現代ファンタジー小説「東京ラビリンス」
第54話・幻の終焉
「背負えもしないくせに、責任ないことまで責任感じてどうするの?」
澪はいきなり突き飛ばされて海に倒れ込み、
頭からつま先まで全身ずぶ濡れになりながら、
遥に冷たく見下ろされてそう言われる。
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「澪や僕が責任を感じることじゃないけどね」
「でも、まったく無関係ってわけじゃないし……」
下を向いたままそう言いかけると、いきなり横からドンと突き飛ばされた。とっさに受け身を取りながら浅い海へ倒れ込む。直後にザバンと大きな波を浴びて、頭からつま先まで全身ずぶ濡れになり、しょっぱい味が口の中に広がった。わけがわからず、体を起こしてきょとんと遥を見上げる。
「背負えもしないくせに、責任ないことまで責任感じてどうするの? 澪の悪い癖だよ」
冷たく見下ろしながらそう言われ、澪はようやく何が起こったのかを把握した。浅い海に足を崩して座り込んだまま、恨みがましい目を向けて口をとがらせる。
「だからって、何で突き飛ばすわけ?」
「頭が冷えたんじゃない?」
遥は少しも悪びれずに言うと、ザバザバと波を蹴りながら沖の方へ向かう。
「え、ちょっと」
「せっかくだから泳ごうよ」
狼狽える澪を尻目に、服が濡れるのも構わず海に飛び込んでいく。澪もすでにどうしようもないほど濡れているので、もういいやとやけっぱちな気持ちになり、彼のあとを追って泳ぎ出した。
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http://celest.serio.jp/celest/novel_tokyo.html
第54話・幻の終焉
「背負えもしないくせに、責任ないことまで責任感じてどうするの?」
澪はいきなり突き飛ばされて海に倒れ込み、
頭からつま先まで全身ずぶ濡れになりながら、
遥に冷たく見下ろされてそう言われる。
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「澪や僕が責任を感じることじゃないけどね」
「でも、まったく無関係ってわけじゃないし……」
下を向いたままそう言いかけると、いきなり横からドンと突き飛ばされた。とっさに受け身を取りながら浅い海へ倒れ込む。直後にザバンと大きな波を浴びて、頭からつま先まで全身ずぶ濡れになり、しょっぱい味が口の中に広がった。わけがわからず、体を起こしてきょとんと遥を見上げる。
「背負えもしないくせに、責任ないことまで責任感じてどうするの? 澪の悪い癖だよ」
冷たく見下ろしながらそう言われ、澪はようやく何が起こったのかを把握した。浅い海に足を崩して座り込んだまま、恨みがましい目を向けて口をとがらせる。
「だからって、何で突き飛ばすわけ?」
「頭が冷えたんじゃない?」
遥は少しも悪びれずに言うと、ザバザバと波を蹴りながら沖の方へ向かう。
「え、ちょっと」
「せっかくだから泳ごうよ」
狼狽える澪を尻目に、服が濡れるのも構わず海に飛び込んでいく。澪もすでにどうしようもないほど濡れているので、もういいやとやけっぱちな気持ちになり、彼のあとを追って泳ぎ出した。
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