トロン・ボーンのスピリッツを解放した一行は、次のスピリッツを探して、レース場に向かおうとしていた。
「なんでレース場なの?」
「死神の勘が騒いでいるのよ。キーラに捕まったファイターの魂がいるって」
ベルによれば、レース場にはファイターが捕まっているらしい。
一人でも多くのファイターを助けるのが当分の目的であるため、マリオ達は迷わず彼女についていった。
「慎重に行かなければな」
レース場に行くための場所は、岩がたくさんあり、道を外すと落ちそうだった。
シャドウの言う通り、一行は足を踏み外さないように、慎重に歩いていった。
「待っててね、僕達が助けるから」
「まったく、何故僕がお前達と共に行動しなきゃいけないんだ」
「お前だけじゃこの危機は乗り越えられないぞ」
「やめてよ、二人とも~!」
シャドウは単独行動をしたくて愚痴を吐くが、マリオはそれを注意する。
チームワークに不安が残るこのパーティーを、カービィは何とかまとめたいと思っていた。
こうして岩の足場を降りてレース場に入ろうとすると、ブキを持った蛸が擬人化したような女性のスピリッツがいた。
「あ、これはタコゾネスね。マールと同じ世界にいる『オクタリアン』という種族の突撃兵よ」
「タコゾネスって強いの?」
「そこそこね。四体いるけど私達はたくさんいるし、ほぼ互角になるんじゃない?
相手は遠距離攻撃をしてくるわ、こっちも遠距離攻撃が得意なシャドウを入れましょ」
「ああ」
シャドウは、拳銃を取り出してそれをタコゾネスに向ける。
銃撃戦なら負けない、といった表情をしていた。
「残りの五人はカービィ、私、アイシャ、マリオ、シークでいこうかしら」
「賛成、僕は飛び道具を持っていないからね」
「僕のパチンコも威力は期待できないし」
マルスとりょうが下がった後、カービィ達はタコゾネスに戦いを挑んだ。
「はい、終わり」
タコゾネスとの戦いに勝利し、ベルは彼女のスピリッツをスピリッツボールの中に収納した。
こうして、八人はレース場に入る事ができた。
東に進んでいくと、黒髪を二つに結った、目つきが悪い女性のスピリッツがいた。
「あぁ? なんだオマエらは」
「この人はハン・ジュリ。リュウと同じ世界にいるテコンドー使いの女性よ」
「オマエら、存在自体がうぜえンだよ。失せろ」
どうやら、このハン・ジュリという女性は、トロン・ボーン同様に異世界のスピリッツのようだ。
ベルがスピリッツの簡単な説明をした後、ジュリはその容姿に違わない強烈な言葉をベル達に言った。
アイシャは震えて縮こまり、ベルの後ろに隠れた。
「怖いですわ。わたし、戦いたくありません」
「ああ、そのツラ、いいねえ。もっとあたしに見せてくれよ」
このジュリという女性は、アイシャにとっては天敵だった。
彼女を守るため、ベルは大鎌を持って前に立つ。
「……あんまり、怖がらせちゃよくないわよ? アイシャ、下がってて。あんたの相手は、私だからね」
「はい!」
「オマエの全てを、食ってやるよ!」
ベルは、大鎌を構えてジュリに戦いを挑んだ。
ジュリも、構えを取って彼女と勝負をした。
「私は死神だもの、あんたに負けるわけないでしょ」
結果は、ベルの勝利で終わった。
ベルは、ジュリのスピリッツをスピリッツボールの中にしまった。
(レース場に捕まってるファイターといえば、う~ん……)
マリオは、レース場でキーラに捕らえられたファイターが誰なのかを予想していた。
レーサーのファイターといえば「彼」しかいないのだが、それ以外のファイターもいそうだと考えていた。
マリオが考え事をしている最中に、一行は乗り物がある場所に辿り着いた。
「これは……ワイルドグース?」
「ワイルドグース?」
「F-ZEROマシンよ。これを運転できるスピリッツは、うーん……この場にはいないわね」
ワイルドグースを運転できればサーキットを進めそうだが、今はそれが可能なスピリッツはいない。
一行は仕方なく、レース場を後にして、ワイルドグースを運転できるスピリッツがいる場所に向かった。
「確か、こっちだったはずよ」
ベルの案内でカービィ達が北に行くと、双子のドガースのスピリッツがいた。
