第十三話 勉強会のち稟VSシグナム
「よし、こちらはいつでもいいぞ?」
「こちらもいつでも大丈夫です」
デバイスを起動しバリアジャケットを着た二人が訓練場の真ん中で向かい合っている。審判としてだろうか?戦技教導官という肩書きをもつなのはが少し離れたところにいた。そのほかのメンツは観客になっている。ユーノとフェイトの姿が見えなかったが。
なぜこんなことになっているかは二十分ほど前にさかのぼる
勉強会を始めてわずか十数分後、麻弓がこんなことを言い出した。
「ねぇ、だけどこれって点数悪くても何もないんじゃなかったっけ?」
「そういえばそうやね」
はやては麻弓のその言葉にうなづく
麻弓と今日それなりに仲良くなった人間にはその言葉を受けて麻弓がどういうだろうかは見当が付いた
「なら勉強とかはしなくても大丈夫なのですよ」
そしてそれはある意味正論でもあった
「で、でもテストなんだからちゃんと勉強しないと………」
「そ、そうですよぉ、麻弓ちゃん!」
「え、え~っと、明日どうなっても知らないよ」
とめに入る真面目組(フェイト、楓、桜)
「そうやね。そうしよか」
やめることに賛同する組
「は、はやてぇ~」
真面目組の非難が虚しく響く
「まぁ良いんじゃないかなやめても。確かに成績に響かないんならやらなくてもよさそうじゃない?」
ついになのはまでそういいだす。そして勉強道具を片付けてその場を去った
「た、高町さんまで~」
「ユ、ユーノ~なにかいってあげてよ~」
それでフェイトからおよびのかかったユーノはと言うと
「うん、そうそうこれはこんなふうに」
「ああ、こうか」
稟に勉強を教えていた。ちなみに楓がうらやましそうにユーノを見ているのはもうデフォルトである。
そしてフェイトに気が付き
「?どうかしたのフェイト」
「か、楓さんと桜さん以外がみんな勉強やめてリビングの方に行っちゃった」
「じゃ賭けは俺の勝ちだなユーノ」
「残念ながらそうみたいだねじゃ今度なんかおごるからね」
その会話にフェイトと楓は?マークを浮かべていた。空気を読むのが得意な桜は気がついたらしく呆れた顔をしていたが
その様子に稟とユーノは気付いて
「ああ、ユーノと賭けをしてたんだ、勉強会が30分もつかどうかをな」
「ぼくが負けたんだけどね。きっとこうなるとは思ってたし………だけどもう少しは持つと思ったんだけどね。こうも早いとは思わなかった」
ユーノも稟もこうなるとはおもってはいたのである
「………ユーノ不謹慎だよ」
「………稟くんもなにしてるんですか?」
「………稟くんな~にしてるのかな」
にっこりと三人が花のような笑顔を浮かべる………だが目が笑ってないのでものすごく怖い。フェイトはともかく楓と桜もこんな迫力があるとは………
「まぁ本当はちゃんとやったほうが良いとは思うんだけどね。紅女史はかなりの熱血教師らしいから、点数が悪いとなにかあるとおもうんだけど………」
「ああ、俺も同感だ。まぁ、今残ってるなかで勉強しないといけないのは俺くらいだがな」
だがふたりはしれっと流す
「なら余計にちゃんとやらないと………なのはもはやても時間が無いとかいってわたしの課題を全部写したんだよ?」
「麻弓ちゃんも勉強は苦手だって言ってましたし」
「しかもあの課題結構難しかったからちゃんと勉強しないとほんとにひどい点数取っちゃう」
友達おもいな三人である
「いや、一回最初に痛い目にあったほうがいいと思うよ。
だって二人より忙しかったはずのフェイトがちゃんと課題をやっていて、フェイトより暇だったはずの二人が写したっていうのはね………。
まぁ麻弓さんはちゃんと課題をやったんなら大丈夫だと思うしね。
それにフェイトと芙蓉さん、八重さんの三人は勉強しなくても、もう課題の内容は頭に入ってるでしょ?」
「俺は夜に楓に聞けばいい、まぁつまりお開きでも良いってことだよ」
まぁそれも正論である
「まぁそうなんだけど」
「稟くんに教えられるならわたし頑張っちゃいます」
「楓ちゃんいいなぁ………」
楓さん切り替えはやっ!?あと桜さん論点はそこなんですか?
