俺のポケモンもあと2匹となり、フランが圧倒的リードでいるこの状況。甘く見たわけではなく、メンテナンスに異常が出てたわけでもない。その絶大感がジリジリと押されて競り負けているのだ。
やはり彼女は強い。もう一人の俺のように・・・!
ジュウゴロウ(これだからバトルは楽しいんだ!!)
フランの気持ちもなんとなく分かる気がした。しかし彼女がやっているのは別の意味での楽しさであるため、間違っていることだった。俺は勝ってそれをやめさせなければならない。
ジュウゴロウ「フラン、俺は楽しいさ!このバトルは今まで見たことない・・・まさに全力勝負を掛けたバトル!!俺はこのまま負けるわけにはいかないって、心の中にある情熱がそう語ってやがるぜ!!」
5匹目、波動ポケモン、ルカリオを繰り出した。その力は伝説的と呼ばれており、猛者に相応しい者のみ手にすることができるポケモンだ。
ジュウゴロウ「カードの効果は切れたんだ。こっからはその分まとめて吐き出させてもらうぜ!!」
ルカリオは右、左と速いフットワークでフランへ接近する。また何かを仕掛ける前に叩き込もうと考える俺の前にフランはまたカードを取り出す。
ジュウゴロウ「させるか!!波動弾!!」
ルカリオの手から青白い炎の塊が出現し、フランにめがけて発射。避けるフランの前にはルカリオが目の前まで来ており、右キックから体を回転させてからの左キックをすると、次ぎに両手で衝撃波を放つ。ガードできなかったフランは壁と叩きつけられた。
フラン「くっ・・・秘弾「そして誰もいなくなるか?」」
フランにも意気が上がってきたか、もうひと踏ん張りだと心に念じる。カードを使ったフランの姿が突如消えてしまう。
ジュウゴロウ(今度は透明か・・・そういうのは、ルカリオは得意分野だ!!)
ルカリオは地面につくと、心を静かにするように目を閉じる。
ルカリオに見えるのは当然何もない・・・と思ったら大間違いだ。ルカリオの目には、青白い世界が見えている。それらは全て波動で、人の姿も目を閉じながら捉えることができる。
はじめに右を感じるが何もない。次ぎに左を感じると、赤い波動が見えた。目を開けてその位置に構える。
ジュウゴロウ「そこだ!!」
ルカリオは波動弾を発射する。見事に命中してフランの姿が現れた。補足された油断で動けなくなっていることに気づき、チャンスが訪れた。
ジュウゴロウ「よくやったルカリオ!あとはボーマンダに任せろ!」
俺はこの一撃で決めようと、ボーマンダに交代する。
ジュウゴロウ「いくぜフラァンッ!!ドラゴンダイブ!!!」
ボーマンダは紫の炎に包まれ、スクリュードライバーでフランに突撃した。
ジュウゴロウ「これが俺のバトルだぁぁぁぁっ!!!!」
この声と合体した最高の一撃がフランへ当たろうとした。対するフランは右手でボーマンダを掴もうとするが・・・
フラン「! 体が・・・!?」
体が動かなかった。ドラゴンダイブには怯み効果があり、フランは俺とボーマンダの威圧感に負けているのだ。
ガッ・・・!!
