――人という感情は残酷である

今日こそ彼に恋ちゃんの手料理を食べてもらおうってお部屋に行きます

慣れない可愛い服を着て

でもお部屋から別の声が聞こえてきました

恋ちゃんちょっと、気配消して覗いてみます

「桃香……けっこうその服やばいって」

桃香もまた恋ちゃんと同じような服

ムギュ～

桃香の胸が彼を押さえつけた

「あ～ん……」

パクリ

美味しそうに食べる彼

「美味しいぜ……でもさ」

スッと桃香に手をかける彼

――台所

彼のための料理はなかった

恋ちゃんが食べたから

でもそんなことよりも恋ちゃんは悲しかった

「……我慢」

彼は『みんな』のモノ

我慢しないといけなかった

――だけど恋ちゃんの心はすでに限界だった