No.1057716

神無月 ~ 神のない所

神の避け所でゆっくりする話。

2021-03-27 11:11:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:417   閲覧ユーザー数:417

神無月 親王(かんなづき みこ)。

彼女はつまる所、美少女であった。

まん丸の目、青い瞳に、金髪のロングヘア。鼻筋が通っていて、ピンク色で薄い唇。

まつ毛が長く、眉毛(まゆげ)がくっきりとしていた。

男性に告白される事は、彼女にとって、何のメリットにも成らなかった。

彼女は女性が好きだったのである。

つまる所、レズであったのである。

彼女は一生涯において、その立場を変えなかったのである。

さて、神は彼女を欲したのである。

彼女は見目麗しく、淑女であったからである。

特に、太陽神は、彼女を連れていこうとしたぐらいである。

それはこういう経緯である。

 

「良きかな、神無月。お前が欲しい。」

 

彼女はちょっと動揺した様で、心の平衡感覚を失いかけた。

跪拝(きはい)をしながら、彼女はこう言う。

 

「あなたが女神であるなら、応えましょう。」

 

「いや、男神であるのだが・・・・・。」

 

「ならば、お断り申し上げます。」

 

(なら、女神という事にしよう。)

 

「分かったわ。あなたを神界に連れていくのは、この私よ。」

 

「あなたは女性だったのですか。男神と今、聞いたのですが???」

 

「いえ、私は女神です。アマテラスという神です。これ、月神よ。私と同じ性を持つ者。この人に神界の書類を渡しなさい。」

 

「はい。この通りでございます。」

 

こうして、アマテラスという神が生まれたのである。

 

昔々の話である。昔は、太陽神は男神だったのである。

 

彼女は神にとられ、多くの人が嘆き悲しんだ。

彼女は人間からも愛されていたからである。

 

~現代~

神無月が久しぶりに地上に降りてみると、彼女の周囲に人々が集まって来た。

 

「あなたは神の使徒ですか?お美しい。」

 

「あなた方の信じる神とは、どの事ですか?」

 

「聖書の神に決まっています。」

 

(残念ながらそうではありません。)

と彼女は言いかけたが、言わなかった。

ある意味都合が良かったからである。

そこで、人々は、

 

「相談があるのです。神は本当に魅力的な人を私達の承認を得ずに、取られるのですが、彼女はどうして取られなければいけないのでしょう?」

 

その女の名は神無月 精励(せいれい)。同じ姓!何という偶然の一致か!?

親王(みこ)程ではないが、美少女である。

彼女は夢を見たらしい。

自分が天界に行く夢を。

その天界は銀の無数の永遠的円柱に支えられ、金の天井を持っている建造物の様であった。

それは神々しく、又、恐ろしくもあった。

彼女はそれを発信して、助けを求めたのである。

そこで人々は、神に頼んで、

 

「どうか、神様。彼女を連れて行かないで下さい。

私達はあなたの地上でのしもべです。

この私達が頼むのですから、承認して下さい。」

 

祈っている途中、そこへ彼女がやって来たのである。


 
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