12/10/21 12:16 涼･麦穂 さん

206

りからも諫言（かんげん）を受けたのかもしれない。訪れてきた三成に豊久はやや不快げであったが、惟新は『歓迎』とはいかぬまでも鷹揚に接し…

12/10/20 11:43 涼･麦穂 さん

205

ば、毛利中納言（輝元）の出馬は確実なものとして不安は無い。だが、豊久も感じているように、この戦は『危うい』。西軍の結束など、砂上の楼…

12/10/19 13:14 涼･麦穂 さん

204

のみ。〈俺（おい）の戦は、島津んためじゃ〉　そう己に言い聞かせ、豊久は戦意を保とうと努めた。　ところで、東軍方の首を持ち帰った押川郷…

12/10/18 11:23 涼･麦穂 さん

203

墨俣への置き去りで膨れ上がってしまっている。〈こん戦、危うい〉　豊久はそう感じていた。ただ単に窮地に在る、ということではない。踏みし…

12/10/17 12:22 涼･麦穂 さん

202

な軍略によって島津勢が窮地に陥ったこの一件があった翌早朝。惟新と豊久をさらに呆れさせる報せが大垣城へともたらされた。　なんと、堅城と…

12/10/16 13:19 涼･麦穂 さん

201

で主直々に褒められ、緋馬里は嬉しそうに顔をくしゃりとさせた。だが豊久は、家臣どもに目配せした後、真面目な顔を作る。「じゃっち、おまあ…

12/10/15 13:17 涼･麦穂 さん

200

、来たか。こいへ来よ」酒の入った庄太夫が、上機嫌で緋馬里を迎え、豊久の前へ連れて行った。「殿。火も焚けん俺たちゃあが、こん月も暗か夜…

12/10/14 13:15 涼･麦穂 さん

199

帰城に、島津の陣営は沸いた。軍議を終えて事の次第を聞かされていた豊久も、曲輪（くるわ）の門まで出て庄太夫らを出迎えた。「わいどま（お…

12/10/05 12:09 涼･麦穂 さん

190

られた三成は、大垣城へ戻るなり軍議を開いている。そのために惟新も豊久も本丸に詰めているが、その席に『殿（しんがり）の小隊がはぐれて戻…

12/10/04 13:18 涼･麦穂 さん

189

　三成もそれ以上余計な口はきかず、惟新、豊久と轡を並べて、来た道を戻り出す。大垣への帰城の途は、疲労とはまた違った心地の悪さを伴った…

12/10/03 10:37 涼･麦穂 さん

188

　さて、大垣城へと馬首を向けた豊久であるが、腹には三成に対するふつふつとした怒りをたたえていた。〈治部めが。己を何様じゃち思っちょる…

12/10/02 11:17 涼･麦穂 さん

187

」　軍略家の誉れ高かった豊久の父・家久の字も『又七郎』である。父の名とかけて労（ねぎら）う伯父に向かって、豊久はニッと歯を見せた。「…

12/10/01 12:25 涼･麦穂 さん

186

　確実に兵を退かせていく豊久はしかし、思惑が奏功したとはいえ、細心の注意を払って采配をとっていた。　少しでも慌てふためき、焦りを見せ…

12/09/30 14:19 涼･麦穂 さん

185

　豊久は素早く、部隊をいくつかに分ける。殿（しんがり）隊は、冨山庄太夫に任せた。銃を持たぬ下位の小物にまで火のついた『火縄』を配って…

12/09/29 11:03 涼･麦穂 さん

184

「ないじゃと！？」　澤渡の惟新から撤退の命を伝えられた豊久は、我が耳を疑った。「大殿さあは、治部少輔に『釣り野伏せ』を献策いたしもし…

12/09/28 11:23 涼･麦穂 さん

183

　惟新も豊久と同じように考えていた。だが三成は難色を見せる。「我ら、兵の数では大垣へと向かう敵に劣っておりますれば。勢いづいた敵に鶴…

12/09/27 12:06 涼･麦穂 さん

182

　豊久は、陣の周囲に高々と島津の旗指物『黒地に白の十文字』を掲げさせた。そして伝令と将士以外の者に沈黙を守らせる。　墨俣に、旗指物を…

12/09/26 11:23 涼･麦穂 さん

181

る。靖吉郎らとともに、島津の陣へと駆け戻った。　報告を受けると、豊久は陣中の主だったものを集める。惟新は、三成に呼ばれて重臣数人と十…

12/09/25 11:39 涼･麦穂 さん

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「何と！　あげにぼっけなおごじょ（無鉄砲な娘）をけ！」　緋馬里が豊久から寵愛されていることを聞かされて、靖吉郎は目を白黒させた。「俺…

12/09/24 10:56 涼･麦穂 さん

179

　寡勢対大勢での軍功は、豊久にも数多い。そのような島津の将士が二人揃って尻尾を丸めるのか、とでも言いたげである。　三成が大坂で挙兵し…