「艦娘たちは、不必要に見知らぬ者との接触はしないように」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第80話(改1.5)<協力と対抗>
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ブルネイ司令は少し声を潜めた。
「実は非公式だがブルネイ軍は艦娘の導入を検討中なんだ」
「え?」
それは意外だった。彼は話を続ける。
「もし艦娘が量産化されたら世界は、どうなると思う?」
「あ、そうか」
手を叩いた私を見て司令は腕を組んだ。
「深海棲艦だけじゃない。人間同士でも軍事バランスが崩れる」
ちょっと深刻な空気が漂った。彼は話題を変えた。
「まぁブルネイ側も我々に海上護衛を頼り続けられない……ってとこだろうな」
「ふむ」
司令は改めて美保の艦娘たちを見渡す。
「明日は王室関係者も来る。くれぐれも失礼のないように」
即、反応する戦艦姉妹。
「もちろんデース!」
「お姉さまは英国生まれですからバッチリですね!」
……妙な自信に満ちた金剛と比叡。本当に大丈夫か? この二人。
技術参謀も付け加える。
「そこでだ。全員、今以上に情報漏えいに気を付けろ。特にシナが艦娘の情報を狙っているらしい」
「シナ?」
「そうだ」
私と司令は顔を見合わせた。それは共産党政権が出来た頃から大陸で侵略を続ける覇権国家だった。
「あんな国が艦娘に興味を持っているとはな」
「厄介だな」
ここで「オホン」と咳払いをした彼女。
「えー、午後には演習が一般公開される。シナ以外の各国スパイも入り込むだろう」
そして振り返った。
「特にお前たち(艦娘)は不必要に見知らぬ者と接触せぬことだ」
ブルネイの技師も補足する。
「えっとぉ新聞社の取材もあるので機密保持ってことで昼からは駆逐艦中心で演習するかも……です」
それを聞いた私は珍しく反応した。
「へぇ。すると戦艦や空母を引っ込めて駆逐艦だけでやる可能性もありか。こりゃ青葉さんを一般席に出して逆取材させても面白そうだな」
つい乗ってしまった。それを聞いたブルネイ司令。
「そうだな、それも良いかも」
「え?」
……なに、その反応。
(半分、冗談なんだが)
「What? battleワ、午前中で終わり? ザンネンね」
「む、無念……」
金剛姉妹が意気消沈している。おいおい一体、何がザンネンだ?
「そうか……」
呟く日向。
私は思わず彼女を見詰めてしまった。
(なんで航空戦艦までが?)
そこで私は慌てて訂正した。
「いや、まだ分からないだろ? 午後は様子を見るって話だ」
「そう……午前中が勝負なのね」
急にブルネイの山城さんが冷ややかにカットイン。その目つきは、やたら鋭かった。
その視線が日向を狙っていた。
(ヤバい!)
でも日向は気付かないのか無視していた。
「火花ですぅ」
ボソボソ唱えつつ青葉さんが絶妙なシャッターチャンスを収める。
(冷たい戦争を煽るな!)
……ところが技術参謀までがニヤニヤし、ブルネイ司令は苦笑していた。
私はハッとした。
(もしかして美保とブルネイがぶつかるように計ったか?)
今度はブルネイの天龍が腕をまくって言った。
「俺は午後もやるぜ! ……そっちにオリジナル龍田も居るんだろ? 腕が鳴るなぁ、おい!」
彼女が言った先の最上はマイペースに反応する。
「ボクは索敵を中心にやりたいけど演習じゃ使えないし。仕方がないなぁ」
妙に素直で可愛らしい。
……で、日向は山城さんを無視して最上に関心があるようだ。さっきからチラチラと彼女を見ていた。
ここで金剛が尖がった声を出した。
「フフン! 私も負けないネー。朝はサッサと戦って、午後からはブルネイでティータイムね!」
「比叡もお供します!」
「……おい、誰が休めって言ったよ!」
チッという舌打ちが聞こえたような……。
「遊びじゃないから演習が終わっても、ちゃんと見学しろよ」
脹れる姉妹。
だが、そんな金剛姉妹の挙動を見ていた扶桑さんが不敵に言った。
「ふふ、私たちが居ればブルネイの勝利は見えたわね」
「そうよ、お姉さま。航空戦艦なんかに負けるものですか」
おい山城さん。それは明らかに美保の日向のことだろう? 名指しするなって。
いったい、どうしたんだ……と思う間もなく金剛が反応する。
「What! ナニ言うね!」
「あらぁ、お気に触って?」
扶桑さんが目を細めて腕を組む。量産型艦娘とはいえ戦艦クラスは存在感がある……お互いにケンカを売るのは止めるんだ!
「能天気な戦艦に私たちは負けないってことよ」
「シャラップ!」
(やめてくれー)
金剛も山城さんも挑発に乗せられるなって! 次第に険悪になる雰囲気だが技術参謀も誰も止めようとしない。
(あ……)
危うく前に出かけた金剛を冷静な日向が止めてくれた。
(やれやれ)
私はホッとした。
「技術参謀は戦闘データが欲しいですよね」
夕張さんが私の背後で囁く。
「そうか」
(すると対抗意識を煽って激戦に持ち込む意図があるのか?)
だがブルネイ司令は、ちょっとボーっとして……疲れたのか? また別の世界に意識が飛んでるらしい。
(ホントに大丈夫か? 明日は)
不安だな。
「あれ?」
ふと声が出た。いつの間にか日向が扶桑姉妹に立ち向かっていた!
「私は少なくとも貴方たちよりは足が速い」
「そ、それが何よっ! 私たちの火力は絶大らろよ」
……扶桑さん既にロレツが回っていない。
「艦隊同士の殴り合いならともかく今は航空機でも戦艦を沈めるくらい容易(たやす)い時代だ。主砲の火力に頼っても意味はない」
「キーっ、悔しい! 航空機くらい私だって……」
今度は山城さんが扶桑さんを止めていた。
日向は冷静に切り返す。
「偵察機? 貴方が飛ばす機体に能力があれば良いけど」
「……!」
ダメだ! 扶桑さんの顔が真っ赤になっている。
「もう止めよう」
私は振り絞るように指示した。その一言で場は若干、収まった。
だが更に日向がボソッと追い討ち。
「時代は変わる。脚が遅いなら最前線は私たちに任せて後方支援に回るべきだ」
(日向! お前までどうしたんだ?)
このままでは明日、血の雨が降りそうだ。
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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明日の演習を前に妙な緊張感が走る。そんな艦娘たちは世界から注目されつつあった。