13/01/25 12:39 涼･麦穂 さん

257

されて鑓を手に陣から駆けだす者がいたが、豊久は自ら馬を駆ってそれらを引き戻した。　前線での豊久の指揮に、惟新は満足して頷く。「そいで…

13/01/24 13:17 涼･麦穂 さん

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　赤備えの井伊を引き連れ、葵の紋をはためかせ突撃してくる忠吉を、豊久は鼻で笑った。大勢に気を大きくしている忠吉は馬脚を緩めず、兵もそ…

13/01/23 13:17 涼･麦穂 さん

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長寿院盛淳を三成の元へ派遣し、豊久へは亀井への後詰を送れ、と伝令を出した。　惟新からの伝令を受けた豊久は、山田有栄に、騎下百余と鉄砲…

13/01/22 13:35 涼･麦穂 さん

254

　東軍どもは功ば焦って『へしあい』しちょりもすぞ！」「ならん」　豊久は許可しない。「俺たちゃあは、『二番備え』。そげんな小競り合いで…

13/01/19 09:34 涼･麦穂 さん

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」　豊久の有無を言わさぬ命に、六破はようやく重い口を開いた。虫一匹にさえも漏れ聞こえぬように、声をひそめて。　六破の言葉に、豊久の顔…

13/01/18 12:42 涼･麦穂 さん

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下される。その後豊久が自陣に戻るために騎乗すると、不意に惟新がそれを呼びとめた。　手綱を引き、叢雲の馬首を返した豊久に、惟新は何かを…

13/01/16 13:40 涼･麦穂 さん

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んおごじょは中書さあの馬取りぞ。連れておる馬ば見ちょらんのか」　豊久の馬廻りの者と聞いて男はわずかにひるんだが、それでも口を尖らせた…

13/01/15 11:54 涼･麦穂 さん

247

るだけの、何もない草原であった。そこへ、山田有栄ら七五〇を擁した豊久が島津の先手として布陣し、その一町（約百メート）後方に島津本陣と…

13/01/12 13:02 涼･麦穂 さん

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はおるまいな」　叢雲の馬口を持つ緋馬里に、不意に声がかけられた。豊久は別の馬に乗っているので、この行軍での緋馬里の役目は馬子である。…

13/01/09 12:50 涼･麦穂 さん

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謀（はかりごと）では、大坂城から抜け出すのは己と母……つまりは、豊久の人質となっている者だけである。樺山の方は、本家方の質を ―― 特に…

13/01/08 12:20 涼･麦穂 さん

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七郎（豊久）殿の邪魔となるわけにはいかぬ〉　弟の性分は、よく解っている。もしも、人質の命を諦めるような事態となれば、それは豊久自身も…

13/01/07 14:03 涼･麦穂 さん

239

　だが六破はそのまま去らず、豊久の前にかしこまって頭を垂れた。「畏（おそ）れながら、一つ。中書様はこの戦、緋馬里をどのように扱われる…

13/01/06 13:04 涼･麦穂 さん

238

からの下賜の品に、笑顔一つ無く途方に暮れた顔をする緋馬里を見て、豊久の溜飲も少しばかり下がる。「おまあは、欲ば無かのう。こいを治部に…

13/01/05 13:58 涼･麦穂 さん

237

、という意味である。　心なしか、左近の表情が自嘲気味に見えたので豊久も苦笑いを返した。「そうなれば、正に重畳。杭瀬川でのおはん（貴殿…

13/01/04 12:24 涼･麦穂 さん

236

に極まれり。　もう何も言うことは無い、とそのまま退陣しようとした豊久に向かって、三成は思い出したと言わんばかりに声をかけた。「中務大…

13/01/02 11:17 涼･麦穂 さん

235

　惟新と申し合わせた豊久は、三成の許を訪ねた。「今宵、内府の陣に夜討を仕掛けっはいかがか。貴殿が関ヶ原へと移動すれば、東軍もそいを追…

13/01/01 15:15 涼･麦穂 さん

234

ぞれ慌ただしく準備に入る。　楽田の島津の陣所も活気づいた。惟新と豊久に命じられたのは、関ヶ原への転陣である。　下知に従い、緋馬里もせ…

12/12/22 14:44 涼･麦穂 さん

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功を立てれば島津を潰すような真似だけはすまい。その点においては、豊久はまだ三成を信用している。　だが、家康が勝てば。　前田家をただの…

12/12/21 12:09 涼･麦穂 さん

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じゃが、そいは火を見るよっか明らかじゃわ〉　豊久はやっかいだ、と腹の内でつぶやく。　豊久にとって家康というのは、やはり『腹の内に糞の…

12/12/20 13:27 涼･麦穂 さん

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到したであろう』と三成へ報せを送った。　呼ばれて惟新の元へ赴いた豊久も、襲撃隊が出くわした敵部隊の様子を聞かされた。「そいがまこち徳…