No.100341

真・恋姫無双 魏End -Re:TAKE 11-

Re:TAKE 11話です。

今回は黄巾党初戦、三羽烏の登場ですっ!
コメやメッセなど頂けるとうれしいですよー(´▽`)ノ

2009-10-11 16:43:51 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:12254   閲覧ユーザー数:9156

 

 

 

「私は守れなかった」

 

「大切な人も」

 

「大切な人の大切な方も」

 

 

 

 

 

 

??「・・・ちゃん、なぎちゃ・・・、凪ちゃんってばっ!! 起きてなの~」

 

??「どうしたんや、沙和? 凪のヤツまだ起きんのかい」

 

??「そんなん、こうしてどついたれば・・・」

 

沙和「真桜ちゃん、それは痛いと思うの~」

 

真桜「よっしゃ行くで~」

 

せーの、という掛け声とともに何かが空を切る音がする。

 

凪 「(まったく、この二人は・・・)」

 

<ビシィッ!!>

 

真桜の目覚ましの一撃を愛用の小手で受け止める。

 

真桜&沙和「!?」

 

凪 「起きているぞ」

 

片目を開くと2人が驚いてこちらを見ていた。

 

沙和「熟睡してると思ってたの~」

 

真桜「なんや起きてたんかい」

 

凪が少し伸びをして気付く。

 

凪 「っ!? そういえば戦闘はっ!? 華琳さまはっ!?」

 

沙和「戦闘? なんのことなの~」

 

真桜「それにかりんさま?っていったい誰やねん」

 

凪 「2人とも何を言っているっ! 我々は五胡の大軍と・・・」

 

そこまで叫び、ふとまわりを見渡す。

 

凪 「(こ、これは・・・・・・?)」

 

まわりはあまりにも静かで、戦闘があったように見えない。

 

沙和「ごこのたいぐんってなんのことなの~?」

 

真桜「凪~、寝ぼけるのも大概にせえよ」

 

凪 「・・・・・・、すまん。 今の状況を教えてくれるか」

 

沙和「? 今は次の街に向けて小休止中なの」

沙和「そこで凪ちゃんが急に眠っちゃって」

沙和「そろそろ休憩も終わりだから起こしたところなの」

 

凪 「・・・・・・、すまんが何の任務だっただろうか?」

 

真桜「任務~? そんなんないで?」

 

凪 「? では何故行軍しているのだ?」

 

沙和「凪ちゃんどうしちゃったの~?」

 

真桜「今は義勇軍を立ち上げて村をまわってるとこやんか」

 

凪 「義勇軍・・・・・・」

凪 「(そうだ・・・・・・、陳留に行商に行ったあと私達は義勇軍を立ち上げた)」

凪 「(違う・・・・・・、先ほどまで私は五胡と戦っていたハズだ)」

凪 「(記憶が混同している・・・・・・?)」

凪 「(どういうことだ? あの五胡との戦いのあと何があったのだ?)」

凪 「(・・・たしか一刀様は"たいむすりっぷ"というもので過去の世界にきたと言っていた)」

 

凪 「聞いてもいいか」

 

真桜「なんや?」

 

凪 「曹孟徳様を知っているか?」

 

沙和「そうもうとく?」

 

真桜「ああ~、たしか陳留で善政してる刺史・・・州牧様やな」

 

凪 「・・・、じゃあ・・・、北郷一刀様は?」

 

沙和「ほんごうかずと?」

 

真桜「変な名前やな~。 う~ん・・・そんな名前聞いたことないな」

 

凪 「っ!?」

 

二人の言葉に凪が驚く。

二人とも一刀に愛されたのだ。いくら月日が経とうとも忘れることはない。

しかし二人は知らないという。

嘘を吐いている様子も無く、本当に知らないのだと凪は悟っていた。

 

凪 「まさか本当に・・・」

 

沙和&真桜「?」

 

凪 「(過去の世界に来てしまったのか)」

凪 「(だから過去の自分の記憶と、今までの記憶が混同しているのか・・・・・・)」

 

凪 「次の村までどのくらいだ?」

 

真桜「ん~・・・、あと半日ってとこやな」

 

 

凪 「(ここが過去なら、このまま義勇軍で戦い続ければ秋蘭様とともに盗賊と戦い)

凪 「(華琳様に出会えるハズ・・・、そして一刀様にも・・・)」

 

 

凪 「よし。 すまなかった、行こう」

 

