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真・恋姫無双外史 ~昇龍伝、人(ジン)~ 第五章 益州闘病、二人の絆

テスさん

この作品は、真・恋姫無双のSSです。

涼州を後にした一刀と趙雲の二人は益州に向かいます。いったいどんな出会いがあるのでしょうか?

注意:

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2009-10-19 00:32:30 投稿 / 全18ページ    総閲覧数:39042   閲覧ユーザー数:28915

真・恋姫無双外史 ~昇龍伝、人(ジン)~

 

第五章 益州闘病、二人の絆

 

(一)

 

「最初からクライマックスだぜ!」

 

「北郷!気をしっかり持てっ!」

 

出だし早々、俺は命の危機に晒されていた・・・

 

どうしてなのかは、時を少し遡る。

 

 

 

 

中国大陸を流れる黄河と長江の二大水系の分水峰である秦嶺山脈。

 

漢中へ向かうために、俺たちは天水から一度長安に戻り、秦嶺山脈を越えるために麓の村までやって来ていた。

 

宿を取り、雪が深々降る窓の外を眺めながら趙雲は言う。

 

「北郷・・・実は黙っていたのだが、天水から漢水を下れば漢中に辿り着く」

 

「ん?わざわざ遠周りをしたのか?」

 

こちらに振り向き、一つ頷きを入れて俺に質問を投げかける。

 

「漢中がどういう場所か知っているか?」

 

・・・益州北部の要衝である漢中を巡り、曹操と劉備が激しく争った地であり、演義では定軍山の戦いとして、劉備の将である黄忠が夏侯淵を打ち取った場所として有名だけど・・・これはまだ先の話だ。

 

俺の表情を見て、知らないと判断したのだろう。趙雲が話を進める。

 

「秦を滅ぼし、関中・・・つまり現在の長安を支配下に置いた劉邦が、項羽に左へ遷すと漢中に追いやられ、漢王と称した場所だ」

 

俺は唖然とする。そんな歴史ある場所だったのか。

 

「当時の漢中は、流刑地なのだが・・・そこから劉邦は項羽と戦う力を蓄えて天下を統一する。そんな道を歩いて行くのだが?」

 

趙雲の語尾が跳ねあがる。

 

「だが?」

 

俺が首を傾げると、趙雲が真似をして同じように首を傾げる。・・・う~ん。趙雲の言いたいことって何だろう。

 

しばらく考えた末に、俺は素直に思ったことを口にすることにした。

 

「確か劉邦って漢の初代皇帝だろ?そんな偉大な人と縁のある場所を歩くなんて・・・何か感慨深いものがあるな。これも旅の醍醐味ってやつかな」

 

「いや、まぁ、そうではあるのだが・・・」

 

歯切れの悪い返答をしてから、少し残念そうに趙雲は小さな壺と酒を取りだす。

 

「それは?」

 

「これか?ここで偶然手に入れた揚州産の極上メンマだ」

 

そう言って、嬉しそうに一口食べると、表情を変えて首を傾げる。そしてまた一口食べる。

 

「・・・どうしたの?」

 

「いや、何というか・・・旨くない。揚州産のメンマなのに」

 

「揚州産のメンマじゃないとか?」

 

「・・・かもしれん」

 

箸を置いて酒を飲み始めるが、再びそれに手をつける。

 

「あれ?残さないの?」

 

「メンマを残すなど失礼千万!すべてのメンマ職人に申し訳が立たぬ!・・・良いか?メンマをこよなく愛するこの趙子龍が・・・」

 

「・・・」

 

しまった・・・やぶ蛇だった。

 

趙雲が欠伸をして床に入るまで、彼女のメンマ話が夜遅くまで続くのであった。

 

 

(二)

 

空がまだ暗い中、俺たちは漢中へ向けて出発する。

 

山の間を蛇行しながら流れる大きな川を横目に、順調に山道を歩いていた。この辺りは人の手によって整備され、歩きやすい道が続いていた。

 

桟道入口と書かれた場所で趙雲が立ち止まり、こちらを確認してから前を向く。彼女の視線の先を追うと、目を疑うような光景が広がっていた・・・

 

断崖に沿って、肩幅ほどの”木の板”が雪化粧した山の奥深くまで続いているのだ。

 

「・・・嘘だろ?これ道なのか?」

 

「道だ。あの四角い穴が見えるだろう?」

 

断崖を指差す。その場所には確かに崖に掘られた穴があり、それが一定の間隔で続いている。

 

「あの穴に木を差し込んで、その上に板を乗せた簡単な道だが、漢中と中原を繋げる重要な道なのだ」

 

ここを劉邦も歩いたってのか?・・・珍しく引きつった趙雲の笑みが、さらに俺の心を不安にさせる。

 

「まさか雪が積もるとは思わなかった・・・さすがにこれは洒落にならん。落ちれば死ぬな」

 

言い終わる前に桟道へ一歩一歩踏み出していく。

 

「待った!・・・その履物で行くのか?」

 

いまさら何を言っていると言った表情で、趙雲は板の上で飛び跳ねる。

 

「履き慣れているからこそ、この履物で行くのだ。それに靴は似合わん。恰好が可笑しかろう?」

 

靴を履いた趙雲を想像する。・・・確かにそうなんだけれども、板の上をサクサクと歩いて行く趙雲に俺は苦笑する。

 

だがその瞬間、まるでお約束のように足を滑らせる!

 

「趙雲!」

 

「危ない危ない・・・どうした北郷?そんな大声を上げて」

 

器用にバランスを保ち、体を傾けながら嬉しそうにこちらを見ていた。

 

「冗談でも止めてくれ・・・」

 

今のは冗談では無いと、嘘か本当か分からないことを言って笑いながら先へと進んで行く。

 

俺はこの絶景を眺めていた。というか足が動かない。

 

「北郷!何をしている?」

 

少し離れた所から、趙雲が俺を呼ぶ。

 

俺は素直に手を振ることにする。

 

「はあっ!?」

 

趙雲が物凄い速度でこちらに戻ってくると、その拳で俺の頭を殴る。

 

「ふざけるなっ!」

 

いっ痛ぇぇぇぇ!

 

決してふざけていた訳ではないのに・・・

 

ん?突然後ろをがっちりと固められる。

 

「へ? って、趙雲何するんだ!」

 

逃げることもできず、彼女が一歩前にでると俺も一歩前に動かざるを得ない。

 

ちょっ!桟道がどんどん近付いてくる!

 

「ふふっ。もう・・・後戻りはできんぞ?」

 

白い息を吐きながら、趙雲が嬉しそうに声を弾ませた。

 

 

(三)

 

・・・初っ端の悲鳴なわけです。

 

この時代でも噂に名高い史跡であり、名所でもある蜀の桟道を歩いていた。

 

「・・・死ぬ!」

 

「落ちればな」

 

早く行けと後ろから揺さぶられ、言葉にならない悲鳴を上げる。

 

「だが日が暮れる前に渡り切らねば、凍死か、溺死か、転落死だ。私と死を共にしたいか?」

 

俺は首を振って足を踏み出す。その瞬間、雪に足を取られてバランスを崩す!

