神無月 親王(かんなづき みこ)。
彼女はつまる所、美少女であった。
まん丸の目、青い瞳に、金髪のロングヘア。鼻筋が通っていて、ピンク色で薄い唇。
まつ毛が長く、眉毛(まゆげ)がくっきりとしていた。
男性に告白される事は、彼女にとって、何のメリットにも成らなかった。
彼女は女性が好きだったのである。
つまる所、レズであったのである。
彼女は一生涯において、その立場を変えなかったのである。
さて、神は彼女を欲したのである。
彼女は見目麗しく、淑女であったからである。
特に、太陽神は、彼女を連れていこうとしたぐらいである。
それはこういう経緯である。
「良きかな、神無月。お前が欲しい。」
彼女はちょっと動揺した様で、心の平衡感覚を失いかけた。
跪拝(きはい)をしながら、彼女はこう言う。
「あなたが女神であるなら、応えましょう。」
「いや、男神であるのだが・・・・・。」
「ならば、お断り申し上げます。」
(なら、女神という事にしよう。)
「分かったわ。あなたを神界に連れていくのは、この私よ。」
「あなたは女性だったのですか。男神と今、聞いたのですが???」
「いえ、私は女神です。アマテラスという神です。これ、月神よ。私と同じ性を持つ者。この人に神界の書類を渡しなさい。」
「はい。この通りでございます。」
こうして、アマテラスという神が生まれたのである。
昔々の話である。昔は、太陽神は男神だったのである。
彼女は神にとられ、多くの人が嘆き悲しんだ。
彼女は人間からも愛されていたからである。
~現代~
神無月が久しぶりに地上に降りてみると、彼女の周囲に人々が集まって来た。
「あなたは神の使徒ですか?お美しい。」
「あなた方の信じる神とは、どの事ですか?」
「聖書の神に決まっています。」
(残念ながらそうではありません。)
と彼女は言いかけたが、言わなかった。
ある意味都合が良かったからである。
そこで、人々は、
「相談があるのです。神は本当に魅力的な人を私達の承認を得ずに、取られるのですが、彼女はどうして取られなければいけないのでしょう?」
その女の名は神無月 精励(せいれい)。同じ姓!何という偶然の一致か!?
親王(みこ)程ではないが、美少女である。
彼女は夢を見たらしい。
自分が天界に行く夢を。
その天界は銀の無数の永遠的円柱に支えられ、金の天井を持っている建造物の様であった。
それは神々しく、又、恐ろしくもあった。
彼女はそれを発信して、助けを求めたのである。
そこで人々は、神に頼んで、
「どうか、神様。彼女を連れて行かないで下さい。
私達はあなたの地上でのしもべです。
この私達が頼むのですから、承認して下さい。」
祈っている途中、そこへ彼女がやって来たのである。
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神の避け所でゆっくりする話。