グ~っと恋ちゃんのお腹が鳴る
もう二日間、水以外何も食べていない
でも、もう彼の場所に行くのは辛い恋ちゃん
そんな彷徨う恋ちゃんの耳に三人の男の声が聞こえた
「名前は?」
「姓を巡、名を世、字を狂楽と申します。…よろしゅう……」
「慶猫と申します」
声の方へ振り向くと銀髪色の青年が二人に何かを渡す
「………」
街の人々の声でもう何も聞こない
だけど恋ちゃんは口の動きだけでそれを読みとった
北郷一刀を始末しろ……っと
彼は街の中を走る
だけど彼女はどこにもいない
「くそっ……!」
拳に力が入る
――どうして俺は気づかなかった!
己の性格を呪う
「ちょいと其処の旦那……良いかい?」
ポンポンと肩を叩かれた
「五月蝿いな――!」
払おうとした瞬間、もう一人の男が冷たい刃を彼の頬に当てた
「あなた様の命をいただきに来ました」
彼は何の抵抗もできなかった
誰もいない場所
強い力で男が首を絞めてくる
「すんなり逝ってください。御使い様」
息が出来ない……力が抜けていく
――もう駄目だ
そう諦めた時だった
「おい」
クルリと声の方へ振り向くと二人は驚愕した
「あなたは!?」
「……消えろ」
恋の一撃で一人が吹き飛ばされる
「……二度と手を離してはいけませんよ? またその時は巡り現れるので♪」
もう一人はそう言うとそのまま逃げてしまう
彼を襲い意味不明な言葉を残した怪しい二人組
恋ちゃんは後を追いかけようと思ったが彼をその場に残しておくことは出来ずに逃してしまう
「………」
沈黙が流れた
グー……
しかし恋ちゃんのお腹の音で沈黙は崩れた
――二人に笑顔が戻るのだった
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ゲスト解説
慶猫……NEKOさん
巡世狂楽……PANDORAさん
参加ありがとうございます^^