No.1056411 鬼滅の刃 清めの音(ね)を持つ鬼 第2話2021-03-09 15:10:08 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:404 閲覧ユーザー数:404 |
「炭治郎をお前さんの弟子に❓」
響鬼が言った事に驚きを隠せない左近次だったが
スンスン
「(こいつからは嘘の匂いがしない。本気で言っておるのか)」
炭治郎並みの嗅覚で響鬼が嘘を言っていないのはわかっていた。
「勿論無理矢理とは言いません。彼の意思を尊重した上で受け入れてくれるのであれば…ですが」
左近次は暫し考えた後
「炭治郎を呼び戻す。話はそれからだ」
左近次は立ち上がると、小屋を出ていった。
そして数分にも満たず小屋の扉が開くと、左近次と外で素振りをしていた少年が中に入ってきた。
「待たせてすまない。炭治郎、挨拶を」
「は、はい❗初めまして、竈門炭治郎です。よろしくお願いします❗」
「左近次殿、そんなに待ってはいないので大丈夫ですよ。初めまして少年。俺の名は響鬼。字は『響く鬼』と書く」
炭治郎は『鬼』の言葉を聞くと身体を強ばらせた。
「そんなに緊張しなくとも大丈夫だよ。俺は『人喰い鬼』とは違うからね」
苦笑いをしている響鬼の匂いを炭治郎は嗅ぎ取り、嘘は付いていない事がわかり、警戒を解いた。
「信じてくれてありがとう。早速本題に入ろう。俺の弟子になって貰いたい」
炭治郎は驚き左近次の方を見たが、彼は無言を貫いていた。まるで『自分で決めろ』と言わんばかりに。
炭治朗は暫し考え込むと
「貴方の弟子になれば、禰豆子を、鬼になった妹を元に戻せますか❓」
炭治郎の言葉に多少なりとも驚きつつも、響鬼は
「俺の弟子になったもしても、人喰い鬼になった人を元に戻す方法は分からないかもしれない」
と言った。炭治郎は明らかに落胆するが、
「だが、少年が鬼殺隊に入り、俺と同じ力を持てば、何かしらかの手掛かりを掴めるやもしれない」
と付け足した。それを聞いた炭治郎は
「分かりました。それでしたら、貴方の申し出を受けさせて頂きます」
と決意した。
「良く決意してくれた少年。では今日から少年は俺の弟子だ」
響鬼は喜び、炭治郎を抱き締めた。
左近次は頷きながらも
「炭治郎、お前が選んだ道は激しく険しい物だ。だが、一度選んだ道を引き返す事は出来ん。それでもやるんだな❓」
響鬼に抱き締められた炭治郎は左近次の方を向き
「はい❗禰豆子を元に戻せるのであれば、何でもやります❗」
かくして炭治郎は響鬼の弟子となった。本来なら、鬼殺隊の様な最終選別と同じ試験を行わなければならないのだが、時間が無いとの事で特別に認められた。
それからと言うもの、炭治郎は自分の身体を虐めに虐めた。何故かと言うと、響鬼曰く
「鬼になるには、己の肉体と精神を極限まで鍛えなければならない」
との事だった。炭治郎は左近次から言われている修行の他にも、響鬼が用意した板を太鼓のばちで叩く訓練も追加で行っていた。
通常であれば、弟子の修行を師匠が見守らなければならないのだが、師匠である響鬼はその日の内に小屋を後にした。
炭治郎は来る日も来る日も修行に明け暮れ、気が付けば左近次の下を訪れた日から1年も経過していた。
炭治郎が最終選別を受ける為に左近次から言い渡された課題は『自分の身長よりも大きな岩を真剣で斬る』と言う物であった。
炭治朗は『無理だろ』と思いつつもやってみるが、中々思う様にはならなかった。諦め掛けていたその時、岩の上に狐の面を着けた宍色の髪の青年が座っていた。
彼は炭治郎に勝負を挑むが、炭治郎は乗り気では無かった。何故なら自分が持っているのは真剣で彼が持っているのは木刀だったからだ。
だが、彼は炭治郎に一方的に打ち込み、炭治郎を気絶させた。そして炭治郎が目を覚ますと、そこにいたのは彼では無く、似た様な狐の面を横頭部に着けた女性だった。
彼女は自分の名を『真菰』、彼の名を『錆兎』と言った。そして錆兎は炭治郎に打ち込みながらも『全集中の呼吸』を教えた。
炭治郎が錆兎に叩きのめされてから更に半年、錆兎の得物が木刀から真剣に変わり、炭治郎との勝負をする事になった。
が、勝敗は直ぐに決した。炭治郎が踏み込みながら得物を縦一文字に振るうと、錆兎の面が割れ、素顔が露になった。錆兎は寂しそうに微笑んでいた。そして気が付けば、炭治郎は目の前の岩を一刀両断していた。
炭治郎は早速左近次に知らせると、左近次は炭治朗を抱き締め、最終選別に行く事を許可した。
そして最終選別当日。炭治郎は市松模様の羽織を着て小屋の前に立っていた。そして左近次からは日輪刀、響鬼からは自身が持っているのと同じ変身音叉『音角』とディスクアニマル『瑠璃狼《』を3枚受け取った。
そして炭治郎は最終選別が行われる『藤襲山』へと向かった。その去り際、
「鱗滝さん、師匠、行ってきます❗錆兎と真菰によろしく❗」
と言って手を振りながら走り去って行った。
だが、左近次は不思議そうに
「炭治郎。何故お前が…、死んだあの子たちの名を知っている」
左近次の疑問に答えるかの如く
「左近次殿、その子たちは生きていますよ」
響鬼の言葉に左近次は驚きながらも顔を向けると
「最終選別の時に猛士の者が偶々潜んでましてね。偶然にも死にかけていた2人を保護したとか」
そして左近次を更に驚かす供述を響鬼は言った。
「今は猛士で働いていましてね。少年の修行の手助けになればと思い、密かに呼んでいたんですよ」
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この話は竈門炭治郎とその師匠となる鬼の話である。