ドクターを仲間に加えた一行は、ヨッシーアイランドを後にし、次の目的地を探していった。
「それにしても、この世界は大変な目に遭ってるんだねぇ」
「最初は戦える奴が僕以外にいなかったしな」
「それを言うならカービィとベルもでしょ」
最初にキーラの襲撃で生き残ったのは、ワープスターで避難したカービィ、カオスコントロールで避難したシャドウ、魂を守る術で避難したベルのみ。
そこから三人は、スピリッツ化した者達を救いながら、キーラの呪縛からファイターを解放している。
「でも、こうして俺達は助けられてるんだ。いいだろ? ドクター」
「ファルコン君、それでもこっち側が少数陣営だという事に変わりないよ」
とはいえ、相変わらずキーラ軍の方が多い事は、ドクターもちゃんと把握していた。
「まぁ、確かに人数は少ないな」
「でも、僕達は強いよ。数なんかよりも、えーと」
「質だ」
「そうそう、質、質!」
要するに、有象無象が束になってかかっても、能力が高ければ軽くあしらえる、という意味だ。
「数よりも能力で勝負だ! 待ってろよ、キーラ!」
「ああ! 俺達が必ず、全てを奪還するぜ!」
「おーーーーーーっ!!」
スマブラ四天王のマリオとカービィは立ち上がり、キーラが浮かぶ天に向かってそう言った。
二人の勇気に満ち溢れた声質と表情に、一部を除いた全員が勇気づけられた。
しばらくすると、キーラが嘲笑するかのように空が震えた。
「キーラ……完全に俺達を馬鹿にしているようだな。だが、必ずお前を痛い目に遭わせてやるからな」
ファルコンは握り拳を作り、キーラにそう宣戦布告するのであった。
「次はこっちだ」
シャドウを先頭にして、一行は西に向かって歩いていった。
「おいシャドウ、どうしてそっちに行くんだ?」
「ベルがヨッシーアイランドで青いスイッチを押したからな。他にもスイッチがあるだろうと予測したからだ」
「へ~……」
「あ、スイッチ見つけたわよ!」
ベルが指差した先にあったのは、赤いスイッチだった。
しかし、赤いスイッチがある場所に行こうとすると、ブロンドのポニーテールと白いドレスが特徴の女性と、
赤い衣を纏い、大きな槍を携えた男が道を塞いでいた。
それぞれ、パルテナとガノンドロフのボディを元にしているが、姿は異なっていた。
「ハーディン……本当は……私は……」
「ニーナ、何故そんな事を言う……! お前は、我が妻なのだぞ……!」
悲しげな表情をする女性、ニーナと、衝撃を受けている男、ハーディン。
ハーディンはニーナを妻と呼んでいて、カービィはハテナマークを浮かべる。
「え、なんで?」
「ニーナ様はグルニアの黒騎士団の団長、カミュ将軍が好きだったんだ。
だけど、暗黒戦争が終わった後、ニーナ様は祖国復興のためにハーディンと政略結婚した」
二人のやり取りに疑問を抱くカービィに、マルスは簡潔に理由を説明した。
「……こういうやり取りも生まれるから、戦争というのは悲しいね。だから、僕が助ける」
マルスはファルシオンを抜き放ち、二人のスピリッツを解放する体勢に入った。
暗黒戦争で自身にファイアーエムブレムを託した王女は、恋慕する騎士がいながら、
終戦後にオレルアン王弟と結婚し、今度はその魂をキーラに利用された。
だから、マルスは二重の呪縛に苦しむニーナを解き放ちたいのだ。
「よーし! そんなに言うなら、僕もマルスと一緒に戦おう!」
「頑張ろうぜ、相棒!」
「はい、マリオさ~ん!」
「馬鹿め!」
「きゃ!」
ハーディンは槍でアイシャを攻撃する。
アイシャはハーディンの一瞬の隙を見計らい、ハーディンの攻撃を回避した。
「おら!」
「それ!」
マリオはハンマーを振り、りょうは傘でニーナを攻撃する。
「殴るのは苦手ですけど……」
アイシャはニーナにビンタして怯ませる。
マルスはニーナを斬りたくないため、ハーディンをファルシオンで斬る。
「そ~れ!」
「はっけい!」
「効かぬ!」
ヨッシーとルカリオの攻撃を、ハーディンは槍で受け流す。
そしてハーディンはマリオに槍を突き刺そうとするが、マリオは緊急回避して彼の背後に回り込みファイアボールで攻撃する。
