--深い闇--
人生の転機という奴がある。
変わらない日々など無いと言う事だ。
例え其れが素晴らしい日々だったとしても
その真逆になることだってきっとあるのだろう。
だから俺は、決めたんだ。
今から1年前俺は悲しい恋をした。
俺には悲しい恋なんて、いや恋愛なんて似合わないけど、本気だった。
本気の本気で初めて人を-いや魔族だけど-好きになった。
それはとても暖かい日々だった。
俺の中の小さな隙間を埋めてくれた女性、ルシオラ。
でも彼女は俺を愛してくれたが、俺は彼女に何もできなかった。
きっとただ浮かれてたんだと思う、初めて俺を好きなってくれた人がいたから。
だから、ヤるのヤらないのだけの話になって、今の俺が見たら
昔の俺をぶん殴っていたかもしれない。
それだけ、本気で惚れた女だった。
最終的に、自分の手で殺した愛しい女性。
そして、今日が彼女の命日の日だ。
-東京タワー-
ルシオラが消えた場所。
出来る限り毎日足を運ぶ場所。
今日はあいつの命日だから、あいつの好きだった砂糖水と花束を持ってきた。
勿論ただの砂糖水じゃない、少ない給料から頑張って
捻り出したお金で買った、出来る限り高級な砂糖とミネラルウォーターだ。
思えば、俺はあいつが生きている時こんな事もして
やれなかったんだな…
「悪いなルシオラ。昨日は来れなくて、仕事で忙しくてさ」
もうすぐあいつが好きだった時間が来る。
花束をあいつが座っていた場所に置く。
紫蘭(シラン)の花というらしい、花言葉は『あなたを忘れない』だそうだ。
今の俺にはぴったりな言葉だと思う。
花束の隣に俺も座る。
強い風が俺の頬を打つ、まるで撫ぜる様に。
目を閉じればまるでルシオラが俺を撫でてくれているように感じられる。
一ヶ月にも満たない俺とルシオラの幸せだった日々。
其れを懐かしみながら、あの時を待つ。
そして、待っていた時間が訪れた。
それは…とても美しい真っ赤な夕焼け。
「昼と夜の一瞬の隙間、短時間しか見られないから余計に美しい…か、
そうだなルシオラ。本当にそうだ……」
あの時の俺はルシオラとこの夕焼けをずっと見れると思ってた。
夕焼けだけじゃない。朝日だって、この世界の美しい所
全部をあいつと見続けられたらいいなとそう思ってた。
「……なぁ、ルシオラ。俺さ、もうダメかもしれない…お前との約束
守れそうにないかもしれない」
あいつが言ってくれた言葉を思い出す。
-ヨコシマはヨコシマらしくいて-
俺はあいつを救えなかった代わりに其れを忠実に守ってきた。
道化になることなんて今までに比べれば何てことなかった。
それで今の生活を護り、あいつとの約束を護れるなら自分の痛みなんてどうでも良かった。
でも……そろそろダメみたいだ。
《数ヶ月前》
「あの、美神さん。お願いがあるんですが」
「んー、何よ?給料は上げないからね」
「とほほ……いや、実はですね給料じゃなくて、まだ先で○月○日の事なんスけど」
○月○日はルシオラの命日だ。
できるなら美神さんやおキヌちゃんにも来て貰いたい。
ルシオラに一番関わってくれたのはこの二人だから、だからせめてルシオラに
一言かけてやって欲しかった。
「○月○日ぃ?何だっていうのよ?」
「お…覚えてないんスか!?」
嘘だろう?あんな事があった日をたった一年で忘れるはずがないだろう。
冗談で言ってるんだな、この時の俺はそう言い聞かせた。
でも、美神さんは本気で忘れていたみたいだった。
俺がルシオラの命日の事を言うと、少し表情を暗くしたが、すぐ元通りになり
俺の方をバンバン叩きながら笑って誤魔化した。
「や、やぁ~ねぇ。冗談よ、冗談っ。で、休みが欲しいのねその日に、分かったわ」
「い、いや。それだけじゃなくてですね」
「何?まさか給料のこと?」
「ち、違うっスよ!!で、出来たらルシオラの命日に美神さんとおキヌちゃんを誘いたくて
あいつ美神さんやおキヌちゃんと仲が良かったし、だからせめて一言言ってもらえたらなーと」
その言葉に美神さんは顔を曇らせ…そして。
俺にとっては一番聞きたくない言葉を聞かされた。
「もしかして…まだ引き摺ってたのルシオラの事。いい加減時もたったんだし
乗り越えないとダメよ?忘れろとは言わないけどもっと前を向きなさい?」
その言葉で俺の頭の中は真っ白になった。
引き摺ってた?
