操られたパックマンとスピリッツとの戦いが始まった。
「……」
パックマンは身を守り、相手の出方を伺っている。
マリオは白いゴリラのラビッツコングに近付いて拳を振り下ろしたが、ラビッツコングはマリオの攻撃をかわす。
カービィは少女が飛ばした光を吸い込み、星形弾にして少女に吐き出した。
「私、今、身体が勝手に動いているんです。本当は戦いたくないのに、どうして……」
「僕は、マルス。君の名前は?」
「サクラです」
少女は、戦闘に参加していないマルスに自身の名を名乗った。
「じゃあ、サクラ……僕は戦わないけど、君が解放されるのを信じるよ」
「ありがとうございます」
マルスはマリオ、ドンキー、カービィ、ピカチュウ、シャドウ、アイシャが皆を助けると信じ、六人を見守った。
「早足ティーですわ」
アイシャは即席で紅茶を作り、味方全員の素早さを高め攻撃をかわしやすくした。
「うおりゃあ!」
「きゃあぁ!」
「……!」
ドンキーは敵の群れに突っ込んで両腕を振り回し、薙ぎ払った。
ラビッツコングは紙一重でドンキーの攻撃をかわしたがそれ以外に命中し、マイト軍団は全滅した。
その後、すぐにラビッツコングはドンキーにパンチで反撃する。
「いでえ!」
「ドンキーに何しやがる!」
「そこだ」
「きゃあ!」
ピカチュウはラビッツコングを10万ボルトで痺れさせ、シャドウはサクラを拳銃で三回撃った。
サクラはすぐに傷薬を飲み、自身の体力をある程度回復した。
「パックマン、苦しいだろ……今、助けてやる」
「グググ……」
「ファイアボール!」
マリオはパックマンに火炎弾を投げてダメージと共に火傷を負わせる。
「キーラなんかに負けないで、パクパク!」
カービィはパックマンの戦意を下げるために、パックマンの心に呼びかける。
すると、パックマンの動きが一瞬だが鈍った。
「おりゃぁぁぁ!」
その隙にピカチュウはパックマンに突っ込んでアイアンテールで攻撃した。
「ケシテヤル!」
「おっと! お、軽い軽い」
マリオはパックマンの至近距離からのパンチを早足ティーのおかげで余裕で回避した。
「ありがとよ、アイシャ」
「どういたしまして! サクラさん、ごめんなさい!」
アイシャはサクラを包丁で斬りつける。
シャドウはパックマンに狙いを定め、丸まって体当たりした後、回し蹴りで吹っ飛ばす。
「オレが元祖で本物だ!」
「食らえ!」
「10まんボルト!」
ドンキーは自身と似た姿のラビッツコングを見て少し不快になり、思い切り彼を殴った。
パックマンはフルーツターゲットをシャドウに投げるが、シャドウは素早いスピードで回避してホーミングアタックで反撃する。
ピカチュウはサクラの背後から電撃を浴びせてダメージを与えた。
「ク……アキラメナイノカ……?」
「当たり前だろ! オレを罠に嵌めた責任は取ってもらうからな!」
ドンキーは、パックマンがバナナを罠に使った事に憤慨していた。
パックマン自身の意思ではないとはいえ、好物を卑劣な行動に使われた事を許せないのだ。
「食らいやがれ! ジャイアントパンチ!」
ドンキーは怒りと渾身の力を込めたパンチをパックマンに繰り出した。
「*オオット*」
しかし、攻撃がパックマンに届く事はなかった。
攻撃を外したドンキーは、前のめりに倒れる。
「いってぇ……」
「アア、キミハホントウニバカダネ。ヒトクチデパクットイキタイヨ」
「やめろ!」
「ウオオオォォ!」
マリオがパックマンを止めようとすると、ラビッツコングが割って入り彼を庇う。
さらに、カービィのキックもパックマンが光線で止め、逆にカービィを掴んで投げ飛ばす。
「ゴガァァ!」
「うあぁぁぁぁ!」
ラビッツコングはピカチュウに突っ込んでパンチを繰り出し、ピカチュウを吹っ飛ばした。
「パクパク……お願い、元に戻ってよ」
「モトニモドル? ボクハミモココロモキーラサマニササゲタンダヨ?」
「違う! パクパクはそんな事絶対に言わない! ね、僕の手を握って、帰ろう?」
そう言って、カービィはパックマンに手を出した。
すると、パックマンは大きく口を開けて、カービィの手に噛みついた。
「うわああああああああああ!! やっぱり……倒さないとダメなの……?」
説得はやはり通じなかったようだ。
