No.100513

獣使い 8章 分身 Part1

lapisさん

ものすんごいお久しぶりですwww
大学受験やなんかでいろいろ忙しかったので
なかなか書けませんでした

また暇あったら書くようにしますのでまた呼んでくだされば幸いですw

2009-10-12 12:08:07 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:604   閲覧ユーザー数:603

 

僕たちはホームに戻ったあと、それぞれの部屋にもどった。

 

あのあとすぐにレべッカにデネラのことを伝えたわけだが、

レべッカはただ何も言わず夜の空を見上げた。

その時の彼女の顔は、どこかさみしげで悲しみに満ちていた。

おそらく、過去のことを思い出していたのだろう・・・・。

うっすらとだが彼女の眼には涙が溢れていたのだから。

 

 

その日、僕は部屋のベットに転がり天井をずっと見ていた。

怜夜はすでに眠りに落ちている・・・。

ただ暗いだけの天井・・・音一つとないためか耳が少しうずく。

そんな中で僕はずっと考えてた・・・。

 

思えば昔の僕はなぜレべッカ以外の人と関わりを持とうとしなかったのはなぜだろうか。

 

 

 

・・・・あぁ・・・・・そうだ・・・・・。

 

 

 

 

僕は空気になりたかったんだった。

誰も悲しむことなく、また自らも悲しまないように

自分の存在自体をこの世から消してしまいたかったんだ。

僕は死ぬことができない。

 

なぜなら・・・・僕はそういう存在だから・・・・・。

 

 

不死として僕は作られた存在。

ただ決して死ぬことのない存在を作ろうとして僕は開発された。

それは今よりもはるか昔、この世界には確かに今よりもすぐれた技術力を持った国が存在した。

ただ人々は研究に没頭し、自分以外のものを蹴落とし蔑ろにし続けた狂気の時代が

僕はその産物の一つだ。

一人の狂った研究者その人は何度無理な研究で死のうと

同じ能力を持ったまま生まれる存在を欲し、それを作ろうとし完成させた。

それが僕だ。強大な魔力と反射速度、思考速度を極限まで上げた。

それはもともと普通の人間だった僕の体には大きな負担をかけた。それもそのはずだ

肉体(ハード)の限界を無視して

無制限に自己保存制限を外し驚異的な回復力を頼りに研究の材料にさせる。

体はすぐにボロボロになった。だが決して死ぬことができない。

いや許されなかった。

死ぬことも逃げることもできず

ただただ日々死に届くほどの激痛それを永遠と・・・。

 

 

しかし、その文明は消えることとなる

グランド・シフトという計画

テロリズムの集団が衛星にある兵器ハルマゲドンにハックを仕掛け

結果、兵器が誤作動をおこし世界の人という人が消えた。

 

 

偶然にも生き残った夫婦がいた。

それが現在でもよく知られているアダムとイヴ。

夫婦も研究者ではあったがさまざまな兵器に対抗できるシェルターを開発していた。

そしてそれを完成させ自ら中に入り実験を行っていたのだ。

中にはほかにも動物たちがいた。

実験を終え夫婦は外に出ると騒然としたという。

あたりはみる限りの森となっていた。どういう因果かその夫婦が出るころには森ができていたという。

 

 

しばらくするとその夫婦に子供ができる。

その子供は僕自身。

そして僕は自由を手に入れた。だが僕の心にはまた新たな悲しみ、痛みを孕むこととなる。

時代がたつごとに人々はまた文明を作っていく。その中で

友人や親の死、戦争、愛憎、愛するということ、別離、絶望、憎悪・・・・。

それは人間としてなら当たり前に経験するだろう。

だが不死ならどうだろうか。人の何千何万とそれを繰り返す。

僕はその連鎖に取り込まれた。

 

だから僕は人と関わるのをやめた。空気になろうとした。

どうやっても逃れられないのなら、存在自体が消えればいい。

誰にもかかわることなく生きていけばいい。

だが結局のところもともとは人なのだ。

孤独に耐えることは出ない。

だから僕は獣を生みだした。

町のほうでは魔術が発達していて

その使い魔の理論をもとに生みだした。

最初に生み出された獣

それは僕自身の・・・・。

 

 

「やっと私のことを思い出したか?ずいぶん時間がかかったじゃないか。えぇ?京?」

 

僕自身の半身

そうそれがイデスだ。

いつの間にか僕自身の精神世界に入っていた。

そこで彼女と向かい合う形で立っている。

 

 

「お前こそなんでまた分身(イデス)何て名前を名乗った?クラウン」

 

 

「そのほうがお前が早く気付くと思ったのでな。悪く思うな」

 

 

そう彼女はクラウンという名前だった。

彼女は半身であるにも関わらず女として生まれてきた。

そして同時に彼女の名前を思い出すということは同時にもう一つ大きな意味を持つ。

それは・・・・

 

 

「私の名前を思い出したのだ。これから行うことが…わかるな?」

 

 