いい加減時もたった?
乗り越えろ?
前を向け?
美神さん…あんたが其れを言うのか?
それをあんたが言うのか?
俺はただ、あいつの命日に3人で冥福を祈りたかっただけなのに、
只それだけだったのに…
「りょ、了解っス。変な事言ってすんませんでした」
「分かったらいいのよ。で今日の仕事なんだけど」
……………
「あ、おキヌちゃん○月○日のことなんだけどさ、空いてる??」
美神さんはだめでもおキヌちゃんならきっとついて来てくれると思った俺は
早速おキヌちゃんに話しかけていた。
「あ、はいっ空いてますよ!!」
「ルシオラの命日なんだけど、よかったら」
良かった、ルシオラとおキヌちゃんは仲が良かったからな。
出来たら花を供えてやってもらえると嬉しい。
「………」
「おキヌちゃん??」
「…あ…ごめんなさい横島さん、実はその日弓さん達との予約が入ってたのを思い出してしまって…」
「そ、そうか、じゃあ仕方ないね!ごめん」
「本当に御免なさい」
「いいっていいって、気にしないで!」
おキヌちゃんの様子が気になったので雪之丞やタイガーを通して弓さん達に聞いてみた所。
そんな約束はしていないと言われた。
どうして…そんな嘘ついたんだおキヌちゃん…
……………
-東京タワー-
ここにいるのは現在俺一人。つまり結局誰も誘わなかったという事だ。
あの日以来俺達の関係はかなりギクシャクしてしまった。
このままではいけないと思い、色々俺なりに頑張ってみたが
二人ははぐらかすばかりで取り合ってもくれなかった。
それでも俺は最後のチャンスと思いもう一度
ルシオラの思い出話をすることにした。
否定して欲しくなかった、拒絶して欲しくなかった。
この世界はルシオラが護ってくれた世界だから。
だからルシオラの事をせめて心の隅にでも置いて欲しかった。
でも……
「横島君…やめて頂戴。もうルシオラはいないのよ、もういないの…」
美神さんがそう言った。
「横島さん、昔より今を見ませんか?きっと横島さんは疲れてるんですよ」
おキヌちゃんがそう言った。
美神さんもおキヌちゃんもルシオラが居たという現実を忘れたいみたいだった。
悲しかった…あの二人が頑なにルシオラを拒絶している事が。否定している事が。
恋人の存在が否定される事が、こんなに辛いことだなんて思いもしなかった。
俺はルシオラの事を引き摺っているわけじゃない。
そんなの俺らしくないし、逆にルシオラに失礼だと感じたからだ。
二人を誘うとしたのは、ただ二人に覚えていて欲しかっただけなのだ。
世界を救ったのはルシオラだということを、せめて片隅において欲しかった。
墓参りをして、皆で笑いあって。また頑張ろうと、俺はそう考えていただけなのに…
その時以来、俺は仕事がある日以外は出来るだけ事務所に寄らないようにした。
言葉も少なく、できるだけ接点を持たないように。仕事が終れば直ぐに帰るようにした。
おかげで生活が大変になってしまったが、まぁ其処はしょうがない。
色々切り詰めれば何とか生きていける分には足りてたから大丈夫だった。
おキヌちゃんが偶に様子を見に来たが丁重に帰ってもらうことにしていた。
もう俺はできるだけ美神さんにもおキヌちゃんにも会いたくなかったからだ。
もし、話がこじれて喧嘩になってしまったら俺はきっと自分を止められない気がしたから…
まぁ、そんなこんなでもうあの事務所に俺の居場所はない、そんな風に考えるようになった。
だから、俺はあいつの約束を守れなかった、俺は変わってしまったから…。
そんな中変わらなく俺に接してくれるやつもいる。
まずはシロ。
何時でもどこでも俺なんかを先生と呼んで慕ってくれる少女。
シロは相変わらず俺を散歩に連れて行こうとするが、
そんな気分になれなくて遠慮させてもらっていた。
それでも何時も元気な姿が道化をやっている俺の気分を安らがせてくれた。
次にタマモ。
何時も通りのそっけない態度は相も変わらずだったが、
それでも多少は人に馴れてくれたのか、よく話すようになっていた。
タマモは事務所に行かなければ会う事もないと思っていたが、
俺が事務所にあまり寄り付かなくなってから、ちょくちょく家に来るようになっていた。