沙和「おーなの」

 

真桜「よっしゃ」

 

 

凪 「(よく見てみれば2人も若いな・・・)」

凪 「(私の体もあの頃に戻っているのか・・・、あとで確かめないとな)」

 

 

騒ぎながら歩く二人の後ろを歩きながら、自分の拳を見つめ思う。

 

凪 「(今度こそ守ってみせる、華琳様も、一刀様も)」

 

 

 

 

 

 

目指していた村が小さく見えてくるとともに立ち上る煙が見えてきた。

 

真桜「ふぃ~、やっと見えてきたな~」

 

沙和「あれ~、煙がいっぱい上ってるの~」

 

沙和が指摘した煙を見ると、凪はその煙が生活の煙ではないことに気付く。

 

凪 「!! あれは戦闘の煙だっ!! 襲われているぞっ!!」

 

凪が叫び走り出す。

 

真桜「なっ! ホンマかっ!? って凪っ!!」

 

沙和「凪ちゃーん、一人で行ったら危ないのー!」

 

真桜「しゃーないっ! みんな行くでっ!!」

 

義勇軍「おおっ!!」

 

真桜の号令で義勇軍は村に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

凪達が襲われている村を発見する二日程前、

各地で暴れている賊"黄巾党"の対策について協議していると、

またもや黄巾党が現れたという報告が入っていた。

 

華琳「春蘭、兵の準備はどうかしら?」

 

春蘭「申し訳ありません。 連戦でしたので兵には既に休息とらせてしまいました」

 

華琳「間が悪かったわね……」

華琳「秋蘭、今すぐ動かせる兵はどのくらいいるかしら?」

 

秋蘭「そうですね・・・・・・」

 

華琳「(以前の黄巾党の勢力よりもかなり大きいわね・・・・・・)」

華琳「嫌な予感がするわ、できるだけ多いほうがいい」

 

秋蘭「でしたら予備の兵も出すとして三千ほどかと」

 

華琳「三千ね・・・・・・」

 

一刀「予備の兵とか出しちゃっていいのか? ここが手薄にならないか?」

 

桂花「現状、この城の近辺に大規模な賊などはいないわ」

桂花「それに休息中とはいえ春蘭の兵もいるし」

 

一刀「そっかなら大丈夫か・・・・・・」

 

華琳「では、春蘭、秋蘭、三千の兵を率いて賊の討伐に向かいなさい!」

華琳「(春蘭と秋蘭の二人なら大抵のことには対処できるでしょう)」

 

春蘭&秋蘭「御意っ!」

 

華琳「桂花は何かあってもいいように兵の準備をしておいてちょうだい」

 

桂花「御意」

 

華琳「季衣、あなたには後発部隊で唯一の武官になるわ」

華琳「しっかり休んでおきなさい」

 

季衣「はぁーい」

 

一刀「華琳、俺は?」

 

華琳「あなたもよ」

華琳「春蘭や秋蘭に付き添わせて出撃させていたのはこういうときのためよ」

華琳「今まで学んだことをここで見せなさい」

 

一刀「了解、やってみる」

 

華琳は一刀の言葉に頷き、全員に号令をかける。

 

華琳「そして、本隊の指揮はこの私がとるっ!!」

華琳「各員迅速に動きなさいっ!」

 

全員「御意っ!」

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・・(緊張するなぁ)」

 

一刀は部隊を率いることになるかもしれないと緊張していると、

それを見透かしたように華琳が声を掛けてくる。

 

華琳「どうしたの? 一刀」

 

一刀「ああは言ったけど、やっぱり緊張してさ」

 

華琳「今から気を張っていてもしょうがないわ。」

華琳「明日以降強行軍になるかしれないからゆっくり休んでおきなさい」

 

一刀「ああ。 でも寝れるかな」

 

 

華琳「(ちょっとからかってあげようかしら)」

 

 

華琳「なら私の閨にくる?」

 

一刀「ええっ!? いやだってそんなっ!」

 

華琳「ふふふっ。 冗談よ」

 

一刀の横にいた季衣が二人の会話を聞いて声を上げる。

 

季衣「じゃあ僕が兄ちゃんと一緒に寝てあげようか?」

 

華琳「!!」

 

一刀「ははは、ありがとう季衣。 でも <駄目よ> 大丈夫って」

 

季衣の頭を撫でながら断ろうとすると華琳が声を上げた。

 

