の自分自身がどんな生活を過ごしていたのかすらも,もう思い出せない。
私を敬ってくれる者達も皆遠くへ行ってしまった。
そして気がつくと・・・
私は自分の作りだしたたくさんの少女達に埋もれながら孤独に老いぼれていた。
死ぬ前にわかった・・・私の方が少女を求めていたということを。
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特に意味は無い空想