主に俺の買い置きのカップ麺を食べにだが。
「夕日が…沈むか…」
恐らくこれが、ここで見る最後の夕日になるだろう。
ここで見る夕日は一人だと辛すぎる。だから来るとしても昼間の間だけだろう。
もう、美神さんやおキヌちゃん、シロやタマモに会う事はないだろう。
GSを辞めてナルニアにでも帰ろうか、そんなことを考えている。
これ以上、この暖かい地獄にいることが辛くなってきていたから。
これ以上、あの人達を嫌いになんてなりたくないから。
これ以上、悲しくなんてなりたくないから。
「毎年この日に、ここに来るからさ…ルシオラ」
俺は英雄になんかなりたくなかった。
俺は道化になんかなりたくなかった。
俺が望んだのはちっぽけな事だけ、只皆で幸せに楽しく暮らせたらよかっただけなのに。
「じゃあな、ルシオラ、また来年」
そう言ってその場を離れようとした俺を止める声が聞こえた。
振り向くと其処には、三人の少女が居た。
そのありえない組み合わせに俺の思考がちょっと止まってしまったのは
仕方のないことだろう。
「シロ…タマモ…それにパピリオ??」
「酷いでちゅよヨコシマ。どうして誘ってくれなかったんでちゅか?」
腰に手を当てもう片方の手で俺を指差し咎める様にいうパピリオ、
怒っているというか拗ねている感じだ。
「ご、ごめんなパピリオ」
この後もう戻るつもりもなかったから、呼ばなかったなんて言ったら
其れこそボコボコにされそうだった。
「先生……ここがルシオラ殿が亡くなられた場所でござるか」
両手に抱えた花束を俺がおいた花束の横に置き手を合わせるシロ。
「!?…何で知ってるんだ…?」
「パピリオに聞いたからよ、ついさっきだけどね」
タマモがそれに続く。
シロもタマモもパピリオに会った事がないはずだ。
「今日は何か嫌な予感がして、先生の御自宅に向かったでござるよ。
そしてそこでパピリオ殿と出会ったでござる」
「最初は魔族が居たから吃驚したわよ。まぁ、横島の知り合いらしいから安心したけど」
「今日はルシオラちゃんの命日でちゅから、ヨコシマを誘っていこうとしてたんでちゅ。
そこにこの二人が来たんで事情を説明したでちゅよ」
成程、人狼や妖狐の超感覚は凄いからな。
俺が辞めようとしてた事にうすうす気がついてたのか。
「それで、横島?あんたこれからどこに行くつもりだったの?」
「先生から感じる匂いが最近妙に寂しげだったでござる。もしかして黙って出て行くつもり
だったのでござるか…?」
今更嘘をついても無駄だろう。
文珠でも使えば誤魔化せるんだろうが、其処までする必要はない。
俺は総てを3人に話した。シロとタマモにはルシオラと出会ったことも含めて。
今までのこと全部。俺の気持ち、道化になろうとしたこと、其れが辛かった事。
ルシオラの事を無理に忘れようとする美神さん達を見るたび心が砕けそうになった事。
これ以上嫌いになりたくないから皆に黙って出て行こうとしたこと、全部。
結果を言えば3人に殴られた。
タマモはともかくシロの一撃とパピリオの一撃はかなりきつかった。
だけど、それ以上に皆に泣かれてしまったのが俺にとって一番きつかった。
「先生が出て行くというのならば拙者はついていくのみでござる!!」
弟子というよりは忠臣といった感じで俺についていこうとするシロ。
しかしだなシロよ、お前の預かり人は美神さんだ。
どうしてもついてきたいなら長老に許可をとってからにしろ。
「今の美神達の場所に残っててもあんな感じじゃ環境が破綻しそうだし。
それなら横島に着いていったほうがまだ安心だわ、見てて飽きないしね。
そういうわけで連れて行きなさい!」
赤い顔をしながらそっぽを向いて怒鳴るように言ってくるタマモ。
連れて行っても構わないんだが、九尾の狐であるお前を普通に連れて行ったら
高確率で、というか100%お前を狙った討伐隊が組まれることになる。
俺はお前を危険な目にあわせたくないからな。
「勿論パピも連れて行くでちゅよね!大丈夫でちゅ、小竜姫はともかくサル老師に
頼めばあっさり解決でちゅよ!!」
無理難題を簡単に言ってくるパピリオ。
いや、お前は保護観察中だろう。幾らなんでも無理だぞ?
