シャドウ、ベル、マルス、シークは、一行と別れた後、ヨッシーアイランドのエリアでスピリッツを解放しに回っていた。
カブを売っている猪の老婆カブリバや、マクラノ王国の王子ユメップなど、いかにも戦闘に向かない者までスピリッツになっていた。
「なんで、こんなのまでスピリッツになってるのよ」
「りょうやソレイユ、リュンヌがファイターになっている時点でそのツッコミは無駄だと思うよ」
奇妙なスピリッツばかりではぁ、と溜息をつくベル。
対照的に、マルスはもう慣れているといった表情をしていた。
「この辺に捕まった仲間はいるのか?」
「いると思うわよ。私は勘を信じるわ!」
「勘って……;」
ベルの言葉に、シャドウ、マルス、シークは一抹の不安を覚えた。
「……あ、いたわ!」
3分後、ベルは台座に縛られているファイターを見つけた。
それは、青いバンダナを巻き、片手に赤い房がついた槍を持ったワドルディだった。
「誰だ、こいつは」
「見た事がないね……」
「ワドルディ? でも、ちょっと違うわね」
「新参者か? だが……」
どうやら、この場にいた四人は、このワドルディの事を知らないようだ。
とはいえ、放っておくわけにはいかないので、とりあえずシークは後ろに下がり、
仕込針を台座目掛けて投げると、鎖は砕け散りワドルディは解放された。
「……ケ、ス……」
ワドルディの目は赤く染まり、槍も禍々しい光に覆われていた。
さらに、彼の近くにいたあみぐるみヨッシーのスピリッツが、ワドルディに付き従うように動いた。
「ケスゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
ワドルディは槍を持ってシャドウ達に襲い掛かってきた。
シャドウは攻撃をかわした後、戦闘態勢を取る。
「来るぞ、油断するな!」
「ええ!」
「それ!」
マルスはワドルディにファルシオンを振って切り裂く。
「やあ!」
ベルはあみぐるみヨッシーに大きく鎌を振り下ろすが、あみぐるみヨッシーは彼女の攻撃を見切る。
「……っ! シャドウ!」
「カオススピア!」
ベルがシャドウにアイコンタクトをすると、シャドウはワドルディに混沌の矢を放った。
ワドルディはパラソルを開いて防御しようとしたが、パラソルを開く直前で混沌の矢はワドルディに刺さる。
「イタイ! ナニヲスル!」
ワドルディは槍を振り回してベルを攻撃しようとするが、でたらめに振り回したため当たらなかった。
「あんたの事を知りたいから、まずは正気に戻りなさい」
「仕込針」
ベルとシークは、ワドルディを正気に戻すため、鎌と針でワドルディを攻撃した。
「フォロワースロー!」
「マーベラスコンビネーション!」
ベルはワドルディを掴んで後ろに投げ、マルスが怯んだワドルディをファルシオンで連続斬りする。
「……」
「ウワ!」
シャドウは無言で威嚇射撃を行い、ワドルディを怯ませる。
その甲斐があってワドルディはあたふたし、合わせてあみぐるみヨッシーも慌てる。
「ドラゴンキラー!」
「ダウンリーパー!」
そして、マルスとベルの武器が、あみぐるみヨッシーとワドルディを真っ二つにした。
あみぐるみヨッシーのスピリッツは、ベルがスピリッツボールの中に入れた。
「ばたんきゅ~……」
「なんかそれ、どっかで聞いた事あるわね」
ワドルディは、どこかで聞いた事があるような台詞を言いながら倒れた。
「おい、そこのお前」
シャドウが無造作に倒れたワドルディに話す。
「ちょっとシャドウ、それは失礼だと思うよ」
「そうか?」
シャドウは純粋なため、マルスが注意した事を気に留めていない。
するとシャドウの声に気づいたワドルディが起き上がった。
「あ、あれ? ここは一体……。大王様……?」
「だ、大王様?」
「うん、ボクに名前をくれた恩人なんだ」
「デデデが……?」
どうやらこのワドルディは、デデデによって名前を与えられたらしい。
四人が首を傾げると、ワドルディは笑顔で四人に自己紹介した。
「あ、自己紹介自己紹介。ボクの名前はランス。かつてリップルスターで起きた異変を解決したワドルディの……」
「子孫!?」
「従兄弟のお姉さんの友達の甥っ子なんだ」
「なんだ」
青いバンダナを巻いたワドルディ――ランスと、リップルスター異変を解決したワドルディとの繋がりは全くなかったため、がっかりするベル。
「それで、キミ達の名前はなーに?」
「……シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」
「ベル・クリーブよ」
「僕はマルスだ、よろしくね」
「シークだ」
「よろしく~!」
シャドウ、ベル、マルス、シークは改めて、ランスに自己紹介をした。
ランスは笑顔で、四人の手に一人ずつタッチした。
「それで、キミ達はなんでここにいるの? まあ、そういうボクも、人の事は言えないけど」
「実はね、かくかくしかじかで」
ベルは、これまでの事情をランスに話した。
「ふーん、みんながキーラに捕まっちゃったから助けに行ってるんだね?」
「ええ、そうよ」
「うわぁ~、みんな強そうだねぇ。ねえシャドウ、それ、何?」
ランスがシャドウの持っている拳銃を差す。
「銃だが?」
「銃? って?」
「お前が持つ必要はないものだ」
「そうなんだ。でもボクにはこの槍と傘があるから、大丈夫だよ」
ランスはシャドウの銃を欲しがらず、自分の槍と傘を使って戦う事にした。
あまり高望みはしない、謙虚な性格が見て取れる。
「だからボクも、一緒に連れてって!」
ランスがぴょんぴょんと飛び跳ねる。
これは、四人の仲間になりたいというサインだ。
マルスは微笑みながら彼の仲間入りを承諾する。
「もちろん、いいよ」
「仲間は一人でも多い方がいいからね」
「ふっ、ベルの言う通りだ」
「僕の足手まといになるなよ」
「む~! ボクだってやる時はやるんだから!」
こうして、シャドウ一行に新しい仲間が加わった。
青いバンダナを巻いたワドルディ、ランスという一意専心の槍歩兵が。
~ベルのスピリッツ名鑑~
カブリバ
出身世界:どうぶつの森
性別:女性
カブ(株と蕪をかけたもの)を売っている猪の老婆。
日曜日の午前中に現れ、カブを売り買いできる。
ちなみに、カブの消費期限は一週間。
ユメップ
出身世界:夢の世界
性別:男性
遠い昔に滅びたというマクラノ王国の王子。
アックームの野望を砕くため、夢世界でマリオ達を助ける。
あみぐるみヨッシー
出身世界:ウールワールド
性別:♂
クラフトアイランドに住んでいるヨッシー。
カメックの魔法でクラフトウールにされた仲間を救うため、冒険する。
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バンダナワドルディ、スマブラSPに参戦すると思ったのになぁ……。
そんなわけで小説では勝手にファイターにしました。
名前も私が勝手につけましたのでご了承ください。