 

「うおぉぉ!」

 

突然体が引き寄せられ、閉じた目を開けば―――趙雲が俺を力強く抱きしめている。

 

「・・・」

 

二人の吐く息がゆっくりと、何回も空へと昇っていく。彼女は頷いて俺を力強く見据える。

 

何を恐れる必要がある?・・・俺には趙雲がいるじゃないか。

 

・・・その日の内になんとか桟道を越え、反対側にある麓の村まで辿り着いた。

 

 

―――その夜

 

 

「趙雲」

 

「・・・ん?・・・どうした北郷?」

 

「助けてくれてありがとう」

 

俺は命の恩人である彼女を見詰める。

 

少し頬を染めつつ当り前だと呟く。

 

「北郷も・・・守れないで、誰を・・・守れる?」

 

少し朦朧としながら歯切れの悪い返事を返す。いつもの様子と違うな。

 

「んっ・・・どうした?私の顔を、じっと見て?」

 

俺は趙雲の前髪を掻き上げようと手を伸ばすが、彼女はひらりとそれを躱して逃げてしまう。

 

「・・・大丈夫だ」

 

「俺は何も言ってないぞ?」

 

その一言に答えようとせず、彼女は逃げるように床に潜り込む。

 

「今日は疲れたのでな、北郷に構ってられぬのだ・・・」

 

確かにずっと俺に気を配りながらあの危険な道を歩いていたのだから、疲れたというのも無理は無いか。

 

力の無い語尾に不安になりつつも、俺も床に就くことにする。

 

 

(四)

 

次の朝、珍しく食欲の無い趙雲が、無理をして漢中へ行こうと立ちあがる。

 

「趙雲、休んだほうが良い!」

 

無理に行こうとする趙雲の腕を掴む。触れた手が焼けるように熱い。

 

「体調が悪いからと言って、床に伏せている訳にはいかぬ!」

 

俺の掴んだ手を振りほどいて、宿の扉を開けて歩いて行く。

 

「お願いだから、無理はしないでくれ!」

 

「・・・」

 

なんて頑固なんだ!・・・俺を無視して歩いて行く。せめて彼女の負担を減らすために、荷物を持とうと手にかけたとき、

 

「えぇぃ!私に触るなっ!」

 

腕を掴まれたと思うと世界がぐるりと回った瞬間、俺は背中から地面に打ち付けられる。

 

「っ!・・・・・・・・・げほっ!、げほっ!」

 

肺にあった空気が無理やりに押し出され、しばらく呼吸ができずに地面に這いつくばる。

 

「・・・っ!」

 

趙雲を見るとそのまま歩いて行くので、俺は諦めて彼女の後を追いかけることにする。

 

うーん。押してダメなら・・・引いてみるか?

 

俺の問いかけに、お前の考えなどお見通しだと終始無言を突き通す。

 

二人の足音だけが場を支配していた。

 

漢中まで道半ばまで来たところで、趙雲が突然立ち止まって俺に向き直る。

 

―――苦しい。

 

言葉には決して出さない、目で訴えてかけてくる。

 

急いで彼女の元へ駆け寄ろうと動いたその瞬間、がくりと膝が折れ、俺に向かって倒れ掛かってくるのを受け止める。

 

「趙雲、お願いだからもっと頼ってくれ」

 

「・・・許せ」

 

そう一言告げた途端、趙雲は意識を手放す。額には脂汗を浮ばせ、呼吸は乱れ、苦しそうに眉を寄せる。

 

彼女を背中に乗せて、龍牙に二人分の荷物を括りつけた後、滑り落ちない様に柄で支えてながら持ち上げる。

 

龍牙、重っ!?って、捨てて行くわけには・・・いかないよな。

 

薄らと積もった雪の道を歩き、俺は漢中へと向かった。

 

 

(五)

 

確か漢中では五斗米道という道教が盛んな場所だったはずだ。

 

その指導者である張魯という人物は、現在漢中の太守だそうだ。善政を敷いていると噂に聞くだけあって、都に近づくに連れて座って休める場や食堂が見受けられる。

 

だが趙雲を寝かせてやれるような場所が、残念ながら見つからない。

 

それでも俺は五斗米道に期待を寄せる。彼らの目指すのは不老不死。それを追求することは即ち、医術などの分野が進んでいることを意味する。

 

米を寄付して信者になれば、趙雲を見て貰えるはずだ!

 

漢中に入ると、白と黒の陰陽が重なって円が描かれた太極図が貼られた家や寺院が目に付いた。俺は胸を撫で下ろす。

 

「お願いします!彼女を助けてください!」

 

だから漢中に入れば、趙雲を助けることができると思っていた・・・

 

呪術的な怪しい祭壇に向かい、何やら呪文を唱え始める。

 

「天師様~病に倒れしこの者を助けたまえ~!ほんにゃらは、ほっら・・・はーっ!」

 

おいおい・・・ちょっと待て!

 

「出ました!」

 

・・・何が出たのだろう。

 

「彼女はもう助かりません!」

 

助かると言うならまだしも、こういう場で助からないとか普通言わないだろ!

 

ってか、趙雲を見れば本当に苦しそうなのだ。洒落にならない。

 

このまま去るのも府に落ちない。龍牙に括りつけてある荷物を、振り向きざまに思いっきりぶつけて次の医者に願いを託す。

 

「・・・手に持った槍、其方の腰にある剣。何やら良い身分の様子ですな」

 

そう言って、男は手の平を俺に差し出す。

 

「おいおい、彼女の病気を治して貰うほうが先だろ?」

 

「では余所へ行くが良ろしい。儂には関係ない事だしの・・・」

 

そう言って、俺を無視して違うことを始める。振り返った瞬間に男が呟いたその言葉に、俺は歯を食いしばることしかできなかった。

 

漢中の中を、医者を無我夢中で探しまわる。

 

「おいおい・・・疫病持ちじゃないのか!?お、俺に近づくんじゃねぇ!」

 

「あ、あんた仮にも医者を名乗る癖に・・・っ!」

 

でたらめな医者とやり取りをしていた時、趙雲が苦しそうな声をあげる。

 

医者を探している場合じゃない!?・・・趙雲を寝かさないと!

 

俺は辺りを見渡す。何やら叫びながら針を突こうとした瞬間、吹っ飛んでいく男が目に入る。

 

・・・本当に信頼できる医者が、この漢中にはいるのだろうか?

 

っ!少しでも楽にしてやらないと!俺は急いで宿へと走った。

 

・・・だけど

 

「連れが病人だと!?俺に近付くんじゃねぇ!足を踏み入れるな!」

 

・・・嘘だろ?

 

「・・・疫病が流行っているんだ。病人を宿に止めてやることはできない」

 

・・・待ってくれ。

 

「んっ」

 

良かった!・・・もう背に腹はかえられない!

 

俺は趙雲を連れて宿に入ろうと、手を差し出した女に金を渡そうとした時、

 

「あんただけだよ!その娘は捨ててきな!」

 

そう言って趙雲を蹴り落とそうとしたので、彼女を庇おうと動いた瞬間、その蹴りがちょうど俺の腹に入る。

 

「・・・に、睨んで、何だっていうんだっ!どこか行っちまえ!」

 

俺たちに向かって物を投げつけてきた。俺は歯を食いしばり次の宿へと走る。

 

・・・考えろ。趙雲が・・・趙雲がっ・・・・・・このままじゃ趙雲がっ!

 

もう何件回ったか分からない・・・とうとう俺の足は歩みを止める。

 

「俺はっ・・・俺は!」

 

―――なんて無力なんだ!

 

突き付けられた厳しい現実に、泣きそうなほど悔しい。

 

でも・・・泣き言はやることをやってからにしろか。じいちゃんも人が厳しいぜ。

 

「やることやらきゃ、泣き言えないってのもな。趙雲、どう思う?」

 

勿論、返事は帰ってこない。だから考えろ。趙雲を横にしてやるために。安静にできる場所を!