無理やりついてきたら小竜姫様もサルもベスパも困る事になるぞ?
俺は全員にそう説明する、納得いかないようだが無理にでも納得してもらうしかない。
「でもそれじゃもう横島に会えないかもしれないじゃない!!そんなの嫌よ!!」
「拙者もでござる!!拙者が里を出たのは先生に会いたかったからでござる!
先生がいなくなってしまったら拙者は何の為に里の外に出たのか分からなくなるでござるよ!!」
「しかしな…」
所詮未だに見習いの俺程度の力では、どうにもならないことがあるんだよ。
「ふふん、甘いでちゅヨコシマ」
「へ…?」
「もうパピリオの保護観察処分は解かれてるでちゅ。というかここまで一人で来た時点で
気づきなちゃい。もうパピリオはヨコシマの傍なら人間界にでてもOKなんでちゅよ」
確かにアレから1年立っているが、そんなに簡単に解かれてもOKなのだろうか。
「サル老師が尽力してくれたんでちゅ、『ワシは一番大事な時役に立てなかったからな』って言って」
「はぁ…あのサルじいさんがな。まぁそれならパピリオは大丈夫だが、
俺についてきても大して楽しくないぞ?」
「それにタマモも安心するでちゅ。そんなのサル老師や小竜姫に頼めばOKでちゅよ」
おい、ちょっと待て。
「でかしたわパピリオ!」
「ちょっと拙者今から村に戻って許可貰ってくるでござる」
「待て!!マテマテマテ!落ち着け3人とも!どうしてそんな話になるんだ」
「なんでちゅか?折角可愛い所が3人も付いて行きたいと言ってるのにおかしいでちゅ
ヨコシマなら喜ぶはずでちゅ!はっ!まさか偽者でちゅか!?偽者なんでちゅね!?」
「俺を変態扱いするような事言うなーー!!って俺は本物だああああ!!」
俺を陥れるようなセリフはやめてくれ。
言っておくが俺はノーマルだ。ロリコンじゃない、ロリコンじゃないぞ!
俺は前科二犯にはなりたくない!というか前回も冤罪だろう…畜生。
「そんなに嫌なの…?私達の事?」
「酷いでござる…拙者達はただ先生と一緒に居たいだけなのにぃ」
「うわぁあああん!」
責めるような泣きそうな瞳で俺を見るタマモ。
シロは泣いてるし、パピリオにいたってはわんわん泣き始めた。
「そ、そんな事は無い!そんなことあるわけ無いさ!!
俺はお前達のこと大好きだぞ!嫌な訳も無いし嫌いな訳でもない!」
「だって……付いて来るなみたいな事…」
タマモの言葉に嗚咽が混じり始める。
あー!違う何泣かせてるんだ俺は!!
「わかった!分かった連れて行く!!老師に頼めば何とかなるなら俺が言いに行くから!