ここで彼女と戦い屈服したほうがこの体を使うことができる。

そして負けたほうは次の時まで使い魔として使役される。

意志はあるが基本的に主たる体を占拠したほうのいうことを聞くというのがもともとだ。

肉体のスペックや思考回路(ソフトウェア)魔力はほぼ同じ。

決定的なのはその熟練度。

そして精神の強さだ。

「やはりお前とやりあうのはいいものだな。京」

 

 

クラウンの表情は笑っていたがどこか憎たらしげだ。

いや、あきれているようにも見える。

クックッと彼女は笑いそして目の色を変える。

確かな殺意と・・・・・

どこか不安に満ちたものをともして

 

 

「さぁ、いくぞ!京!!」

 

 

全身をばねにして彼女は僕の懐まで一息で飛び込む。

足に魔力を集めて瞬間的に移動する走法。

昔どこぞの馬鹿が考えた古めかしい走法。

【瞬歩】とでもいったか。

 

彼女はそのまま一気に切りかかる。

懐ではガードも難しい。避けるしかない。

同じ方法でバックする。だがそれでも彼女は突っ込む。

インファイト・・・・確かに彼女は昔のままだ。

ただただ突っ込み、アクセルのみを武器に相手を追い込む。

ハイリスクだがやるだけのリターンもある。

このまま逃げてもおそらくジリ貧だろう。

なら・・・・

 

 

「!!」

 

 

退かない。僕もアクセルを頼りに彼女を攻める。

魔力の剣は触れ合えばはじかれる磁石のようなもので、

それを利用してさらに速度を上げていく。

はたから見ればダンスにも似ている。

そう今ぼくは踊っているのだ。彼女と。

 

 

「ふふ・・・やはりお前はお前だなぁ!」

 

 

彼女は心底嬉しそうだった

はっきり言ってしまえば

これは彼女を外にだせるかどうかのものなのだ。

古い契約により彼女はここで本気を出さずに負けると死ぬほどの苦痛を与えられる。

それ以来僕は彼女に勝った覚えがない。

ここで彼女に勝てなければ彼女をここから出してあげることができない。

彼女は僕が負けても僕の体を乗っ取らない。

 

「私は私として外に出たいのだ。だから京早くわたしを外に出してくれ・・・」

 

それはいつだったかに言われた言葉だ。契約以来彼女は外に出たことがない。

それはどれほど息苦しかったのだろう。だから僕は・・・

 

 

「・・・けねぇ」

 

「ん?どうした?京」

 

「絶対負けねぇからな!!クラウン!!」

 

 

彼女はきょとんとした後、大きく高笑いをした。

 

 

「ふふ。いいだろうそれでこそだ。京」

 

 

魔力の質が変わる。

彼女の周りの空気の流れがすべて凍りついた。

全力で・・・・来るのか・・・・。

「さぁ・・・・全力で行くぞ?」

 

 

彼女は詠唱する。

 

「EXEC.Dia Colga.」

 

「っんな?!」

 

氷結系最強ともいえる威力を持つ魔法の詠唱。

威力もあれば範囲も広いこれをつぶすには・・・

 

「EXEC.Quesa bou//.」

 

だされる前につぶす詠唱を行いながら距離を縮める。

互いの謳が重なる。

 

 

時を止め命を止め自らも止め    l一線を貫く光の柱よ

すべてを氷結させる氷の王よ    l今ひとたびその力をもってして

汝は何を求めどこへ向かう     lすべてを巻き込み我が前に立ちふさがり

汝は体も民もすべてを凍らす    l我が前進を止めるのならば

忌むべき存在 故にわれは問う   l我はそれをなぎ倒しただただ進むのみ  

汝 何を求める          lそれのみが我に与えられし

汝 どこへ向かう         lただ一つの力

汝 何を求める          l

汝 なぜ求める?         l

彼は答える ただ我がうちにと   l

 

 

 

詠唱が短い分威力がクラウンの魔法よりも劣る。

だが威力が最大になるまでには時間がかかる。

最大になる前につぶせばいい。

瞬歩で一気に間合いを詰める。

 

 

「そんなんでは私は止められるかー!!」

 

 

そう、最初からあの魔法を止めるつもりなどない

だからこの魔法はその魔法を

 

 

「んなこたぁ分かってるっつうの」

 

 

簡単なことだ。軌道をずらせばいい。

 

 

「んな!?」

 

だからこそのこの呪文

言ってしまえばあれは氷の核爆弾なのだ。

触れた瞬間に絶対零度の空気があたりを凍らす。

ならその冷気を吹き飛ばさばいい。その勢いよりも強い爆風で。

そして僕は彼女を思いっきりぶっ飛ばした。

隙だらけの彼女は簡単に地面にたたきつけられる

そして そのまま降りて魔力の刃を彼女につきつける

 

 

「俺の勝ちだ。 クラウン」

 

 

こうして、彼女は僕に使役される使い魔として外に出ることができるようになったのだ。

 

 
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