華琳「季衣、あなたは春蘭がいない今唯一の武官なのだから自分の部屋で休みなさい」

 

季衣「はぁーい。 残念だなぁ・・・・・・また今度ね、兄ちゃん」

 

一刀「ああ」

 

華琳「・・・・・・」

 

一刀「・・・・・・(なぜ怒ってるんだろう・・・・・・)」

 

華琳「一刀も早く"自分の"部屋に戻って休みなさい(・・・・・・朴念仁)」

 

一刀「お、おう(マジで俺なんかしたかな・・・・・・?)」

 

 

 

 

 

 

春蘭達が出撃した翌日、秋蘭からの伝令が華琳の下に到着することになる。

 

伝令「賊の総数五千程ですが、近隣からも集まっているようで現在も増加中。 至急援軍を請うとのことです」

 

華琳「!! わかったわ下がりなさい」

 

伝令「はっ! 失礼します」

 

一刀「華琳っ!」

 

華琳「ええ・・・・・・、まさか賊同士で共闘するとはね」

 

桂花「秋蘭の情報では、総数一万程度まで増えるのではないかということですが」

 

華琳「こちらから出せる兵数は七千」

 

一刀「先発隊と合わせて敵兵と同数の一万か・・・・・・」

 

桂花「でもこちらは正規軍だから、同数であれば問題ないでしょう」

 

華琳「そうね。 では春蘭達の救援に向かうっ! 三人とも大至急準備なさい!」

 

一刀&季衣&桂花「御意っ!」

 

 

 

 

 

 

春蘭「くぅ、秋蘭っ! 討ってでるぞっ!!」

 

秋蘭「待て、姉者っ! 今出ても的になるだけだ」

秋蘭「華琳様に援軍の使者は出しているのだ」

 

春蘭「しかし、この街の門だけでは守りきれんぞ」

 

秋蘭「しかし賊共の総数は約一万にまで増えている」

秋蘭「当初の五千なら我らの三千の兵でもなんとかなったが」

秋蘭「さすがに数が違いすぎる」

 

春蘭「くっ!!」

 

会戦した当初、賊の総数は五千人程だったが時が経つと周辺にいた賊が集まってきたのか

その数は一万人にまで増えていたのだった。

 

秋蘭「華琳様が迅速に援軍を派遣してくれると信じよう」

 

春蘭「むぅ・・・」

 

兵 「申し上げますっ!」

 

春蘭「どうしたっ!」

 

兵 「義勇軍を名乗るものが夏侯惇様、夏侯淵様に面・・・<失礼っ!> なっ!」

 

兵が春蘭と秋蘭に報告していると背後からした声に遮られる。

 

凪 「無礼をご容赦ください。 ですが今は一刻を争うゆえ」

 

秋蘭「おまえは?」

 

凪 「大梁義勇軍の楽進と申します。 我らも共に戦わせてください」

 

真桜「はぁっ、はぁっ・・・、凪~っとと、ウチは李典いいます」

 

沙和「凪ちゃん速いの~・・・。 あっ! 于禁っていうの! よろしくなの~」

 

春蘭「あーーーっ! おまえは!」

 

真桜「なんやこの間ウチのカラクリ壊した姐さんやないか」

 

秋蘭「むぅ、たしかおまえも陳留で籠を売っていたな」

 

沙和「きゃーっ! 覚えててもらえたの! お姉さん綺麗だったから沙和も覚えてるのー!」

 

春蘭「しかし、大丈夫なのか?」

 

春蘭は楽進はともかく、李典と于禁が戦えるのか心配していた。

 

凪 「義勇軍といえど実戦の経験は数えるほどしかありません」

 

凪は申し訳なさそうに言うが、二人の力を信頼してもいた。

なにせ"ここ"から三人で幾度もの戦場を駆け抜けてきたのだから。

 

凪 「しかし戦えずともできることはありますっ!」

 

凪 「真桜、各門に頑丈な柵を作ることはできるか?」

 

真桜「お!? おおそんなんお安い御用や! その辺の資材集めて作ったるわっ!!」

 

凪 「沙和は負傷した兵の手当てと町の住人の安否確認、できるか?」

 

沙和「りょ、りょうかいなの~」

 

秋蘭「お主は?」

 

凪 「私は、真桜が柵を作る時間を稼ぎます」

 

秋蘭「!? 出るつもりか」

 