だから泣かないでくれ三人とも!」
「「「ほんと(でちゅか)(でござるか)!?」」」
一瞬で笑顔になる三人…
「もしかしなくても嘘泣きかーー!?」
やられた…
パピリオ達はいぇーいとか言いながらハイタッチしている。
「まったくお前らは…」
顔が歪んでるのが自分でも分かる。
いや、これは苦笑して歪んでるんだがな。
「俺についてきたって多分つまらんがなぁ。行き先は多分ナルニアだし」
「大丈夫でちゅ。横島がいればどこだって楽しいでちゅよ
それに何かあれば妙神山に行って遊べばいいでちゅ」
あそこは仮にも修行場なんだけどな…
まぁ俺が言えるセリフでもないが。
「なるにあ、でござるか~。先生と散歩が出来ればどこでもいいでござる!」
お前はナルニアでも地獄のフルコースを俺に与えるつもりか!?
「問題はお揚げよね。やっぱり日本産のお揚げが一番だから…
ねぇパピリオ。その辺りどうにかクリアしておいてよ」
まったくお前らは…
俺はわいわい騒いでる三人をぎゅっと抱き締めた。
「ありがとう…ありがとうなパピリオ。シロ。タマモ。
俺なんかの為に、俺なんかについてきてくれて」
上手く言葉に出来ない。
これ以上言葉にしたら、泣いてしまいそうだから。
三人は初め驚いていたみたいだが、直ぐに俺を抱き返してくれた。
「横島…自分の事を「なんか」なんていっちゃだめでちゅよ。
それはルシオラちゃんや皆に失礼でちゅ。私は横島だから、大切な家族だから
ついていきたいと感じたんでちゅ。もう少し自信を持ってくだちゃい」
そうだな…
皆に悪いよな。
「先生。拙者は先生に会えてよかったでござる。
先生に会えたからこそ拙者はここまで成長できたと思っているでござる。
父上も今の拙者を見たらきっと喜んでくれると信じてるでござる。
先生のおかげで拙者はちゃんとした侍になれたんでござるよ」
其処までいってもらえると俺も嬉しいよシロ。
「特に言うことなんて無いわ…私はただアンタについていく…それだけよ」
サンキュー、タマモ。
お前のその飾り気の無い言葉がとても嬉しいよ。
俺達は暫くの間こうしていたが、5分もすると流石に恥ずかしくなってきたので
抱きしめるのをやめ、これからの事を話していく。
初めは黙って出て行くつもりだったが、シロとタマモを連れて行くのなら
ちゃんと断らないとダメだろう。
先に妙神山に行くほうがいいかもしれないな。
老師か小竜姫様にタマモの事をどうにかしてもらえればすんなり進めそうだしな。
「よし。まずは妙神山に行ってタマモの事を何とかしてもらおう
先に美神さんの所に行くと、多分ややこしい事になりそうだからな」
「確かにね」
「じゃあ、早速行くでちゅよ。全は急げと言うでちゅし」
言うや否や飛行し始めるパピリオ。
「いや待て。タマモはともかく、俺とシロは飛べないんだが」
「文珠で飛べばいいんじゃないでちゅか?」
「いや、それはもったいないんじゃない?」
「あ。そういえばそうか」
はっはっは。文珠の事すっかり忘れてたぜ。
これで『飛』と入れれば飛べるだろう。シロには犬…じゃなくて狼形態に
なってもらえば俺が持ち運べるな。
そう伝えると直ぐにシロは狼形態になり俺にしがみ付く。
こうしてみると狼というか犬にしか見えん…狼…だよなぁ?
多分、犬っぽいって言ったら怒るんだろうなぁ。
「それじゃいくか…って何故タマモまで?」
いつの間にか子狐形態になったタマモが俺の頭に乗っかっている。
お前飛べるだろう?
「いいじゃない。飛ぶのって変化しながらだから疲れるのよ」
「むむむ…じゃあパピも乗せるでちゅ!」
そういって俺に抱きつくパピリオ。
つか暴れるな!落ちる!落ちるから!!
自分も乗せろと言って来るパピリオを何とか落ち着かせ
俺達は一路妙神山を目指した。
ルシオラ。行ってくるよ。
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GS美神極楽大作戦の二次創作です。
アフターものです。
多少暗めなスタートと暗い題名ですが
特にダークなお話でもありません。
ただ思いつくまま書いていただけなので続くかは微妙です。