「ドラゴンキラー!」
「ぐうぅぅぅぅぅっ!」
ハーディンはマルスのファルシオンの一撃を受け、横に大きく吹っ飛ばされる。
「そ~れっ!」
その後、ヨッシーがニーナに頭突きをし、ニーナも吹っ飛ばされて戦闘不能になった。
「カミュ……ごめんなさい、私は……」
「大丈夫よ、すぐに会わせてあげるから。しばらく大人しくしててね」
ベルはスピリッツボールを開け、ニーナのスピリッツを中に入れた。
「今度はお姫様のスピリッツか。……そういえば、ピーチやゼルダやデイジーは、どこに行ったんだ?」
「あ、そういえば」
ファルコンの一言で、マリオは気付く。
ピーチ、ゼルダ、デイジーは、他にも姫はいるが、争いの世界の代表的な姫だ。
またデイジーは、最近スマブラ屋敷に入って来たサラサランドの姫でもある。
「ちょっと、調べてみるわ」
ベルは鎌を地面に刺し、精神を集中して光の世界を探知した。
「溶岩城にピーチが見つかったわ」
「え、ホント!?」
「でも、ゼルダやデイジーの魂は分からない……。もしかしたら、別の世界にいるかもしれないわ」
ベルの探知により、ピーチが溶岩城にいる事が判明した。
しかし、ここから溶岩城に行くには遠すぎるため、カービィがシャドウにある提案をした。
「シャド兄、テレポートで溶岩城に行けないの?」
「正確にはカオスコントロールだが……もちろん行ける。だが、まだ行く必要はない」
「どうして?」
「……今はこいつと戦って、赤いスイッチを押すのが先だからな」
「あ」
赤いスイッチの前に立っていたのは、スターフォックスのリーダー、フォックスだった。
彼もまた、台座に束縛されており、カービィが触れる事で台座から解放された。
フォックスの両目は、赤く輝いていた。
「キーラサマノジャマヲスルモノハ……オレガ、シマツスル……」
フォックスは赤いスイッチを守っている。
どうやら、キーラに操られていても、一人称までは変わらないようだ。
シャドウとランスはそれぞれ武器を構える。
「よ~し! 頑張るぞ~!」
「邪魔をするというのなら、覚悟するんだな」
「待っててね、フォッくん。僕が必ず助けるから!」
「目の前にいる患者を助けられなくて、何が医者だ」
「死神ベル・クリーブ、ただいま参上! ってね」
カービィに続いて、マリオ、ドクター、ベルも戦闘態勢を取った。
今、フォックスとの戦いが、始まった。
「それっ!」
ベルはフォックスに大鎌を投げつける。
フォックスはリフレクターを使い、飛んできた大鎌を跳ね返す。
すかさずフォックスはブラスターをドクターに連射するが、ドクターはシールドを張って攻撃を防ぐ。
「君の病名は……『ゾンビ病』だね」
「ゾンビ病?」
「病気を生み出してる人の下僕になる病気だよ。元の意識はなく、主の忠実な従者になるのさ。これは症状が軽いから強いショックで治るけどね」
「グァッ!」
そう言って、ドクターはカプセルをフォックスに投げつけて怯ませる。
「そらよ!」
マリオは、ドクターに続いてフォックスをファイアボールで攻撃する。
シャドウはホーミングアタックを繰り出した後、一度距離を取って拳銃で頭部を狙って撃つ。
「よく平気でそこを狙えるね、シャド兄」
「頭ならば、すぐに倒れるからだ」
「ウググ……」
フォックスは頭を押さえて動けなくなる。
「よし、今だ!」
カービィとランスはフォックスに突っ込み、パンチと槍で連続攻撃した。
「フォックスイリュージョン!」
「うわあぁ!」
「うわぁ!」
怒ったフォックスは、目にも留まらぬスピードでカービィとランスを切り裂く。
「キーラサマニタテツクナド、ゴンゴドウダン! イマココデ、ケシサッテクレル!」
「ボク達はそのキーラという人からキミを助けるために戦っているんだ!」
「ダマレダマレダマレ! キーラサマコソシコウ! キーラサマコソスベテ! スベテヲヒカリニツツンデクレル!!」
「うわーっ!」
フォックスはランスを腕で振り払う。
ランスは体力が減ってきて、疲労も溜まっているが、気合で何とか立ち上がった。
「ドウシタ……コノテイドカ?」