「だけどこの後どうするの?ユーノはシグナムと模擬戦?」
「いやぼくのほうは筆記用具なんかが揃ってないから買いに行こうって思ってるんだけど、フェイトも一緒にどう ボソッ(今日の夜は散歩とかでられそうにないから、そのうめあわせもかねてね)」
最後のほうはフェイトの耳元でフェイトはすこし赤くなりながらも笑顔を見せてくれた
「うん、もちろん喜んで」
稟はどうするのかと思いユーノが視線を向けると
「なぁユーノおれがそのシグナムさんだっけ?その人と模擬戦してもいいか?」
稟はそう言ってきた
「だめです!!稟くん怪我しちゃいます!稟くんが怪我なんてしたらわたし、わたし………」
その稟のことばに楓が反対したが
「楓……大丈夫だって」
「大丈夫だよ、芙蓉さん。稟は強いから。たぶんシグナムさんが相手でも互角以上にはやりあえると思うしね」
ふたりの言葉のなかに漂う自信になにも言えなくなる
「ははっ、それに少し怪我して楓に看病してもらうのもいいかもな?」
「だから怪我はダメです!でも稟くんの看病は魅力的かも………」
「いや楓ちゃん、そこ迷うところじゃないから」
とりあえず突っ込みはいれる桜であった
「はぁ………分かりました。でも無理はしないでくださいね?」
楓が折れて一件落着
そんななかユーノにフェイトは近づいていって
(ユーノ!何考えてるの!シグナムのは訓練じゃなくてほとんど本気なんだから土見くん本当に怪我しちゃうよ!)
ユーノはそれはフェイトも一緒なんじゃ………とか失礼なことを思いつつ
(大丈夫だよ。さっき言ったのは芙蓉さんを安心させるために言ったわけじゃなくて事実だから………稟は強いよ)
フェイトはユーノの声に含まれた本気のいろを感じ取って納得したようだった
「稟、やるのはいいけどあの魔法は二割までの威力しかだめだよ?あとぼくはこれから買い物に行ってくるから模擬戦の様子は映像に残しておいてね」
「わかった。じゃ俺たちもいくか?」
「「そうだね」」
「はい、でも稟くんホントに気を付けてくださいね?」
「ほんとに、稟くん割と見栄っ張りだし、わたしたちにいいとこ見せようとして無茶とかしないように」
「わかってるよ。楓や桜の悲しそうな顔なんて見たくないからな…………」
でもいいところは見せたいよなぁと思う稟であった。
そんなこんなで勉強会は打ち切られたのだった。
こうして話は冒頭にかえる。
まぁ、ユーノとフェイトが居ないのは買い物に行ったからである。ついでにといって夕飯のあいだしも頼まれたようだが
「じゃふたりとも準備万端みたいだね。それじゃスタート!」
なのはの声をスタートに模擬戦が開始された。
最初に動いたのはシグナムだった。
「はぁーっ!!」
すばやく飛び出し稟との間合いを詰めて剣型のデバイス、レヴァンティンを振り下ろす。いまシグナムだせるの速度で切り付けた。
いっぽう稟はアルトを下段に構え迎撃に移りシグナムの剣にあわせるようにアルトを振る。
キインッ!!
剣が合わさる音がしてシグナムが一旦後ろにさがる
「ふむ、いまのに反応するとは………反射神経はかなりのものか。」
「いまので全力ならこっちは拍子抜けですけどね。様子見じゃなくて本気で来て下さい」
「ああ、なら行かせてもらうっ!!」
シグナムが稟にむかって再度むかっていく
まづ初撃、キインッ!
稟は難なく対応する
そのばから勢いを利用して二撃、三撃とシグナムはくりだしていく。
「ふっ、!はぁーっ!!」
キインッ、キンッ、ガキィィーン!!
その一撃一撃が必殺の威力、精度、スピードを持っていて、一撃ごとに威力やスピードが精度はそのままに上がっていっているのである。
それにもかかわらず稟は、なんなくそれらをさばいていく。
下段の構えから時には受け時には流して凌いでいる。
シグナムにも疲れが見えはじめたころ、甘く入った一撃をはねあげた
「はあっ!」
キンッ!