凪 「はっ。 しかし死ぬつもりはありません。 自分にはまだやるべきことがありますから」

 

春蘭「義勇軍の者だけに良い格好をされるワケにはいかぬ」

春蘭「私も百騎ほど連れてでる」

 

秋蘭「姉者!?」

 

春蘭「私も楽進も賊などに遅れはとらぬ」

 

秋蘭「はぁ・・・、わかった。 三人とも力を貸してくれ」

 

凪&真桜&沙和「御意っ!」

 

返事をし、真桜と沙和が役目を果たすために散る。

一人残った凪は、春蘭と秋蘭に見つめられ戸惑っていた。

 

凪 「な、なにか?」

 

秋蘭「いや、実戦の経験が少ないと言うわりには落ち着いているなと思ってな」

 

春蘭「しかもかなりの腕前とみた」

 

凪 「あ、ありがとうございます/////」

凪 「か、夏侯惇様。 そろそろ」

 

春蘭「おお、ではあとは頼むぞ秋蘭」

 

秋蘭「ああ、そちらも気を付けてな」

 

春蘭「よしっ! 夏候惇隊出るぞっ!!」

 

兵 「おおっ!!」

 

春蘭と凪は駆け出し、敵の目を引き付けるため門から飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

走りながら、凪は考えていた。

 

凪 「(やはり春蘭様も秋蘭様も私のことを知らない)」

凪 「(それに以前は春蘭様は援軍としてきたハズ)」

凪 「(歴史が以前とは変わっているのだろうか・・・)」

 

凪 「(明かすべきだろうか、これからのことを)」

 

凪 「(今考えてもしかたないか)」

凪 「(華琳様に会ったときに決めればいい)」

 

凪 「(あの方なら、そんな知識必要ないと仰るだろうが)」

凪 「(今はこの町を守る!)」

 

 

 

 

 

 

春蘭「我は曹孟徳が家臣、夏候元譲なり! 死を恐れぬ者から掛かってこいっ!!」

 

賊 「おおおおっ!!」

 

飛び出してきた春蘭に多数の盗賊達が遅い掛かるが、

 

春蘭「ふんっ!」

 

<ブンッ!! ドシャッア!!>

 

春蘭はそれをを大剣の一振りで薙ぎ払った。

 

春蘭「どうしたっ! この程度で私を斬れると思うなっ!!」

 

賊 「ちぃ! 弓だっ! 離れたところから一斉に放てっ!」

 

賊が声を張り上げ指示を飛ばし、弓を持った者が春蘭を狙う。

 

凪「猛虎蹴撃っ!」

 

<ゴオッ! ゴシャアッ!!>

 

賊 「ギャアーーーッ」

 

春蘭を狙っていた弓兵を凪の放った氣弾が吹き飛ばす

 

春蘭「ほぉ、楽進は氣が使えるのか」

 

凪 「はい。 まだまだ修行中の身ですが」

 

春蘭「では背後は任せる」

 

凪 「御意っ!」

 

春蘭が突撃し、敵の前線を蹴散らし、

その春蘭を狙う弓兵を凪の氣弾がまとめて吹き飛ばす。

凪に接近戦を挑む者は凪自らの体術で倒されていた。

 

春蘭「(本当に"やる"な・・・、私や華琳様と互角かもしれん)」

 

視界の隅に写る凪の戦いを見て春蘭が凪を自分と互角と評価するが、

 

凪 「(体が重いっ! 力が軽いっ! こんな体で私は戦っていたのかっ)」

 

その凪は以前の世界の自分と比べて遥かに劣る自分の体を嘆いていた。

 

凪 「(業に体がついてこないっ!)」

 

凪のイメージする体裁きに体がついて来ず、体術が制限されていた。

 

凪 「(早いうちに感覚を取り戻し、さらに鍛える必要があるな)」

 

今一度あの呂布をも凌駕した体に鍛え直すことを決意しながら、

凪はまた賊を吹き飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

真桜「夏候淵様~っ! 夏候惇様と凪が守ってる門以外の封鎖完了しましたでっ!!」

 

秋蘭「っ!? では、あの門用の柵は?」

 

真桜「それも完成済やっ! あとは二人を呼び戻して設置するだけですわ!」

 

秋蘭「こ、この短時間にそこまでしたのか・・・」

 

さすがの秋蘭も真桜の仕事の早さに驚いた。

 