「フォックス、キミのキーラへの忠誠心は確かに凄いよ。でも、それは間違ってる」
「ナニ?」
「大王様はボクに名前をつけてくれた。それは、ボクを信頼しているからだ。今もボクは、名前をつけた大王様のために頑張ってる。
忠誠というのは、お互いを信じてこそ生まれるんだ。キミは、キーラに利用されてるんだ!!」
「ダマレェェェッ!!」
「黙らないよ! だって、これがボクにとっての主従関係だもん!」
ランスは槍を構え直し、フォックスに突っ込んでいった。
フォックスは両手で槍を押さえ、ランスを再び投げ飛ばす。
衝撃でランスの槍が飛んでいったが、ランスは諦めずに立ち上がり、もう一つの武器である傘を取り出す。
「槍がなくてもこれがある! ボクは絶対に諦めない! カイショウナシになるものか!!」
そう言って、ランスは傘をドリルのようにフォックスに突き立てた。
「はぁぁぁぁっ!」
「ウォォォォッ!」
フォックスとランスがぶつかり合う。
ランスの傘がフォックスの身体に当たったと思えば、フォックスの尾がランスに当たったりと目まぐるしい光景になっていた。
「す、凄いですわね、ランスさん……」
「誰かのために一生懸命になると、こうなるんだな……」
アイシャとシークは、その光景を固唾を呑んで見守っていた。
そして数分後、ランスとフォックスの一騎打ちに決着がついた。
ランスの傘がフォックスを貫き、フォックスはその場に倒れた。
「勝ち、ました……よ、大王、様……」
ランスも、ダメージがかなり蓄積していたため、フォックスに遅れて倒れた。
「お疲れ様、ランス君」
「ひぃ~! しみる~!」
戦いを終えたランスは、ドクターに怪我を治してもらった。
ドクターは塗り薬をランスに塗っていく。
薬が傷に当たってしみたらしく、ランスは痛がっていた。
「悪いけど、治療は手を抜かないよ。患者が死んだら元も子もないからね」
「うぅ~……」
ランスがドクターの治療を受けている間に、フォックスが起き上がった。
「ん……あれ、俺は何をしていたんだ……」
「フォッ君! お帰り!」
「うわっ!」
カービィの明るい声にフォックスは驚いてよろめく。
いきなり殴られた上に、大きな声で呼ばれたからだ。
フォックスはよろめいた拍子に、後ろにあった赤いスイッチを押してしまった。
すると、道を塞いでいた岩が砕け散り、赤いバリアも消えた。
「……あ、すまん」
「いいのよ、バリアが消えたみたいだし。フォックス、少し休んだら、何が起こったか詳しく聞かせてもらうわよ」
「ああ、分かった」
数分後、フォックスはベル達に事情を話した。
内容の大半は他のファイターを助けた時のものと同じだったが、フォックスはあるものを見ていたらしく、それを皆に話した。
「俺が意識を失う前に最後に見たのは、マスターハンドだった。そいつは何か、慌てているみたいだった」
「慌てている?」
「ああ……確か、どこに飛んでいったかな……。うーん……宇宙だったかな?
とにかく、そいつは何か知ってるっぽいし、宇宙に行けたら話を聞きたいんだが……アーウィンを出そうにも何故か出せないし……」
フォックスはまたもアーウィンを出せなくなったようだ。
じゃあ後回しだね、とりょうが言う。
「それじゃ、次はどこに行く?」
「……南西にある街で2つの波導を感じる。そこに行くぞ」
ルカリオは、街で波導を感じたらしい。
恐らくは、ファイターの波導だろう。
一行は全員、迷わずルカリオに賛成し、街に行くための準備をした。
「準備はできたか?」
「うん!」
「では、街に行くぞ!」
「あ、待ってくれ。ランス君の治療が今終わったところだ」
「置いてかないで~!」
~ベルのスピリッツ名鑑~
ニーナ
出身世界:戦記の世界
性別:女性
アカネイア王国の王女。
暗黒戦争でマルスにファイアーエムブレムを託す。
後にオレルアン王弟ハーディンと政略結婚するが、彼女の心はカミュに傾いており……。
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フォックス・マクラウド救出回です。
バンダナワドルディが結構活躍しています。