 

・・・・・・

 

・・・隣を見ると家があった。

 

そうか、家だ・・・趙雲を安静にできる場所はもう個人の家しかない!

 

俺の手元には、洛陽で稼いだ金がまだ少し残っている。一か月ぐらいは豪華な宿に泊まれるだろう。断るなら・・・無理やりにでも家主を追い出してやる!

 

立ち止まった目の前にある家に押し入る。そこには机に向かい、何やら紙に筆を走らせている初老の男性がいた。

 

筆を置き、ゆっくりとこちらに振り向く。体を真正面に向けて堂々と座り、初老の男が俺を見据える。

 

「・・・」

 

「頼みがある!彼女の病気が治るまでこの家を貸してほしい!」

 

袋に入った路銀すべてを男に投げつける。

 

彼女を助けたい・・・その一心で俺は手元にある胡蝶ノ舞を握ろうとしたとき・・・

 

「活ぁぁぁぁっ―――!」

 

すべてを吹き飛ばすかのような突風が、俺を吹き抜けて行く。

 

「しっかりせい・・・小童」

 

そう言って男が立ちあがり、金に目もくれず俺に近づいてくる。

 

「・・・漢中に澱む邪気にでも当てられたか。心が荒んでおるぞ?」

 

そう言って、俺の背中にいる趙雲に意識があるか確認し始めた。

 

「・・・かなり危険な状態じゃな。そこへ寝かせるんじゃ」

 

机の横には床があった。ここは・・・診療所か?

 

「・・・この胸の赤い斑模様と、発熱の症状」

 

そう言って次は腹を押さえ触診を始める。

 

てきぱきと診断を下すために趙雲を診察していく。・・・その姿はまさに俺の知る医者だった。

 

「・・・傷寒じゃ」

 

「傷寒?」

 

俺は聞き慣れぬその言葉に首をかしげる。

 

「風邪じゃないのか?」

 

「”かぜ”とな? ・・・もしや”ふうじゃ”のことか?珍しい読み方をするのぉ。・・・まぁ確かに風邪の症状は傷寒に含まれるが、これはそんな軽いモノではない」

 

眼を細めて趙雲を見詰め、真剣な物腰で原因を探ろうと俺に質問を投げかける。

 

「小童。この娘っ子と共に行動していたのか?」

 

「あぁ・・・」

 

「ふむ・・・この娘っ子の横っ腹が少し腫れておる。何か食うか飲むかはしておらんかったか?」

 

趙雲が食べて飲んで、俺が食わずに飲まなかったもの?

 

「・・・揚州産極上メンマと酒かな?極上の割には味がおかしかったらしいけど、量も小さかったから残さず食べていたよ。それ以外は同じ物を食べていたと思う」

 

「断定はできぬが、原因はそのメンマやもしれぬな・・・」

 

顎髭を指で沿わしながら、趙雲を見詰める。目を細めて険しい顔をしながら、俺に覚悟を決めろよと呟く。

 

「小童。これはの、荊州で儂の家族や親族の半分以上を死に追いやった恐ろしい疫病じゃ」

 

「っ・・・そんなに致死率の高い病気なのか?」

 

先生は頷く。

 

「儂は家族を救う為に傷寒の研究をしておる。じゃが・・・無念なことに、まだ助けることができずにいる。そこでじゃ・・・」

 

「お主は彼女を助けたい。儂はこの研究をしたい。勿論ここで寝泊まりしても構わん。利害が一致してるとは思わぬか?」

 

俺たちにしてみれば十分すぎる条件だった。ここを追いやられると、もうどこへ行けばいいのかわからないのに。

 

「先生!どうか・・・趙雲を助けてやってください!彼女はこれからの乱世に必要な人物なんです!こんなところで、病気なんかで・・・死なせるわけにはいかないんです!お願いします!」

 

そう言って俺は地面にこすりつけながら頭を下げて、懇願する。

 

「・・・坊主、名は?」

 

「姓を北郷、名は一刀と言います。字が無い場所から来ました・・・」

 

からからと高笑いした男は、俺の肩を数回叩く。

 

「良いじゃろう。我が名は張機。字は仲景じゃ。儂の知るすべてをかけてこの娘を診よう。一刀はこの娘に付きっ切りで看病してやるとえぇ」

 

 

(六)

 

何とか彼女を横にしてやることができた。だが俺は力を抜くことさえできないでいる。

 

趙雲が歯を鳴らして震えているのだ。

 

彼女の前髪を掻き上げる。・・・手の平が焼けそうなくらい熱い。

 

先生の話によると、漢中の冬は昼と夜の温度差が激しいそうだ。負担となりそうなものは少しでも取り除いてやらなきゃ・・・

 

俺は・・・俺のできることをする!

 

趙雲に必要な物を用意するために、漢中に詳しいであろう先生に尋ねる。

 

「先生、この辺りで陶器職人の方を知りませんか?」

 

「・・・いきなりなんじゃ?」

 

「昔、祖父が使ってた湯たんぽを思い出したんです」

 

その聞き慣れぬ言葉に先生は固まり、ハテナマークを浮かばせる。

 

「なんじゃ?そのゆたんぽっという物は・・・」

 

やっぱりか。湯たんぽはまだこの時代には無いんだ・・・

 

俺は先生に湯たんぽの説明をする。

 

「ほぅ・・・それは興味深いのぉ。少し待っておれ」

 

そう言って、紙にすらすらと筆を走らせ、それを折り曲げて俺に渡してくれる。

 

「左に曲がって真っ直ぐ歩けば分かるじゃろうて、その男にそれを渡すと良かろう」

 

「行ってきます!」

 

俺は全速力で走ってそこへ行き―――

 

―――手紙を陶器職人に手渡した。

 

「んで、坊主。これに描かれたもんを、今すぐ作れと?」

 

「できませんか?」

 

「くっ、先生の頼みは無下にできねぇし、俺は職人だ・・・無理難題突き付けられて、燃えない職人ってもんはいねぇ!」

 

そう言って、さっそく作業に移ってくれた。練り上げた土で湯たんぽの片側半分を二つ作り、それをくっつけて湯たんぽの形が完成する。それを窯にかける。

 

「す、すげぇ・・・」

 

その華麗な職人技に驚嘆の声を上げると、煤で黒く汚れた顔から白い歯を覗かせる。

 

「ははっ!だが、こりゃ即席で強度は出ない。そのつもりでいてくれよ?」

 

しっかりしたものを焼き上げるには、一日、二日は必要だそうだ。即席の湯たんぽが焼き上がるのにも、まだ時間が必要だった。

 

焼き上がるその合間に必要な物を揃えようと、陶芸場を後にして買い物を済ませることにした。

 

 

(七)

 

病気を知ることは大切だ。

 

先生の言う話では、趙雲の傷寒に似たような症状は荊州と揚州辺りで起こっており、病原菌に汚染された揚州産メンマを食した趙雲が発病したのではないかという診断だった。

 

疫病だから何らかを汚染して広まるわけだが・・・近くにいる俺がぶっ倒れていないことを考えれば、空気感染の可能性は低い。

 

比較的貧しい地域で広がり、そこに住む人たちが被害を受けているとのこと。

 

・・・定番の糞尿辺りだろうか。この時代は上下水道の不整備なんて当り前だし、不衛生だからな。

 

大地震が起こった後の二次災害の一つ。上下水道が止まり不衛生になった時に、ハエを媒介に広まる伝染病がそれだからだ。

 