真桜「ふっふっふっ。 ウチの工作技術舐めたらあきませんよ~」

真桜「でも突貫で作ったんでどこまで持つかは・・・」

 

秋蘭「時間稼ぎにはなるさ」

秋蘭「よし、姉者達に知らせよう。 誰か銅鑼を鳴らせっ!!」

 

兵 「はっ!!」

 

<ガンッ! ガンッ! ガンッ!>

 

 

 

凪 「! 夏候惇様っ!!」

 

春蘭「聞こえたっ! 夏候惇隊、戻るぞっ!!」

 

凪 「では、置き土産を」

 

春蘭「?」

 

凪 「はぁぁぁぁっ! 虎王強襲連撃っ!!」

 

<ゴォォォッ!! ドドドドドドッ!ゴシャアッ!!>

 

賊の前線に凪が連続で気弾を放ち、大地が抉れ、大量の砂塵が舞う。

 

春蘭「おお・・・」

 

凪 「はぁ、はぁ、はぁ。 これで少し時間が稼げるハズです・・・」

 

春蘭「大丈夫か?」

 

凪 「少し氣を使い過ぎましたが大丈夫です」

 

春蘭「よし、急ぐぞっ!」

 

凪 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

春蘭と凪が戻ってくると真桜が門に防護柵を設置し、

盗賊達も簡単には町に近づけなくなっていた。

 

秋蘭「お疲れ、姉者」

 

春蘭「ふん、まだ暴れたりんわ」

 

秋蘭「楽進もご苦労だったな」

 

凪 「はっ! ありがとうございます」

 

春蘭「しかしこの短時間にこんな柵をつくるとは・・・」

 

秋蘭「うむ。 恐るべき技術だ」

秋蘭「そちらはどうだった?」

 

春蘭「ああ、どこぞの御遣いよりはよっぽど役に立つぞ」

 

凪 「っ!! 夏候惇様、曹孟徳様のところには天の御遣い様がいらっしゃるのですかっ!!」

 

春蘭「ん? 北郷を知っているのか?」

 

秋蘭「天の御遣いの噂はいろいろなところで流したからな」

 

凪 「御遣い様のお名前を教えていただけないでしょうか」

 

秋蘭「北郷一刀。 天の国の名前だそうだ」

 

凪 「ああっ・・・、う、うう(一刀様っ!)」

 

凪が急に蹲り嗚咽を漏らし始める。

 

春蘭「ど、どうした?」

 

凪 「うれしいのです」

凪 「ずっと探していたのです、天の御遣い様を・・・」

 

秋蘭「・・・」

 

凪 「無礼とは思いますが、御遣い様にお目通りすることはできますか?」

 

春蘭「ふん、あやつに無礼なことがあるものか。 ヤツの存在自体が無礼だからな」

 

秋蘭「お前達三人に我らは力を貸してもらったのだ」

秋蘭「この場を乗り切れたら曹操様に報告する際に一緒に来てもらう。 そのときに会えるだろう」

 

凪 「あ、ありがとうございますっ!(一刀様に会えるっ!)」

 

真桜「なんや知らんけど、凪のええ人か?」

 

沙和「ええ~っ! 凪ちゃん抜け駆けなの~」

 

柵を設置し終えた真桜と負傷兵の手当てに行っていた沙和が戻ってくるなり騒ぎだした。

 

凪 「なっ///// お前達っ!!」

 

秋蘭「楽進、お主北郷一刀を知っているのか?」

 

凪 「はっ。 ・・・昔からの誓いです。 覇王になるべき方と天からの遣いの方を守るために戦うと」

 

真桜「凪のそんなん初めて聞いたなぁ」

 

沙和「うんうん」

 

春蘭「覇王となるべき御方とは、まさしく華琳様のことだな」

 

秋蘭「何故そのような誓いを?」

 

凪 「申し訳ありません。 今語っても信じていただける自信がありません」

 

秋蘭「北郷のことがあるからな。 多少のことでは驚かんが」

秋蘭「まぁいいだろう。 今はその力当てにさせてもらうぞ」

 

凪 「はっ!」

 

秋蘭「華琳様に伝令は出している。 あと数日の辛抱だろう」

 

春蘭「みな、よろしく頼む」

 

凪&真桜&沙和「御意っ!(やっ! なのっ!)」

 

 

 

 

 

 

秋蘭の予想では本隊の到着まであと数日掛かる予定だったが、

その予想に反して、華琳率いる本隊は凪達が合流した翌日に到着し、

町を包囲していた賊を殲滅したのだった。

 

