No.104999

「少年戦記ガイアテラス」第7話・「一輪の花」Aパートその2

http://www.tinami.com/view/76550 からの続きです。
…かなり間を空けてしまい非常に申し訳ありませんでしたが、何だかんだで書き出しもそこそこの方に読んでいただけましたので、いまさらではありますが(大汗)続きをうpさせていただきます…。
もしよければまた読んでいただけるとありがたいです。
なおCMを挟んで(ウソウソ)http://www.tinami.com/view/113957 に続きます♪

2009-11-03 18:34:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:581   閲覧ユーザー数:580

(シーン1・続き)

ここまでずっと二人のやり取りを黙って見ていたケンスケ、しかしそのカイトの

言葉に思わず口をはさんでしまう。

ケンスケ「カイトはこのあと当直があるんじゃなかったっけ?」

その勝ち誇ったような、あるいは底意地の悪そうな口調に歪んだ笑いを浮かべるカイト。

カイト 「何でそれを知っている。」

ケンスケ「航行部門もチーフ以上のスケジュールはちゃんとコンピューターに

    登録されてます。」

カイトの問いにさも当然といった風で答えるケンスケ、そしてケンスケは言葉を続ける。

ケンスケ「こっちは非番だし、アメクぐらいなら僕が行くよ。」

カイト 「ま、しゃーねーか。聞こえてるか~、そういうことだからよろしく。」

少し不満そうな表情を浮かべながらも、改めて受話器の向こうのジンに向かって

話しかけるカイト、一方、受話口からはそれを受けたジンの低い声が返ってくる。

ジン  『そういうことってどういうことだよ。』

カイト 「航行班の物資調達のためにケンスケがお前に同行するってことだ。念のため

    こっちの方の物資は俺からも連絡入れておく。」

そのカイトの言葉が終るか終らないかにケンスケが受話器に近寄り、直接ジンに声を

かける。

ケンスケ「よろしくね~、ジンさま♪」

ジン  『ん、あ、ああ…。』

そのあまりにも屈託のない態度に、逆に少し戸惑いの色を隠せないジン…。

 

 

シーン2・オリオン小型艇発進ハッチ

オリオンにも搭載されている量産型小型輸送艇「マキシ」、その機内に乗り込むタラップの

前で向かい合うカイトとジン、そしてケンスケ。

カイト 「んじゃ、よろしく頼むな。」

軽く左手をあげてそう言うカイトに、二人がほぼ同時に言葉を返す。

ジン  「わかった。」

ケンスケ「任せといてくださ~い。」

ジンの真面目な表情とケンスケの満面の笑顔を見比べたあと、カイトは視線を「マキシ」の

機体の方へと移す。

カイト 「ちっ、久しぶりに「遊覧飛行」でもしたかったのにな…。」

ケンスケ「いくら戦線が膠着してるからって言っても、あっちだってまたいつ動き出すか

    わからないよ。」

そう言うケンスケの口調と表情が少し真剣なモノに変わる。そしてケンスケは言葉を続ける。

 

ケンスケ「あ、念のため通信制御用コンピューターに『フライヤー』接続しといたから、

    オリオンや戦線で何か動きがあったらすぐに僕のMC(モバイルコンピューター)

    にも連絡入るようにはなってるよ。」

カイト 「そういうところはしっかりしてるんだな。」

ケンスケ「そういうところ「も」って言ってよ。」

「まいりました」という感じの表情を見せるカイトに対し、ニッコリ笑って素早くツッコミを

入れるケンスケ。やがて二人の会話が止まったことを察したジンがケンスケに向かって

声をかける。

ジン  「じゃ、そろそろ行くか。」

ケンスケ「それじゃ、行ってきま~す。」

それだけ言うとまずジンが、続いてケンスケがカイトに背を向け、目の前にあるマキシの

タラップを上っていく。

…それからしばらくして乗り込み口のドアが閉じられ、エンジンが始動する。

カイトはその様子をずっと見守っていたが、マキシが動き出すとその機体に向かって

大声で叫ぶ。

カイト 「用がすんだらとっとと帰ってこいよ~!」

 

 

シーン3・小型輸送艇「マキシ」操縦室

機体が安定飛行に入り、操縦を自動に切り替えるジンの横で機器やコンピューターの

チェックを続けるケンスケ。

ケンスケ「今のところ状況はオールグリーン、何も問題なし。」

その声の方向に視線を向けるジン。

ジン  「まぁこのあたりは完全にこちらの制空圏内だしな。」

ケンスケ「油断禁物♪…でも改めてみるとこうやって二人きりになるのって初めてだったり

    して。」

手と目は相変わらず機器の方に向けながらも、その口を軽やかに動かすケンスケ。

ジンも目線を正面に戻しつつ言葉を返す。

ジン  「だな…まぁすでに機関班の方でも有名だけどな、最年少有能オペレーターって。」

ジンの得意そうな声に、ケンスケは少し照れ笑いを浮かべる。

ケンスケ「ジンさんだって僕とそんなに年変わらないでしょうが…でもこれからは僕ら

    みたいな半分素人がどんどん増えてくかもしれませんよ、全体の戦況はそんなに

    よくないみたいですしね。」

 

目の前のコンピューターを見つめながらつぶやくように話すケンスケ、その言葉を耳にした

ジンは一瞬とまどい、そしておもむろに口を開く。

ジン  「そうならないことを願うが。」

ケンスケ「僕も。」

そこでお互いの言葉が途切れ、二人はそれぞれ違う方向へ目を向ける。やがてその沈黙を

破るように突然操縦室内にアラームの音が響き渡り、ケンスケの前のモニターの一部が

点滅を始める。

ジン  「敵か?」

緊張した表情でケンスケの方を見るジン、一方ケンスケはあわててコンピューターの

チェックを再開する。

ケンスケ「識別信号はまだ確認できないけど…まさかこんなところで…。」

ジン  「「これ」で立ち向かえる相手ならいいけどな…。」

懸命にコンピューターを操作するケンスケの隣で、ギュッと操縦かんを握りしめながら

目の前に広がる青空を恨めしそうに見つめるジン…。


 
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