それしか今のところ考えられない。なら糞尿に付いた菌を死滅させなきゃまずいよな。

 

処理の仕方は・・・取り敢えず河原で燃やすかな?菌は熱に弱いって聞くし、さらに灰でもぶっかけて埋めるか、漢水に流すかすれば大丈夫だろう。

 

そんなわけで、俺の考えを先生に伝える。

 

「なるほどのぉ。では考えられる可能性をすべて潰していくかのぉ・・・」

 

そう言って俺は再び先生の手紙を持って、走り回ることになる。

 

簡単だが専用の厠も部屋の近い場所に設置してもらい、出来上がった湯たんぽを取りに走る。

 

湯たんぽにはお湯が入れられていた。・・・暖かい。

 

「強度を試してみた。熱湯を入れても割れなかったようだな。今すぐ使っても大丈夫だろうよ!」

 

明日にはしっかりしたものができるから取りに来いと言われ、御礼を言って来た道を戻る。

 

空はもう薄暗くなっていた。

 

 

 

 

帰れば先生が趙雲に意識が戻ったことを教えてくれる。慌ただしく俺は趙雲が横になる部屋へ向かった。

 

「何か欲しいものはあるか?なんでも言ってくれ」

 

趙雲は無理に笑みを浮かべて、欲しいものを呟いた。

 

彼女の声を聞き取ることはできなかった。だが唇の動きだけで俺は読み取れることができた。

 

そんな高度な術は持ち合わせていないのだが・・・

 

―――メンマ

 

そう呟いたのだ。俺は頭が痛くなってきた。

 

趙雲・・・君にはメンマの神様が必ず微笑んでくれるよ・・・断言する。

 

言いたいことは言ったと、目を閉じて再び寝むりにつく。

 

寒そうに体を縮こまらせる。俺はもう一枚趙雲に布を掛けて部屋を後にする。

 

・・・俺は食堂に立つ。慣れない包丁さばきでメンマとネギを細かく刻み、趙雲の為の粥を作り始めた。

 

 

 

 

出来上がった粥を持って趙雲のいる部屋に入る。静かに扉を開けると、趙雲は目が覚めていたのか、頭をこちらに向けて、ぼっとしながら俺を見詰める。

 

「メンマ粥を作ってみたけど食べる?」

 

もぞもぞと動くので起きるのを手伝ってやる。

 

まだ力が入らないようで、俺に凭れ掛る。

 

蓮華を持とう動くので、俺はそれを止める。

 

「・・・?」

 

その行動が理解できないのか、不思議そうに俺を見る。

 

俺は手に蓮華を持ち、白い湯気が上がる粥を掬う。息を吹きかけて温度を冷ました後、彼女の口までそれを持って行ってやる。

 

「はい、あ~ん」

 

「・・・!」

 

彼女は一瞬戸惑ったようだが、口を開けてそれを飲み込む。

 

再び同じ動作を繰り返して、彼女に粥を食べさせていく。

 

時間は少し掛ったけど、粥をきれいに平らげてくれた。食欲は上々だな。

 

先生が調合してくれた薬を飲ませてやる。少し顔をしかめつつも飲んでくれた。

 

「起きていると大変だろ?」

 

そう言って彼女を寝かしつけると、布団を掛けてやる。

 

「寒気は?」

 

こくりと頷く。これだけ高い熱があるんだから当り前か・・・

 

俺は湯たんぽの準備をすることを告げて、彼女から離れる。

 

 

 

 

「これでよし」

 

あらかじめ布を巻いた湯たんぽにお湯を入れると先生がやってきた。

 

「どうじゃった?」

 

「はい、用意した粥は全部食べてくれました。薬も飲ませました」

 

「そうか。油断はせぬようにな。・・・で、それが湯たんぽか?」

 

顎髭に触りながら、湯たんぽを眺める。

 

「これを寝る前に腰辺りの位置に入れておくんですよ。布団に入る時に足下に押しやって貰えれば・・・暖かく眠れると思います」

 

そう言って、先生用に用意しておいた湯たんぽを手渡す。

 

「これはこれは!確かに暖かく眠れそうじゃな。では試してみるかの~」

 

期待に満ちた顔をして、湯たんぽを持って速足で寝室へと歩いて行った。

 

湯たんぽが冷めてしまう前に、俺も趙雲の元へ持って行くか。

 

部屋に入ると趙雲が目を開けてこちらに振り向く。うっ、起こしてしまったか・・・あまりうろうろしていると、趙雲が眠れないな。

 

「趙雲、湯たんぽを足下に置くね。少しでも寒さが和らげば良いんだけど」

 

ちょいっと失礼と布団の裾を持ち上げて、彼女の色白い足の近くに湯たんぽを置いた。

 

彼女の髪を撫で、目を閉じるのを見届けてから俺は部屋を後にした。

 

 

(八)

 

どれくらい眠っていたのだろうか・・・

 

朦朧とする中、隣を見れば私の横に北郷がいた。

 

いつも思う。何やら足下が暖かい。・・・気になるが力が全く入らず、確かめることはできない。

 

意識が遠退いて行く中、北郷の手が私の頬に優しく触れる。前髪を掻き分けられ、そのくすぐったさに甘えるような声が出そうになる。

 

北郷が私を見て少し笑みを浮かべる。私はどんな顔をしていたのだろうか?北郷に見届けられながら私は目を閉じた。

 

 

 

 

目が覚めれば、手に土鍋を持った北郷が傍にいた。

 

湯気が立ち上る粥の中には、きっとメンマが入っているに違いない。

 

メンマ道を語る者として、残すわけにはいかぬ。少しでも体力をつけねば・・・

 

起き上がろうとしても力が入らず、床の上でもがいていると北郷が手伝ってくれる。だが自力で座ることもできず、北郷に体を預けねばならない。情けない。

 

北郷が熱そうな粥に息を吹きかけて冷ましてくれ、私の口元にそれを差し出す。

 

「はい、あーん」

 

「・・・」

 

一度たかが外れると、恥ずかしさもどこへやら。私はその蓮華にかぶりつく。

 

粥なのに不思議と甘い。中にあるメンマにはあまり味がなく、歯ごたえだけが伝わる。

 

何とか食べ終わり薬を飲んだ途端、猛烈な眠気が私を襲う。

 

北郷に感謝を告げることもできずに、私は闇に落ちた。

 

 

 

 

目も開けることができずに、私は凍える寒さに震えていた。

 

扉がゆっくり開らかれ、誰かが入ってくる。

 

私の額に冷たい手を当てて、何やら丸い物を私の床の中に入れた。

 

暖かい。私はそれを抱いて寝ることにした。

 

 

 

 

熱い!

 

最初の頃より幾分温度は下がったが、それでもまだ熱を帯びる丸い物を床から押し出した。

 

しばらくすると誰かが入ってきて私の額に手を落とす。その気持ちの良い冷たさは一瞬で、すぐに額から離れて行く。

 

すると突然水に濡らした布を額の上に乗っけられる。ひんやりして気持ち良いのもやはり一瞬。

 

だがそれを数回ほど繰り返して、私を気遣ってくれる。

 

しばらくして、その人物はごとごとと音を立てて出て行ってしまった。

 

 

 

 

寒い!