 

秋蘭「お手を煩わせてしまい申し訳ありません、華琳様」

 

華琳「あなた達が無事ならそれでいいわよ」

 

桂花「それにしてもよく持ち応えたわね」

 

秋蘭「ああ、途中から義勇軍の者達が手を貸してくれたのでな」

 

桂花「義勇軍?」

 

華琳「(・・・・・・凪達かしら?)」

 

秋蘭「ああ。 華琳様、その義勇軍の主だった者を連れてきておりますが」」

 

華琳「会いましょう。 2人を救ってくれた礼もしなければね」

 

秋蘭「はっ 三人とも入って来い」

 

凪 「失礼します」

 

真桜「ども~」

 

沙和「失礼しますなの~」

 

入ってきた三人を見て以前と変わらない様子に少し安堵する。

 

華琳「(やはり、凪、真桜、沙和・・・・・・)」

 

凪 「(ああ・・・・・・、華琳様)」

 

秋蘭「こちらが我等が主、曹孟徳様だ」

 

華琳「春蘭と秋蘭を助けてくれたそうね、礼を言うわ」

 

凪 「こちらこそ我らだけでは何もできませんでした」

 

秋蘭「華琳様、順に楽進、李典、于禁です」

 

華琳「あなた達、私に将として仕えてみる気はない?」

 

凪&真桜&沙和「!!」

 

華琳「あら? 嫌かしら」

 

真桜「いや、随分簡単に誘うもんやなと思って」」

 

沙和「うんうん」

 

華琳「秋蘭が助けられたと報告するほどだもの。 それはすでに優秀な者ということよ」

 

「でしょう?」と華琳が秋蘭に問いかける。

 

秋蘭「はっ」

秋蘭「真桜の工作技術はこの目で見ましたが、驚嘆に値するものでした」

秋蘭「沙和も兵から聞いた話ですが人心掌握術に長けているようです」

 

春蘭「凪の武力は私が保証しましょう」

春蘭「私や華琳様に匹敵するものと感じました」

 

華琳「へぇ……。 (凪がそこまで強い?)」

華琳「そういえば真名の交換もすんでいるのね」

華琳「ではやはり、あなた達は獲がたい存在というもの」

華琳「もう一度聞くわ。 私に仕えてもらえないかしら?」

 

凪 「はっ!! 私で良ければ喜んでお仕えさせていただきます」

凪 「私の真名は凪と言います。 曹操様にお預け致します」

 

凪が手を合わせ、最高の礼でもって返事をする。

 

真桜「ウチの真名は真桜言います。 これからよろしくな、大将」

 

沙和「わたしは沙和っていうの~。 よろしくなの~♪」

 

口調は軽いが残る二人も凪に習い、最高の礼を華琳に示す。

 

華琳「ありがとう。 では私のことは華琳と呼びなさい」

 

桂花「私の真名は桂花。 軍師をしているわ、これから扱き使ってあげるから覚悟なさい」

 

華琳が真名を許すと桂花も真名を許した。

 

華琳「残りの者には後で紹介しましょう」

華琳「皆、帰還の準備を」

 

全員「御意」

 

 

 

 

 

 

その場が解散になると凪が秋蘭に近づき言い難そうに問い掛ける。

 

凪 「秋蘭様、あの……」

 

秋蘭「ああ、すまない」

秋蘭「桂花、北郷はどこにいる?」

 

桂花「北郷? あいつなら外で死んでるわ」

 

華琳「桂花……。 馬を飛ばしてきたから、慣れない北郷にはきつかったのでしょう」

華琳「外で伸びてるわ」

 

桂花の言葉を嗜めながら、華琳が言う。

 

春蘭「おお! そうか凪に会わせると約束していたのだったな」

 

華琳「!? どういうことかしら?」

 

春蘭の言葉に驚いた華琳が春蘭を問い詰める。

 

春蘭「? 凪に北郷に会わせて欲しいと頼まれただけですが……」

 

華琳が凪を見つめ、凪も華琳から視線を外さない。

 

華琳「(まさか……)」

 

凪 「(もしかして!!)」

 

華琳「……、問おう」

 

春蘭&秋蘭&桂花「?」

 

華琳「楽文謙よ、今一度私に仕えてもらえるだろうか?」

 

凪 「っ!!」

 

真桜&沙和「?」

 