パックマンを倒さなければ、キーラの呪縛から解き放つ事はできない……。
カービィは覚悟を決めて、パックマンに近付いて足と左腕で組み付いた。
その後、カービィは右腕に力を溜めていく。
「グウウゥゥッ!」
「お願い、みんな! 僕がパクパクを元に戻すから、君達はスピリッツを解放して!」
「はい、かしこまりましたわ!」
アイシャは標的をラビッツコングに変更し、包丁を持ってラビッツコングに突っ込んだ。
ラビッツコングはアイシャの攻撃をかわすが、彼女は包丁を上に振って切った後、ラビッツコングの隙を突いて突き刺し、彼のスピリッツを解放した。
「痛いけど、我慢しな! ジャイアントパンチ!!」
「きゃああああ!!」
ドンキーは腕を振り回し、サクラに向かって突き出し、彼女をボディ諸共吹っ飛ばした。
その隙に、ベルがサクラに大鎌を振り下ろし、彼女のスピリッツを解放した。
「カービィさん、終わりましたわ! 準備はできてますの!?」
「OK! パクパク、僕の渾身のパンチ、受けろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ウアアアアアアアアアア!!」
カービィが力を最大まで溜めた右腕を振り下ろす。
彼の希望の光が、パックマンを操っている邪悪な光を打ち砕き、彼の中からそれが抜け出していく。
そして、邪悪な光がパックマンから完全に抜けると、パックマンはばたりと倒れた。
「……終わった、な」
「そうみたいね……」
シャドウは、倒れているパックマンを安全な場所に寝かせる。
ベルは、パックマンが起きるのを見守った。
「……大丈夫、よね」
「問題ない。あいつならすぐに起きるだろ」
ピカチュウがそう言うと、パックマンが瞬きし、身体を起こしてマリオ達の方を見た。
彼の眼は、いつも通りの黒に戻っていた。
「……あ、あれ、ここはどこ……?」
「お、起きたか。おはよう、パックマン『先輩』」
「せ、先輩……?」
マリオに先輩と言われたパックマンは瞬きした。
それに対し、ベルはパックマンに説明する。
「彼の方がデビューが早いからね。あえて、先輩って言ったんじゃない?」
「ふーん、そうだったノ。あ、お礼を言い忘れるところだったネ。みんな、ボクを助けてくれてありがとう」
「はは、それほどでもないよ」
(君、この戦闘に参加しなかっただろ)
少しだけ照れているマルスに、シークはツッコミを入れた。
「ほう、こいつが黄色い伝説・パックマンか。確か、地球を侵略した事があるらしいな」
「そんなの記憶にないヨ!」
シャドウは相変わらずの無遠慮な発言でパックマンを怒らせた。
どうやら、パックマンが地球を侵略した事は、彼は全く覚えていないらしい……。
「ま、まぁ、それはいいとして、ボクもキミ達についていっていい?」
「構わん。だが、お前は強いのか? 聊か不安だが」
「伊達に『黄色い伝説』って呼ばれてないからネ! 頼れる奴になれるよう、頑張るヨ!」
パックマンはどんと腕で身体を叩いた。
その生き生きとした表情を見たカービィは、うん、と安心したように頷く。
「じゃあ、パクパク! 僕達と一緒に行こう!」
「もちろんだヨ!」
こうして、希望の星を担うパーティに、年代上では最古参となるファイター、パックマンが加わった。
~ベルのスピリッツ名鑑~
サクラ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
白夜王国の第二王女。
内気で大人しい性格だが、芯は強い。
臣下は天馬武者のツバキと侍のカザハナ。
戦闘では味方の傷を癒す回復役として活躍する。
軍の中で一番、癒し系。
マイト
出身世界:争いの世界
性別:なし
亜空軍のマークが頭部になった紙のような魔物。
その見た目通りに弱いが、数が非常に多い。
弱くとも弱いなりに一生懸命である。
ラビッツコング
出身世界:キノコワールド
性別:♂
白い身体が特徴的な凶暴ラビッツ。
赤いネクタイをしており、バナナが大好きと、ドンキーコングと似たような特徴を持つ。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
ゲーム界の大先輩、パックマン参戦回です。
アシストフィギュアに限れば、某漫画にも出てきたのが先輩ですが……。