一刀「う~ん」
痛い…体が痛い。物凄く。
でも何故だ?昨日はちゃんとベッドで寝たはずだし…
寝ている間に床に落ちたか?にしてはなんだ手にはがごつごつさらさらした感触が。
一刀「うっ」
そこまで考えて目を開いた。真っ先に差し込んできたのは太陽の光。
そして手に当たる感触は岩と砂…
一刀「岩と砂ぁ!?」
勢いよく体を起こし辺りを見る。そこには本当に岩と砂があった。
部屋にそんなものがあるはずがない。しかし、間違っていたのは一刀のほうであった。
一刀「ここ、どこ?」
周囲を見渡すとそこは自分の部屋などではなく、雄大な自然の真っただ中。
しかも、どう見ても日本ではない。
一刀「なんかテレビで見た中国の風景に似ているような…」
驚いているはずなのに、妙に落ち着いているな。
視線を自分の体に向けると俺が通っている聖フランチェスカ学園の制服を着込み、すぐ近
くには普段鍛錬に使っている愛用の木刀が落ちていた。
とりあえず木刀を拾い、立ち上がってもう一度辺りを見渡した。
どれだけ確認したところで、これが現実だという認識が一層強くなっていくだけなのだが。
男1「おう兄ちゃんいい服着てるじゃないか」
一刀「えっ?」
振り返った先にいたのは三人組の男。
俺に声をかけたのは中年の髭を生やした男。その男の左右にはどこの横綱だ?と聞きたく
なるほど大柄で太った男と、それとは対照的に小柄で細身の男が立っている。
一刀「ちょうど良かった。ちょっと訪ねたいんですが、ここどこでしょう?」
俺の問いかけに中年の男はニヤッと笑い、
男1「どこって、そりゃあ…兄ちゃんにしてみれば地獄の入口ってところじゃないか?」
その言葉にはっとして男たちをよく見ると手には刀が握られている。
一刀(本物!?)
以前一度だけ真剣を見たことがあるから何となくわかった。あれはよくできた贋物なんかじゃない。人を殺すために造られた本物の剣。
反射的に木刀を構え、男たちを睨みつける。
それに反応した三人も戦闘態勢に入ったようだ。左右の二人がじりじりと移動し、取り囲もうとしている。
一刀(くそっ。こういうときは)
先手必勝。三人に囲まれて同時に攻められれば勝ち目などない。なら速攻で一人倒して退路を確保しなければ…あの三人のなかで狙うとすれば、
一刀「め―――んっ!!」
男2「ぐえっ」
狙うは一番素早そうな小さい男。まさか攻めてくるとは思っていなかったのか、一瞬驚いたせいで反応できなかったようだ。思ったよりもあっさりと決まった。
男1「チビ――っ!」
一刀「この隙に」
と走り出そうとしたところで
男3「に、逃がさないんだな」
一番遅いと思っていた大男が立ちふさがっていた。思ったよりも速いんだな…って関心してる場合じゃなかった。
男1「てめぇ、よくもやってくれたな」
中年の男の声色が変わった。本気で怒らせてしまったらしい。
前門のデブ後門の中年か…もう油断もないだろうから奇襲は通用しない。一対一ならともかく、前後から挟まれていたら片方の相手をしているうちにもう一方にやられる。
一刀(ここまでか)
しかし、諦めかけていたところに思わぬ救い手が現れた。
??3「待ちなさい」
現れたのは褐色の肌に長い髪をなびかせた女性。その手には男たちが持つ物とは明らかに違う、威厳すら感じさせるほどの剣が握られていた。
男1「おいおい。すっげえいい女じゃないか。こりゃ高く売れ…へぶぅっ!」
言い終わる前に女性の振るった一撃で男は吹き飛ばされ、そのまま気を失ったようだ。
??3「そこのアンタ」
女性は残った大男に鋭い視線を向け、
??3「この二人を連れてここから去るのと、同じ様な目に遭うの。どっちがいい?」
男3「さっさようなら~」
男はここでも意外なほどの速さで二人を担いで走り去って行った。
一刀「ふうっ」
極度の緊張が解けた所為で力が抜け、その場に座り込んでしまった。
??3「あら?いいの?私もさっきのやつらみたいな盗賊かもしれないわよ?」
一刀「いいっ!?」
思わず力を入れようとするが、一度抜け切ったものは簡単には入らなかった。一難去ってまた一難というやつか?
