スマブラ四天王の一角、ピカチュウとの戦いが、始まった。
「10マンボルト……」
「うわぁっ!」
ピカチュウは電撃をマリオに放った。
聖なる光を纏った電撃が命中すると、マリオの身体を包んで痺れさせる。
キーラの力により、強化されたのだろう。
「えい!」
カービィはイスナにパンチするが、イスナは空を飛んで攻撃をかわす。
イスナはフォックスとファルコンの攻撃もかわした後、りょうの足元を狙って攻撃する。
「わっと!」
その攻撃が命中したりょうは転んでしまい、ピカチュウの攻撃を許してしまう。
「いたた!」
「危ないですよ」
「やめろ、ピカチュウ」
「グッ!」
ヨッシーとフォックスはピカチュウを蹴って吹っ飛ばす。
「今だ! ファイア掌底!!」
マリオはピカチュウに近付き、炎を纏った掌底をピカチュウに当てようとした。
しかしピカチュウはマリオの攻撃をジャストシールドで完全に防御した。
「オマエタチヲコロス……」
キーラに操られたピカチュウは、マリオ達に殺意を向けていた。
これは、本来のピカチュウなら絶対にしない事だ。
「ピカチュウ……待ってろよ、絶対に助けてやるぜ」
マリオは、ぎゅっと握り拳を作った。
カービィ、フォックス、ファルコン、りょうも、ピカチュウをキーラの呪縛から救いたいという意志を持っていた。
特に、同じスマブラ四天王のマリオとカービィは、その思いをより強めていた。
「目を覚ませ! ピカチュウ!」
「ファルコンキック!」
マリオとファルコンはピカチュウを蹴ろうとするが、イスナが二人の行く手を阻みピカチュウにダメージを与えられなかった。
「アイアンテール」
ピカチュウは鋼のように硬くした尾をファルコンに振るい、大きく吹っ飛ばす。
続けて、カービィに電気を飛ばしたが、その電気はカービィが吸い込み、スパークをコピーした。
「スパークアロー!」
スパークカービィは電撃の矢をピカチュウに向けて飛ばす。
でんきタイプのピカチュウには効果は今一つで、麻痺もしなかったが、一瞬だけ怯ませる事ができた。
おかげで隙ができたため、フォックスとファルコンは一気にピカチュウに突っ込んでいき、キックでピカチュウにダメージを与えた。
「グオォォォ!」
「待ってろよ、悪い夢から覚ましてやるからな」
ピカチュウは他の操られたファイター同様、キーラの悪い夢を見ている。
しかも、ピカチュウはスマブラ四天王の一角。
彼を助け出せば、キーラ軍に大打撃を与える事ができるのだ。
「えい!」
「エレキボール」
「うわああ!」
りょうはパチンコでピカチュウを狙い撃ちする。
攻撃はギリギリで命中し、ピカチュウにダメージを与えたが、彼がエレキボールで反撃し、りょうのパチンコより大きいダメージを与えた。
「スベテハキーラサマノタメニ。アラタナルソウセイノタメニ」
「そんなの、ピカピカが言う事じゃないよ! 思い出して、ピカピカ!」
「そうだ! お前は、世界を滅ぼそうとする奴らの味方はしないだろ!?」
「ウ……グ……グググ……」
マリオとカービィは、ピカチュウに呼びかける。
同じスマブラ四天王の二人ならば、効果があると思ったからだ。
ピカチュウは頭を押さえて蹲り、戦意を喪失した。
「よし、隙あり! アイスボール!」
マリオはその隙にピカチュウにアイスボールを投げて凍らせる。
そして流れるようにイスナを投げ、アイスボールで凍らせてとどめを刺した。
「ウオオオオォォォォ!」
「やっぱり駄目か……!」
「うわあぁぁぁぁ!」
しかし、ピカチュウはすぐに戦意を取り戻し、ヨッシーに突っ込んで投げ飛ばす。
キーラの力により筋力も強化されたのか、ヨッシーは地面に思い切り叩きつけられた。
「ピカチュウさ~ん、もうそれくらいにしてくださいよ~。ほらほら、平和に平和に~」
「オレヲバカニシテイルノカ……?」
ヨッシーの言葉が気に障ったらしく、ピカチュウは彼の首を掴んで持ち上げ、彼に10万ボルトを放った。
「うわああああああああああ!!」
ピカチュウはヨッシーに電撃を浴びせた後、アイアンテールで吹っ飛ばした。
吹っ飛ぶヨッシーの身体をマリオは両手で受け止める。
「……お疲れさん。後は、俺達がやるぜ」
「ありがとうございます……マリオさん」
マリオは、傷ついたヨッシーをゆっくりと地面に横たわらせた。
そして、ピカチュウの方に振り向いてこう言った。
「お前は、操り人形なんかじゃない。立派なスマッシュブラザーズだ」
「ニ……ン……ギョ……ウ……」
「分かっているでしょ? 君が、キーラの味方になんかなりたくないって」
「ソ……ンナ、ワケ……ナ、イ……」
マリオとカービィの説得に、ピカチュウは首を横に振る。
それでも、二人は諦めずに説得する。
「分かってくれよ、ピカチュウ。俺達はスマブラ四天王なんだ。一緒に乱闘して、一緒に生活して、一緒に競い合った仲じゃないか」
「ピカピカ……こんなのって、ないよ……。お願い、ピカピカ、元に戻って……!」
カービィの目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。
それが地面に雫となって落ちた途端、ピカチュウの中で何かが弾けた。
「ウ……グ……グアアァァァァァァァァァ!!」
「! 眩しいっ!!」
「この光は……!!」
突然、ピカチュウの身体が眩く光り出し、その場にいた全員が目を覆った。
ヘルメットを被っているファルコンも、その光に耐えられずに両手で顔を隠した。
その光は、キーラのものとは異なる、優しく温かい光だった。
そして、その光が消えると、ピカチュウの殺気が消滅した。
今ここに、ピカチュウとの戦いが終わった。
~ベルのスピリッツ名鑑~~
イスナ
出身世界:ヴィストラーダ
性別:女性
カーラ砂漠の小さな泉に棲んでいる水の精霊。
大樹の子と力を合わせオアシスを作る事ができる。
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スマブラ四天王の一人と対決です。
今回は原作キャラクターのみの出番となります。