「なっ!!!」
シグナムはいままで防戦一方になっているだけだと思っていた相手からの反撃に驚きを隠せないがさすがは烈火の将とでもいうべきかすぐに落ち着きを取り戻した。
「今度はこちらから行きます!!」
こんどは稟が切り込みシグナムが受ける体勢となる
しかし稟の初撃を避けきれず剣を合わせるようにして迎撃をしたのだが
ギィィンン!!
剣が合わさるとシグナムが吹き飛ばされた。
それに稟の剣があたった瞬間、火花が散ったように見えた
「っく!なんて力だ!!」
しかし本当は火花が散ったのでは無い。火花のように見えたのは魔力。稟の一撃に込められた魔力量が桁外れだっただけのこと、ゆえにシグナムが弾き飛ばされるだけの威力が生まれたのだ。
稟は追撃をしかけなかった。何故か?確かにしかけるのは難しかった。だが稟の力量なら仕掛けられたはずだ。稟は待つことにしたのだ。シグナムの最高の一手を
「おまえ名前はなんといったか?」
「土見稟です」
「……よし土見、全力で行くぞ」
「……さっきから来てくださいと言ってるでしょう?」
シグナムは稟のその言葉には答えず
「カートリッジロード!!」
『エクスプロージョン!!!!!』
いきなりカートリッジをロードし始める
ガキョン!
稟のほうもそれは予測済みだったのか剣に魔力を集中していた
「アルト、あれやるぞ」
『了解だよ、稟。全力で良いんだよね?』
「ああ、もう1つは二割までだと止められたけどこっちは制限なしだからな。あともちろん非殺傷設定だからな?」
『わかってるよ。じゃいこうか?稟、くるよ』
シグナムと稟の間に緊張が走る
「「これできめる!!」」
そして二人は同時に動き始め
「紫電一閃!!」
シグナムは剣に烈火のごとき炎をまとい切り付ける
対する稟の剣に集まるのは光、まるで聖剣のごとき黄金の輝き
「勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!!!」
ふたりが激突しあたりは白い光に包まれた………
白い光が収まりみんなの目にも状況が見えてくる。
そのなかで立っていたのは青を基調としたバリアジャケットをまとった青年
つまり勝者は稟
シグナムはというとなのはに肩を貸してもらうと言う形で立っている。
「………完敗だ」
「いえ、いい勝負でした」
そして稟はシグナムの所に行き握手をする
「しかしだ負けっぱなしで終われん!後日、また模擬戦を申し込むがいいか?」
「いいですよ。その代わりに明日のユーノとの模擬戦を俺と変わってくれませんか?」
「………まぁ、いいだろう。どのみち明日に影響が残りそうだしな」
ということで本人のあずかり知らぬところで
ユーノVS稟というカードが強制的に決定されたのだった。
そこになんだか笑顔のシャマルがやってきてシグナムをれんこ……もとい治療をするためつれて戻った。
こうして稟の強さに対する認識は魔法を使える一般人からクラスアップしたのだった。
まぁ、このあとみんなのところに戻ると、楓が泣き出しそうな顔で体は大丈夫か聞いてきて(楓の後ろにいた桜も心配そうにしていた)
大丈夫なのを確認すると緊張の糸が切れたのか意識を失ってしまったので
(注)眠っただけ
稟は楓を『お姫さま抱っこ』して家まで一緒に帰ったのだった。楓が羨ましかったのか桜は稟たちと一緒に帰るとき稟の服の袖を握っていたそうだ。
ちなみにに稟も万更ではなく楓は意識が戻っても寝たふりをしていたらしい
「やくとくです♪」というのは楓の談である
ちなみに桜には別れ際に楓には家に着いたときに制服がにあっていることを思ったままに稟はほめた。もちろん大層喜んだそうだ
ちなみに他のみんなは各々の家で入学の祝いがあるらしくそれぞれ帰って行った
余談だが、帰ってから稟はしっかり楓と一緒にテストに向けて勉強をしたのだった。
もちろんそのあいだ楓さんの機嫌が鼻歌を歌いだしそうなくらいよかったのはいうまでもないだろう
あとがき
こんにちはグリムです。やっぱり戦闘は難しいですね。
今回は稟くんシグナムさんと模擬戦をするの巻きでした。とりあえず次はフェイトとユーノの買い物の話ですね。
ではまたお会いしましょう
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勉強会の話。とりあえずそれ以外のが長いですが