??2「雪蓮、そんなにいじめたらかわいそうよ?」
すると背後からさらに二人の女性が歩いてきた。
一人は綺麗な金色の髪を左右でくるくるに巻いた、見るからに高飛車そうな女の子。
もう一人は大きな瞳と大きな胸が特徴的な優しそうな女の子だ。
雪蓮「なによ―いじめるのは華琳の専売特許でしょう」
華琳「ふふっ、そうね。でも私がいじめるのはかわいい子だけよ」
??1「もう、二人とも~それよりもこの人だよ。あのぅお怪我はないですか?」
俺のことをほったらかしで話し始めた二人と違い、残った彼女はそう言って手を差し伸べてくれた。
一刀「ああ、大丈夫。なんともないよ」
差し出された手を握り返し、立ち上がる。
雪蓮「あ~っ!桃香がもう手ぇ出してる。助けたのは私よ!」
華琳「あら、桃香も意外と…」
桃香「もう~!違うってば!」
このままでは話が進まないな。
一刀「えっと、さっきは助けてくれてありがとう。俺は北郷一刀。聖フランチェスカ学園の生徒だ。それでここはどこで君たちは誰だ?」
華琳「私は曹猛徳。今は陳留の刺史をしているわ」
雪蓮「私は孫策伯符。ちょっといろいろあって、袁述ってやつのところの客将ってことになってるわ」
桃香「で、私は劉玄徳。仲間と一緒に旅をしながら困った人たちを助けています。ここは幽州涿郡五台山の麓辺りです」
ちょっと待った。彼女たち聞き捨てならないことを言わなかったか?
一刀「はっ?曹操に孫策、劉備だって?さっき呼びあってた名前が本名じゃないの?それに幽州?それって確か三国時代の地名じゃ…」
そう言った途端、曹操と名乗った少女の顔が険しくなった。
華琳「ちょっと待ちなさい。どうして名乗っていない私や桃香の名を知っているの?そのくせ真名のことを知らないなんて」
一刀「真名?それより魏の曹操や蜀の劉備って言ったら三国志で有名だし、知ってても普通だろう?」
雪蓮「三国志?それに魏や蜀ってなに?」
華琳「どうしてそんなことまで知っているのよ…」
桃香「華琳ちゃん?」
華琳「魏って言うのは私が考えていた国の名前の候補の一つよ。まだ誰にも話していないのに…」
なんだかすごく睨まれているんですけど…
っていうかこの反応、もしかして彼女たちは本当に…
雪蓮「ふ―ん。ねえ、とりあえず近くの村に行かない?お互いに聞きたいこととか多そうだし」
桃香「うん、そうだよ。そうしよう?」
このままだと曹操の怒りが限界に達しそうだというのはこの二人にも伝わったらしい。
とりあえず時間を空けて怒りを抑えてもらうしかないだろう。
曹操も不承不承という感じではあるが、
華琳「……いいわ。あなたもそれでいいわね?」
一刀「ああ」
そう言うしかなかった。
歯車たちは出会った。
この世界の歯車と異世界からの歯車。
そして少しずつ噛み合い始める。
ゆっくりと、周り始める。
後書き的な
どうも、すっすです。本日二本目の投稿になります。
いやぁ~三千字弱書くだけでも結構しんどいですね。もう肩が痛いです。パンパンです。
さて、序章その2をお届けしました。いかがでしたでしょうか?
中途半端な終わり方をしたと思いますが、思ったより長くなったのでここで切ります。
大方想像はついていたと思いますが、??三人は桃香、華琳、雪蓮でした。
ではここでオリジナル設定を少し。
この三人はかつて盧植塾でともに学んだ仲です。(どうしてそうなったかは…気が向いたら本編にでも入れます。というか、考えていないだけです…)そこで意気投合し、塾を出た後も文のやりとりをしたり、今回のようにたまに会ったりしています。雪蓮だけやや年齢が高いんじゃないかという疑問を感じなくはないですが、そこはスルーで。
当然、白蓮とも同門と言うことになりますが、桃香以外は彼女とそれほど親しくはなく、真名の交換はしていません。(むしろ持前の影の薄さから二人の記憶からはほとんど消えています 笑)
オリジナリティある序章を、と考えていて思いついたのがコレでした。
既出じゃないかとドキドキものですが…
一刀君について
一刀君、結構強くない?と思われた方もいるかもしれません。これは私の趣味です。
主人公はある程度強くないとね。が私の信条ですので。
大体、新兵を1、武将の最低レベルを100としたら20から30くらいで考えてください。(分かりにくいか?)
次は序章の締めです。
前半は一刀君たちの話ですが、後半にタイトルにも入っているあの人が出てきます。
いえ中身とか全然違いますけどね?
では、感想やご指導をお待ちしております。
再見!
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一日二本投稿!
序章その2です。
一刀君の登場と、??三人の正体が遂に!(えっ?モロばれ?)
相変わらずの駄文ですがよろしければどうぞ。
ご意見お待ちしております。
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