凪 「はっ!! この楽文謙、曹操様の覇道を邪魔するもの全て打ち砕いてご覧にいれましょう」

 

 

 

華琳「ふふふ。 よろしく頼むわ、凪」

 

凪 「はい、おまかせを」

 

笑う2人の姿はいつかの城壁で月見酒を酌み交わしたときと同じだった。

華琳と凪のその姿を見て他の者は唖然とするばかりだったが。

 

華琳「一刀のところに案内しましょう。 凪、ついていらっしゃい」

 

凪 「はっ!」

 

真桜「ウチらは……」

 

秋蘭「真桜に沙和は帰還の準備を手伝ってもらえないだろうか」

秋蘭「そちらの義勇軍のほうはまだ統制されていないからな」

 

真桜「了解や」

 

沙和「は~いなの~」

 

 

 

 

 

 

華琳「本当に凪なのね?」

 

凪 「はい、華琳様もあのときの華琳様で?」

 

華琳「一刀が消えて、五年がすぎて……」

 

凪 「五胡の襲撃があって迎撃」

 

華琳「五胡の巨躯と戦ってる最中から私はこちらにきたわ。 一刀を見つける直前に」

 

凪 「華琳様が五胡に討ち取られる瞬間に飛び込んだのですが」

凪 「次に目を覚ましたのが、つい先日です。」

 

華琳「そう……。 じゃあやっぱり街で一刀に会ったときはまだ記憶が戻る前だったのね」

 

凪 「?」

 

華琳「以前にも街で籠を売っていたことがあったでしょう?」

華琳「前回は私と一刀が真桜に会ったけど、今回は一刀だけがあなたに会ったらしいのよ」

 

凪 「なんと! くぅっ! もっと早く記憶が戻っていれば・・・・・・!」

 

華琳「私は会えなかったから、一刀から聞いた話だけどね」

 

凪 「そうですか・・・・・・」

 

 

華琳「あなたは声を聞いた?」

 

凪 「声……ですか?」

 

華琳「外史の狭間という場所に行かなかったの?」

 

凪 「? 自分は目が覚めたときにはすでにこの世界にいたのですが」

 

華琳「そう……。 (私だけがあそこに呼ばれた……?)」

 

凪 「でも、よかったです。 華琳様が無事で」

 

華琳「過去にきたのが無事と言えるかどうかだけどね」

華琳「でもまた会えて嬉しいわ」

 

凪 「私もです」

凪 「あの華琳様……、一刀様は?」

 

華琳「……、私達とは違い出会ったときの一刀だったけど」

 

凪 「?」

 

華琳「ところどころ違うのよね……」

 

 

華琳が掻い摘んで今まででわかったことを凪に説明する。

 

 

華琳「凪、一刀にあなたの記憶はないわ。 それだけは覚悟してちょうだい」

 

凪 「……、はっ。 私は一刀様に会えるだけで十分です」

凪 「我らに記憶があることは?」

 

華琳「一刀以外誰も知らないわ」

華琳「そして一刀は自分と同じだと思っているハズ」

 

凪 「なら自分は何も知らないというほうがよいでしょうか?」

 

華琳「そうね……、問い詰められたら夢で見た程度に誤魔化せばいいでしょうし」

 

凪 「わかりました」

 

 

 

 

 

 

今までのこと、そしてこれからのことを話ながら歩いていくと、

日に当たりキラキラと輝く白い服が見えてくる。

ただし中身は死にそうな青い顔だが。

 

凪 「一刀様・・・・・・」

 

華琳「・・・・・・、一刀っ! 起きなさいっ!」

 

一刀「うん? あ、まだクラクラする・・・・・・」

 

体を起こすが、気分が悪そうに俯く。

 

華琳「はぁ、まったく。 強行軍だったとはいえだらしないわね」

 

一刀「面目ない・・・・・・」

 

華琳「まぁいいわ。 紹介するわ、楽進よ」

 

華琳が凪を紹介する。

 

一刀「! ああ、君はっ!」

 

凪 「!? は、はいっ!?」

 

一刀「覚えてないかな? 陳留で籠売ってただろう? そのときに会ってるんだけど」

 

凪 「・・・・・・はい、覚えて……います」

 

一刀「(やっぱり仲間になる子だったんだな)」

 

凪 「うっ・・・・・・、ああっ・・・・・・」

 

一刀の笑顔を見て、凪が涙を流す。

 