 

汗のかいた服が冷えて寒い。

 

その余りにも酷い不快感から、半ば強制的に眠りから覚まされる。だが自由に体が動かない・・・

 

「趙雲、大丈夫?」

 

「汗が冷えて寒い・・・服を着替えたい」

 

すぐに替えの着替えを用意してくれる。北郷は私が着替えるからか、部屋から出て行ってしまった。

 

いつの間にか着せられていた服はとても着脱するのが容易で、腰にある紐を解き、左わき辺りにある止め具を外せばすぐに着替えることができた。

 

朦朧としながらも、気合を入れて着替えを済ませた後は倒れるように床に伏せる。寒さに震えながら掛け布団を引き寄せる。

 

しばらくして出て行った北郷が戻って来る。暖かい丸い物を床の中に入れてくれる。

 

「・・・暖かい」

 

「湯たんぽって言う、俺の国に昔からある暖房器具だよ」

 

北郷の国の暖房器具だったか。私は卵を抱く鳥の様にそれをぎゅっと抱きしめる。暖かさが伝わって寒さが少し紛れると、私は何も考えられなくなり再び眠りに付いた。

 

 

(九)

 

・・・趙雲が倒れて一週間と少しが過ぎた。

 

先生が言うには峠は越えたそうだ。でも油断はできないと言う。引き続き俺は趙雲の看病に専念することにする。

 

ここ最近の趙雲は俺がゆっくり扉を開いて部屋に入っても、必ず目を覚まして俺を出迎えてくれる。寝むっている趙雲はここしばらく見ていない。もしかして寝てないとか?

 

「峠は越えたそうだよ、徐々に快方に向かうだろうって・・・」

 

言った傍から無理して起き上がろうとするのが趙雲らしい。

 

「無理は禁物。大丈夫だと自分で判断するのは先生に失礼だぞ?」

 

趙雲のことだから、失礼だと言えば決して無理はしないだろう。予想通り大人しく床へと戻ってくれた。

 

「私の体はどうなっているんだ?」

 

「メンマに病原菌がついていたんだろうってのが、先生の判断。つまり疫病にやられてる」

 

「では、北郷も危険ではないか!」

 

驚いた時の声の大きさが少し大きくなっている。順調なようだ。

 

「大丈夫だよ。空気感染はしないから安心して。注意を怠らなければ俺が傷寒になることはないよ。勿論漢中に広めないように先生と相談して対策は取っている」

 

肩を持ち上げて起きようとする彼女を、再び寝かせる。

 

「でも、良かったよ。趙雲が死ななくて・・・」

 

「ふふっ。この趙子龍、床に伏せて命果てる程、軟ではないぞ?」

 

「あぁ、勿論」

 

趙雲は掛け布団を顔まで持ち上げて寝てしまった。

 

 

(十)

 

ふむ、もうすぐ飯の時間か?

 

私は甘えておこうか否か考えていた。北郷が私に尽くしてくれるこの状況に。

 

・・・病気と言うことで、普段以上に優しいからな。むっ、いかんいかん・・・頭がくらくらする。まだ本調子ではないようだな。

 

だが今までじっくりと味わうことができなかったからな・・・これは一度良い機会と思って、もう少し甘えさせて貰おう。

 

扉が叩かれると、北郷が片手ひとつに土鍋を持ってやってきた。

 

「趙雲、入るよ~」

 

「ん、北郷か」

 

私がのそのそと起き上がろうとすると、北郷がいつものように助けてくれる。

 

「夜になって、また熱が上がって来たのかもしれないね」

 

そう言えば、今朝は自力で起き上がろうとした所を、北郷に止められていたのを失念していた・・・

 

だが、北郷が良い具合に勘違いしてくれたようだ。この流れに乗るべし。

 

何も言わずに、いつもように北郷に凭れ掛る。

 

はっ!・・・そう言えば、しばらく体を拭いていなかった。臭くないだろうか?

 

気になってしまい、北郷から距離を取ろうと動いた時、

 

「危ない!」

 

突然肩を掴まれ、北郷の元へ強く引き寄せられてしまう。・・・結局元の位置に戻ってきてしまった。

 

「・・・」

 

「やっぱり顔が赤い。・・・また熱が出てきたんだ」

 

真剣な北郷の声を聞いて、阿呆な事を考えていたことに気付かされる。病人らしく大人しくすることにしよう。

 

「今日は少しメンマの量を多めにしてみたよ」

 

粥を蓮華で掬って、息を吹きかけて食べやすい温度に冷ましてくれる。

 

「はい、あーん」

 

「はむ」

 

ふむ、いつも思うが粥が甘いな。米の甘さがよく出ており、その中にあるメンマを噛みしめれば、メンマの風味が流れ出し、口の中でほんわりと旨さが広がる。

 

「旨いな」

 

「お、食欲が出始めたみたいだね。明日から卵も絡めて栄養をつけて行こうか」

 

そう言って、再び粥を掬って私に食べさせてくれる。

 

食べ終わってから苦い薬を飲んで床に就けば、温かい気持ちで私は眠りに就くことができた。

 

 

(十一)

 

次の朝、私は犬の様に鼻を引くつかせ、自分の臭いを嗅いでいた。

 

やはり少し体臭がきつい・・・

 

ずっと風呂にも入れずにいたのだ。無理もないが気になって仕方がない。

 

・・・ふと隣に目をやれば、湯たんぽが置いてあった。

 

まだ少し暖かいそれを手にとって上下に振ると、ちゃぽちゃぽとお湯の音がする。

 

「なるほど、これで体も拭けるのか。よく考えられているものだな・・・」

 

湯たんぽから布を引き剝して、お湯を湿らせて、体を拭いて行く。

 

そこに北郷が扉を開けて入ってきた。

 

 

 

 

「おはよう!ってごめん!」

 

くるりと反転して部屋の外に出ようとしたとき、後ろから声を掛けられる。

 

「丁度良いところに。背中を拭いて貰えぬかな?変に気を使わなくても構わん」

 

振り向くと、趙雲はこちらに背中を向け、床の上で上半身をさらけ出していた。

 

なんて声を掛ければ良いか考えていると、趙雲が俺を呼ぶので急いで傍に行く。

 

「湯たんぽのお湯で体を拭いていたのか」

 

「ん?このためでは無いのか?」

 

「いや、暖を取るだけだよ。そのまま捨てるのも勿体ないし、良いんじゃないかな」

 

俺は湯たんぽんのお湯を布にかけて、趙雲の背中を拭く。

 

武人らしく背中に傷一つない肌に触れると、美しく、しなやかな体が少し動く。胸を隠すように体を抱きしめるように、前屈みになっているためか、その小ささに俺は驚く。こんな小さな背中に俺は守られていたんだな・・・

 

「ん? どうした?」

 

手が止まっていたのか、俺は慌てて手を動かすことにする。

 

「何でもない、少し考え事をしていたんだ」

 

「そんな恰好では力が入らんだろう?肩に触れても構わんから、もっと力を入れて擦ってくれ」

 

っといかん。やましい事を考えるな。感づかれれば趙雲のペースに持って行かれる。

 

「・・・」

 

「ふふっ、そう興奮するな」

 

「してない!」

 

「それを興奮していないなどと・・・なんと言えば宜しいのかな? 北郷殿?」

 

あははっと、肩を上下しながら高笑い一つ。

 

趙雲が完全復活するのも、少し複雑な気分だけど・・・でも本当に良かった。

 

「―――前も拭いてみるか?」

 

「・・・喜んで」

 

「ふふっ、冗談だ」

 

 

(十二)

 

数日後、先生の診断を受ける。

 

「大丈夫じゃろう・・・じゃが油断はせんようにな。この病気は完治しても再び発病することがあるからの」

 

