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現代ファンタジー小説「東京ラビリンス」第11話・純白騒動

現代ファンタジー小説「東京ラビリンス」第11話・純白騒動
現代ファンタジー小説「東京ラビリンス」
第11話・純白騒動

「きゃあぁあっ!!!」
クラス中が振り返るほどの悲鳴を上げながら、
澪は全力でスポーツ紙を掻き寄せて机の上で抱き込んだ。
顔は火照って湯気が出そうなほど真っ赤になっている。
その紙面に掲載されていたのは、スカートがめくれて
白いパンツが丸見えになっている怪盗ファントムの姿だった。

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「綾乃ちゃんは興味ないの?」
 真子に尋ねられた途端、綾乃の眉間に深い縦皺が刻まれた。むすっとして腕を組む。
「はっきりいって不快。美少女怪盗とか言われてるけど、顔なんてちっとも見えてないしさぁ。こんなものを美少女とか言ってありがたがってるヤツの気が知れん。絶対、マスクをとったらガッカリってパターンだよ」
「ガッカリ……」
 澪は斜め下に視線を落としてぼそりとつぶやいた。
「ま、スタイルいいのは認めるけどね」
「そうそう、澪にそっくりなんだよな」
 そう言うと、富田は腰を屈めて、じっと観察するような目で覗き込んできた。比較対象は机の上に広げられている。慌てて、澪は少し乱暴に彼の顔を向こうへ押しやった。
「じ、じろじろ見ないでよ! やらしいっ!!」
「そうだぞ、富田、そんな怪盗と比べるな!」
 綾乃は両手を腰に当てて富田を睨み、きつい口調で責め立てる。
「比べるまでもなく澪の方が断然上なんだよ」
「怪盗ファントムも負けてないと思うけどな」
 富田はニヤニヤしながらそう言い返すと、机の上のスポーツ紙を開いた。その中面には——。
「きゃあぁあっ!!!」
 クラス中が振り返るほどの悲鳴を上げながら、澪は全力でスポーツ紙を掻き寄せ、くしゃくしゃになったそれを机の上で抱き込んだ。顔は火照って湯気が出そうなほど真っ赤になっている。
 その紙面にデカデカと掲載されていたのは、スカートがめくれて白いパンツが丸見えになっている怪盗ファントムの姿だった。誠一の後ろ姿も少しだけ写っていたようだ。つまり、これはきのう高層ビルの屋上で撮られたものだと思われる。飛び立つ瞬間、強烈な白い光を見た記憶があるが、あれがカメラのフラッシュだったのかもしれない。
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