一刀「あ、あれ、楽進さんっ!? どうしたの?」

 

華琳「(凪・・・・・・)」

 

凪 「いえ、申し訳ありません。 うれしくてつい」

 

そこまで言い涙を拭うと、華琳に見せた最上の礼を一刀にも向ける。

 

一刀「!?」

 

凪 「天の御遣い 北郷一刀様、今このときより私はあなたの盾となり矛となります」

凪 「その証として我が真名をお受けとりいただけるでしょうか?」

 

一刀「え? え? だって華琳の臣下になるんじゃ・・・・・・」

 

凪 「私の望みは華琳様の覇道を支えること」

凪 「そして天の御遣いである北郷一刀様をお守りすることなのです」

 

華琳「受けとってあげなさい」

 

一刀「そういうことなら・・・・・・」

 

凪 「では、私の真名は凪といいます」

 

一刀「よろしく、凪。 俺には真名がないから北郷でも一刀でも好きなように呼んでくれ」

 

凪 「では、一刀様と」

 

華琳「あと、李典、于禁という者も仲間になったから、凪に紹介してもらいなさい」

 

一刀「わかった」

 

華琳「あとで正式に伝えるけど、凪達三人にはあなたの下についてもらうことにするわ」

 

一刀「はいぃ?」

 

華琳「警備隊の責任者があなた一人というのは問題でしょう?」

華琳「まぁ、三人には新兵とか工兵の教育とかもお願いすることになると思うけどね」

 

凪 「一刀様、よろしくお願い致します」

 

一刀「俺が凪に教わることのほうが多い気がするけどな・・・・・・」

 

凪 「仕事の際には"隊長"と呼んでもよろしいでしょうか?」

 

一刀「隊長かぁ……、なんか恥ずかしいな/////」

 

凪 「……駄目ですか?」

 

凪が悲しそうに一刀を見上げると一刀は一瞬で陥落する。

 

一刀「いやっ、いいよ! 期待に答えられるよう頑張らなきゃな/////」

 

 

 

華琳「(なによデレデレしちゃって……)」

 

 

 

 

 

 

凪 「華琳様、よろしいでしょうか?」

 

華琳「なにかしら?」

 

凪 「・・・・・・(言ってしまうのが怖い。 主君にこのようなこと言ってもよいのだろうか)」

 

華琳「・・・・・・(一刀のことかしらね)」

華琳「凪。 言いなさい」

 

凪 「(お見通しか・・・・・・。 さすが華琳様)」

凪 「すぅー・・・・・・、はぁー・・・・・・」

 

凪が大きく深呼吸をして、華琳に向かって宣言する。

 

凪 「華琳様っ! 今度は華琳様にも負けませんっ!」

凪 「今度は1番になってみせますっ!!」

 

華琳「!!」

 

一刀「?」

 

華琳「・・・・・・」

 

凪 「・・・・・・あ、あの。 華琳様?」

 

華琳「くくくっ。 あはははははははっ!」

 

凪 「?」

一刀「華琳?」

 

華琳「よく言ったわ、凪」

華琳「受けて立ちましょう。 でも簡単には渡さないわよ?」

華琳「"コレ"は私のモノなのだから、たとえあなたでもね」

 

凪 「はいっ!!」

 

一刀「???」

 

 

 

 

 

 

あとがき的な

 

Re:TAKE 第11話、とうとうあの方"逆行の凪"が登場しましたっ!!

 

バレバレだったかも知れませんが、

第2話の最後に華琳様の下に飛び込んだのは凪でしたw

 

凪の戦闘力ですが、チート系ではないです。

作中で凪も言っていますが、身体能力は本編登場時と同じです。

 

ただ一度目の外史での経験があるので、

氣の使い方、戦闘技術などは本編登場時とは比較になりません。

 

なので、春蘭に自分と互角と言わせるくらいの強さになっています。

そして最後には華琳様への宣戦布告w

 

むしろ三羽烏のチートは真桜になる可能性がw

一度は言わせて見たい「こんなこともあろうかとっ!!」www

 

 

 

前回の外伝の際、「短いし、気になる人だけ読んでくれれば・・・・・・」と

出来心でお気に入り限定にしたところ多くの方がお気に入りに登録してくれて、

さらにたくさんの応援メッセージまで頂きました。

 

登録してくれた方、メッセージくれた方、

読んでくれた方、支援してくれた方、皆様に感謝です。

 

 

 


 
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