「おめでとうございまス……。1つ目のチャレンジをクリアしましタ」
最初の試練を突破したナマコ車掌が私を祝福してくれた。
まあ、初めてにしては、上出来だという結果だったな。
「あなたが帰りのホームで受け取ったこのアイテムは、ネリメモリーといいまス。
ネリメモリーとは、あなたのココロを読み取り、それを練り上げたモノ。
チャレンジをクリアする度に、ネル社から記念として差し上げまス」
つまり、ネル社は私の心を読んでいるという事か。
私がネリメモリーの取得具合を確認していると、路線図の左右に赤いマークが現れた。
チャレンジできる駅が増えたようだ。
「それでは、良い旅ヲ……」
そう言って、ナマコ車掌はどこかに引っ込んだ。
「ん? あーあー?」
アタリメ司令が通信機を確認する。
見た感じ、ずっと昔に作られたものだと思われる。
「おお! 無線が繋がったようじゃ!
3号、応答されたし!! 応答されたしーッ! ドーゾ!!」
3号……? 一体、そいつは誰なんだ?
私がアタリメ司令に話を聞こうとすると、携帯電話の中から女の声が聞こえてきた。
『るっっせぇー!!! 誰だテメーは!!!』
声の主は、かなり怒っていた。
3号に間違われた事が、よっぽど腹が立ったのだろうか。
「ぬわッ!!」
『セ、センパイ~……急におっきな声、出さないでくださいよ~』
次に聞こえてきた声は、その女の後輩だった。
後輩は先輩とは正反対に落ち着いた声色をしている。
「おお……?! おヌシら……3号ではないな?!」
今更気付いたのか、アタリメ司令。
「な、何者じゃ! 名を名乗れィ!!」
『テメーこそ誰だYo?! アタシはヒメ、Also known as MC Princess!!
ショートでキュート、ドクゼツジョーゼツテンタクルバリバリ! ぬりたくるナワバリ! Yo!』
アタリメ司令が女に名前を聞くと、女は激しい口調で自己紹介した。
すると、アタリメ司令の闘志に火がついたのか、若気の至りなのか、
彼もヒメに負けず劣らずの激しい口調でこう言った。
「YoYoYo! 若造がこのワシにラップでバトルと申すか!
MCヨっちゃんこと、ワシの真の姿をとくと見よ!」
……痺れを切らした私は、ラップ勝負をやめるように言った。
この二人よりも激しい口調だったという事は、謝ろう。
「おお、すまんかったな、ポリュープ」
『アタリメさんに、ポリュープさん……でしたっけ?
ワタシ達、今ここで通信機を拾ったんです。
ワタシ達は今、ナンタイ山にいるんですけど、アタリメさん達はどこにおられるんですか?』
ナンタイ山といえば、タコツボバレーの近くにある山だったな。
私は知らなかったが、アタリメ司令が教えてくれたため今覚えた。
そして、私とアタリメ司令はそこにいたが、何者かに連れ去られて地下に閉じ込められたとか。
『それは困りましたね……。
大変そうなので……ワタシイイダ、Also known as DJ E-DAがサポートさせていただきます……!
とりあえず、皆さんの現在地を調べてみますね♪
ワタシのサポートがお役に立てばいいんですけど……!』
イイダと名乗った女は、私達のこの状況を理解してくれたようだ。
彼女は通信機を使い、私達の居場所を調べてくれるとか。
『ヘーイ! ジジィはそこでオハギでも食ってりゃ平気だYo!』
そこに、ヒメが割って入ってきた。
アタリメ司令は不服そうな表情をしたが、ラップができる奴に悪い奴はいない、と結論付けた。
……会話は、ラップを使わないといけないのか?
「じゃ、ワシらは約束の地に行くため、チャレンジを進めるかのゥ!
そんじゃポリュープ、イカよろしく~」
そう言って、アタリメ司令は通信を切った。
さて、私達はそろそろ、チャレンジの再開をしようか……。
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このお話で2におけるアイドル(?)、テンタクルズが登場します。