「ありがとうございます」

 

「感謝致します。張仲景殿」

 

「ふふっ。構わんよ。小童共が突然乗り込んできたかと思えば・・・研究が進んだしのぉ。湯たんぽと言い、かなり有意義であったぞ?」

 

灰の入った水に手を入れて洗い始めたのを見て、趙雲が疑問の声を上げる。

 

「仲景殿。灰の入った水に手を入れて、何をされているのですかな?」

 

「あぁ、趙雲は知らないよね。この時代に消毒できるものが思いつかなくてね。学校で習ったんだけど、炭からできた灰には殺菌効果のある成分が含まれているんだ。その成分が水に良く溶けるんだよ。目に入ると失明する危険な物なんだけどね・・・」

 

「本当に毒のようじゃな。手が荒れてしもうたわ・・・」

 

「ふむ・・・毒を持って毒を制すというわけか」

 

趙雲が無駄のない動きで、俺の手を素早く手に取る。

 

「あはは・・・まぁ、そんな感じかもね。俺も手がボロボロだけどな」

 

そう言って立ちあがろうとした瞬間、俺の視界がぐにゃりと歪む。

 

「北郷!?」

 

・・・・・・

 

・・・

 

「単なる過労じゃの。心配せんでも良いぞ」

 

「世話をお掛け致します」

 

「まぁ、ゆっくりさせてやれ。まぁお主は漢中でも散歩してくると良いじゃろ」

 

「ではお言葉に甘えて・・・」

 

北郷の事は仲景殿に任せて、私は漢中の街を歩く。そこらへんに道(タオ)の印つけた霊符が貼られ、祈祷や呪術で、患者たちを診る医者たちが見受けられた。

 

心の持ちようで治る病であれば、祈祷や呪術で良かろうがな。疫病では意味も少なかろう・・・

 

北郷はよくこの中から、凄腕の医者を探しだしたものだ・・・

 

「ひっ!」

 

私の顔を見た男が、突然走って逃げて行く。

 

ふむ怪しい奴。病み上がりだからと逃げられると思ったか。愚か者め!

 

私から逃げることができないと判断したのか、息を上げて立ち止まる。

 

私は男に問い詰めることにする。

 

「ふむ・・・何故私の顔を見て逃げる?」

 

「え、疫病に侵されていたんじゃ・・・い、生きていたのか?」

 

「左様。この趙子龍、疫病ごときで死ぬはずが無かろう?」

 

「・・・そ、そうか。って、うつらないだろな?」

 

「それは知らん」

 

悲鳴を上げて逃げようとする男を、槍の先で首元をひょぃっとひっかけて持ち上げる。

 

「い、いや、坊主があんたを背負ってやって来たもんだったからな、追い返したんだよ」

 

「ふむ。ではお前は私を見殺しにしようとした男ということか、ならば貴様は私に何をされても文句は言えんな」

 

私は意地悪い笑みを浮かべる。さてどう料理してやろうか・・・

 

「ち、ちょっと待った!仕方ないだろ?荊州では疫病が広まりつつあるんだ!ここ、こ、これでも医者の端くれだ!胸の痣に加え、高熱なんて特徴的な症状!漢中にも少しずつ広まり始めてるんだよ!」

 

ふむ。どうやら荊州で疫病が広がっているのか。・・・だが荊州を避けるわけにもいかん。

 

荊州は長江の中流に位置していることもあって水運が栄え、人と物が集まる拠点だ。大陸中を旅して荊州を知らぬとは、とんだ笑い者だ。

 

私はその男を放り捨てて表通りに顔を出せば、私の姿を見て驚くものばかり・・・

 

「生きてる!?」

 

むっ・・・生きていて悪いのか!?

 

声がかけられた方に顔を向けてみると、呪術の祭壇を前に頭を抱えてた男がいた。

 

「そんなっ!天師様のお告げが間違えていたなんて!」

 

天師のお告げでは、私は死ぬことになっていたか。

 

―――天師、破れたり!

 

「・・・さっさと足を洗え」

 

男は潔く祭壇を片付け始めた。

 

「疫病持ちを抱え込む阿呆を見つけたか。絶対助からんと思ったんだがの・・・しぶといものだ」

 

ぼそりと呟いた声を私は聞き逃しはしない。振り向いた先にはふざけた顔をした医者が立っていた。医者とも言えぬその言い草、無性に腹が立つ。近くにいるだけでも不愉快だ。

 

「去れ!」

 

男が舌打ちしたので、私はすぐさま龍牙の柄の先で腹を打つ。

 

「・・・何を舌打ちしている?」

 

「・・・す、すいませんでした」

 

私は一通り漢中を歩くことで結論に達した。五斗米道の指導者という張魯いう人物も、我が主となる人物ではなさそうだ。

 

この時代には珍しく善政を行い、困ったものを扶助していると聞いていたが・・・疫病に後れを取っている上に、処置も疎か・・・縁が無かったようだな。

 

歩いていると、今度は外で水を撒いていた女が宿に逃げ込んで行った。

 

「・・・ふむ、私はかなり嫌われているようだな」

 

扉を開けて、中を窺う。

 

「邪魔するぞ?」

 

「ひぃぃぃぃぃっぃぃ!」

 

突然悲鳴を上げられ、言葉を無くす。

 

「・・・邪魔したな」

 

この漢中の者共は、私を何だと思っているんだ!

 

常山の昇り竜、趙子龍―――死に追いやる疫病から驚くべき速さで克服し、遠ざけた者に復讐する姿が目撃され、漢中では彼女のことを一時期、白鬼人と呼ばれることになる。

 

 

(十三)

 

しばらく漢中を歩いていると、突然私の名が呼ばれた。

 

「あらぁ?こんな所で趙雲ちゃんと出会うなんて・・・驚いたわ!?」

 

「はて・・・どこかでお会いしましたかな?」

 

私の名を知っていた者に、残念ながら覚えは無った。

 

「どうした?知り合いか?」

 

この寒い中、鍛え上げられた美しい肉体を揺らしながら、紐パン一丁の・・・男? いや・・・女・・・いや、それも何か違うような・・・

 

その横には白い褌。そして磨き上げられた肉体が見え隠れする羽織りから、真っ白な・・・下着? いや、胸当と言った方がしっくりくるか。こやつも・・・男? いや・・・こやつも違う。男の気配では・・・ない?

 

珍しい恰好をし、異様な空気を漂わせた二体の巨人が私の前に立ち塞がった。

 

「ほぅ・・・こやつ。なかなか良い心気を持っておるな」

 

一人は私のことを見定め、もう一人は私の問いに答える。

 

「えぇ・・・とても遠い遠い所で、ね。でも忘れていても仕方がないわ」

 

初対面とは思えない落ち込みように少し気になってしまう。嘘をついてる風には思えない・・・何故だろうか?

 

「ありがとう。でも大丈夫よ。趙雲ちゃんがそんな顔をすることは無いんだから・・・可愛い顔が台無しよっ♪ それにしても、どうしたの?趙雲ちゃんが漢中にいるなんて・・・」

 

「ふむ。友と旅をしている途中で、漢中で倒れてな」

 

「あらん?趙雲ちゃんは一人旅をしているって聞いてたんだけど・・・今は誰かと旅をしているのか・し・ら?」

 

「北郷という者と旅をしているが、はて?私はそのなことを言っていたのか」

 

これほどの特徴的な人物、そうそう忘れることはないのだが・・・ふむ。どこかの酒の席で知り合いでもしたか?

