ファンタジー小説「遠くの光に踵を上げて」
番外編・明日に咲く花 - 花壇
まだ付き合っているとはいえない、だけど彼女に対する想いは——。
ユールベルの家を訪れたジョシュは、そこにいた彼女の弟に、
二人の関係やジョシュの考えを厳しく追及される。
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「姉さんと付き合ってるの? その辺、イマイチはっきりしないんだけど」
アンソニーはソファに座ったまま、膝に腕をのせて身を乗り出し、眉をひそめながらジョシュに尋ねる。
付き合うというのが恋人になると同義ならば、現時点での答えは否としかいいようがない。彼女の気持ちは聞いていないし、毎週会っているのは確かだが、ただ並んで歩くだけで手さえ繋ぐことはないのだから。
ジョシュは考え込んだまま返事をしなかったが、微妙に曇った表情を見て、アンソニーはだいたいのところを察したようだった。面倒くさそうに溜息をついて上体を起こす。
「ほんと焦れったくて仕方ないんだけど。子供の恋愛じゃあるまいし何やってんのかなぁ。おにいさんもう30近いんでしょう? いい大人っていうか、そろそろおじさんだよ?」
「おまえには関係ないだろう」
「相手が姉さんじゃなければね」
アンソニーは頭の後ろで手を組みながら言った。
「僕としてはさ、先生一押しだったんだよね。姉さんには、先生みたいな優しくて穏やかな人がいいんじゃないかなって。まあ、先生にその気がなければ仕方ないんだけどさ。どうなんだろう? 先生って姉さんのこと好きじゃないのかなぁ?」
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http://celest.serio.jp/celest/novel_kakato.html
番外編・明日に咲く花 - 花壇
まだ付き合っているとはいえない、だけど彼女に対する想いは——。
ユールベルの家を訪れたジョシュは、そこにいた彼女の弟に、
二人の関係やジョシュの考えを厳しく追及される。
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「姉さんと付き合ってるの? その辺、イマイチはっきりしないんだけど」
アンソニーはソファに座ったまま、膝に腕をのせて身を乗り出し、眉をひそめながらジョシュに尋ねる。
付き合うというのが恋人になると同義ならば、現時点での答えは否としかいいようがない。彼女の気持ちは聞いていないし、毎週会っているのは確かだが、ただ並んで歩くだけで手さえ繋ぐことはないのだから。
ジョシュは考え込んだまま返事をしなかったが、微妙に曇った表情を見て、アンソニーはだいたいのところを察したようだった。面倒くさそうに溜息をついて上体を起こす。
「ほんと焦れったくて仕方ないんだけど。子供の恋愛じゃあるまいし何やってんのかなぁ。おにいさんもう30近いんでしょう? いい大人っていうか、そろそろおじさんだよ?」
「おまえには関係ないだろう」
「相手が姉さんじゃなければね」
アンソニーは頭の後ろで手を組みながら言った。
「僕としてはさ、先生一押しだったんだよね。姉さんには、先生みたいな優しくて穏やかな人がいいんじゃないかなって。まあ、先生にその気がなければ仕方ないんだけどさ。どうなんだろう? 先生って姉さんのこと好きじゃないのかなぁ?」
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