No.1058305

空飛ぶ戦車ドクトリン 第八話 SM少佐と片足少尉とヴィルマさん

三日月亭さん

今回から挿し絵はなかったことにしてください、毎回考えるのがしんどいので…、とりあえず地図関連は時折描くと思いますがそれぐらいで。
あと今書き直しているこの空ドクですが、元々との違いを書いてましたが元々が読めないことを思い出したのでブログにはっつけておきました。

http://ohanashihanashi.blogspot.com/

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2021-04-03 12:40:04 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:435   閲覧ユーザー数:435

これを読んでいる者へ、と言ってもお前ぐらいだろうが…。

この世界は恐らく俺らの様な負け犬たちが、何世代もかけて俺らたちが見たあの夢の様な時間を永遠のものにするべく頑張った結果だと言える。

 

世界中の人間が統一言語で喋っているのその例だ、少しでも不理解をなくすための努力じゃないか…、殺し合いは無くならないだろうが。

 

俺たちの夢はもっと苛烈になるだろう、そうでもして背伸びしないと"アレ"には届かないんだよ、記憶をきっとなくしているお前には理解しがたい言葉が多いと思うが、その焼かれた魂には染み渡るだろ?、記憶がなくても世界が変わっても、見る景色が変わっても、嗅ぐ臭いが変わっても、俺とお前は何も変わらないのだから…。

 

  ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

あの会合から三日経った。

と書くとどうしてもいったん解散した様に捉えられそうだが、三日間あの部屋に缶詰にされていたの言うのが本当のところだ。

 

全く、みんな年齢が若いから大丈夫なんだろうが、こっちは格は下でも歳は上なんだぞ、中年には三徹は堪える、と言ってもほかの連中は偶に睡眠をとってたり席を外して公務のもいたのでその合間に奴らの持参の"本"とやらも目を通す事が出来た。

 

思った通り、日本語で書かれている物もあったが全く知らない言語のものまであり解る範囲で記憶していくことにした。

 

まぁ一番大事なのは俺宛の手記なのだが、それはおおよそ記憶して帰宅後忘れないうちにとメモに書きだしてからやっと眠ることかが出来た。

 

 

なのであれから五日経ったというのが正解だろう。

 

「我ながらよく寝たものだ」

 

自室のベッドから天井を眺めながら独り言ちた。

出かける支度を済ませ俺は松葉杖をつきながらまたも例の場所へと向かった。

 

例の場所、つまり喫茶ラ・バンだ。

今の俺はあの頃より少し気分が良い、と言ってもほんの少しだが。

 

良くなった理由は、物事が前進したような気がしたからで、ほんの少しなのは根本的な前進は少しだけという所だ。

 

「特に俺の"視点"が盗まれているというのが納得できんが、お互い様か」

 

懐に忍ばせてあるあの手記の写本を手で確認しながらそう独り言ちた。

自宅のアパートから数分後、俺はラ・バンにたどり着きいつものオープン席へと行こうとするとそこには、二人の人間が座っているのが見えた。

 

一人はヴィルマ・クレマン…そしてもう一人は…。

 

「げ!あの女…!」

 

私服まで男物を着ているが間違いないあの女だ、何故か陸軍の佐官以上の会議にも出席していて、そういやこの前のギュンターとここで会った時にも瓶で殴ってきてたのもあの女だったな…。

 

「いかんな、また殴られたらひとたまりもないな、時間をずらして出直すか…」

 

俺がそう思い出直そうとすると…。

 

「少尉さん!」

 

元気なヴィルマの声が聞こえてきたのであった。

 

「こんにちは…クレマンさん」

 

そのヴィルマの声に逆らえずテーブルにのこのこ向かうと、テーブルの方から殺気立った眼差しがこちらの心の臓を突き刺してくる。

 

「私は、ヴォルフガング・ジークリット少佐だ、少尉」

 

その女は軍属であるのは知ってが、まさか上のクラスとはてっきり…秘書とかそんな感じだと思ってたよ。

 

「あっ…はぁ…、どうも」

 

少し気の抜けた返事をすると、ジークリットは俺の足を払い転ばせ頭部を踏みつけてきた。

 

「上官から挨拶させておいてなんだその態度は!膝を付き頭を垂れんかぁ!」

 

あ…この感じ…公衆の面前で酷い目にあってるのに…悪くないって思ってる俺がいる…それではいけない、怒りを出しながらそれを抑えてあえて服従してる気持ちを演出しなければ…。

 

「申し訳ありませんでした、私服なもので話からな…ぐぁ!」

 

俺が言い訳を述べているとあろうことかこの女、顔に飲みかけの紅茶をかけてきやがったぞ。

 

「喉が渇いて上手く喋れなかったようだな、さっきの言い分じゃ貴様は上官の顔も覚えていない無能な馬鹿犬だと言っているようなものだぞ?」

 

あ…ダメだ、この体はきっと痛みを欲してるんだろう…戦争の弊害でこんな体になってしまったんだ出なければこんな事されて体が喜ぶはずないじゃないか…!

 

まって?そういえばこの空間にもう一人いたな…ヴィルマ!ヴィルマ何やってるんだお前知り合いの少尉さんが酷い目会ってるんだぞ、何とかしてくれ!

 

そう思いヴィルマの方に目をやるとだ…。

 

「…あーかわいそう」

 

心底無表情でこっちの痴態を眺めていて無感情な声で感想を述べていた。

 

「ひどい…」

 

なんだか悲しくなって声が出てしまった。

 

「酷いの少尉さんの方ですよ、無断で勝手にいなくなったんですよ…そっちが」

 

俺の言葉にヴィルマが反応した、彼女に言わずにギュンターに会っていた事を怒ってのあの反応だったのか?…待ってじゃこのジークリットって人は一体…。

 

「まぁいいか、酷い目にあってる所も見れたし勘弁してあげましょう」

 

「ありが…うぐ!!」

 

ヴィルマがなんか許してくれたみたいなのでどうやら丸く収まるかと思ったら頭を踏みつけた足が退く気配がない、まるで。

 

「少佐…出来れば足を退かせてくれはしませんか…うぐう!」

 

「私の旧知の仲の彼女は許したようだが、上官の顔も覚えれていないのはお前の失態だろう少尉?、では件の少尉も来たことだし話を進めるとするか」

 

まって?このまま話を進めるの?俺公衆の面前で頭を踏みつけられているんですよ?本気で?

 

「少尉…話というのはな」

 

本気だこの人俺の頭を踏みながら話を進めようとしてる!

 

「貴様がかのギュンター卿と何を画策していたかだ」

 

頭を踏まれているという状況以上のショックが全身を貫く。

 

「画策?何のことですか?」

 

しらを切ろうとすると、踏みつけが一層強くなった。

 

「もしもあの男をかばっているのなら、為にならんぞ少尉なぜなら奴はヴィージマのスパイの嫌疑をかけられているのだからな」

 

耳を疑う言葉が俺の耳に入る。

 

ヴィージマのスパイだと!?あの男が…俺は尻を突き上げ頭を踏まれながらそれ以上の情報に呆然としてしまったのであった。


 
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