 

「うぬぅ?どうなっておる貂蝉。早すぎるのではないか?」

 

「そうねぇ・・・もしかしたらこの外史はそういう流れなのかもしれないわねん。少し心配だけど、趙雲ちゃんがいるならご主人様もきっと大丈夫ね」

 

「ふむぅ」

 

それよりもと、貂蝉と呼ばれた者が私の顔を覗き込み、何やらくねりながら笑顔?を浮かべる。

 

「でもでも、趙雲ちゃんはすでに乙女の顔をしているわねん。私たちが知り合った頃よりも、儚くて、純粋・・・きゃーっ♪可愛いわぁ♪」

 

「・・・」

 

「うむ。立派に恋する乙女の顔ではないか!我らは熱く恋焦がれる乙女を応援するぞ!」

 

私はそのような女の顔をしているのか? ・・・ふむ、どんな顔か後で見ておくとしよう。

 

「この外史では、趙雲ちゃんがご主人様を独占しちゃうのかしらねん!・・・許せないわ!」

 

ぬっ!・・・何やら怪しい闘気が流れ始め、形のない気糸がこちらに伸びて来る。自らも闘気を薄らと纏い、それを何とか耐え凌ぐ。

 

・・・くっ、当てられ続けると持たんな。

 

「見苦しいぞ貂蝉!嫉妬などという闘気を垂れ流しおってからに・・・だからお前は未熟者なのだっ」

 

「でもでもでもーん!羨ましいたらん!・・・くやちーのぉよぉぉぅ!」

 

どこからか取り出した布を咥え、頭を左右に振りながら地団駄を踏む。

 

「弟子の無礼を許されよ。だが流石、趙子龍と言ったところか。我が名は卑弥呼。漢中で修行中のだぁりんを応援しておる」

 

「私は都の踊り子にして絶世の美女、貂蝉よん♪よろしくねん」

 

「我が名は趙雲、字は子龍。ふむ・・・なかなか面白い見方をされる。武人と言わずに恋する乙女などと・・・」

 

「あら、でも本当のことじゃないかしら?」

 

その一言に私は苦笑いを持って返す。

 

貂蝉は背筋を伸ばし、手を頬に充てて困った顔をして呟く。

 

「でもん・・・ご主人様と出会うのが早すぎたのかも。少し心配よん。ガラスの様に透明で純粋、一途に進む趙雲ちゃんだからこそ・・・心配だわ」

 

「貂蝉、うぬもそう思うか。私もこの娘を一目見て、それを危惧しておった。・・・この娘に我らが漢女道の教え、叩きこまねばなるまい!」

 

「ふむ。その漢女道なるもの・・・面白そうではないか」

 

「がはは! 先人たちの知恵がぎっしり詰まっておるからな!」

 

私は漢女たちに連れられて、近くの飲茶店に入った。

 

 

(十四)

 

「考え込んじゃったわねぇ・・・星ちゃんにはまだ早かったかしらぁん?でも筋は良いと思うわよん」

 

「うぬ。障害にぶつかり悩むことも、漢女道を極めんとするには必要なこと。精進されよ」

 

「いやはや・・・」

 

うむ。実に興味深い。意中の相手の気を引くために考え出され、数多くの女性が実行しては、男を惹きつけ、夢中にさせては籠絡する。その一つ、自傷の極。その根本は自らが傷つくことで意中を相手の気持ちをこちらに向けるというもの。だがその究極奥義は一度間違えれば二人の信頼を損ねてしまう諸刃の刃。

 

・・・今の私には力不足と言えよう。

 

だが彼女達から教えて貰った自傷の極の初歩。試す機会があるようだ。どれほどのものか、試してみようではないか。

 

遠くから卑弥呼と貂蝉と呼ぶ声が聞こえる。

 

「おぉ、貂蝉。だぁりんが呼んでいるぞ。ではまた会おう、星!漢女道を歩む同志よ!」

 

「星ちゃんとまた別れ離れになっちゃうけど・・・でも元気でね。星ちゃん・・・元気でぇねぇぇぇっーーーん」

 

涙を流しながら貂蝉は私との別れを惜しんでくれる。

 

「生きていれば必ずまた会える。次は一献やろうではないか」

 

「そうね!」

 

「貂蝉、卑弥呼・・・達者でな!」

 

二人は嬉しそうに走って行った。漢中にて、新たな出会い在り。

 

ふふっ、これだから旅はやめられん。まさか真名を預けても良いと思える人物に出会えるとはな。

 

・・・思えば、そろそろ北郷にも真名を許すべきか?

 

私は一口、お茶を飲んで考える。

 

まだ時期尚早か?だが突然真名で呼ばれるのも違和感が・・・それに真名で呼び合うのも何か小っ恥ずかしいものがある。

 

さらなる問題にぶち当たり、これほどまでに悩まねばならぬのかと私は苦笑する。

 

いつの間にか冷めてしまったお茶を、酒のようにちびりと口に含む。甘さと苦さが混じり合った風味が口の中で広がった。

 

 

(十五)

 

仲景殿の診療所に戻ると、そろそろ飯の刻である。

 

私は飯を持って北郷が眠る部屋の扉を開けた。

 

「あ、趙雲。おかえり」

 

私の姿を見て、北郷が迎えてくれる。

 

「起きていたか。突然倒れたから驚いたぞ?」

 

北郷は起きていたようだな。苦笑いを浮かべて私が持つ土鍋に目をやる。

 

「あ、お粥作ってくれたんだ」

 

「味は期待はできぬぞ?」

 

粥にメンマとネギを入れて、卵でとじた雑炊のようなものだ。

 

私が土鍋を置いて食べさせる準備していると、突然北郷に左手を取られる。

 

「もしかして?」

 

やはり北郷は気付いたか。まぁ気付かぬようでは私の目は節穴だったということ。

 

「その、まぁ、普段握りなれぬものを使うとな・・・」

 

握りなれない包丁で切ってしまった、左の指に巻かれた包帯を北郷は両手で優しくなぞってくれる。

 

くっ、まさかこれほどとは・・・漢女道恐るべし。

 

「そっか。ありがとう」

 

北郷がこちらに笑みを投げかけてくれる。効果は絶大で、思っても見ない北郷の一面を覗くことができたのだが・・・

 

「ふふっ、このままでは飯が食えぬぞ?」

 

「あぁ!ごめん!」

 

慌てって私の手から蓮華に持ちかえて、頂きますと手を合わせて食べようとしたので、その蓮華を奪い取る。

 

「?」

 

「私が食べさせてやろう」

 

「いや、大丈夫!一人で食べられるよ!?」

 

「ふふっ、遠慮するな」

 

私は蓮華で雑炊を掬って息を吹きかけ、温度を冷まして北郷の口にそれを持って行く。

 

「あーん」

 

「あー」

 

恥ずかしそうに北郷が蓮華にかぶりつこうとした時に、私は味見をしていなかったことに気付く。

 

いけないと引き抜いた瞬間、蓮華があった場所に北郷が食い付く。

 

「くっ、あははははっ・・・いや、・・・・すまんすまん」

 

顔を赤くして、怒りながら私の名を呼ぶ。笑いが込み上げてくるのを我慢しながら、作った雑炊の味見する。・・・うむ、味は大丈夫だ。

 

再び蓮華で掬って冷ました後、北郷の口の前にそれを差し出す。

 

表情に出さない様に堪えていると・・・口から笑いが漏れてしまった。

 