フランはボーマンダの本体より下部分に頭をぶつけるような衝撃を受け、右側の壁まで飛ばされる。
ジュウゴロウ「大丈夫か・・・!?」
俺は本気でやるとまずかったために、本体よりわずかにずらした筈のこの一撃がどうもキツすぎたと思い、慌てながらフランに近寄ったその直後、フランが目を覚ます。
フラン「・・・ジュウゴロウって・・・強いんだね・・・」
無事だったフランの顔は涙が流れていた。今まで流れ出ていた威圧感はすでに消えていて、静かな感じになっている。
勝った・・・。俺は勝つことができたんだ・・・。
咲夜「妹様に追い詰められていたはずが、どうやら逆転したようですね」
レミリア「・・・運命が少し変わったみたいね。彼の強い気持ちのせいで・・・」
俺の維持を少しだけだが分かってくれたようすのレミリアだが、彼女に見えていたのは敗北の事実だった。しかし俺はその運命を壊し、勝利へ導いたのである。
レミリアは見晴らしている場からゆっくりと俺の元へ降りる。
レミリア「見事よ。フランの力を押し返すなんて、私も少し驚いたわ」
ジュウゴロウ「・・・あんまり、驚いては見えないが・・・?」
俺はいちゃもんでもつけられてるかのようにムスッとした顔になる。
レミリア「あとでメイドに手当てを見てもらったほうがいいわよ。あれだけ被弾したのだから体がもうボロボロだと思うけど・・・」
そう言いいのこして立ち去ろうとするレミリアだが、俺は止めずにそのままにした。このバトルの意味が通じ合えたかまでは分からないが、通じれはそれでいいとしよう・・・。
それよりもフランだ。酷い目にあわせてしまったんだから、俺は誤ろうとする。
ジュウゴロウ「すまないな。酷い目にあわせたけど、痛かったか?」
フラン「ううん、逆に楽しかった!ありがとう!」
レミリア「・・・・・・フラン、」
扉を開けて去ろうとしていたレミリアがフランに言う。
レミリア「・・・館の中なら出てもいいわよ・・・(ジュウゴロウ、これでいいのよね?)」
ジュウゴロウ(! ありがとな・・・)
どうやら通じてくれたようだ。俺は安心と、嬉しい知らせをもとに身を震えさせる。
ジュウゴロウ「よかったなフラン、外に出られてさ。姉に感謝しとけ」
フラン「うん!お姉様ありがとう!」
外へ立ち去るレミリアに、フランは心から御礼をする。同時に咲夜がきて、俺を救護室へ案内させてもらって部屋から立ち去ろうとする。その時俺は立ち止まり、フランに告げる。
ジュウゴロウ「フラン、また遊びたくなったらいつでも相手してやる。そのファイト、気に入ったからな・・・」
フラン「わぁ嬉しい!約束だよ!」
そう言ってフランは元気な笑顔を見せてくれた。
フラン、この為だろ?俺を呼んでくれた本当の理由は・・・
俺は手を振りながら部屋を立ち去った。
妖精メイド「・・・はい、終わりましたよ。そちらの妖獣の手当ても行いますのでこちらにお預かりください」
ジュウゴロウ「そらなら手伝ってくれるか?まずはこいつで傷口にかけてくれ」
瀕死状態の4匹をボールから出して、スプレー式の傷薬をリュックから取り出す。
メイド達はそれぞれ受け取った傷薬でポケモン達の手当てを始める。しみて痛がるポケモンもいるが、メイド達は凄い器用さで加減をしている。
ジュウゴロウ「んで、この木の実を与えてくれ」
次ぎに取り出すのは、俺たちの世界に生やしている木の実、オレンの実だった。一度俺はこの実を食べたことがあるが、甘い味がしているのが一番の印象だ。そんな味をポケモン達は美味しく味わっている。
これで一日休ませれば大幅回復するのが、俺たちの手当てのやり方だ。それにしても今日は疲れたな・・・
バタッ
妖精メイド「!? ジュウゴロウ様、大丈夫ですか!?」
手当てしても、文にぶつかるわ、怒りで振り回すわ、フランの弾幕に被弾するわで体力が持たなくなっていたせいで倒れてしまう。メイドが俺を仰向けにすると、そこには死んでいるかのように寝てる俺の顔があった。
仕方ないようにメイド達は俺を部屋まで運び、毛布を被せる。
妖精メイド「今日はゆっくりお休みください、ジュウゴロウ様・・・」
メイド達は優しく見守りながら部屋をあとにした。
第15話でした。
ルカリオの強さには惚れ惚れするものであると自分は思っています。特にアクションではスマッシュブラザーズXを仕様でやっているつもりです。
が、やはりトドメは相棒という設定で交代ということにしました。相棒の役目がないままだとジュウゴロウらしくないですからねぇ。
さて次回は、幻想卿に伝説の神が舞い降ります。お楽しみに!
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。