「これはドガースの進化形、マタドガスね。又ドガスであって、マ『ダ』ドガスじゃないわよ」
「うん」
「後、浮遊しているから地上攻撃は効かないわよ」
マタドガスは、どくタイプだが特性は「ふゆう」なので、地上の攻撃は効かない。
特性を無視する特性がなければ、弱点はエスパータイプのみなのだ。
「……ボディがあいつなのが、気に食わないけど」
そう言って、ベルは大鎌を構え、マタドガスのスピリッツに戦いを挑んだ。
「マタドガスのスピリッツ、解放!」
「お~!」
ベルはマタドガスのスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。
カービィは、ぱちぱちと拍手する。
「私は死神だし、ね? で、多分、この先にワイルドグースを運転できるスピリッツがあると思うわ。行きましょ」
「ああ」
八人が先に進もうとした瞬間、遠くにある何かが光り、地響きが起こった。
「きゃ! なんですの!? あわわわわ……」
アイシャが驚き、慌てふためくと、横にある橋の中央に巨大な結界が現れ、道を塞いでしまった。
「あらまぁ、結界が出ちゃったわね」
ベルが橋に近付いてその結界に触れると、バチッ! という音と共にベルが手を離した。
「っつ~」
「大丈夫、ベルベル!?」
「平気よ、これくらい。ったく、キーラってば、油断も隙もないんだから」
キーラから妨害を受け、腹を立てるベル。
「ベルベル、どうして鎌を使わなかったの?」
「あ!」
カービィの疑問で気が付いたベルは、鎌を取り出して結界に振るった。
しかし、鎌は結界に弾かれ、傷一つつける事ができなかった。
「駄目みたいね……」
「とりあえず、ワイルドグースを運転できるスピリッツを探すために北に行くぞ」
「ええ」
鎌で結界を壊せないと分かったベルは、その橋を後にして北に向かうのであった。
「いたわ! ワイルドグースを運転できそうなスピリッツが!」
「待って、ベル!」
ベルがスピリッツを解放するために大鎌を構えようとすると、りょうが何かを発見して彼女を止める。
「え? 何なのよ」
「誰かが……捕まっている!」
「え……あ、ホントだわ!」
台座には、はどうポケモン・ルカリオが光の鎖で縛られていた。
その下からは、次々とルカリオのボディが生成されている。
つまり、ルカリオを解放できれば、今後、彼のボディが使われる事はなく、また戦力も増えて一石二鳥なのだ。
「そこか」
シャドウが台座に触れると、鎖が砕け散り、そこからルカリオが下りてきた。
同時に、マリオ、カービィ、シーク、マルス、りょう、シャドウ、ベル、アイシャは不意打ちを受けないように戦闘態勢を取った。
「……マイル」
ルカリオの周囲には、異星人のスピリッツ、埴輪のスピリッツ、司祭のスピリッツが浮いていた。
彼らもまた、キーラに操られた被害者なのだろう。
「……いくぞ」
「うん」
「ええ」
シャドウ、ベル、マルスがそれぞれ武器を構え、戦闘態勢を取る。
一触即発の状態で、皆、緊張していた――
―ぐきゅるるるる……
「あ、僕、お腹空いたからパス……」
その緊張を、一人の腹の虫がほぐした。
~ベルのスピリッツ名鑑~
タコゾネス
出身世界:未来の地球
性別:ガール
蛸が進化した種族、オクタリアンの突撃兵。
人と蛸に変化する能力を持っている。
ハン・ジュリ
出身世界:こことは異なる世界
性別:女性
S.I.N.社の工作員で、テコンドー使いの女性。
残忍で享楽的なサディストで、毒蜘蛛を思わせる容姿を持っている。
身長165cm、Dカップ。
バイオ・レックス
出身世界:エフゼロワールド
性別:不明
バイオテクノロジーで蘇った恐竜。年齢は一桁。
ビッグファングに乗るF-ZEROレーサーでもある。
凶暴な性格で、好きな食べ物は肉。
マタドガス
出身世界:ゲフリアース
性別:♂♀両方存在する
ドガースが進化した、どくガスポケモン。
どくタイプで、特性はふゆう。
ゴミから発生するガスを食べて大きくなる。
極稀に、三つ子のマタドガスが見つかる。
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レース場にはたくさんのスピリッツがいます。
異世界の魂も、この世界の魂も。