「趙雲・・・何笑ってるんだよ!」

 

「いや!すまんすまん!許せ」

 

「また引っこ抜くつもりだろっ。やっぱり自分で食べるよ!」

 

私の手から蓮華を取り返そうと、北郷が手を伸ばす。

 

「まぁ、待て待て。味見をしただけだ。味はまずくなかった」

 

そう言って、北郷にあーんと言いながら、無理やりに蓮華を口元に持って行く。

 

大人しくなった北郷を見ていると、再び蓮華を引っこ抜きたい衝動に駆られる。

 

「趙雲・・・真面目な顔をしながら、どうして蓮華が震えているんだ?」

 

「ふふっ、釘も刺された故にもう引っこ抜かん。早くしないと冷めてしまうぞ?」

 

北郷がパクリとかぶりつく。口の中をもぐもぐと動かして飲み込むのを見届ける。

 

「・・・どうだ?」

 

「うん。美味しいよ」

 

その一言にほっと胸を撫で下ろし、再び吹いて冷ました雑炊を差し出す。

 

小さな子供が甘えてくるかの様で少し可笑い。だが嫌では無い。嬉しいと思っている私がいる。

 

・・・頼ってくれか。

 

雑炊を飲み込むのを待ちながら、恥ずかしそうに視線を反らす北郷の顔をじっと眺めていた。

 

 

 

片付けを済ませ、様子を見るために部屋に戻る。

 

どうやら彼はぐっすりと眠っているようだった。近くにあった椅子を引き寄せて腰を落とす。

 

・・・ふふっ、相変わらず気持ちよさそうな寝顔だな。

 

「う~ん、趙雲~・・・」

 

「ん、どうした?」

 

呼ばれたと思い、顔を近くにやる。だが何の反応もなく、規則正しく寝息が聞こえてくる。

 

「ふふっ、私の夢を見ているのか?」

 

彼の頬を突きながら問うてみる。だが返答は帰ってこない。

 

夢の中の私は何をしているのだろうな・・・

 

北郷の寝顔を見ていたら、不意に欠伸が出てしまう。

 

本調子ではないためか、漢中を散策して疲れたのだろうか。それとも北郷の幸せそうな寝顔を見ていたからか?

 

理由はどうあれ、無性に眠い・・・

 

ふとした悪戯心で、私は北郷の床に潜り込むことにする。

 

大きく息を吸い込むと不思議な暖かさに包まれ、心が充たされていく。

 

そういえば・・・初めて出会った村でも似たようなことがあったな。

 

北郷?この時代に何を思う?成すべきことはまだ見つからぬか?私の問いに答えてはくれぬだろうか?

 

 

(十六)

 

体調が戻ったので、俺たちは漢中を発つことにした。

 

「かなり漢中で時間を取られた。あまりゆっくりしてる場合でもあるまいし、巻き返さねばな」

 

診療所に飾られた、この辺りの簡単な地図を眺める。描かれた川に指がなぞられる。どうやら漢中を利用して長江に下り、荊州へと向かうようだ。

 

「荊州は荒れておる。気をつけて行かれよ」

 

「本当にお世話になりました・・・ありがとうございましたっ!」

 

「お世話になりました。こうして生きていられるのも、仲景殿が助けてくださったお陰。なんと御礼を申し上げてよいやら・・・」

 

先生は俺達にニコリと微笑む。

 

「出世払いで構わんよ」

 

「!?」

 

「何を驚いた顔をしている?お主らはこの乱世にとって必要な人物なのじゃろう? それ相応の見返りを期待しておるぞ? そういうことじゃ、さっさと行って来ぬか!」

 

「はーはっはっは!・・・いやはや、もう頭が上がりませぬな!」

 

俺たちは別れを惜しんで旅発つ。少し歩いたところで、一軍を引き連れて大慌てで先生の診療所へ押し掛ける者が現れた。どうやら偉い人のようだが・・・

 

「ここの太守、張魯の旗か。ふふっ・・・ようやく疫病対策に乗り出したようだな。さて・・・荊州には我が主となる一角の人物がいれば良いのだがな」

 

俺の顔をちらりと見て、趙雲は嬉しそうに前を歩く。

 

俺たちは次の荊州を目指す。魏・呉・蜀の三国の境界地となり、名の残る決戦が数多く行われた兵家必争の地へ。

 

 

あとがき

 

第五章、なんとか形にできました!満足していただけたなら嬉しいのですが・・・どうでしたか?

 

益州では闘病生活をさせようと考えてました。漢中といえば五斗米道なだけに。

 

風邪を調べることから始まり、三国志の時代に広がった病気、一週間以上の発熱から考えられる寄生虫、チフス、傷寒論、張仲景、石鹸や消毒などなど・・・Webで紹介されているいろいろなサイトを参考にさせて頂きました。

 

はたまた漢中だけあって、劉邦についても調べてました。そこから蜀の桟道の話をネタにさせて貰いました。現在は観光用に整備されているようですが、後漢当時も簡単に作られた桟道だったはずです。

 

そんな訳で、華山長空桟道をモデルにしたのですが、文書でその怖さを伝えることができないのは・・・私の力不足ですね;

 

”蜀の桟道” もしくは ”華山長空桟道”で、グーグルの画像検索をして頂ければ、どんな感じか一発です。

 

あとは貂蝉と卑弥呼。二人の語りが文章にできません!なのでアドリブで進めてみました。・・・目がぁ!目がぁぁぁ!

 

・・・趙雲が、スキル”漢女道の初歩”を使えるようになりました!

 

 

さてさて、話はがらりと変わるんですが、

 

TINAMIさんの一行コメントは連続投下できないんですね・・・気付くまでかなり時間がかかりました;

 

この場をお借りしまして、コメントを投下してくださった皆様ありがとうございます!遅くなりました第四章のコメント返しを;次のページにそのテキストをば~

 

第六章は荊州だそうですが・・・真っ白。また一から調べなきゃいかん。良いネタが転がってますように!

 

それでは、失礼します!

 

 

10月7日にコメントを投下しようと思ったのですが、連続投下できずに断念しました・・・

失った時間、約30分・・・悔やまれます。()内は第五章を書き終えた追加コメントです。

 

moki68k様 > 萌えましたか!書いていて恥ずかしかったですw

 

st205gt4様 > 一刀は太守も務めてしまう何でも屋ですからね。

 

ルーデル様 > 昇龍伝でも月は優しさと強さを持つ良い子でしたね。漢中もがんばります!

 

クォーツ様 > これも何かの縁ですね。一刀はまだ管輅の占いが広まる前にやってきました。天の御使いでない一刀って?常山に舞い降りた彼と偶然出会ったのが、趙子龍その人。一緒に旅に出て各地を回る。そんなお話です。

 

munimuni様 > (・∀・)ニヤニヤ

 

トーヤ様 > 恋姫設定の五斗米道は、闇に消え去った医療流派だそうで・・・うーん、設定どうしましょ~

(五斗米道は教えだけは残っているけれど、肝心な内容を受け継ぐ者は今はいないということにしました)

 

夜の荒鷲様 > 可愛いと思って頂けたなら一安心ですw

 

jackry様 > あいかわらず・・・ツン子ですwww

 

kayui様 > 自分の解釈で面白くできるのか怪しいですがw 一刀に目をつけた星は脇役に収まりません。困ったものですw

 

ブックマン様 > どんな出会いがあるやら、私にも想像できません;

(こんな出会いになってしまいましたw)

 

皆さんへ > 次回もがんばります!

 


 
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